みずみずしい歯ごたえと独特の香気をもつセロリは、食物繊維やビタミンCが豊富です。しかも茎から葉まで捨てるところがない優等生。
生のままで野菜スティックや漬物にするのがポピュラーですが、炒め物や煮物にしてもおいしくいただけるので、家庭菜園のメンバーとしておすすめの野菜です。
Contents
セロリの育成条件と栽培時期
種まき | 植え付け | 収穫 | |
寒冷地 | 5月上旬~6月中旬 | 7月中旬~8月中旬 | 9月中旬~11月下旬 |
一般地 | 5月中旬~6月下旬 | 7月中旬~8月下旬 | 10月上旬~12月上旬 |
暖地 | 6月上旬~6月下旬 | 9月上旬~9月下旬 | 11月下旬~12月下旬 |
※高原など冷涼な地域は寒冷地の栽培時期を参考にしてください。
日当り:日なた
土壌酸度:弱酸性~中性
植え付け:株間30cm前後
種まき・苗の管理
セロリは基本的に種から育てます。
ただしセロリの種は温度が25℃以上になると発芽が悪くなるため、夏の暑い時期に育苗する場合は涼しい場所を用意しておくといいでしょう。
- タネの発芽を促すために、まく前に一昼夜水につけておきます。
- ポットまきの場合、6cmのポットに用意した土の真ん中に軽く凹みをつけ、4~5粒を離してまきます。
- その上からごく薄く土で覆い、その土が流れないように水やりをしてください。
- 雨が直接あたらない涼しい場所に保管し、培土を乾燥さないようにします。発芽がそろったら込み合っているところを間引き、本葉3枚になったところで1本立ちに間引きます。
- 本葉が7~9枚になるまで栽培します。それまでは培土が乾かないように毎日水やりをしましょう。
※箱まきの場合は培土に棒などで浅く溝をつけて種を条まき(直線にそって並べる)にし、ごく薄く土で覆ってください。その後、苗と苗が触れ合わないよう間引きましょう。
セロリの定植適期
セロリの定植適期は本葉が7~9枚になった頃です。生育適温は20~25℃前後なので、お住まいの地域の年間平均気温と上に記載した表を目安に定植の時期を考え、苗の準備をするといいでしょう。
地植えの場合には、風通しのいい場所を選ぶようにしてください。アブラムシ対策や乾燥防止のために銀マルチシートを使用するのもいい方法です。
セロリの土作り
セロリは肥料と水分を好む野菜です。水を多めにあげても根ぐされしないよう、水はけのいい土を風通しと日当りのいい場所に用意しましょう。また、酸性土壌を嫌うため苦土石灰でしっかりと中和しておく必要があります。
定植の2週間前には1㎡あたり100g程度の苦土石灰を混ぜ込んでよく耕し、1週間前には完熟堆肥3~4㎏と化成肥料100~150gをすき込んでなじませておきましょう。
化成肥料の成分の比率としてはチッソ:リン酸:カリ=4:3:3が目安です。
畝立てとマルチがけ
畑を作る際は、水はけを考えて20cmほどの高さにするとよいでしょう。1列植えならば畝の幅を60cmほど、2列植えにする場合は80~100cmほどにし、株と株の間(株間)は30cm程度、列と列の間(条間)は45cmほどとります。
表面をならしたら、乾燥とドロはねからセロリを守るためのマルチシートをかけていきます。地温の上昇と雑草も抑制でき、アブラムシ対策ともなるシルバーマルチがここは最適でしょう。
もちろん、黒マルチや白黒マルチでもアブラムシ忌避以外の効果は期待できますので、絶対にシルバーマルチが必要というわけではありません。
スポンサーリンク
定植のポイント
セロリは直根性、つまり根が下に向かって分かれずにまっすぐ伸びていくタイプの植物です。直根性の根は傷つけてしまうと再生が難しく、成長が悪くなってしまいますので定植の際は根鉢を崩さないよう、慎重に行う必要があります。
定植前には苗の鉢に水をかけておくことで、根鉢が崩れないようにします。植えつけたい株の数ぶん、マルチシートに穴を開けておいてください。株と株の間は30cm以上にして、根鉢が収まるくらいの穴を掘っておきましょう。
深植えせず、株元が土の上に出るよう気をつけましょう。植えつける時に、芯の部分に土が入り込まないよう注意しましょう。病気の元です。定植穴に固定できたら、さらに水やりをしておいてください。
セロリの栽培管理
水やり
セロリは乾燥を嫌いますので、夏の晴天が続くような時期にはたっぷりと水をあげてください。
水やりのときはマルチシートの穴から株元へ水をかけてください。その際は茎に泥がはねないように注意します。乾燥を防ぐために敷きワラをするのもいい方法です。
追肥
セロリは生育期間が長く、肥料切れを起こすと十分に育ちません。もともと多肥を好む性質なので、2週間に1回ほどのペースで追肥を行います。
セロリの場合、株元のマルチ穴に油かすや化成肥料を5~10g程度まいていきます。薄めた液肥を用いても良いでしょう。その場合、分量については製品の指示に従って散布してください。
防除
定植後は害虫対策の薬剤を散布し、芯葉がたちあがったころから(定植から30日前後)予防殺菌剤を定期的にまきます。
散布の期間は薬剤ごとに異なるので、使用方法を良く確認しましょう。
わき芽かき
セロリが縦方向に成長するようになっても、株もとのあたりからは小さな葉が次々と出てきます。これらのわき芽や古くなった下葉、黄色く変色した葉は早めに取り除いていきましょう。
これらを放置すると生育が悪くなってしまいます。ちなみに、黄色くなっていないわき芽は食べられますので刻んでスープなどに入れるのも良いでしょう。
軟白
普段私たちがスーパーで買っているセロリは、普通のセロリを白く育てたものです。セロリは日光によく当てると緑色になり、香味が強くなってどちらかと言うと野生的な味わいになります。
では白く育てるためにはどうするかと言うと、株元を新聞紙で巻いたりダンボールで囲うなどして日光を遮ります。こうすることで色は白く、香味も控えめでやさしい味わいのセロリになります。
このようにして日光を遮ることで白く育てる方法は軟白(なんぱく)といい、ネギやアスパラガスなどでも行われます。
スポンサーリンク
セロリの収穫時期と収穫方法
セロリは定植してからだいたい70~90日で収穫できます。茎が太くなって葉が立ち上がり、草丈が40cmほどになったら収穫時期と考えて良いでしょう。
収穫方法は株元からスパッと刈り取ってしまう方法と、外側の茎から1本ずつかきとっていく方法の二通りがあります。刈り取る際には葉がバラバラになってしまわないように、土の近くの生え際を切り取ります。
かきとり収穫は家庭で必要な分だけを収穫できて便利ですが、あまり長く放置してしまうとスが入って食感が悪くなるので、少し早めに収穫を始めたほうがよいでしょう。
セロリがかかりやすい病気・生育障害
軟腐病
葉や茎が黄色く変色したかと思うと段々と黒ずんで腐敗してしまう病気で、カビ菌が原因です。
高温多湿の状態が長く続くと発生しやすいので、畑の水はけを改善しましょう。
ひと株でも発症してしまうと畑全体に拡大する可能性があります。軟腐病の症状が確認できた株は抜き取って、畑の外で処分しておきましょう。発症後も回復を期待したいという時には、「コサイド3000」が軟腐病に対して効果のある数少ない薬剤となります。
芯腐れ症
生育が盛んになった段階で若い葉のフチや株の中心部が黒ずんだり、葉全体が黒くなって枯れてしまう症状です。
芯腐れ症はカルシウム欠乏による生育障害ですが、土壌の石灰分が十分であっても高温や乾燥、急激な成長、肥料のチッ素分過多などによって引き起こされます。予防方法として、まずは高温と乾燥を避けるよう水やりをしっかり行い、夏には遮光するなどの処置を行います。
生長中の葉に必要なだけのカルシウムが届いていないことが原因のため、発症してしまった場合はカルシウム水溶液を散布して対処します。カルシウムは多くの野菜で必要とされるミネラルなので、手軽に散布できる園芸用スプレーも販売されています。
セロリの害虫対策
ハダニ
アブラムシ同様に色々な植物に発生するダニです。葉の裏側に寄生し、その汁を吸いとって食害します。葉の色が悪くなっていたら要注意。放置すると株全体が弱って枯れてしまうこともあります。
ハダニは水に弱いため、水で洗い流すことで予防ができます。霧吹きでも水をふきかけることはできますが、勢いのあるスプレーボトルなどを使って除去していくと効率的です。水やりの時には毎回チェックしておくといいでしょう。
上記のとおり水だけでもある程度対策が可能です。あるいは見つけ次第、粘着テープなどで捕殺してもOKです。また、無農薬で育てたい場合はこれも酢や牛乳スプレーによる駆除方法が効果を認められています。
ナメクジ
ナメクジは直接セロリを食害しますし、なにより気持ちのいいものではありません。夜行性ということもあり姿は見かけないかもしれませんが、朝に葉を見てみてキラキラとした粘液のあとがあったら、それはナメクジが這ったあとです。葉の中や裏側も良く探しましょう。
ナメクジの住みかを作らないことが大切。石の下や雑草の間、落ち葉のカゲがナメクジの生息場所です。これらは極力取り除きましょう。
見つけたら即、割り箸などで捕殺してしまいます。薬剤で対処する場合は、ナメクジを誘引して駆除する「ナメトール」であれば農作物周辺でも使うことができます。
おわりに
セロリの食べ方ですが生野菜スティックは定番として、加工肉と相性がいい点も見逃せないと思います。葉や茎ともどもソーセージやベーコンと一緒にスープ煮にするとおいしいんですよ!
さらにセロリの香気には、食欲増進やストレスを軽減する効果もあるということです。
この記事ではセロリ栽培のポイントをお届けいたしました。ぜひ皆さんも自家製セロリを育てて、召し上がってみてください!