レンコンは漢字で「蓮根」と表記されますが、蓮の根ではなく茎が成長した魂茎類に属する野菜です。
日本では、関東以南で栽培されていることが多く、シャキシャキとした食感は、きんぴらや煮物などに活用され、ビタミンCやカリウム、食物繊維などが含まれており栄養価も満点です。
池や田んぼなどで蓮の花(レンコン栽培)をよく見かけますが、レンコンは自宅でも育てることができます。
今回は、そんなレンコンの種まき〜収穫までの育て方、栽培時期や病気・害虫の対策についてご紹介していきます。
Contents
レンコンの栽培時期と育成条件
日当たり:日なた
土壌酸度:弱酸性~中性(5.5~6.5pH)
用途:地植え・鉢植え(プランター)
耐寒性:強 耐暑性:強
植え付け:プランターに植える場合は、最低でも1株につき30㎝×50㎝以上。地植えの場合は、1坪につき2株の広さが目安。
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レンコンの植えつけ
「プランター栽培」「地植え」のいずれの場合も、3月下旬~4月が植え付けの適期です。種から育てることもできますが、収穫できるまでに3年ほどの年月が必要です。
種から育てる場合は、先端が尖っていない方を、水分を吸収しやすくし、スムーズに初芽させる為にヤスリで削りましょう。
中の薄皮が見えるまで削り続けた後、たっぷり水につけ明るい場所に置いておきます。半月くらい経過すると、初芽し(適正気温は18℃以上)葉が出てくるので、ポットに入れて鉢上げします。
プランターで育てる場合
プランターで栽培する時にあらかじめ準備するものは、下記の通りです。
種:2~3芽、3節位あり、500g~1000gの重さがあるものを選びましょう。
土:野菜用の培養土
プランター:最低でも1株につき深さ30㎝、横幅50㎝の大きさがあるものを用意してください。底に穴が空いていない容器でも構いませんが、栓抜きがついているとなお良いでしょう。
- プランターの中に、高さ10㎝になる位土を入れる
- 種レンコンの芽以外を土に埋める
- 土よりも2~3㎝位高さがでるように水を入れる
地植えをする場合
土地がある場合は、畑や栽培プールを作ることにより、レンコンを栽培することができます。40㎝~50㎝ほどの穴または深さがある場所に、30㎝ほど土を埋めて戻してから、種レンコンを植えましょう。
芽は畑や栽培プールの内側に向けて、角に植えるようにします。栽培プールは、防水シート、木枠などを利用して作ることができます。1坪につき2株の種レンコンを植えると良いでしょう。
レンコンの用土
レンコンは、田んぼなどで見られるような豊富な有機物と水分を含んだ粘土質な土が適しています。荒木田土と腐葉土を8:2の割合で土作りをしましょう。
植え付けの2~3ヶ月前に、よく混ぜ合わせて寝かせ準備しておくことがポイントです。植え付けの半月位前に、土壌酸度を測定し、適正範囲内でなければ、苦土石灰を混ぜて調整してください。レンコンの土壌酸度の適正範囲は、5.5~6.5pHです。
レンコンの肥料
プランター植えの場合は植え付けの際に、土の中に緩効性の肥料を数粒埋めておきます。葉が出てきたら、2~3週間毎、必要であれば毎週追肥を行います。気温が高くなるにつれて、肥料の量も多くなるので様子を見ながら行って下さい。
また、地植えの場合は、プランター植えと同じく植え付けを行う際に、有機肥料(少量であれば化学肥料でも可)を土に混ぜておき、葉が出てきたら追肥します。
レンコンの水やり
水生植物であるレンコンは、多くの水を必要とします。プランターで育成する場合は、水の高さが常に土の表面より10㎝以上になるように与えておくことが大切です。
プランター栽培、地植え栽培共に、夏場は水が蒸発しやすいので、毎日チェックを怠らないようにしましょう。
また、水やりの時にシャワーなどを使用することによって、水がかき混ぜられ、酸素を補給してあげることができます。休眠期でも水不足の状態にならないようにしてください。
レンコンの日照条件
レンコンは水や肥料の他にも、多くの日光を必要とします。朝から日が沈むまで直射日光があたるような場所が適しています。
日光が不足すると、成長に影響を及ぼし収穫量が少なくなります。茎葉、地下茎共に、25℃位が適温です。
レンコンの開花から収穫まで
種レンコンの根が付き、初芽して順調に育っていくと、7月~8月くらいに綺麗なピンク色の花(蓮)を咲かせます。蓮の花が咲いている時間は短く、3日~4日位しかありません。
また、早朝に咲き出して昼ごろには閉じる習性を持っています。花を咲かせたら、8月頃土の中でレンコンが大きくなり始めます。
10月~12月位になると、次第に葉が枯れて葉茎が黄色みをおびて倒れるようになります。これらの症状が現れたら、収穫時期の到来です。
- プランター内の水を抜く
- 草や葉を全て取り除き、中身を取り出す
- ナイフやハサミで成長したレンコンを切って収穫する(魂茎を傷つけないように注意)
畑などの地植えをした場合:「くわ堀り」
畑などの地植えをした場合は、くわ堀りが一般的な収穫方法です。水を減らすまたは抜いた池から、丁寧に土を鍬で堀り、レンコンを傷つけないように取り出します。
収穫をした際に、きれいな新芽がある株を2本ほど残しておき、乾燥しないうちに植え戻すと翌年以降も栽培することできます。
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レンコンがなりやすい害虫・病気
ボウフラ(蚊)
レンコンに使用している水に卵を産み付けて、夏に大量発生することがあります。水の中に金魚かメダカを投入すると予防にもなり効果的です。
他にも、一度水を全て捨てることで、ボウフラを駆除する方法もあります。
蓮根腐敗病
葉が灰色になって枯れ、レンコン自体が腐敗してしまう病気です。休眠期に水が少ないとおこりやすくなります。
特効薬や予防策はなく、1年中充分な水分を与えることが大事です。また、古い土や枯れた葉は、発見次第取り除きましょう。
レンコンの管理
藻・草の除去
藻が多くなってくると、レンコンの花芽や新芽に絡みます。葉が展開できない可能性が出てくるので、手で取り除くようにしましょう。
また、雑草が生えている場合も同様に除去が必要です。病害虫の発生の原因になるばかりでなく。風通しが悪くなり成長に影響を及ぼします。
花殻つみ
花殻をそのままにしておくと、病気やカビが発生する原因となります。
こまめに取り除き、花托と共に早めに取り除くようにしましょう。
黄葉取り
黄色く変色した葉は、下から出る新しい芽の成長を阻害します。見つけ次第摘み取りましょう。
8月以降になると、黄葉はレンコンに栄養を供給する働きをするので、摘み取らないようにしてください。
蓮の花・レンコン豆知識
花言葉
蓮の花には次のような意味があります。
離れゆく愛・神聖・雄弁・休養・清らかな心
レンコンの色止め
レンコンチップスや煮物など様々な料理に活用されるレンコン。調理する際は、切断すると空気に触れた面から黒く変色していきます。これは、レンコンに含まれるタンニンやデンプンが酸化することが原因です。
変色を防ぐ為には、切った後すぐに水につけておくと良いでしょう。酢水やレモン水であれば、より一層レンコンが白くなります。
水につけてもつけなくても味が変化することはありませんが、見た目にこだわるのならば、これらの方法を活用しましょう。
おわりに
レンコンは自宅でもプランターを活用することで、気軽に栽培することができます。
レンコンの育て方のポイントは下記のようになります。
- 粘土質の土、直射日光があたる場所を用意すること
- 一年を通して水枯れを起こさないように注意し、成長の様子を見ながら肥料をあたえること
- 普段の細やかな管理が必要(藻・草の除去・花殻つみ・黄葉取り)
ポイントを押さえることにより、レンコンの栽培はそれほど難しいものではありません。
蓮の花も楽しむことができるレンコン栽培。ぜひ一度、挑戦してみてください。