「インゲン」は中央アメリア原産で、日本へ伝えたのは江戸時代に隠元禅師とも言われています。未熟な状態で収穫して莢(さや)ごと食べます。触感も良く、茹でると苦味も無いので子どもも喜ぶでしょう。
インゲンは莢(さや)ごと食べます。そのことから「サヤインゲン」とも呼ばれます。多くの栄養素が含まれていて、食物繊維やビタミンが豊富な他、カロテン・カリウム・カロチンが豊富な夏野菜です。
今回は、そんなインゲンの育て方について、種まき〜収穫までの栽培方法と栽培時期や病気・害虫の対策をご紹介していこうと思います。
Contents
インゲンについて
インゲンは、「つる」があるか無いかで「つるなし」「つるあり」種に分かれます。「つるなしインゲン」は種蒔きから収穫までの育成期間が短く育てやすい特徴があります。成長背丈は約50㎝位で止まるので支柱の必要はありません。
「つるありインゲン」は暑さにも強く夏蒔きもできるのが特徴です。収穫期間がつるなしインゲンより長くなります。その分収穫量も多くなります。いずれのインゲンも種まきからの成長は早く、次々に実が成っていくので毎朝の収穫が楽しみな野菜です。
関西では三度豆とも言われます。何度でも季節にあった品種を蒔けます。インゲンの主な生産地は千葉県・北海道・鹿児島県と続きます。
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インゲンの栽培時期と育成条件
つるなし種
種まき | 育苗・育生 | 収穫 | |
寒冷地 | 5月中旬 | 5月中旬~8月上旬 | 8月上旬~9月上旬 |
一般地 | 4月中旬~6月上旬 | 4月下旬~7月中旬 | 6月中旬~8月中旬 |
暖地 | 4月上旬〜5月中旬 | 4月中旬~7月上旬 | 5月下旬~8月上旬 |
つるあり種
種まき | 育苗・育生 | 収穫 | |
寒冷地 | 5月中旬~6月下旬 | 5月中旬~7月中旬 | 7月下旬~9月下旬 |
一般地・暖地(春まき) | 4月上旬~5月中旬 | 4月下旬~9月上旬 | 6月下旬~10月上旬 |
一般地・暖地(夏まき) | 7月下旬〜8月中旬 | 7月下旬〜9月下旬 | 10月上旬〜11月上旬 |
- 日当たり:ひなた
- 土壌酸度:非酸性 中性
- 植えつけ:つるなし=株間20㎝~30㎝ つるあり=株間30㎝~40㎝
- 栽培期間:つるなし=4月中旬~8月 つるあり=5月~11月
インゲンの種まき・苗の管理
つるなしインゲンの種は4月中旬から7月下旬まで蒔けます。種を蒔いて50日位で収穫ができる品種が多いですね。収穫期間が短いので一気に終わってしまいます。そこで種まきを10日位ずらして、2~3回まくと長く楽しめます。次々に開花して実がなっていきます。
一方で、つるありインゲンの種は収穫まで70日位です。収穫期間も長く続きます。暑さに強いので、5月又は7月~8月に蒔くとよいでしょう。種は1か所に3~4粒ほど蒔きます。
種蒔きの際に注意が必要です。3~4粒の種が重ならないように蒔くとよいです。それは、発芽後に間引きを行います。その際に種が重ならなければ根が絡みにくくなります。抜いた間引き菜は発芽しなかった箇所へ移植しましょう。これくらいの時期の株なら移植後も充分育ちます。
以前に覆土を厚くしてしまい芽が出なかったことがあります。1㎝くらいで充分です。基本的に畑にじか蒔きなので楽です。ポットで発芽させて、苗で移植することもできます。
インゲン栽培の土作り
肥沃で水はけの良い土地を好みます。酸性土を嫌うので、種を蒔く2週間前までには苦土石灰を蒔いて耕しておきましょう。
- つるなしインゲンの畝は、幅70㎝位必要です。株間20㎝~30㎝で2条に蒔きます。
- つるありインゲンの畝は幅90㎝位必要です。株間30㎝~40㎝で2条にまきます。
- インゲンは、水はけの良い土地を好むので、畝の高さは15㎝位必要です。
肥沃な土地を好むインゲンなので、化成肥料か乾燥鶏糞を1ヶ所につき一握り蒔いて土を戻してください。成長が全く異なります。
マルチ張りと支柱たて
雑草処理や補水のことを考えるとマルチをはるとよいでしょう。水はねも防げるので病虫害の予防効果もあります。
支柱立ですが、「つるありインゲン」に必要です。つるが出てくるころには支柱が必要になります。私は「不用意な畑への立ち入り→苗の破損」を行いたくないので種蒔き前に支柱を立ててしまいます。
誘引しなくても弦が巻き付いていきます。支柱は細長くなるので強度も考えて、合掌式にすると安定します。合掌点の部分には、横通しの支柱で補強しましょう。
成長と収穫の時期が台風シーズンに合致してしまいます。つるありインゲンも葉部分が多く、風の影響を受けてしまいます。支柱の補強は事前に行っておきましょう。
インゲンの間引き・追肥
1カ所に3~4粒の種を蒔きます。本葉2~3枚で2本にします。間引かなと実の生育がよくありません。間引き菜は、発芽しなかった場所に移植します。この際に、つるありインゲンは化成肥料を軽く一握り(30g~40g)追肥して土寄せをします。つるなしインゲンは生育期間が約50日と短いので追肥は行いません。
マメ科の植物はやせた土地でも育つ特徴があります。マメ科は根に寄生する根粒菌が空気中から窒素分を作るからです。しかしながら、インゲンはマメ科の野菜でありますが思いのほか肥料を必要とします。堆肥やつるありインゲンは追肥で補っておきましょう。
しかしながら、肥料過多になると実のできが良くありません。肥料のやり過ぎは注意が必要です。追肥はつるありインゲンのみ行いましょう。連作障害は注意が必要です。同じマメ科の植物を育てるなら、同じ場所での育成は3~4年避けた方がよいですね。温度が高いと発芽しやすいので、種はじか蒔きでよいのでとても楽です。
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インゲンの水やりについて
土の湿りが多すぎると種が腐ります。以前に蒔いた時に、種の1/4位が発芽しませんでした。掘り返してみると種が腐ってました。それ以降、種まき後発芽までの水やりは軽くしています。
水はけの良い土地を好む野菜なので水のやり過ぎには注意しましょう。マルチを敷いておくと雑草も生えてこないのでとても楽です。
つるなしインゲンは、支柱を立てないので、水やりの際に倒れないよう注意が必要です。水量水圧を調整してください。
開花が始まるといよいよ受粉です。水やりの際に花に水が付くと受粉が悪くなります。開花後は水やりに注意しましょう。
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インゲンの栽培管理
発芽すればそれ程手をかけなくても育成します。つるありインゲンは誘引しなくても支柱に巻き付ついてくれるのでとても楽です。
つるなしインゲンは種を蒔いてから6~8週間で次々に開花します。いっきに収穫が終わってしまいます。そこで種蒔きの時期を少しずらすとよいです。次々に新しい株が開花して連続収穫ができます。
ポット苗での育成を利用して、連続してインゲンを育成することも可能です。収穫後すぐにポット苗で発芽済みの苗を移植すれば、育成期間を2週間ほど削減できます。
収穫の終えた畑に種を蒔くより、ポット苗を植えることで日数を短縮できます。
狭いスペースの畑を有効活用しましょう。
病害虫について
病虫害は少ない方です。注意したいのは、蒔いた種を鳥に食べられてしまいます。本葉が出るまで鳥よけのネットを張ると防げます。以前に種まきを鳥が見ていたようで、翌日に種をほとんど食べられてしまったことがありました。
ウィルス病予防にもアブラムシやハダニを防除しましょう。ここでもポリマルチは効果があります。
9月の頃の多湿時にさび病が多発するようならダイセンを散布しましょう。
インゲンの収穫時期
種まきから、つるなしインゲンで約50日。つるありインゲンで約70日で収穫です。やわらかい実を摘み取りましょう。
開花後10日くらいから収穫を始めましょう。
インゲンは取り遅れると固くなってしまい、食するのに向かなくなってしまいます。
インゲンの収穫方法
収穫の際にはハサミを使用しましょう。丁寧に実の根本をハサミで切ります。手で引っ張ると苗を傷つけます。
取り遅れると株に負担をかけ、今後の収穫量が低下します。さやも硬くなるので食するにも適していません。
おわりに
インゲンの育て方について、種まきから収穫までご説明しましたがいかがでしたか?
初めてインゲンを育てるなら「つるなしインゲン」の方がよいと思います。手間もかからずに、支柱などのスペースも省略化できます。マンションのベランダなど、少ないスペースで家庭菜園にチャレンジできます。慣れてきたら「つるありインゲン」にチャレンジしましょう。長い期間収穫ができ、毎朝一定量が次々に収穫できます。
晴天が続くと水やりは毎日必要です。しかし、病虫害が少なく手もかからないので育成が楽な夏野菜です。インゲンの種はホームセンターや直売所で、手頃な金額で購入できて気軽に育てられます。種の容量によって金額が異なりますが、200円~300円で販売されています。
ぜひ、インゲンの家庭菜園にチャレンジしてください。茹でたての「さやと豆」の触感をサラダで楽しみましょう!