- 「もっと効率的に畑のスペースを使ってガーデニングがしたい」
- 「野菜を植えてみたけれど、病気や害虫ばかりでなかなかうまくいかない…」
- 「野菜に使う薬品の量を減らしたい」
病気や害虫は野菜などを育てる上で、重要なポイントをしめる悩み事の一つではないでしょうか?
そんな時はコンパニオンプランツの活用で、病害虫の予防や野菜の生長、スペースの有効活用など、今まで悩んでいたことが解決するかもしれません。コンパニオンプランツの知識を習得してもっとガーデニングに詳しくなってみませんか?
今回は、コンパニオンプランツの利点や欠点・野菜の相性などについて詳しくお話したいと思います。
Contents
コンパニオンプランツとは
コンパニオンプランツには「共生植物」「共存作物」などの別名があります。
1ヵ所に数種類の野菜を植えることで互いの特性を生かし、病害虫の予防や生長の促進など様々なメリットが生まれます。
また、作物に使用する薬剤の量を減らすこともできるなどの利点もあります。
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コンパニオンプランツのメリット
害虫の予防
野菜にとって大敵ともいえる害虫。多くの害虫は、好みの匂いを発する場所に集まります。
匂いが強いシソ科、セリ科、キク科などの野菜は害虫を遠ざけたり混乱させたりする効果があり、その近くに植えた野菜の害虫被害が減少します。
害虫には病気の菌を運ぶものもいるので、病気広がりを抑えることもできます。
病気の予防
一例として、ネギ科の野菜にいる微生物は抗生物質を出すことで、ナス科、ウリ科目の病原菌を減らす働きをします。
組み合わせの仕方によっては、周りの野菜も病害虫の被害を逃れることができます。
生長や結実の促進
受粉を行うアブや蜂を集める植物に、ナスタチウム、ポリジ、マリーゴールド、カモマイルなどがあります。これらの植物を植えることで人工授粉に頼らなくても、受粉がスムーズに行われます。
また、肥料をそれほど必要としない野菜を植えることで、肥料が必要な植物が栄養分を吸い取りバランスの取れた土づくりができます。
土壌の質が向上すると、実が大きくなる・収穫量が増える・草丈が伸びる、などの相乗効果が出てきます。
栽培スペースの有効活用
背丈の高い野菜と低い野菜同じ場所に植えることで、狭い空間でも収穫量や品種の数を増やすことができます。
コンパニオンプランツのデメリット
相性が悪いと逆効果になる
コンパニオンプランツは、相性の良い植物同士を植えることが鉄則です。
相性が悪いものを組み合わせてしまうと、病害虫の発生や野菜などの生長不良などを引き起こす可能性があります。
間引きや収穫に手間がかかることも
相性が良いからといって、作業効率を考えずに植えると間引きや収穫の手間が増えてしまいます。植えた後の栽培管理がしやすいように、考慮してから植える場所を決めましょう。
また、一度に多くの種類を植えると、どこに何があるのか分からなくなってしまいますので、立札を利用するなどして記録することをおすすめします。
コンパニオンプランツの植え方は2種類
コンパニオンプランツの植え方を2種類ご紹介しましょう。
この植え方はアジアで開発されたもので、単作する場合と同じ収穫量になるメリットがあります。
- 混植(こんしょく):一つの畝に数種類の作物を混ぜて植えることを指します。
- 間植(かんさく):一つの畝に一種類の作物、畝ごとに作物の種類を変える、畝間に別の作物を植える方法です。
コンパニオンプランツを実行するまえに
コンパニオンプランツを植える時は、前もって計画を練ってから実行に移しましょう。
- 主軸となる野菜を決める
- 主軸となる野菜と相性の良いコンパニオンプランツを決める
- 植える場所の配置を決める
- 植える時期を考える
主軸となる野菜を決める時は、連作障害の有無を確認することが重要です。前年度に何を植えていたか、メインとなる野菜に連作障害があるかどうかを考えてから決めましょう。
相性の良いコンパニオンプランツを決める時は、特に狭い場所での家庭菜園の場合は、その植物や野菜がどの程度まで大きくなるかを想像して、敷地や空間の大きさを考慮してから決定しましょう。
場所が決まったら、植える時期を決めます。畑に一斉に主軸とコンパニオンプランツの野菜を植えつけると、主軸となる野菜よりもコンパニオンプランツの方が大きく育つ場合があります。生長の早いコンパニオンプランツを選ぶ場合は、メインの野菜よりも少し遅い時期に植えつけを行いましょう。
バンカープランツとアレロパシー
コンパニオンプランツに関係する用語を2つご紹介します。
バンカープランツ
バンカープランツはコンパニオンプランツの一種です。
バンカーには「銀行」という意味があり、病害虫を防除することが目的とされます。病害虫にかかりやすい植物の近くに、その虫の天敵を集める植物を植えることで(バンカープランツという名の銀行に天敵を貯蔵するイメージ)、病害虫の予防につながります。
バンカープランツで効果を発揮する組み合わせをしたからといって、必ずしも植物同士の相性の良さにはつながりません。しかし、病害虫を避けることで植物が健全に育つ役割を果たすことから、バンカープランツはコンパニオンプランツの仲間として重要視されています。
アレロパシー(他感作用)
アレロパシーとは、植物の生み出す化学物質が、他の植物(動物や自分自身を含める)に影響を及ぼす作用のことをいいます。
アレロパシーの作用には、虫をおびき寄せたり遠ざけたりするもの・殺菌作用があるもの・生長に影響をあたえるものなどがあります。
他の植物だけでなく自分自身に影響を与えることもあり、アスパラガスの収穫量が年々減っていくのは、自ら出すアレロパシーが原因とされています。
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おすすめするコンパニオンプランツの組み合わせ
家庭菜園で良く植えられる野菜に最適なコンパニオンプランツを5つご紹介します。
トマト
トマトはナス科に属し、乾燥に強い特徴があります。トマトと相性の良いコンパニオンプランツは、ネギ類、ニンニク、アスパラガス、バジル、パセリ、マリーゴールドレモンバーム、コリアンダー、ナスタチウムなどです。
多くの組み合わせの中でも特にネギ類は土壌病害、病害虫を防ぐ効果があります。バジルはトマトに不必要な水分を吸い取る働きがあり、生長を促します。
また、トマトに発生しやすいセンチュウ類、アスパラガスに発生しやすいハムシをお互いに防ぐ働きがあります。
キュウリ
キュウリはウリ科に属するツル性の一年草です。キュウリと相性の良いコンパニオンプランツは、ネギ、ニラ、三つ葉、トウモロコシ、マリーゴールド、オレガノ、ディルなど。特にネギはコンパニオンプランツとして優秀で、独特の香りでウリハリムシを遠ざけます。
また、ネギの根にいる微生物の働きが、つる割れ病を予防する働きがあるとされています。
キュウリの風味を良くしたい時は、オレガノを近くに植えましょう。風による転倒を防ぐのならトウモロコシの近くに植えることで、風による被害を防ぐことができます。
ナス
ナスはインドが原産のナス科の野菜。ナスと相性が良いコンパニオンプランツは、ネギ、パセリ、ラッカセイ、枝豆、つるなしインゲン豆などです。
ナスに寄ってくる害虫はカメムシ、ニジュウヤホシテントウ、アザミウマ、ヨウトムシ、またパセリに寄ってくるアゲハ蝶の幼虫は、お互いの野菜に寄りつかないので、一緒に植えることで両者にメリットが生まれます。
トウモロコシ
トウモロコシはイネ科に属し、大きな葉・太い枝・高い背丈が特徴です。トウモロコシと相性が良いコンパニオンプランツは、エダマメ、ダイズ、つるありインゲン豆などです。
特にトウモロコシを好むアワノメイガは枝豆を嫌い、枝豆を好むコガネムシも寄りつかなくなるといわれています。
また、マメ科全般がもつ根粒菌の作用によってトウモロコシの生長が促される効果があります。
キャベツ
キャベツはアブラナ科に属し、アブラムシの被害が多い野菜です。キャベツと相性の良いコンパニオンプランツには、ソラマメ、レタス、タマネギ、ゼラニウム、コリアンダー、ペチュニア、マリーゴールド、スープセロリなど。
アブラムシの被害を減らすには、ソラマメを植えましょう。ソラマメはアブラムシが嫌いなテントウムシを呼び寄せる効果や、アブラムシを引き寄せる効果があります。
科別の特徴とその効果
アブラナ科
キャベツ・白菜・カイワレダイコン・カブ・カリフラワー・クレソン・大根・タカナ・コマツナなど
アブラナ科の野菜は、アオムシ、コナガ、タバコガ、ハムシ類を寄せ付けない働きがあります。
一番相性が良いのはレタスなどのキク科の野菜。アブラナ科の野菜を好むモンシロチョウ(幼虫はアオムシ)、ヨウトガ(幼虫はヨウトムシ)、コナガはキク科目の植物を嫌うため、近くにキク科の植物を植えると害虫の被害が減ります。
また、キク科を好むタバコガはアブラナ科の野菜が苦手なので、アブラナ科とキク科をコンパニオンプランツの組み合わせにするとお互いにメリットを生み出します。
イネ科
トウモロコシ・ムギ・米など
イネ科の植物は土壌の余分な肥料成分、過剰な塩類を吸い取る働きがあります。
相性が良い科は、マメ科とウリ科です。
ウリ科
キュウリ・スイカ・カボチャ・ゴーヤ・ズッキーニ・メロンなど
ほとんどのウリ科の野菜は、連作を嫌う特徴があります。
相性の良い科はマメ科です。
キク科
ゴボウ・レタス・ベビーリーフ・ヤーコン・フキ・シュンギクなど
キク科の植物は独特の香りを放つことから、病害虫に強い特徴があります。
アブラナ科との相性がよく、害虫を寄せ付けない目的で使われます。
シソ科
バジル・ミント・シソ・ローズマリーなど
シソ科の植物は、キク科の植物と同様に独特の香りを放つことから病害虫を寄せ付けない特徴があります。
シソ科のハーブには、アレロパシーで野菜の生長を妨げるものもあるので注意が必要です。
セリ科
ニンジン・セロリ・パセリ・ミツバ・アシタバなど
セリ科の植物が放つ香りによって病害虫を遠ざけることができる特徴があります。
相性が良いのは、アブラナ科です。アブラナ科に集まるモンシロチョウはセリ科の植物が苦手、セリ科の植物にあつまるアゲハ蝶はアブラナ科が苦手です。
お互いをコンパニオンプランツの組み合わせにすることで、両者ともに害虫を防除することができます。
ナス科
シシトウ・ジャガイモ・トウガラシ・トマト・ナス・ピーマン・パプリカなど
マメ科と相性が良く、アブラナ科の一部とは相性が悪いものがあります。
ネギ科
ネギ・ニラ・ニンニク・ワケギ・チャイブ・エシャロット・アサツキ
ネギ科の植物の根には、バークホーデリア・グラジオリーという拮抗菌が存在します。
この菌はホウレンソウなどに発生する萎凋病などの病原菌を抑える効果があります。
マメ科
インゲン・エダマメ・エンドウ・ソラマメ・アピオスなど
マメ科の植物の根にいる根粒菌によって土壌が肥沃になり、土壌病害を防ぎます。
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相性の悪いコンパニオンプランツ
コンパニオンプランツには相性が良いものもあれば、当然悪いものもあります。
悪い組み合わせのコンパニオンプランツを植えると、病害虫の増加、生長が悪くなるなどの症状があらわれ、お互いに悪い影響を及ぼします。
ここでは、特に相性の悪い代表的な5つをご紹介します。
ジャガイモ×キャベツ
ナス科のジャガイモはアブラナ科のキャベツと相性が良くありません。一緒に植えることで、じゃがいもの生長に影響が出て収穫量が少なくなります。
既述の通り、ナス科は一部のアブラナ科と相性が悪いとされていますが、この組み合わせはまさにその例です。
ナス×トウモロコシ
イネ科のトウモロコシは肥沃な土壌を好みます。一方ナスはトウモロコシほど土の栄養を必要としません。
また両者とも日光を好む野菜なので、トウモロコシの下にナスを植えると日光不足でナスの生育が悪くなります。
キュウリ・スイカ・ニンジン・メロン×インゲン
これらの組み合わせで植えた場合、害虫のネコブセンチュウが大発生する恐れがあります。
可能であれば一緒に植えないようにしましょう。
レタス×ニラ
この組み合わせは、レタスの生育が悪くなります。
ニラのアレロパシーがレタスに影響を及ぼしていると考えられています。
ダイコン×長ネギ
ネギが放出する成分が大根の生長に悪影響を及ぼします。
ダイコンがネギを避けるために、形が曲がったりするなどの影響がでます。
野菜以外のコンパニオンプランツ
これまで、主に野菜同士の組み合わせを多く紹介してきましたが、コンパニオンプランツに利用される植物には、花やハーブなどがあります。
マリーゴールド
マリーゴールドの根から出る分泌液で、ネコブセンチュウ、アブラムシ、コナジラミなどの害虫を避けることができます。
また、葉から出る匂いも防虫効果を持っています。
コモンタイム・コモンセージ
両者ともシソ科に属する植物です。コモンタイムが持っている防腐性物質は、アオムシを遠ざける働きがあります。殺菌効果もあることから治療薬や料理で使用されることもあります。
コモンセージは、ハエ、アオムシ、蝶などに対して忌避する力を持っています。花色も多いので、観賞用としてもおすすめです。
ナスタチウム(キンレンカ)
ナスタチウムはノウゼンハレン科に属します。アリ、コナジラミ、センチュウ、アブラムシを避ける働きがあるのでアブラナ科の野菜との相性は抜群です。
花色は赤、オレンジ、ピンク、黄色などの暖色系。最近は観賞用以外にも食用として活躍の場を広げています。
ペパーミント
600種類以上あるミントの中でもペパーミントは蝶、ノミ、ハエ、蚊を避け、殺菌力もあり優秀なコンパニオンプランツです。
ただ一つ注意することは、その繁殖力。他の植物を追いやってしまう力を持っているので、注意しましょう。
クローバー
クローバーはマメ科に属する植物です。肥料のなかでも重要な「窒素」を空気中から土の中に引き寄せる力があります。
また、ミミズを引き寄せるので土壌の質を向上させる働きがあります。
まとめ
野菜や植物の性質を生かしたコンパニオンプランツ。この力を活用することで、ガーデニングの幅が広がり、より一層楽しいものとなりそうですね。
家庭菜園などの小さなスペースでも、充分にこれらの方法を活用できるのもコンパニオンプランツのよいところでしょう。
今回ご紹介した良い相性・悪い相性以外にも多くのパターンがあります。また、コンパニオンプランツになる植物は他にも多く存在します。
実際コンパニオンプランツを活用して植える際には、一覧表などで再度確認してからチャレンジしてくださいね。