トラベラーズパームは、マダガスカルやマハジャンガを原産とする暖かい地域で多く栽培されている観葉植物で、「旅人の木」、「オウギバショウ」などの別名があります。
扇のような左右に広がる形をしており、緑の葉と黄色の茎、小さな白い花が特徴です。樹高が20mになることもあり、そびえ立つ姿が美しいことから南国では街路樹としても使われています。
今回は、トラベラーズパームの育て方についてお話したいと思います。
Contents
トラベラーズパームの栽培時期と育成条件
- 日当たり:日なた・半日陰
- 用途:地植え・鉢植え(7号以上)
- 耐寒性:弱(10℃) 耐暑性:強(40℃) 発芽適温:20~28℃
- 樹高:3~9m
- 種蒔き:3~7月
トラベラーズパームの好む環境
熱帯または亜熱帯地域で栽培されているトラベラーズパームは、地植えで栽培する場合は九州以南が適しています。
耐寒性が弱く10℃以上の気温が必要されるため、地域によって変わりますが日本で育てるならば室内で管理するほうがよいでしょう。
トラベラーズパームは半日陰でも育つ植物ですが、日光のあたる場所を好みます。鉢植え栽培の場合でも、暖かい季節は外で充分に日に当ててください。日光が不足すると株が弱くなり、同時に花付きも悪くなります。
トラベラーズパームの土作り
鉢植えの場合は、市販されている観葉植物用の用土を使用しても構いません。
土を自作する時は、中粒赤玉土:パーライト:腐葉土を5:3:2の割合で混ぜましょう。
トラベラーズパームは水はけの良い土を好みます。
トラベラーズパームの種蒔き・苗の購入
種から育てる場合
種蒔きは3月~7月が適期です。発芽には、20~28℃の気温が必要になるので充分暖かい気候になってからおこなうとよいでしょう。
種を購入したら、植える前に24時間水に浸して水分を吸収させましょう。7号以上の鉢に土を入れて種を撒き、約1㎝土をかぶせます。
発芽の目安は種を植えてから10日から1ヶ月ほど。地植えをする場合は、強風に当たらない場所を選びましょう。
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苗の購入はオーガスタと間違えないように
トラベラーズパームは店頭にほとんど並ぶことのない希少価値の高い植物です。
また、インターネットでもトラベラーズパームとして売られているものの中には、オーガスタが多く混在しています。
トラベラーズパームがオーガスタと異なる点
・葉の形がオーガスタよりも細長くスマート
・葉の色がオーガスタよりも若干薄い
色や形は良く似ていますが、間違ってオーガスタを購入しないように注意しましょう。
トラベラーズパームの定植
定植する場合は、トラベラーズパームの背丈が20㎝以上になってからおこないましょう。
気温が寒くなる前の9月までに済ませるようにしてください。
トラベラーズパームの植え替え
鉢植えの場合、根が鉢の底から飛び出したり、パンパンになってきたと感じたりしたら植え替えを行いましょう。大体1~2年ごとが植え替えのタイミングです。
成長期の5月~9月は避けて株に負担がかからない時期を選びましょう。
植え替えに必要なものは以下の通りです。
- 一回り大きな鉢
- 鉢底ネット、鉢底石
- 観葉植物用の土(自作する場合は中粒赤玉土:パーライト:腐葉土を5:3:2)
- スコップ、ハサミ、じょうろ
- 鉢の中に鉢底ネットと鉢底石、土を3㎝入れて置きましょう。
- トラベラーズパームを鉢の中から引き抜き、土をふるい落とします。
- 古い根、枯れているような状態の良くない根は切り取ってしまいましょう。
- 新しい鉢の中に真っ直ぐになるようにトラベラーズパームを入れて、鉢の上から3~4㎝ほどの高さまで土をかぶせます。
- 状態が安定したら土全体に水が行き渡るように、水やりをおこなってください。
トラベラーズパームの水やり
生長期(5~9月)
この時期は、生長に伴って充分な水分が必要です。
土の表面が乾燥したのを確認できたら、鉢底から水があふれ出すくらいにたっぷりと水分を与えましょう。
その際、受け皿にたまった水は根腐れを防止するために必ず捨ててください。
生長期以外(10~4月)
表面の土が乾燥してもすぐに水やりは行わず、2~3日経過してから行います。
この時期は、乾燥気味に管理するのがポイントです。
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季節に関わらず葉水を行う
葉水とは、読んで字のごとく葉に水を吹きかける水やりの方法です。葉以外にも幹や茎にも同時に霧吹きで水分を与えます。
トラベラーズパームは熱帯地域や亜熱帯地域に多く存在している植物なので、全体に水を吹きかけることによって現地と似た環境を与えてあげましょう。
葉水をすることによって植物の温度調節・病害虫の予防・葉を元気するなどの効果があります。季節に関わらず、葉水はなるべく毎日与えましょう。
トラベラーズパームの肥料
肥料が必要になる時期は、生長期の5月~9月。月に1回緩効性化成肥料を置き肥しましょう。
置き肥は「おきひ」または「おきごえ」と読みます。土の上に肥料を置く肥料の与え方を言い、土の中に肥料を入れることではありません。
水を与えると肥料が少しずつ溶け出すことで、ゆっくりと時間をかけて植物に栄養を与えることができます。
トラベラーズパームに発生しやすい害虫
トラベラーズパームがかかりやすい害虫に、ハダニやカイガラムシがあります。
ハダニは小さく繁殖スピードも早いので、初期段階から農薬を使用したほうが良いでしょう。あまりに増えてしまった場合は、被害を受けた葉を除去してハダニの増殖を抑えるように努めましょう。
カイガラムシを発見した時は、歯ブラシやヘラなどを利用してこそげ落としてしまいましょう。かなり堅い殻に覆われている種類のカイガラムシも存在しますので、薬剤を使用しての駆除が難しい場合もあります。
トラベラーズパームの増やしかた
トラベラーズパームは株分けで増やすことが可能です。用意するものは、植え替えで既述したものと同様ですが、鉢の大きさは使っている鉢と同じ大きさでも構いません。
鉢からトラベラーズパームを抜き、土をふるい落とし、古い根や枯れている根をハサミで切断します。株を簡単に分けられそうな時は手を使って構いません。分けるのが難しそうな場合は、根をほぐしながら株を分けられそうな状態に近づけていきます。
株分けの貯ために無理矢理分けると植物が枯れてしまう原因になるので、あまり無理はしないことが重要です。上手に株が分かれた場合は、鉢底ネットと鉢底石、土が入った新しい鉢に根が広がるようにして新たに植えつけをおこなってください。
株分けが終了したら2~3日の間は日陰で管理し、土の中で根が安定したのを確認してから少しずつ日光を当てるようにしていきましょう。
トラベラーズパームの季節ごとの管理
生長期(5月~9月)
生長期のトラベラーズパームは日光によく当てることが重要です。鉢植えで育てている場合は、なるべく屋外に出して管理します。
生長期の初めの頃は、すぐに直射日光に当てず、徐々に日光に慣れるように程良く日の当たる日陰からスタートしましょう。
生長期以外(10月~4月)
トラベラーズパームは耐寒性が低いです。
日照不足を避けるために明るい窓際などで管理しましょう。
おわりに
トラベラーズパームは日本国内で見ることがあまりありませんが、種や苗が手に入れば、室内で充分に育てることができる観葉植物です。
生長するに従って左右に伸びていきますので、ある程度のスペースが必要です。葉が大きいので空中に沢山の水分を放出することで加湿器の役割も果たします。
ぜひトラベラーズパームを育てて、南国気分を味わってみてくださいね。