お味噌汁や酢味噌和などでよく使われるワケギは、ビタミンC、葉酸、βカロテンを含む緑黄色野菜です。ネギよりも刺激臭が少なく上品な風味であることから、あらゆる料理で使用されています。
栽培管理が楽で栽培スペースをとらないことから、プランターを利用したベランダで行う小さな家庭菜園でも栽培を楽しむことができます。
今回は、そんなワケギの育て方についてご紹介します。
Contents
ワケギの栽培時期と育成条件
- 日当たり:日なた
- 生育適温:15~20℃
- 発芽適温:15~25℃
- 用途:地植え・プランター
- 土壌酸度:6.0~6.5pH
- 連作障害:あり(1年)
ワケギは、日当たりが良く保水性に富んだ肥沃な土を好みます。生育適温は15~20℃。
日本の全域で栽培ができます。
ワケギの種球の用意
ワケギ栽培は種球の準備からはじめましょう。種球は「しゅうきゅう」と読みます。種球とは、繁殖のために使われる球根のこと。
種球はワケギ以外にも、らっきょう、エシャロットなどの栽培でも使われます。ワケギの植えつけは8~9月なので、時期が近づいてきたらホームセンターなどで種球の販売が始まります。
前の年にワケギを自分で栽培し、保管していた種球がある場合は、それを利用しましょう。
種球を選ぶ時は、なるべく大きさのあるもの・ハリがあって枯れていないものを選ぶようにしましょう。
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ワケギの土作り
ワケギ栽培は場所を取らないので、地植えはもちろんプランターでも栽培が可能です。
プランター栽培の場合
土は市販されている野菜用培養土を使用します。
自作する時は、小玉赤玉土と腐葉土を7:3の割合で配合し、緩効性肥料を混ぜておきましょう。
地植えの場合
種球を植えつける2週間前に適量の苦土石灰を入れ、良く耕し酸度調整をします。
1週間前には堆肥と緩効性化成肥料を適量混ぜておきましょう。土の準備が出来たら高さ10㎝の畝を作っておきます。
地植えの場合は、マルチを張ることで雑草が生えづらくなり、栽培管理が楽になります。
ワケギの植えつけ
ワケギの植えつけ時期は地域によって少々異なります。
- 関東地方より北の気温が低い地域では8~9月
- 関東地方より南の気温が高い地域では9~10月
植えつけの前に、種球を1つずつに分けておきましょう。
複数の種球がくっついている場合は、傷をつけないように優しく引き剥がしてください。
プランター、地植えの場合も株間は10~20㎝。土に種球を入れる時は、尖って細い方を上に向けましょう。種球を入れる深さは、土の表面から種球が少し顔を出している位(浅植え)にします。
ワケギの水やり
プランター栽培の場合は、土の表面が乾燥したら充分に水を与えましょう。
地植えの場合は、あまりにも土が乾燥しているようであれば、たっぷりと水やりをします。
ワケギの追肥と土寄せ
植えつけをしたワケギの草丈が10㎝位になった頃、倒れないように株元に土を寄せましょう。
同じタイミングで、液体肥料を追肥します。その後の追肥は1週間おき、土寄せは2週間に1度の割合でおこないましょう。
ワケギの収穫
夏に植えたワケギの収穫は、秋と春の2回です。草丈が20~30㎝になったら、ハサミなどを使用して株元を3~5㎝残して収穫です。
株元を残して収穫した場合は、冬になると枯れてしまいますがその間に種球が生長します。春がくると再び新しい芽が伸びるので、2回目の春の収穫をすることができます。
収穫後はあらたに新芽が伸びますが、何度も収穫すると細いワケギしか獲れなくなるので、
収穫の回数は秋と春の2回で抑えておくとよいでしょう。
ワケギの収穫は、秋に1回、株ごとの収穫でもかまいません。葉だけでなく、収穫した球根は甘酢漬けや焼き物などにすると美味しくいただけます。
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ワケギに発生しやすい病害虫
ワケギは病害虫に強いネギ科の野菜ですが、全く病気や害虫の被害に遭わないという訳ではありません。
ワケギに発生しやすい病害虫ご紹介します。
べと病
ワケギの葉に黄色い病斑が出たら、べと病を疑いましょう。
べと病の原因はカビです。長期に雨が降り続くなど高温多湿の環境で発生しやすくなります。
日当たり、風通しの良い環境が一番の予防ですが、雨よけやマルチ栽培も効果を発揮します。一度発病したものは除去して、畑の近くに置かないようにしましょう。
黒斑病
黒斑病になると、葉に黒い病斑が出てきます。原因はカビの一種の糸状菌。病にかかったワケギについた糸状菌そのままにしておくと越冬し、次の年にその胞子が雨にのって広がります。
黒斑病になったワケギは必ず焼却処分するようにしてください。予防法として、連作を避けること、植えつけ前に行う土の太陽熱消毒が効果的です。
害虫では、ネギアブラムシ、ネギアザミウマ、ネキリムシ、ネギコガ、シロイチモジヨトウなどの発生に注意しましょう。
太陽熱消毒って何?その方法は?
土の太陽熱消毒とはその名の通り、太陽の熱を利用して土を消毒することをさします。
土の消毒を行うことで、雑草の種、センチュウなどの害虫の卵やさなぎ、土壌病の原因菌に効果を発揮するだけでなく、連作障害を起こしにくくする効果もあります。
透明マルチを利用した太陽熱消毒の方法は以下の通りです。
- 実行する季節は、太陽熱が強い真夏
- 元肥を土に入れ良く耕し、畝と作り土に水を与える
- マルチを張り、約1ヶ月放置する
- マルチを剥がし、そのまま土を利用する
放置している間の土の温度は60℃にもなり、地上から10~20㎝の土に効果があるので、消毒後は深く土を耕さずに、立てた畝をそのまま利用して野菜の植え付けを行いましょう。
太陽熱消毒は、ワケギのように夏から秋にかけて植えつけを行うような野菜の栽培に適している消毒方法です。
種球を掘り上げるタイミング
育った種球を次の年に植えたい場合は、株はそのままにしておきましょう。
種球を大きくするために、次の植えつけに使う種球を決めておき、春の収穫は行わずに葉をそのままにしておきます。放置している間に、種球はどんどん生長していきます。
掘り出すタイミングは6月頃。ワケギの葉が枯れて元気がなくなったら、種球を取り出しましょう。種球は、日の当たらない涼しい場所に保管しておきましょう。
アサツキとの違いは?
ワケギによく似た野菜にアサツキがあります。
両者とも種球から育ち、薬味として使われることが多いので見分けがつかない方もいるのではないでしょうか。
ワケギとアサツキの特徴は以下の通りです。
ワケギ
葉の表面に凹凸がありません。
タマネギとネギを交配させたもので、ネギ属ワケギに分類されます。
アサツキ
葉の表面にスジがあります。ネギ属のエゾネギが変種したもので、野草の一種。
本来北海道に自生しているものです。ワケギよりも少し細い形が特徴です。
おわりに
ワケギの栽培ポイントは、乾燥と肥料やりの頻度に注意すること、連作を避けることです。
種球を一度自分で掘り起こすことができたら、次の年から購入する必要もなく、とても楽ですよね。
収穫したワケギは、湿ったキッチンペーパーなどに包みビニール袋にいれて冷蔵庫で保管しましょう。
また、水分をよく拭き取り小さく刻んで保存袋に入れ、冷凍庫で保管することもできます。
ワケギは傷むのが早い野菜なので、冷蔵の場合は3~4日、冷凍の場合は1ヶ月以内と、いずれの場合も早めに使用することをおすすめします。