お茶やアロマの中でもリラックス効果抜群とされるカモミールは、春から夏にかけて可憐な白い花を咲かせるハーブです。
実はカモミールには2種類あり、ハーブティなどによく用いられるのはジャーマンカモミール、もうひとつはローマンカモミールと言います。
味や成分などに少し違いはありますがどちらも丈夫でよく育ちます。ここではジャーマンカモミールの育て方のコツをご紹介したいと思います。
Contents
カモミールの栽培時期と育成条件
種まき | 植え付け | 開花~収穫 | |
全地域共通 | 9月上旬~10月中旬 | 3月上旬~3月下旬 | 4月上旬~6月下旬 |
- 日当り:日なた
- 土壌酸度:弱酸性~中性
- 植え付け: 株間30cmほど
カモミールの土作り
カモミールは軟らかく水はけのいい土を好みます。自分でブレンドするならば赤玉土と腐葉土を7:3くらいの割合で混ぜたものが適しています。
プランター栽培の場合はハーブ用の土を購入しても便利です。庭植えの場合は植え付けの1ヶ月前ほどに苦土石灰と腐葉土を混ぜ込んで耕し、やわらかい土壌を作っおくといいでしょう。
肥料については緩効性(ゆっくり効果を発揮するタイプ)のものを混ぜ込んでおくと育ちが良くなります。
カモミールの種まきと苗の管理
カモミールは種から育てる方法と、苗を買ってきて植えつける方法のどちらでも栽培できます。種から育てることも難しくはないので、ここではその方法を紹介します。なにより種のほうがたくさん育てられて経済的ということもあります。
まず、種まきは9月から10月の間がおすすめです。春まきでも栽培可能ですが、ひと冬越させることで株が大きく育ち花の数も多くなります。
まず種を植えるための鉢を用意します(※)。受け皿を敷いて土に水を吸わせるように、浅めの鉢がいいでしょう。というのもカモミールの種は非常に細かいので、普通に水やりをすると流れてしまう可能性があるからです。そうでなければ、霧吹きをつかって土の湿り気を保つようにしてもいいでしょう。
※このあたりの管理がしっかりできるなら畑に直まきでも育てられます
種をまく時の注意点
まくときも土の表面に置くようにすればOK。土で覆ってしまう必要はありません。一袋全部まいてしまうと密集しすぎるので、まく数は鉢の大きさと相談しましょう。
発芽は1週間~2週間ほどですが、その間は半日陰においておき、土が乾かないようにしましょう。
寒さには強く戸外で冬越しできますが冬の間は霜や凍結に注意し、寒風にあたらないようにしておきましょう。
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カモミールの間引き
カモミールの幼苗は非常に小さく成長もゆっくりですが、密集したままでは大きく育ちません。本葉が出るまでの間に、適宜間引きしていきます。
ちょっと込み合っている所や勢いの弱い芽は少しづつ間引いていき、本葉が5~6枚でるくらいまでには苗と苗の間が10cm程度は離れるようにしましょう。
プランターでそのまま育てる場合には、株間は15センチくらいあけるようにします。
カモミールの定植のポイント
3月になり、あたたかな陽気の日が増えてきたらいよいよ植え付けです。
庭植えの場合は土作りの項でお伝えした準備をしておいてください。植える場所は日当りが良すぎない程度で、風通しのいい場所を選んでおくといいでしょう。
まずは30cm間隔ほどで植え付け用の穴をあらかじめ掘っておきます。穴の深さは植えつけたときに苗の根元が隠れてしまわない程度の深さにします。次に根を傷つけないように育苗鉢から取り出し、植え付け穴に入れたらやさしく土を寄せ、たっぷりと水をあげたら完了です。
プランターの場合は種まきからずっと同じ鉢で育ててもいいですが、密集させないよう大き目のコンテナで、同じく株間30cmくらいに植えつけるのが理想的です。
カモミールの栽培管理
水やり
カモミールの場合、湿度が高すぎて蒸れ上がるのが何よりの大敵です。しかし乾燥しすぎるととう立ちしやすいという面もありますので、水の管理には注意を払う必要があります。
土がやや乾き始めたころにたっぷりと水を与え、適度な湿り具合を保てるようにしてください。
追肥(おいごえ)
ジャーマンカモミールの場合、土作りのときに元肥をすきこんでおけば基本的にはそれだけで事足ります。
もし葉の勢いがいまひとつ弱いというような場合には、3月の植え付け後に液体肥料を薄めて1、2回与えると良いでしょう。
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摘心
普通に育てる場合は必要ありませんが、少ない株でできるだけ多く花を収穫したい場合は摘心します。
苗が20cmくらいの高さになったころ、茎の先端を摘心することにより葉の枚数がふえて大きく育ち、花の収量も多くなります。
枝葉の間引き
梅雨の時期は、カモミールの大敵である蒸れに注意する必要があります。
そのためには枝の込み合っているところを折り取ったり、余分な葉を落として風通しをよくしてあげましょう。
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カモミールの収穫時期と収穫方法
カモミールで収穫する部分は花の部分です。花が咲いて2日後くらい、花の中心の黄色い部分が盛り上がってきた頃が収穫の時期です。
晴れた日の朝に摘み取ったものが一番香りがいいとされていますので、午前中に収穫するよう心がけましょう。
収穫するときは一輪づつ花の付け根から折り取ります。種ができる前にこまめに収穫していけば、長い間楽しむことが出来ます。
花を摘んだあとにつぼみが残っていない枝があったら落としてしまいます(切り戻し)。これによって新しく花をつける枝の成長を促すことができます。
カモミールの保管方法
収穫したカモミールの花はボウルにためた水でよく洗い、水をきります。
そのまま5~6輪をポットに入れてフレッシュハーブティーとしても楽しめますが、保管するならばキッチンペーパーをしいたザルに上げて、日陰で乾燥させましょう。
1週間から10日ほどでカラっとするまで乾燥させたら、乾燥剤と一緒に密封容器に保管しましょう。早く使ったほうが風味は落ちませんが、そのまま1年間は保存できます。なお、冷凍すると風味の劣化を抑えることができます。
カモミールがかかりやすい病気「うどんこ病」
うどんこ病は、表面に白い粉をふいたように葉全体が白くなってしまう病気です。暑い時期に発生することがあり、原因はカビです。
予防方法としては、葉が込み合っていると伝染しやすいため、余分な葉を落として風通しをよくします。また乾燥した状態でも発生しやすいため、適度に水をまきましょう。
もしうどん粉病にかかってしまったら、対策方法として病気の葉はすぐに摘み取り、薬剤を散布します。「アーリーセーフ」などの薬剤がハーブにも使え、かつ下にあげる害虫の対策も同時にできるので重宝するでしょう。
なお、自家製の対策方法として牛乳や酢、重曹などを水で薄めて散布するのも効果があるようです。
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カモミールを狙う害虫「ハダニ」
ハダニは、アブラムシ同様に色々な植物に発生しますが、カモミールのようなハーブ類も例外ではありません。葉の裏側に寄生し、その汁を吸いとって食害します。葉の色が悪くなっていたら要注意。放置すると株全体が弱り、最悪枯れてしまうこともありえます。
ハダニは水に弱いため、葉水をかけることで予防ができます。霧吹きなどでも十分ですが、少し勢いのあるスプレーなどを使うと洗い流してしまうこともできます。水やりのたびにチェックする習慣をつけるといいでしょう。
上記のとおり水だけでもある程度対策できますし、見つけ次第粘着テープ類で捕殺してしまってもOKです。また、無農薬で育てたい場合はこれも酢や牛乳による駆除方法が効果を認められています。中にはコーヒーや唐辛子、にんにく液などというものも。
ただし作る方法や分量などについては決定版とされるものがないため、自己責任での対策となります。
おわりに
カモミールの花言葉は「逆境に耐える」。踏まれてもなお育つその強さを表しています。
強く育ち、白くかわいらしい花でお庭に彩りを与えてくれるだけでなく、香りも楽しめ、さらにそのアロマにもすばらしい薬効がある・・・。数あるハーブ類の中でもカモミールはひときわ優秀と言えるでしょう。
ご自身でそだてたカモミールの花で、その香りをぜひ楽しんでみてください。