春に植える野菜

ニラの種まき〜収穫までの育て方!黄ニラの栽培方法や病気・害虫の対策も!

ニラの種まき〜収穫までの育て方!黄ニラの栽培方法や病気・害虫の対策も!

ニラは中華料理の定番野菜です。

レバニラや餃子、ニラもやしなど濃い味付けに負けない独特の匂いを持っており、食欲を増進させます

今回は、そんなニラの種まき〜収穫までの育て方・黄ニラの栽培方法と病気や害虫の対策についてお話ししていきたいと思います。

ニラってどんな野菜?

ニラってどんな野菜?

ニラの独特の匂いのもとは、硫化アリルという物質です。硫化アリルは、胃や腸の粘膜を刺激し消化液の分泌を促すなど、内臓の働きを活発化させ、ビタミンB1の吸収を助けます。

ビタミンB1が不足すると糖質をエネルギーに変える機能がうまく働かなくなり、食欲不振や慢性的な疲労感など夏バテのような症状に陥ります。豚肉などビタミンB1が豊富な食材にはニラを合せて、摂取するとよいでしょう。

またビタミンAの効力も非常に高いのが特徴です。ビタミンAは皮膚や粘膜の生成に役立ち、細菌やウィルスに対する抵抗性を高めます。夏場の疲れ、また冬場の風邪予防として、畑に常備しておきたい野菜ですね。

ニラの品種

パワフルグリーンベルト


【ニラ 種 『グリーンロード』 20ml サカタのタネ】

  • 4月~9月収穫の夏どり専用品種のニラです。
  • 草勢旺盛で、草姿は立性です。葉色は特に濃い緑色で、葉肉に厚みがあります。
  • 関東平坦地では6月中旬にとう立ちが見られますが、期間が短いため、続けて8月まで収穫できます。
  • 春先に発生する「株腐細菌病」の発生が少ないという利点もあります。

ワンダーグリーンベルト


にら 種 【 ワンダーグリーンベルト 】

  • 低温でもよく育つ、超幅広のニラです。
  • 1回目収穫時の葉幅は1.3〜1.5cmにもなり、3回目においても0.9〜1.0cmと幅広です。
  • 葉鞘部が長く、草姿が立性です。
  • 葉肉もやや薄く、葉色はやや淡色です。
  • 7月ごろにとう立ちが見られ、雨避けをすれば4月~9月も栽培可能です。

タフボーイ

【八江農芸 ニラ タフボーイ 8ml】

  • 耐寒性があり冬期の休眠がなく、加えて耐暑性がある品種です。
  • 再生力が強いので収穫のサイクルを短縮できるため、収量性が高いです。
  • 葉質は厚肉でやわらかく、葉の色はやや光沢のある緑色です。
  • 8月にとう立ちが始まります。「とう」が太く花ニラとしての使用も可能です。

ニラの基本の作型

ニラの基本の作型

ニラはユリ科の多年草本です。日本では9世紀ごろから栽培されてきました。生長が早く、春の気温上昇に伴い、分けつしながら秋までぐんぐん成長します。(分けつ:根に近い茎の関節から、側枝が発生すること)

一度植えれば2~3年収穫でき、分けつした株を株分けすることで増やせます。長く収穫する場合は、1年目の収穫を控え、株を大きく育てましょう。

作型によっては、年5回以上の収穫が可能です。数株菜園に植えておけば、ほぼ通年たのしむことができ、葉野菜が収穫できない時期にも、台所の強い味方になります。ニラの葉を少量ずつ刈り取る場合はもっと収穫回数を増やせます。生育の勢いを見ながら調整しましょう。

下記は一般的な作型です。種の袋に記載されている栽培暦を確認してから種を購入しましょう。

  • 種まき:3月半ば~4月上旬
  • 定植:6月後半から7月上旬
  • 収穫:翌年5月半ば~10月末(全刈りで4~5回)
  • 収穫:翌々年5月半ば~10月末(全刈りで4~5回)

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ニラの栽培管理

ニラの栽培管理

土づくりと畝

まず畑に苗床を作ります。のちの定植用畝も同じ要領で土づくりを行います。ニラは土壌適応性が広く、あまり土質を選びませんが、酸性土壌では生育が悪くなり枯葉が目立つようになります。

種まきの2週間以上前に苦土石灰を散布しよく耕しましょう。苦土石灰の目安量は150g/㎡です。つぎに堆肥を3㎏/㎡ほど施して耕します。生育期間が長いので、肥料は緩効性のものを使用しましょう。畝の形は幅60~70cmの幅広にします。

種まき・畑で育苗

板や棒を幅広の畝に対して垂直に押し付け、1センチほどの植え溝を作ります。溝の間隔は15センチほど開けましょう。5ミリほど覆土し、上からしっかり押さえて、種と土を圧着させます。

ニラの種は皮が硬く、吸水しにくい特徴があります。発芽まで乾燥に注意しましょう。ニラの生育適温は20℃前後のため、低温期に種まきする場合は、畝をマルチで覆ったり、ビニールトンネルをかけて保温します。

発芽後は本葉2枚のころに、2センチ間隔になるよう間引きます。追肥は薄めた液肥を使用し、種まき30日後と60日後を目安に与えます。ニラの株が大量に必要でなければ、苗を買うのもよいでしょう。

定植

分けつが2つ以上でき、本葉が4~5枚、草丈が25センチ近くになったら定植適期です。
水はけの悪い土壌では、定植用の畝を高くし、排水性を改善します。苗の植穴は深さ5センチとし、二条植えで条間は30センチ、植穴の間隔は15センチ~20センチを目安にしましょう。

ニラはひとつの植穴に対し、4~6本で、苗同士が触れないよう、少し離して植え付けます。土を被せる際には、球根部が隠れる程度の深さにし、葉茎の分かれ目が埋もれないように注意しましょう。

害虫

ネダニ

ネダニ

土に埋もれた茎部に寄生するダニです。初期症状では外葉が茶色くなりへなへなと枯れます。葉の幅も狭くなり、生長が遅くなります。露地栽培では春から初夏にかけてと、秋に増える害虫です。

有効な農薬もありますが、50℃の温水をかん注することで、防除できるという報告例があります。

タネバエ

タネバエ

幼虫は乳白色のウジ虫で、6㎜ほどの大きさになります。土壌中に生息するタネバエ幼虫が吸水し膨らんだ種子に侵入し、中身を食害します。

被害を受けた種子は腐敗し、発芽することはありません。早春の低温期に播種する発芽に日数を要するため、加害が多発します。

また未熟な堆肥や鶏ふん等の臭いの濃い有機質肥料は成虫を引き寄せるので播種前には使用を控えましょう。

ネギコガ

ネギコガ

ネギ属の植物だけを加害します。蛾がタマゴを産み付け、幼虫が葉の内側から食害し、初期には表皮に白い斑点や蛇行したような白線が現れます。

幼虫の成長とともに、葉のところどころに穴が空き、食害が激しい部分では白化して枯れます。

冬は株分けを

ニラの株が密生状態になると、幅が広く厚みのある葉が育たなくなります。そこで地上部が枯れ、根株が休眠状態になる冬場に株分けを行います。

この時期は根に栄養分が蓄えられており、根が多少切れても、その後の生育にあまり影響が出ません。

地上部に残っている葉は5センチ程度を残してハサミで切りとります。その後掘り起こし、2~3本ずつに分割し、定植します。

収穫の目安

春にまいて、秋に収穫を計画した場合、ニラの葉は老化しています。やわらかい葉を収穫したい場合は、予定日の20日前に地上部を2~3センチ残して刈り取ります。これを捨て刈りといいます。

やわらかい葉を収穫した後は、また20日後に同じように収穫することができます。株が弱らないよう、葉の様子を観察し、適宜追肥を行いましょう。

黄ニラを栽培する方法


【黄ニラ】

軟白化させたニラのことを黄ニラと呼びます。通常のニラと同じように1年ほど養成し、その後、黒またはシルバーのビニールを使ってトンネルを作り、日光を当てずニラを栽培することで軟白化させます。

通常の葉ニラと比較し、β-カロテンの含有量は低下しますが、ミネラルと他のビタミン類は豊富に含まれています。

また軟白化によって臭みが減ってやわらかさと甘みが増します。中華料理では高級食材として注目されているほか、刻んでスープの実にしたり、サラダに合えたりとバリエーションが広がります。

おわりに

今回はニラの栽培についてお話しました。葉を食べることを前提にした品種をご紹介しましたが、ニラにも、若いつぼみのついたやわらかい『とう』を食べる品種があります。

葉を食べる品種に比べ匂いはやや弱めで、中華風炒めやバター焼きに色どりを添えるほか、おひたしにしてあっさりと食べることもできます。

通常のニラではとう立ちを減らすよう品種改良されていますので、ぜひ、専用品種をお試しいただければと思います。



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