水溶性食物繊維やビタミンE、カロテンなどが豊富に含まれているプルーン。コレステロールや血糖値の上昇の抑制、抗酸化作用など成人病予防の効果が期待され、観葉植物としても楽しむことができる人気の果樹です。
原産地はヨーロッパ東部からアジア西部とされており、日本には明治初期頃に輸入されてきたと言われています。
今回は、生食やジャム、ピューレなど様々な用途で楽しめるプルーンの栽培方法についてご紹介します。
Contents
プルーンの栽培時期と育成条件
日当たり:日なた
用途:地植え・鉢植え
耐寒性:強 耐暑性:強
樹高:2m~
受粉樹:品種による
プルーンの植え方
プルーンは種または苗木から育てることができます。
種から植える場合
- プルーンの実から取り出した種を、水を含ませたキッチンペーパーに包み冷蔵へ入れる
- 数ヶ月経過して、実から根や芽が出てくるのを確認する
- ポットに用意した土を入れ、深さ1㎝くらいに種を埋めて水を充分にあたえる
- 半日陰になるような場所で、乾燥に注意して管理する
なお、種から植える場合は美味しいプルーンを栽培するのは難しいとされていますので、初心者にはあまりおすすめできません。
苗木から育てる
元気の良い芽が短い間隔でついているもの、幹のつやが良く太いものを選びましょう。
プルーンの栽培適地・植え付け
植え付けの適期は11月~3月。プルーンは鉢植えでも地植えでも育てることが可能な果樹です。
日当たりを好むので、日光がよく当たり、風が通り水はけのよい場所を選びましょう。
鉢植えの場合
・1株につき7~8号の鉢を1つ用意しましょう。
・苗の樹高は、鉢の約3倍の高さで切り戻します。
地植えの場合
・1株につき、深さ30~50㎝、幅50~100㎝の穴を掘ります。
・苗木を50~60㎝切り戻し、植えるようにしましょう。
いずれの場合も、植え付けが完了したら水をたっぷりと与えます。
プルーンの土作り
基本的には土をあまり選びませんが、保水性と水はけの良い土を好みます。
鉢植えであれば、小粒の赤玉土と腐葉土を7~8:3~2の割合の配合土がおすすめです。
地植えの場合は、掘り上げた土に堆肥や腐葉土を3割くらい足して混ぜたものを、埋め戻します。
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プルーンの水やり
鉢植えの場合
土の表面が乾燥して白くなってきたのを確認したら、鉢の底から水が出てくるくらい充分に水を与えます。
夏場は1~2日、冬場は1週間から10日、春と秋は3~5日に1回が目安です。プルーンは乾燥に強い果樹であり、土の状態が湿っていると根腐れを起こす原因にもなるので、少し乾燥気味に栽培をする位が丁度良いでしょう。
お皿に貯まった水を捨てることも忘れないようにしましょう。
地植えの場合
特に水やりの必要はありません。
夏に日照りが続くようであれば、水やりをする程度で充分です。
プルーンの肥料
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鉢植えの場合は、2月・5月・10月の3回、地植えの場合は2月と10月の2回肥料を施します。
どちらの場合も、速効性肥料か有機質肥料を与えます。肥料を施すことにより、質の良い美味しいプルーンの実がなります。
プルーンの栽培管理
人工授粉
プルーンは品種によって、自家結実性と自家不結実性のものがあります。自家結実性の品種であっても、良い実を収穫するためには人工授粉を行うようにしましょう。
プルーンの花の開花時期は4月頃です。花が咲き出したら、雄しべの花粉を綿棒や筆先に付けて、雌しべにつけてあげましょう。
自家不結実性の品種であれば、異なる品種の花粉で人工受粉を行います。
植え替え
鉢植えで育てている場合には、植え替えが必要です。一般的には、2~3年に1回の割合で11月~3月の間に行います。
植え替えをすることにより。根の通気が良くなり根詰まりを防ぐことができます。
プルーンが成長して、樹高がどんどん伸びて鉢とのバランスがとれない時は、地植えに移行するのも一つの方法です。
摘果
4月に花が咲いた後、5~6月くらいになるとプルーンの実がなりだします。プルーンの摘果は2回です。
1回目は花が満開になった時点から1ヶ月後、2回目は1回目の摘果の1ヶ月後です。育成不良なものや、病害虫にかかっているもの、上を向いている実は取り除きましょう。枝10㎝に2~4個の実を残すようにしてください。
摘果を行うことにより、残った果実に充分な栄養が行き渡り、質の良い美味しいプルーンの収穫ができます。
剪定
摘果と同じくプルーンの剪定は2回行います。
冬の剪定
12月~2月下旬、来年に向けて沢山実を付けるために、長く伸びた発育枝を間引き、30㎝くらいに切り詰めます。
発育枝とは、一年生枝で花芽がなく、果実を付けることがない枝です。主幹や主枝から発生して伸びた枝を指します。
夏の剪定
適期は6月。翌年の実つきを良くすること、木をコンパクトに仕上げることを目的に行います。
その年に伸びた枝の先を3分の1切り返しましょう。
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プルーンに発生しやすい害虫と害虫病
プルーンは病害虫が発生しやすい果樹です。
その代表的なものは次の通りです。
灰星病
6月~8月の気温と湿度の多い時期に発生します。原因はカビによるもので、一度発生すると越冬して翌年も再発します。
葉、枝、果実が対象で、初期症状は葉に不規則は灰白色の斑点が現れることです。病気を放置しておくと、枝や葉の奇形を招き、果実がミイラ状になります。
土の水はけを良くすること、病害虫にかかった部分はすぐに取り除くこと、害虫が菌を運ぶことがあるので害虫対策をおこなうことが予防になります。
胴枯病
幹や枝に被害が及ぶ病気です。病気になると黒褐色や赤色に変化し、くぼみができて、表面がザラザラします。過度の剪定や水はけが悪いことなどが原因です。
また、暑さや寒さにより樹皮が裂けることによりできた傷口や、害虫の食害した場所などから菌が侵入して被害が拡大することもあります。
チョッキリゾウムシ
九州以北に分布している害虫なので、場所によって発生する場合があります。越冬した成虫が3月下旬ころから活動を始め、若葉や新芽を食害し、孔を開けたり果梗を嚙んだりすることで、幼果が落下します。
成虫を見つけたら捕殺すること、落花した幼果は焼却するなど、早く処分することが大切です。ネオニコチノイド剤や有機リン剤で成虫を駆除する方法もあります。
プルーンには、他にもアブラムシ類、コシカスバ、カイガラムシ類、シンクイムシなどの発生の可能性がありますので、注意が必要です。
プルーンの収穫時期と収穫方法
収穫適期は8月~9月初旬。果実を手で触り実が柔らかくなっていたら収穫しましょう。
というのも、プルーンは実が熟する前に皮の色が黒紫色になってしまうことから、目視では見極めが難しいとされています。ある程度の大きさになったら触ってみて、ベストな時期を判断しましょう。早い時期の実は酸味が強いので、注意が必要です。
また、収穫間際の時期に実が雨に当たると、果皮は破けてしまうことがあります。鉢植えの場合は、雨が当たらないような場所に移動させるか、袋掛けをするようにして実を守りましょう。可能であれば、雨が降る前に収穫してしまいましょう。
おわりに
プルーンの植え付けから収穫に至るまでをご紹介しました。
プルーンの育て方のポイントは下記の通りです。
- 育てる品種が、自家結実性か自家不結実性なのかをきちんと把握する
- 水はけがとにかく大事。鉢植えは乾燥してから水をあたえる
- 摘果、剪定は年に2回
- 収穫は目視だけで判断せずに、触ってみて実の柔らかさを確認する
プルーンの栽培方法は、果樹栽培の基本に加え、ちょっとした手間がかかることから、ガーデニング中級者向けの果樹とされています。
しかし、初心者であっても自家結実性の高い品種を選び、ポイントをしっかりおさえれば美味しい実を収穫することができます。
必ず2本以上の苗木を、植え付けの準備の際に忘れずに用意してくださいね。