ツルッとした舌触り、シャキッとした歯ごたえ。そしてほろ苦さがいかにも山菜らしいウドですが、じつは家庭菜園でも育てられることをご存知ですか?
山菜摘みも楽しいですが、自家製のウドで春の味覚を満喫するというのもいい考えかもしれませんね。
今回は、ウド(山ウド)の苗〜収穫までの育て方や間引き・摘芯方法についてもご紹介していこうと思います。
Contents
ウドの育成条件と栽培時期
植え付け | 収穫(2年目以降) | |
全地域共通 | 4月中旬~5月中旬 | 4月中旬~5月中旬 |
※ウドは多年生の山菜で、冬に地上部分は枯れてしまいますが春にまた芽を出します。植え付け後出てきた芽はは収穫せずに根株を充実させ、翌年以降に生えてきた芽を収穫します。
- 日当り:半日陰
- 土壌酸度:中性~弱酸性
- 株間:20~30cm
ウドの苗・根株の準備
ウドについて、どのように育てるかはあまり知られていないと思いますが、ざっくり説明すると以下の3通りになります。
- タネから苗を育てる(タネは野生のものを採取、または分けてもらう)
- 成長したウドの根株を入手して株分けする(野生のものを採取、または分けてもらう)
- 株分け済みの種株を購入する
山菜の採取には注意!
ウドをはじめ山菜の採取については様々な危険が伴うことを理解したうえで、安全対策を十分に行ってください。
また、山菜は野生のものですが、その土地の地権者が所有権を主張した場合トラブルに発展する可能性もあることに留意し、マナーある採集をこころがけてください。
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ウドの苗からの育て方
タネから育てるにはタネを乾燥させないで保管する必要があり、難度が高いため省きます。
ここでは株分け済みのウドの種株を入手した場合の育て方についてご紹介していきます。
※通販などで「苗」として売られている商品も、実際は「素掘り苗」として、種株だけの状態で売られているものがほとんどです。
ウドの定植適期
ウドの定植時期は4月中旬~5月中旬頃です。基本的にウドは土の中で越冬し、山菜とはいえ寒さにはあまり強くありません。
成長期にはあまり暑くないほうが良いのですが、入手した苗に霜があたってしまうと枯れてしまう可能性もありますので、遅霜の心配がない時期に植えつけましょう。
根株を植えつける場合、その点についてはあまり心配ありません。
ウドの土作り
野生のウドは山の湿った斜面に生えていることが多いです。
家庭で育てる場合も、保湿性がよく十分に有機質を含んだ土を用意してあげましょう。また、予想以上に根が大きくなるので深い部分まで柔らかく耕しておきます。
栽培に適した土壌酸度はpHは6.0~6.5程度です。植え付けの2週間前ほどには苦土石灰と元肥となる堆肥、化成肥料を混ぜ込んでなじませておきましょう。
苦土石灰:1㎏
堆肥:20~30kg
化成肥料:1.5㎏
ウドの栽培環境
地植えの場合、直射日光のあたる場所は避けましょう。ウドの生育にはどちらかと言うと冷涼なくらいが適しており、半日陰くらいが理想的です。他の植物が密生しているところでも成長しづらいので、風通しの良さも必要です。
また、株自体の大きさと背の高さがあるため広さも必要です。1列植えならば株間は50cmとります。2列植えにするときは90cm以上の条間(列と列の間隔)をとるか、別の畝を立てましょう。畝はあまり高くする必要はありません。
また、ポット栽培も可能です。その場合は一株につき7号(直径21cm)のポットを1つ用意します。
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ウドの定植のポイント
ウドを植えるときのポイントは2つあります。
- 芽を上に向ける
- 浅めに土をかける
ウドの種株には通常、1つか2つ芽がついており、逆方向に伸びているのが根となります。L字を倒したような形になっていることも多いので、根全体が収まるように直径20cmほどの植え穴を掘るか、畝の中央に溝をつけていきます。
掘る深さは、畝の表面のラインのすぐ下に種株の芽の部分が来るくらいにします。とはいっても、またそこから土をかけるのであまり几帳面になる必要はありません。
植え穴に種株を置いて、芽が上を向くように埋め込みつつ畝の表面が平らになる程度埋め込んだら、さらにその上へ5cmほど土をかけてやります。土で覆ったら、その上から水をかけて植え付けは完了です。
ウドの栽培管理
上でご紹介したとおり、ウドの植え付け1年目は収穫せずに2年目に備えます。
2年目の春に収穫するときもすべて収穫せず、芽を一本残すようにすれば植え付けから数えて4~5年は楽しめます。しかしそれ以降は芽が細くなっていきますので、株分けして植え替えると増やすことができます。
基本的に1年目も2年目管理自体は同じように行えばOKです。
間引き
1年目の植え付け後に1つの種株から複数の芽が出た場合は、草丈30cmくらいになるまで待ちます。
その後、太い芽を残して間引きます。
水やり
ウドは多湿な土壌を好みますので、土が乾燥していたらたっぷりと与えましょう。
冬の間は地表部は枯れてしまい休眠状態に入るので、水やりは不要です。
肥料
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6月~7月の間に、中耕をかねて追肥をします。中耕とは畑の土が固まったときに浅く掘り返して通気性と水はけを良くすることです。小さな雑草を除くことも目的のうちですが、あまり深く掘り返して根を傷つけないようにしましょう。
肥料は元肥と同じ化成肥料を1株あたり40~60gほど与えます。その後は根株の成長を妨げてしまうので追肥はおこないません。
摘心
ウドは放置すると1.5m~2mほどの高さにもなります。しかし、背が高過ぎると強風で倒れてしまうこともあります。そうなってしまうと、その後の株の成長にいい影響をあたえません。
そこで1mくらいまで成長したら芽の先端を摘心することで生長を止め、倒伏を防ぎます。必須の作業ではありませんが、株を保護するためにやっておくと安心です。
刈り取り
寒くなって葉が枯れたら、地上に出ている部分を生え際から刃物で刈り取ってしまいます。
ウドは寒くなる季節に休眠して冬を越すので、地上部分に養分を送らせないほうがよいのです。
ウドの収穫時期と収穫方法
ウドは新芽が30cmほど伸びたら収穫となります。収穫のときは刃物で地際から刈り取りますが、翌年も収穫するためには芽を1本は残しておきます。
残した芽は1年目と同様の栽培管理をして翌年の収穫に備えますが、若い葉を摘み取って食べることもできます。
ウドの軟白(軟化)栽培について
軟白栽培というのは、日に当たると緑化する植物を日光に当てずに白く、軟らかく育てる方法です。これはウドの栽培でもよく行われています。
スーパーで売られているウドは地下室などで軟白栽培されたものが多く、野生のものと比較すると歯ごたえや香りがやわらかでアクも弱くなっています。
このように食べやすくなるので軟白栽培はおすすめともいえますが、逆に独特のほろ苦さを楽しみたいと言うような場合には日のあたるままに育ててかまいません。
軟白栽培は2年目からスタート!
軟白栽培を行うのは収穫できるようになった2年目、3月末から4月の頭にかけて若芽が出てきた頃です。芽が出たのを確認したら、その上にワラや落ち葉、籾殻、土などを山状に盛って15センチくらいの高さにします。
その状態でも芽は成長し、山の上から頭を出しますのでそうなったらもう10~15センチほど同じように土や籾殻で覆います。
次に頭を出したときには、山の中にある茎の部分は白くやわらかに育っています。ここから少し日に当てて緑化させるのも、そのまま収穫するのもお好みしだいとなります。
遮光のための土を盛るのが大変と言う場合は、何かで筒状に囲ってからその中に土を入れて埋めていくという方法もあります。肥料の空き袋などを囲いに使う場合も多いようです。
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ウドがかかりやすい病気
菌核病
ウドの場合は芽が出て収穫するまでの期間が短いのですが、その短い時期だけでなく収穫後にも発生するのが菌核病です。原因はカビの一種である糸状菌です。
症状は、軟白栽培中の茎や植え付け1年目の苗が茶色く変色して腐り、地際に綿状のカビが発生します。また、そのカビが黒変して菌核を形成する場合もあります。
土壌中の菌が原因となる場合と、根株自体に菌がついている場合があります。また高温多湿の状況で発生しやすくなる傾向があります。
発病してしまった場合はその株を根ごと抜き取り、畑の外で処理します。予防のためには土壌やウド自体を殺菌する必要があるので、殺菌剤を用います。
ウドの害虫対策
センノカミキリ
幼虫、成虫ともにウドをターゲットにするカミキリムシの一種です。成虫は体長3cmほど、黄色がかった褐色に黒い斑点があり、茎を直接食害します。また、この成虫が食害しつつ産みつけていった卵が孵化すると、今度は幼虫が根の部分を食害します。ひどい場合は根株が空洞になってしまいます。
対策としては、成虫は発見次第捕殺します。また、幼虫の被害にあった株は被害の拡大を防ぐため焼却します。農薬で対処する場合は、スミチオン乳剤が殺虫効果を期待でき、かつ安全性も高い選択肢となります。
おわりに
ウドの育て方ですが、色々変わった点が多いので興味深く読んでいただけたのではないかと思います。
天ぷらや酢味噌和えなど楽しみ方の多いウドですが、山菜取りに行かなくても春の味を庭から収穫できるというのは素敵ですよね。
収穫まで1年はガマンする必要がありますが、その分収穫時の喜びも大きいはずです!