カタクリはユリ科の植物で、ユリやチューリップなどと同じく球根で育てます。都心近郊の山あいにも自生していることが多く、薄紅色の花色が美しく反り返った花弁が特徴でもあります。
日本独自の植物かと思いがちですが、意外にも最も多く自生しているのは北米であり、その種類も15種類と多く、花色や花びらの数も種類によって異なっています。
Contents
カタクリの管理方法
日本ではおよそ3カ月程度しか咲きませんが、この期間中は乾燥などに十分注意が必要です。
カタクリの栽培環境
夏場は温度変化の影響が少なくてすむよう、室内で育てるか気温が低めの日陰に置いて育てます。
カタクリを鉢植えにする場合は、気温が低くなる秋から春にかけては、日当たりの良い場所で育ててあげましょう。
また、カタクリは晩春から初夏にかけて徐々に葉が黄色く変色してきますので、光が差し込む日陰に移して育ててください。
植え付け時期
カタクリの球根は、7月から10月の休眠中に植え付けを行います。
この時期を逃すと球根が乾燥しやすくなるため、根が育ちにくくなり、つぼみのまま花が咲かないことがあります。
植え付け場所
カタクリは、水はけが良く日当たりもよい場所を好みます。特に発芽してから花が咲くまでの期間は日当たりが良い場所に置いて育ててあげましょう。
ただし、西日の当らない場所や、落葉樹の下など、直接強い日差しが当たらない場所を選んでください。
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植え替え
植え替えは葉が枯れて休眠時期に入ってから行います。
カタクリは秋から活動をし始めますので、植え替えを行うのは夏から初秋にかけて行うのが最も適しています。
地植えにする場合
カタクリの球根を植え付けるときは、まず始めに40cmから50cm程度の深さに土を耕し、軟らかくしておくと根が張りやすくなります。土に球根を並べたら、5cm程度の厚さになるよう上から土をかぶせましょう。
雨が降った後は土が硬くなってしまいますので、根の成長を妨げないよう、土の上からさらに落ち葉や藁をかぶせておきます。落ち葉や藁をかぶせておくことで、乾燥対策にもなります。
鉢植えにする場合
カタクリを鉢で育てるときは、鉢の大きさに注意しましょう。鉢のサイズが小さすぎると、土が乾きやすくなってしまいます。また、カタクリは根を成長させながら育ちますので、すぐに鉢の中が根でいっぱいになってしまいますので、2年以上植え替えをせずにいると、すぐに根詰まりを起こして花が咲かなくなってしまいますので注意しましょう。
鉢の大きさは直径が20cmから24cm程の深さがある、7号から8号サイズの大きめのものを選びましょう。
球根は一つの鉢につき3個から4個程度、土の上に置いたら2cmから3cmの厚さになるよう、上から土をかぶせます。
用土
カタクリは乾燥を嫌いますが、腐りやすいという特徴もあり、水はけのよい土を好みますので、腐葉土など有機物入りの土が適しています。
鉢植えで育てるときは、赤球土4に対し軽石4、腐葉土2の割合で混ぜ合せておくと良いでしょう。
または、水はけを良くするために軽石の代わりに川砂、または荒砂を用いてもかまいません。そのほか、腐葉土にヤシ殻のチップを混ぜ合わせる方法もあります。
肥料
カタクリは生育時期がほかの植物に比べて非常に短いため、肥料はそれほど必要ではありません。
カタクリは秋から春にかけて成長を続けますので、肥料を与えたいときは、9月から11月の間に有機肥料の代わりとして腐葉土、またはたい肥を全体の2割から3割ほど混ぜ合わせたものに緩効性の化成肥料を一つまみ程度与えておくと良いでしょう。
カタクリの水やり
カタクリの球根は、皮が薄く少なめですので、乾燥しやすい植物です。また、水を与えすぎると腐りやすくなってしまいます。そのためカタクリに水を与えるときは、土の状態をよく観察し、表面の土が乾いているようであればたっぷりと水を与えます。
ただし、花が咲いている間は花が傷まないよう直接花に水をかけないよう注意して下さい。花が付いている時は水が飛び散らないよう注意しながら根元にやさしく水をまいてください。心配なようであれば、鉢を二重にするか、鉢の底にあいている穴に紐を通して水を与えます。
休眠期間中は鉢の底に砂を敷くか、鉢ごと土に埋め込んで水やりをすると良いでしょう。地植えにする場合は、特に水やりの必要がありませんが、あまり雨が降らなかったり気温が高い日が続き乾燥しているようであればたっぷりと水を与えて下さい。
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植え替え方法
地植えにする場合はそのままにしておいてかまいません。ただし、ほかの植物と近い場所で育てている場合は、一度取り上げて分球し、植え直した方が良いでしょう。
カタクリは根を張らせて育ちますので、鉢植えにする場合は根が詰まってしまわないよう、2年から3年に一度は植え替えを行ってください。
植え替えする場合は、8月から10月上旬にかけての休眠時期に行います。一回り大きめの鉢を選び、球根一つ分ほどがしっかりと隠れる10cmほどの深さに埋め込みます。
増やし方
カタクリは種からも育てることができますが、開花までに 6年から8年程と時間がかかります。
夏の初めになると、徐々に果実が黄色っぽく変色してくるので、先端に割れ目が入ったら、その時点ですぐに種を取り出して下さい。
カタクリの種は乾燥に弱いので保存はせず、種を取り出したらなるべく早く土に蒔きましょう。順調に育つと、翌年の春には細長い形状の葉が出てきます。
育ち始めは、他の雑草と区別がつきにくいので、地植えにする場合は間違えて抜いてしまわないよう目印をつけておくと良いでしょう。
鉢、またはお庭に植えかえたいときは、3年程度経過して球根がしっかりと育つまで待ちましょう。鉢植えにして育てる場合は、培養土7に対して腐葉土3の割合で混ぜ合せた土を用います。地植えと同じく根が傷つかないようにするために、緩効性の化成肥料を用いると良いでしょう。
花の成長が進まず、花つきが悪い時は、2カ月から3カ月に一度のペースで肥料を与え続けてください。
液体肥料を用いるときは、1週間から2週間に一度が適当です。種をとらないのであれば、花が咲き終わった後はすぐに摘み取ってください。
分球する方法
カタクリは数年ほど経過すると球根が増えてきます。上手に育てられれば親株として育てていたものに子株がつきますので、それを土から掘り起こし、親株から切り離して植えることで増やすことができます。
株を分けて増やす時は8月から10月の植え替えと同じ時期に行ってください。
カタクリの発芽した後の管理方法について
カタクリは、3月ごろに1枚目の本葉が開きます。そのあと気温が上がってくると間もなく2枚目の葉が開きます。本葉が開く時期は特に乾燥に注意が必要になりますので、乾燥に気をつけながらたっぷりと日光に充ててあげましょう。
特に鉢で育てる場合は土が乾燥すると育たなくなることがありますので注意が必要です。
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病害虫について
カタクリについては特に注意するべき買い中はいません。あえて取り上げるとすればさび病に注意が必要です。
さび病
さび病は、2月から3月に発生しやすく、葉に赤茶色の粉をまぶしたような模様が特徴です。
症状が進むと葉の形が変形して歪んだり、花が咲かなくなることがあります。さび病の症状が現れた葉は、早めにカットして感染の拡大を防ぐために焼却処分して下さい。
食べても美味しい見た目も可憐なカタクリを育てよう
いかがでしたか。今回はカタクリの育て方について紹介しました。
私たちの食卓に上ることも多いカタクリは、球根からとれるでんぷんのことで、てんぷらにするとカラッとした仕上がりになり大変美味ですよね。
しかし、カタクリはお料理だけではなく、昔から「春の花」としても親しまれてきた植物です。
乾燥に弱く、楽しめる期間もほんのわずかで手間もかかりますが、「春の妖精」ともよばれる可憐な花を、ぜひご自分の手で育てて楽しんでみてください。育成に成功したときは、ほかの植物では得られない達成感が味わえますよ。