スーパーなどの冷凍食品のコーナーで見かけるグリーンピース。日本国内で多く生産されているのは和歌山県と鹿児島県です。
中近東から中央アジアにかけてが原産地と言われており、時代を経て日本へ入ってきた野菜で、明治以降に様々な品種が登場しました。
グリーンピースはカリウムや食物繊維が豊富に含まれており、疲労回復や高血圧予防にも良いとされています。
今回は、グリーンピースの育て方をご紹介します。
Contents
グリーンピースの育成条件と栽培時期
- 日当たり:日なた
- 生育適温:15~20℃
- 土壌酸度:弱酸性~中性
- 耐寒性:強い
- 耐暑性:弱い
- 連作障害:あり(5年以上あける)
グリーンピースの栽培環境
秋に種をまいて春から初夏にかけて収穫を行うグリーンピースは耐寒性に強い野菜です。
平均気温が約10~20℃位、比較的涼しい気候の場所を好みます。
グリーンピースの種
グリーンピースは実エンドウとも言います。
エンドウを大きく分けると3種類。幼いサヤを食べる「キヌサヤエンドウ」、実とサヤの両方を食べる「スナップエンドウ」、未熟な状態のマメを食べる「グリーンピース」です。
グリーンピースは、一年生草本のツル性植物であることから、種から植えるのが一般的です。
グリーンピースの土作り
連作を嫌う代表ともいわれているグリーンピース。植える場所を選ぶ時は、マメ科の野菜を5年以上植えていない土地を使いましょう。
また酸性土壌を嫌うので、種を植える前の酸度調整は重要な作業になります。
- 種をまく約2週間前に苦土石灰(150~200g/m2)を施し、よく耕す
- 1週間前に化成肥料(50g/m2)堆肥(5㎏/m2)を施し、さらに耕す
株間は30㎝を確保し、畝は90㎝幅で作りましょう。
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グリーンピースの種まき
一般的にグリーンピースの種まきは10月中旬~11月上旬に行い、越冬した後4~6月にかけて収穫を行います。
ただし、雪が降るような東北地方や北海道などの種まきは3~5月に行い、8~9月にかけての収穫となります。
直播きの場合
缶や瓶などを利用して深さ約2㎝の穴を作り、1つの穴に対して3~4粒の種を撒きましょう。
軽く土をかぶせた後は充分に水やりをします。最後に寒冷紗をかぶせて、寒さや鳥から種を守りましょう。
ポット植えの場合
グリーンピースは植え痛みしやすいので、ポットは大きめのものを用意しましょう。
ポリポット(9㎝幅)1つに対し、種を3~4粒撒きます。直播きと同様に最後に水をたっぷり与え、本葉が2~3枚揃ったあたりで植えつけを行いましょう。ポットにネットをかけておくと、鳥に襲われることはありません。
グリーンピースの幼苗は寒さに強い特徴があります。秋植えの場合、種を早くまいて株が大きくなると冬の寒さによるダメージが大きくなるので、本葉が2枚くらい出た状態(小苗)で越冬させるのがポイントです。
グリーンピースの栽培管理
間引き
グリーンピースの種は、種まきをしてから約1週間から10日たつと発芽します。
発芽しだしたら、種まきの時に被せた寒冷紗は取りましょう。
本葉が2~3枚出てきたら、状態の悪い本葉を間引き1ヵ所につき2本仕立てにしましょう。
防寒対策
グリーンピースを越冬させるためには、防寒対策をしっかり行ってあげましょう。
気温が本格的に低下する前になったら、株元に軽く土を寄せてバーク、もみ殻、藁などを敷いて寒さを防ぎます。
更に、ササ竹を西側や北側に立てると防寒だけでなく寒風から守ることもできます。
水やり
水やりは頻繁に行う必要はありません。
土の乾燥が激しい時のみ、たっぷり水分を与えましょう。
支柱立て
グリーンピースはツルを伸ばして生長する植物です。冬の間は土の中で根がグングン生長し、春になると地上の部分の生長が始まります。
春が来てグリーンピースが大きくなり出したら、ツルが伸びる前に支柱を立てておきましょう。
支柱の高さは2m位、等間隔の設置がよいでしょう。支柱を立てたら紐またはネットをかけて、つるが巻き付けるようにします。
ツルは伸びている最中に、傷ついたり折れやすくなったりするので注意して扱ってください。
ツルの誘引
ツルの誘引とは、生長して伸び続けるツルのバランスを考えて、支柱やネットなどに結び付けることを言います。
ツルが絡まないようにすること、風通しの良い環境を作ることを考えて、自ら巻き付くことができないツルを支柱やネットへ導き固定しましょう。
追肥
グリーンピースの追肥は土寄せと同時に行いましょう。
追肥の目安は2回。ツルが伸び始めて支柱を立てる頃と、花が咲き始めた頃です。
追肥として施す化成肥料の与えすぎには注意しましょう。量が多いと、ツルボケの原因になりますので適量を守ってください。
「ツルボケ」とは
葉やツルばかりが元気になり、花や実がつかない状態をいいます。
与える肥料が多すぎる以外にも、水分過多、窒素過多、日光不足、風通しが悪いなどが原因になることもあります。
摘心・整枝
グリーンピースの栽培では、摘心や整枝は必要ありません。
グリーンピースに発生しやすい病気・害虫
うどんこ病
葉が白くなってきたら、うどんこ病を疑いましょう。最初は白い斑点があちらこちらにできる程度ですが、症状が進むと葉全体が白く変化していきます。
カビが原因なので、初期に発見したら酢水や木酢液を1週間置きに散布しましょう。症状が酷い場合は、薬剤散布でカビを退治しましょう。
グリーンピースは、うどんこ病の発生を抑えることが収穫量の増量につながります。
グリーンピースに発生しやすい害虫には、アブラムシ、ハモグリバエなどがいます。早期発見、早期駆除につとめましょう。
立枯病
立枯病はカビが原因の病です。グリーンピースの場合は、育成初期に土の水はけが悪い時にかかりやすい傾向にあります。
日中に株が萎れたり、生長が止まったりして最終的には枯死するのがこの病気の特徴です。
一旦立枯病に感染すると、他の植物に伝染する可能性が出てくるので、かかった株は畑の外で焼却処分するようにしましょう。
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グリーンピースの収穫
グリーンピースの花が咲いて約30~40日位が収穫の目安です。サヤの表面にシワができはじめたら、収穫OKのサイン。収穫時期を逃すと、中の実がかたくなってしまうので注意しましょう。
ハサミや爪の先端を使って、サヤの付け根を切り取ります。サヤから実を取りだしたら、沸騰したお湯に少量の塩を入れ1~1分半茹でます。
ゆで汁ごと保存容器に入れて、冷ましてから冷蔵庫へ入れましょう。
グリーンピースの保存方法
収穫してすぐにグリーンピースを食べられれば一番美味しいのですが、収穫量が多すぎる場合は、冷蔵か冷凍で保存しましょう。
2.3日中に使用するのであれば冷蔵保存、1ヶ月以内に使用するのであれば冷凍保存をおすすめします。
冷蔵保存
サヤがついたままのグリーンピースは、ジップの付いた袋やビニール袋に入れて、乾燥しないように野菜室に入れましょう。
冷蔵保存の目安は2~3日です。
冷凍保存
サヤから実を取りだし、沸騰したお湯に塩を入れ、1~1分半茹でます。
ゆで汁の中に入ったままの状態で冷やし、温度が下がったらグリーンピースの水分を取って、空気が入らないようにジップの付いた袋にいれて冷凍庫保存しましょう。
冷凍保存の目安は1ヶ月です。
おわりに
グリーンピースは少々栽培難易度の高い野菜とされていますが、特徴やポイントを押さえれば初心者でも立派に育てることができる作物です。
5年以上マメ科を栽培していない土地を選ぶこと、土づくりの段階での酸度調整をきちんとすること、秋植えの場合は防寒対策することがポイントです。
旬の時期に自分で栽培した獲れたてのグリーンピースを味わってみませんか。