何気なく歩いている道路や公園などで、小さい黄色い花を咲かせた雑草を見かけたことはありませんか?もしかしたらそれは「スベリヒユ」という植物かもしれません。
一般的にスベリヒユは日本では雑草のカテゴリーに分類されており、ちょっとした厄介者として扱われる側面を持ち合わせています。
でも実は、スベリヒユにはカリウム・鉄分・ビタミンA・ビタミンCなどが豊富に含まれているので、料理やスベリヒユ酒、お茶の他にも、皮膚病や虫刺されの薬などにも活用されています。
今回は、そんなスベリヒユの育て方についてご紹介します。また、挿し芽で簡単に増やす事もできます。
Contents
スベリヒユの育成条件と栽培時期
日当たり:日なた
用途:地植え・鉢植え
土壌酸度:6.0~6.5pH
発芽適温:15~22℃
育成適温:15~25℃
株間:20㎝
スベリヒユの特徴
夏場の乾燥した気候でも、地面を這って繁殖を続けるスベリヒユ。日本ではやっかいな雑草として扱われていますが、欧米ではハーブとして使われています。
赤紫色の多肉質の茎で、6月~9月の間には小さくて黄色いかわいらしい花を咲かせます。スベリヒユの花の特徴は、午前中の日光が当たっている数時間だけ開くことです。
また、1日に1回しか咲かない【1日花】でもあり、咲いている時間も短いですが、開花後は結実し種になります。
耐寒性が無いことから冬場になるとすっかり枯れてしましますが、再び春が到来するとこぼれ種から再び芽を出して成長をしはじめます。
スベリヒユの種まき
スベリヒユの種を撒く適期は4月下旬から6月の上旬頃です。気温が20℃以上で発芽しやすくなるので、お住まいの地域の気候に合わせて種蒔きを行ってください。
地植え、鉢植え共に栽培することが可能ですが、種蒔きの段階ではまず育苗トレイに種を撒くことから始めましょう。
- 育苗ポットに土を入れる
- ポットの1区画に対して種を1つ入れ、約1㎝土をかける
- 霧吹きで土を充分に湿らせてカバーをかぶせる
育苗ポットにかぶせるカバーが無い時は、新聞紙やビニールなどを使用してください。発芽するまで土が乾燥しないように管理しましょう。
スベリヒユの土作り
日本では雑草としての認識も高いスベリヒユですが、繁殖力が旺盛なことから、特に土にはこだわる必要はありません。
あえて言うならば。土壌酸度は6.0~6.5pHのほぼ中性が適しています。
スベリヒユの植え替え
育苗ポットで種蒔きをしたスベリヒユの本葉が4~6枚になったら、地面や鉢に植え替えを行います。
地植えの場合の株間は20㎝です。成長するにしたがって横に伸びていくので、ある程度の距離が必要です。
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スベリヒユの水やり
鉢植えで育てている場合は、表面の土が乾燥しきってから充分に水やりを行うようにしましょう。
地植えの場合は、特に必要ありません。
スベリヒユの肥料
【ハイポネックス・活力液 ハイポネックス原液 450ml A】
ポットから植え替えをする時に、緩効性化成肥料か牛糞を土に混ぜます。
地植えの場合はそれ以降、肥料を与える必要はありません。鉢植えの場合は、花が咲いてから月に1回液体肥料を施しましょう。
スベリヒユの増やし方【挿し芽】
スベリヒユを増やす時は【挿し芽】を行います。茎の先端5~15㎝をカットして水はけの良い土に挿しましょう。土が乾燥しないように管理を続ければ半月から1ヶ月程度で発根します。発根したら植え替えの時と同様に地面や鉢に移動させましょう。
挿し芽の方法をご紹介しましたが、スベリヒユは強害雑草とも呼ばれるほど繁殖力の強い植物です。地植えの場合は、特に何もしなくても地面を這いながら、どんどん増えていきますので、上記の増やし方は鉢植えで栽培する場合と考えてよいでしょう。
また、スベリヒユは6月~9月が開花時期になります。黄色の小さい花が特徴ですが、その小花に種子を付けます。
一果の中に入っている種の数は、50~70個もあるのでそこから種を取り出して、種蒔きから栽培をしてもスベリヒユを増やすことができます。
スベリヒユの収穫
種蒔きをして順調にスベリヒユが成長すると、1ヶ月から1ヶ月半くらいで収穫時期が到来します。
収穫する時のポイントは、根を残して茎の途中をカットすること。根を残せばまた伸びてくるので、何度でも収穫することが可能になります。
収穫の目的は食用となりますが、衛生面において道端や道路に生えているスベリヒユは、車の排気ガスなどのほこりやゴミなどで汚染されていると考えられますので避けるようにしましょう。
もちろん収穫しなくても、花を観賞して楽しむだけでもよいでしょう。
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スベリヒユの下処理方法
スベリヒユは地面に這うように成長します。収穫を終えたら、スベリヒユに付いている泥や土をしっかり水で落としましょう。
ボールに水をためてスベリヒユを水につけておくと、細かい塵やほこりを取ることができます。スベリヒユは少量であれば生でも食べることが可能です。ただし、結石の原因にもなるシュウ酸が含まれているので、基本的には熱湯で茹でるようにしてください。
茹で時間が長くなると、ヌメリが出てドロッとなりますので、サッと茹でるようにしましょう。茹で終わったら水の中ですすぎ、調理を行います。
スベリヒユの【効能】や【食べ方】については下記ページで詳しく説明しています。
ヌメリのある独特な食感が特徴とされるスベリヒユですが、山形県では「ひょう」という名前で山菜として店頭などで販売されています。
乾燥させて保存食にしたり、茹でたものを芥子醤油であえて食べたりする方法があります。
自分で栽培したスベリヒユは、サラダやおひたし、天ぷらやナムルなどで楽しむことができます。
スベリヒユの仲間:ハナスベリヒユ(ポーチュラカ)
形や色が良く似ていることから、スベリヒユから派生した子孫とも言われています。
主に花を楽しむ園芸用品種として出回っていますが、東北地方では食用として栽培している場所もあります。花の色によって茎の色が違う特徴を持っています。
スベリヒユが増えすぎてしまったら
スベリヒユを地面に植えて、考えていた以上に広がってしまったら、取り除くようにしましょう。除草剤を使うのも一つの方法ですが、ペットや子どもがいる場合は避けた方がよさそうです。一番安全な方法は、花が咲く前に手で根から引き抜く方法です。
乾燥にとても強いので、引き抜いたスベリヒユを地面にそのまま放置しておいても生き続け種が地面に落ちるので、引き抜いたスベリヒユは、しっかりと処分するように心がけてください。
また、草削器を使って土の表面を削り、スベリヒユを土の中に埋めてしまえば手で引き抜くよりも早く楽に除草することができます。土の中に埋めてしまえばスベリヒユに光が当たらないので、繁殖を続けることができなくなります。
おわりに
スベリヒユはとても繁殖力の強い植物です。そのため農作物を作る人達の中には、スベリヒユの生命力に頭を悩ませている人も多くみられます。
日本のどの地域でも栽培することが可能なこと、水やりや肥料などに特に手間を掛ける必要ないことなど、スベリヒユはガーデニングをするにあたって、とても楽に栽培することができます。
スベリヒユが増えすぎないようにだけ注意をして、食用や観賞用で楽しむのも良いのではないでしょうか。
食用としては認知度がまだ低いようですが、収穫したスベリヒユの活用方法は沢山ありますので、一度チャレンジしてみることをおすすめします。