食物繊維やミネラル、ビタミンが豊富な空芯菜は、熱帯アジアを原産とする中国野菜です。
暑さや直射日光に強く、葉もの野菜が少なくなる夏の時期に収穫できる、貴重で便利な存在です。病害虫の心配もほとんど無く、水やりと肥料をきちんと行うことでどんどん収穫できるので、ガーデニング初心者にとっても育てやすい野菜の一つといえるでしょう。
今回は、ホウレンソウよりも栄養価の高い空芯菜の栽培についてお話したいと思います。
Contents
空芯菜の栽培時期と育成条件
- 日当たり:日なた
- 生育適温:25~38℃
- 用途:地植え・プランター
- 土壌酸度:6.0~7.0pH
- 連作障害:あまり出ない
空芯菜に適した栽培環境
空芯菜は日当たりと風通しの良い場所を好みます。
育成適温が25~38℃と高いのが特徴ですが、しっかり気温が上昇してから種を植えることで、日本全国で栽培することが可能です。
原産地では多年草ですが、日本の冬は寒く10℃以下になると枯れてしまうことから、国内では一年草として扱われています。
空芯菜の品種と種
空芯菜には様々な別名があります。和名の「ヨウサイ」、「アサガオナ」、中国名を語源とする「エンサイ」、昔から栽培されていた沖縄での「ウンチェーバー」、「ウンチェー」など。
「空芯菜」の名前は特許庁で商標登録がされているため、市販されている種には別名が使われていますので、購入する時は注意しましょう。
空芯菜には品種が存在せず、大葉種と小葉種に分かれているのが特徴です。
空芯菜の土作り
空芯菜は地植えやプランターで栽培が可能な野菜です。
連作障害はあまり出ることがありませんが、可能であれば1年以上は土地を休ませるのが理想的です。
プランター栽培の場合
土は野菜用培養土を利用するとよいでしょう。
地植えの場合
空芯菜を栽培する際の土壌酸度は、6.0~7.0pH。
肥料を好むので、しっかり元肥と堆肥を入れておくのがポイントです。
・種を撒く2週間前に苦土石灰を入れ、よく土を耕す
・1週間前に化成肥料と堆肥を施し、さらに耕す
・畝と作り、黒マルチを張る
黒マルチを張ることで、土の温度上昇、保湿、雑草予防などの効果が期待できます。
空芯菜の株間は約30~50㎝確保するようにしてください。
空芯菜の種蒔き
寒さに弱く、高温多湿を好む空芯菜の種蒔きは、充分に気温が上昇してから行いましょう。
地域にもよりますが、5月から7.8月が種蒔きの適期です。
種は殻が固いので、植える前に一晩水につけておくと発芽しやすくなります。
ポット蒔きの場合
1ヵ所につき3~4粒種を植えましょう。穴の深さは指の第一関節くらいです。1~2枚本葉が出たあたりで、間引きを行い1本にしましょう。
発芽するまでの間、土を乾燥させないように水を与えてください。また、暖かい環境が必要ですので小さな温室などの環境に置いてあげるとベストです。
畑やプランターに直接撒く場合
直播きする時は、スジ蒔きが基本です。黒マルチを株間約30~50㎝間隔でまき溝をつけましょう。
1ヵ所に種を3粒ずつ入れて、土は軽く被せる程度にし、充分な水やりを行います。本葉が4~5枚になる頃に、1本立ちに仕上げましょう。
空芯菜の植えつけ
ポットに種を撒いた空芯菜の本葉が4~5枚出てきたら、植えつけ作業に移りましょう。既述の通り、株間は約30~50㎝。
植えつけ後に充分に水やりを行うか、植えつけ前にポットごと水に浸しておくようにしてください。
土造りの段階でマルチを設置しなかった場合は、この段階で敷き藁を敷くと土の保湿や保温ができます。
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空芯菜の栽培管理
空芯菜の水やり
空芯菜は多湿を好む特徴があります。
畑が乾燥しているようであればたっぷり水を与えましょう。
摘心
摘心とは芽先を摘み取ることを指し、空芯菜の場合は収穫も兼ねることができます。摘心をすることによって、側枝の生長を促すことができるので収穫量の増大につながります。
摘心は、空芯菜の草の背丈が30~40㎝になったあたりでおこないます。品種によって異なりますが、株元から3~5節目を残すのがポイントです。
追肥
追肥のタイミングは摘心をした後です。2~3週間に1度の割合で化成肥料を株元に適量施します。
追肥の量を多く与えてしまうと、アブラムシの発生につながるので注意しましょう。空芯菜は肥料を好み、生長する期間が長いことから、必ず定期的に追肥することを忘れないようにしましょう。
空芯菜の花
空芯菜の花が咲くのは9~10月。「アサガオナ」の別名もあることから、アサガオに似たラッパ形の白、または淡い紫色の花を咲かせます。
花が咲く頃の空芯菜の茎や葉は固くなっていますので、花が咲いたら収穫時期は終了と考えてよいでしょう。花が散った後には、小さな実が出てきます。
実を放置しておくと種ができるので、そのまま乾燥させて中にある種を取り出すと、翌年の栽培に利用することができます。取り出した種は、温度、湿度の低い環境でビンなどに入れて保管しておきましょう。
空芯菜の収穫
摘心のところでもお話しましたが、最初の収穫は摘心を行った時。収穫時期は最初の摘心から秋までが目安です。摘心後は、脇から次々と芽が出てくるので、そのわき芽が20~30㎝まで伸びたら1~2節目(下の葉を2~3枚)を残してどんどん収穫していきましょう。
収穫せずに放置しておくと、茎が固くなるのでよく様子を観察しながら順次摘み取りをおこないます。こまめな収穫をすることで、空芯菜の枝が良く生長し、さらに収穫量を増やすことにつながります。
収穫方法には、このわき芽を次々摘み取る方法以外にも、30㎝くらいの草丈になったら株ごと切り取る方法もあります。
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空芯菜に発生しやすい病害虫
空芯菜は病気にかかりにくい野菜です。病気に関してはそれ程心配する必要はありません。
害虫に関しては、肥料のやり過ぎや風通しの悪い環境でアブラムシ、乾燥と高温によるハダニの発生が考えられます。
空芯菜に適切な環境と水やりを行うことで、これらの害虫を予防していきましょう。
空芯菜の増やし方
一般的に空芯菜は種で増やすのが基本でが、種以外にも挿し木で増やすことも可能です。
スーパーなど市販されているもの、または自分で収穫した新鮮な空芯菜をバケツなどの容器に水をはったものにつけましょう。置き場所は、なるべく日陰で直射日光の当たらない場所を選びます。
次第に根が出始め半月ほどで発根しますので、ポットで栽培した時と同様の方法で定植作業に移りましょう。
空芯菜の活用方法
収穫した空芯菜は主に、炒め物、おひたしなどで食べることができます。
茎が空洞になっていることから、シャキシャキとした食感が味わえることからサラダなど生で食べることもできます。
しかし、まれに病原菌が付着していることがあるので、しっかりと水洗いしてから口に入れるようにしましょう。
おわりに
空芯菜を栽培する時のポイントは以下の通りです。
- 充分に気温が上昇してから種の植えつけを行う
- 摘心、水やりと定期的な追肥を怠らない
- 収穫はわき芽が出てきたら茎が固くならないうちに早めに摘み取る
どんどんわき芽が出てくることで、花が咲く頃まで長期間収穫できることから、空芯菜の色々な料理を楽しむことができます。
栄養価も抜群に高く、夏に獲れる貴重な葉もの野菜ですので、栽培にチャレンジして暑い夏を乗り切りましょう。