ユーカリは常緑高木とされる品種も多く成長も早いため、庭先などに安易に地植えしてはなりません。
余程、こまめに剪定を繰り返さなければ、あっと言う間に5m突破なんて事になって、素人ではとても管理仕切れない状況となります。下手すれば、最終的に植木屋さんの手を借りて大掛かりな伐採作業…などと言う事態にもなりかねません。
今回は、ユーカリの育て方についてご紹介していきたいと思います。
Contents
ユーカリの栽培時期と育成条件
- 日当たり:半日陰〜日なた
- 土壌酸度:市販の山野草用培養土などを使用します。
- 開花時期:9月〜10月頃
ユーカリの流通形態
グニー、シトリオドラ(レモンユーカリ)、ブリジシアナ(アップルユーカリ)あたりの品種を中心として、観葉植物やハーブの分類で3号程度のポット苗や鉢植えの状態で流通しています。
鉢植えの物はしばらくの期間、そのままの状態で栽培すれば良いでしょう。
【ユーカリ 苗】
植えつけ場所の準備
誤読して枯らす原因となりがちなのが、「乾燥気味な環境を好む」との記載を「水やりを控え目にする」と考えてしまう事です。
特に鉢植えの場合、排水性が良い培養土を使って、毎日でも水やりをした方が良い物も多く、ユーカリもそこで失敗する例が多いような気がします。根の過湿を好まないけれども、水切れするとアウトと言うパターンですね。
大食漢なのに間食をしない人とか、少食なのにいつでも何か食べている人っていますよね。
鉢は少々無粋ですがスリット鉢(最近では若干お洒落な白色の物もあるようですが…)を使い、培養土は水はけ抜群の山野草用を使用します。なお、スリット鉢の場合、培養土のみでOK。鉢底石などは不要です。
植えつけ・植え替え
植えつけ・植え替えの適期は4月〜8月頃とされていますが、単に暖かい時期の方が根の生育が良いためです。
それ以外の時期に植えつけるのが禁忌と言うわけでもないので、ポット苗を入手した場合には速やかに植えつけ作業を行って下さい。
- 3〜4号ポットの苗ならば、スリットの5号鉢程度に植えつけましょう。根をいじられるのを嫌う品種も多いので、基本的にあまり強引に根土を崩そうとせずに軽く落とす程度、傷んだ根を整理する程度に留めます。
- 鉢底に適量の培養土を入れ、苗の高さを決めたら、周囲に培養土を入れていきます。なお、培養土に「オルトラン粒剤」混ぜ込んでおくと、コガネムシの幼虫などに対する予防になります。その際、空洞を作らないように棒などで突きながら、しっかりと入れていくのがコツです。
- 最後に、鉢底やスリットからキレイな水が充分に流れ出すまで灌水して植えつけの終了です。
植え替えも、ほぼ同様の作業になります。2〜3年で根詰まりして来るので、一回り大きな鉢に植え替えます。その際は4月〜8月頃の適期に作業を行うようにして下さい。
ユーカリの水やり
鉢内の通気と排水性が良くなるように作りましたから、気兼ねなく水やりができます。
特に夏場などは毎日しっかり灌水して下さい。
なお、夏場に初心者が枯らしてしまう原因は、鉢が直射日光に晒され鉢内で根が茹だってしまう事だったりします。葉には適度な日当たりを保ちつつも、鉢への直射日光を避ける工夫をしましょう。
冬場は、個々の生育状況に合わせて、やや控え目にするなど加減して下さい。
ユーカリの肥料
通常の成長を促進するタイプの肥料は、大きく育って手に負えなくなるだけなので使いません。
鉄分や微量元素不足による「クロロシス」予防のために、適宜「鉄力あくあ」や「リキダス」などの活力剤を与えましょう。
クロロシスをおこすと葉っぱや茎に斑点が出て、見た目が汚くなるだけではなく、抵抗力も落ちるので病害虫にも罹りやすくなります。
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ユーカリの病気・害虫の対策
害虫
前述したコガネムシの幼虫などに根を食害される事への対策を怠らないで下さい。精油成分を害虫の忌避用途で使ったりする位ですから、健康な状態のユーカリでは比較的、害虫による被害は少ない方です。
ただし、ブリジシアナ(アップルユーカリ)など、この精油成分の少ない品種ではアブラムシやハダニへの対策が他の植物並みに必要となります。また、ハダニに対しては、初期段階で葉裏などに霧を吹いて洗い流すなどし、また、薬剤による殺虫を行います。
風通しの良い環境に置く事で予防し、発生の初期段階で対処する事が大切です。
病気
病気に関しては、うどんこ病が出る事があります。うどんこ病は、その名の通り葉部に白い粉を吹いたようになる病気で、カビ(糸状菌)が原因です。
伝染するため、早急に病変部位を取り除き、「カリグリーン」や「トップジンMスプレー」を使用します。
幼い苗などでは、これが原因で枯らしてしまう事も多いので、特に要注意です。こちらも、風通しの良い環境に置く事で予防し、発生の初期段階で対処する事を心掛けて下さい。
ユーカリの剪定
地上部の生育が止まって来たら、大胆に半分程度まで剪定して下さい。再び勢いが出てきます。
なお、地上部の生育が止まるのは根詰まりのサインでもあるので、そろそろ植え替えを考慮します。
ユーカリの増やし方
品種によっては挿し木で増やせます。手順的には、他の一般的な植物と同様に、その年に成長した枝を15cm程度切り取ったら、先端の2〜3枚の葉以外は全て除去します。
花瓶などを使い半日程度水につけて、後は湿らせた挿し木用の土に挿すだけです。枯れずに新芽が出て来たら成功と言う事です。発想の転換で、切り花にしたついでや剪定したついでに挿し木にチャレンジしてみると言うのもアリです。
他にタネから増やすと言うマニアックな方法もあるにはありますが、これは原産地では山火事をキッカケに発芽するので、フライパンなどでタネの表面をサッと煎ってから撒くと発芽率が良いとの説もありますが、そのまま蒔いても特に発芽率は変わらないと言う説もあります。
そもそも日本の環境では開花すらしない品種もありますし、特に抑制的に鉢で育てるので難しいかもしれません。チャンスがあったらチャレンジしてみましょう…
ユーカリの特徴
ユーカリは荒地の緑化に使われる事も多いのですが、その際、アルカリ性が強い土壌を酸性に近づける性質も持っています。
従って、一般的に多い中性〜弱酸性の土壌で地植えした場合には、周辺の土壌酸度が酸性に傾いてしまうので、こちらも要注意です。
更に、大きく育つ割には根が浅いため強風にも弱いです。また、精油成分が多く含まれる品種は燃え易いので、家屋と近接して植えるのはオススメしません。
戯れにユーカリを地植えしたばかりに、他のガーデニングに支障が出たり、管理で大きな出費が必要になったりでは馬鹿らしいですもんね。
おわりに
ドライフラワーやフラワーアレンジメントで活躍するユーカリです。
健康に育成して楽しんで下さい。