シャクヤクと言えば美人の代名詞でもある花の名前です。古くから、「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」という言葉でも親しまれてきました。
大ぶりのピンクや赤色の花を春に咲かせます。
ボタン科ボタン属の植物で花も牡丹によく似ていることが知られています。
Contents
シャクヤクの植え方、栽培時期
古来より日本で親しまれてきた美しいシャクヤクを育ててみたいと思いませんか。
栽培の難しさは中級者向けですが、美しい花を咲かせたときには何とも言えない喜びを感じられます。
シャクヤクの苗の植え付けの時期
シャクヤクの苗の植え付けの適期は、9月から10月です。
植え付けのポイント
苗を選ぶ場合は、新芽が数個ついているものを選ぶようにしましょう。苗の根についていた土はきれいに落とすことが病気や害虫の予防につながります。
「鉢植え」
大きく深さのある鉢を使用します。サイズは、8~10号がおすすめです。
鉢底に赤玉土の大粒を敷き、1/3ほど土を入れます。苗を土の表面から5mを目安に植え付けます。水はたっぷりと与え、風通しのよい半日陰で管理するようにしましょう。
「地植え」
風通しの良い場所でできれば半日陰が理想です。
深さは50cm、幅は30cmほどの穴を掘ります。堆肥や腐葉土などを混ぜてしっかり土づくりをしておくことが大切です。できれば、しっかりと土壌が作られるように2週間ほどかけて土づくりをしましょう。
よい土壌になったら、芽が土の表面より5cmくらい出るように苗を植え付けます。
シャクヤクが好む土壌
「鉢植えの場合」
水はけのよい土に仕上げることが大切です。おすすめは、
赤玉土(中粒)4:鹿沼土4:腐葉土1〜2:もみ殻燻炭1の割合で混ぜた土です。
「地植え」
植え穴を掘った土に堆肥や腐葉土を1/3ほど混ぜ込み2週間ほど寝かせて、シャクヤクにあった土壌にしていきます。
シャクヤクの水やり・肥料
水やり
「鉢植え」
土の表面が乾いたら水をたっぷりと与えるようにしましょう。根が育つ10月ごろからは特に水切れを起こさないよう注意をすることが大切です。
「地植え」
地植えの場合は、基本的に刃水やりの必要はありません。
しかし、雨が降らない日や、乾燥した日が続いたときには、夜のうちにゆっくりと水やりをするのがおすすめです。水を地中深くまで染み込ませるように水やりをします。
肥料
シャクヤクを育てるうえで、必要となる肥料は、リン酸を多く含んだ肥料です。植え付けの時には、リン酸が多めの緩効性化成肥料を1㎡あたりコップ1~1.5杯ほど混ぜておくとよいでしょう。
追肥のタイミングは、3月初旬、5月下旬、9月中旬、10月下旬の年4回です。
肥料が不足すると花をつけなくなってしまうので、忘れずにしっかりと肥料を与えるようにしましょう。
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シャクヤクの手入れ法
シャクヤクの花つきをよくするためには、こまめなお手入れも大切です。覚えておきたいシャクヤクのお手入れ方法を紹介します。
芽かき
株の風通しを良くする、病害虫を防ぐといった目的で芽かきを行います。芽かきを行うことで、余分な茎を取り除くことができるため、太い茎に栄養がしっかりと行き届くので、花つきが良くなります。
芽かきのポイントは、込み合っている茎や細い茎、蕾のない茎を選んで間引いていくようにしましょう。
摘蕾
株全体に栄養が行き届くことが美しい花を咲かせることにもつながります。株が大きくなると芽も増えていくので多くの蕾を付けますが、ひとつの茎に多くの蕾がついていても、栄養が分散するため、きれいな花を咲かせてはくれません。
1本の茎に蕾が1つだけになる割合で蕾の根元から切り取ることで、花にもうまく栄養が行き渡ります。鉢植えの場合は、1株につぼみ3~5個を目安に摘蕾を行うとよいでしょう。
花がら摘み
シャクヤクの花が終わった後は、そのままにしておくと実をつけ、やがて種になります。しかし、実を成熟させているうちに、栄養を取られてしまうので、翌年も美しい花を咲かせたい場合は、咲き終わった花は、すぐに首元から切り取ってしまうようにしましょう。
シャクヤクの植え替え時期
シャクヤクを植え替える場合には、鉢に植えてから3年から5年ごとに行います。
シャクヤクは、もともととても根が繊細なため、根が定着するまでに時間がかかるので植え替えにはあまり適していませんが、鉢植えの場合は、根がよく張るため、土の質が低下しやすく、植え替えをする必要性があります。
植え替えの仕方
一回り大きな鉢を用意し、株を取り出し根についた古い土は、きれいに取り除いてあげることが必要です。
あとは、鉢植えの植え付けの時と同じ手順で行いますが、植え替えを行うことで、どうしても根に負担がかかってしまいますので、丁寧に植え替えを行いましょう。
植え替えによる負担が原因で花つきが悪くなってしまうこともあるので、注意が必要です。
シャクヤクの増やし方
シャクヤクを増やすためには、株分けという作業によって増やすことができます。
株分けのやり方
まず株分けをする上で覚えておきたいのはその時期です。植え替えの時期と重なる9月から10月の間に株分けを行うとダメージも最小限に抑えることができます。
まずは、じゅうぶんに育った株を掘り起こし、根の周りについた土を落とします。株に2つ以上の目が付くことを意識して、根をハサミで切り分けます。
切り口を消毒します。その方法は、殺菌剤や微生物資材、草木灰に浸します。
消毒が終わったら、苗植えの時と同様に株を植え付けます。
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シャクヤクの病気や害虫
シャクヤクを育てるうえでは、知っておきたい病気や害虫があります。
病気
土の状態や栽培環境に由来して起こる病気で、炭そ病、灰色かび病、褐斑病、立ち枯れ病、うどんこ病、モンパ病には注意をする必要があります。
水はけや風通しに気を付けることで予防することができます。それでも病気にかかってしまうこともありますが、蕾に灰色かび病が付いた場合は、花が咲かなくなってしまいます。芽が出る時期の3月から4月に殺菌剤を散布することで予防ができます。
害虫
気を付けたい害虫が、アブラムシやヨトウムシ、ネコブセンチュウです。春から夏にかけての梅雨の時期は特に高温多湿になりやすく、どうしてもこれらの害虫が発生しやすくなってしまいます。
殺虫剤を使ってもよいのですが、乳酸菌や米酢を使うとこれらの害虫と先ほど紹介した病気の予防にもなります。
ネコブセンチュウは、普段は地中にいるので、殺虫剤の効果を期待できません。微生物資材をうまく使って土壌環境を整えることが予防につながります。
シャクヤクの種類
コーラルチャーム
珊瑚色の花を咲かせる八重咲のシャクヤクで時間帯によっても花びらの様子が変わるといった時間とともに色やその姿を変えて楽しませてくれます。
サラベルナール
大輪のライトピンクの花を咲かせるのがこのサラベルナールです。その名の由来はフランスの女優サラ・ベルナールによるものです。とてもエレガントで蕾の時から気品を感じさせます。花を咲かせたときの香りもとても素敵な香りです。
エッジドサーモン
花屋さんで見かけることも多い人気の品種です。花びらのふちにかけてサーモンピンク色の淡いグラデーションが特徴で、切り花にも向いています。
おわりに
シャクヤクの育て方を紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。難しいようにも感じますが、日当たりと水はけのよい土地で栽培することの二つをきちんと守ることで随分と育てやすくなります。
毎年花を咲かせる宿根草であることだけでなく、日本の環境にもあっているので芽かきなどのお手入れをきちんと行えば美しい花を咲かせることができます。
美しいシャクヤクの花を咲かせてくださいね。