随分と昔ですが、林の中でカブトムシやクワガタムシを探していると、1m程の長さに切られたクヌギの木がたくさん立てられていた光景を見ました。
大人に聞いてみると「しいたけを栽培しているんだよ」と教えてもらいました。自然の中で生えているキノコは、毒キノコだと思っていましたので驚きでした。
今回は、しいたけの育て方についてご紹介していこうと思います。
Contents
しいたけの栽培方法
さて、椎茸(しいたけ)の栽培には、原木で栽培する方法と菌床で栽培する方法があります。私が子どもの頃見た光景は原木栽培の椎茸ですね。
菌床栽培はオガクズや米ぬかを瓶に詰めて椎茸を栽培する方法です。1年中椎茸を食べられるのは菌床栽培のおかげです。
今回の紹介は、手間もかかる原木栽培ですが、味や香りはこちらの栽培が優れています。それでは、椎茸の原木栽培を始めます!
椎茸の栽培期間と育成条件
- 日当たり :日陰
- 原木の種類:クヌギ・コナラ・ミズナラなど
- 原木長さ :管理しやすい1m位
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原木の準備
紅葉の始まる秋から初春の3月位までが原木の伐採期間になります。原木に適したクヌギなどを、木の根元付近で伐採します。枝葉は切り落とさないでそのままの状態にします。原木の主幹から枝葉に水分を取られて乾燥していきます。
乾燥が十分でない場合は、菌糸の成長が進みません。原木の乾燥が進んだら、長さ1m位に切断します。この方が管理しやすくなります。原木はこの後植菌したり、立てかけたりと結構な重労働が続きます。
植菌作業(いよいよ種菌を植え付けます)
2月から3月が適齢期です。4月になっても大丈夫ですが、種菌の成長する時間が限られてきます。
よく見かけた種菌は、ワインのコルクを小さくしたような物でしょうか。「駒菌」と呼ばれるものです。原木に穴をあけて、木槌で打ち込んでいきます。
他には「オガ菌」オガクズに養分を加えて、椎茸の菌糸を培養したものです。または「形成菌」があり、「オガ菌」を駒状にしてあります。
仮伏せ
植菌が終わった原木の菌糸活動を促進するためにホダ木を横積みにします。林の中に見かける光景ですね。日当たりのよい林の中は環境として適しています。
ビニールハウス内で行っているのも見かけますね。いずれも湿度を保てる環境で仮伏せを行っています。
庭先や露地で行う場合は湿度を保てないので覆いを行いましょう。U字型の支柱パイプのビニールハウスで覆ってはいかがでしょうか。
本伏せ
種菌の活動が活発になりましたら(打ち込んだ駒が白くなった頃)横積みのホダ木を積み替える作業を行います。斜め45~60度位の傾斜に積み替えていきます。
実際にしいたけが成長して収穫するイメージで積み替えていきましょう。通路の確保も必要です。ホダ木が重なってしまうとしいたけが成長できません。
本伏せの場所は直射日光の当たらない場所が適しています。菌糸なので雨も必要で、排水が良い場所を選びましょう。また、風の通りがある林の中が適地です。
庭や露地で栽培する場合は、直射日光の当たらない日陰を探します。ブロック塀の影なら、直射日光も当たらないので適しているのではないでしょうか。
しいたけの育成と収穫
春先に植菌したホダ木から椎茸が発生するのは、早い場合でその年の秋ごろです。収穫は翌年の夏頃からと考えた方が良いようです。気温が上昇する5月以降は成長が加速していきます。しばらく様子を見ていないと大きく成長しすぎてしまいます。
採取する2~3日前に、雨にあたると品質低下につながるので注意も必要です。やはりビニール栽培は管理が助かります。
しいたけを収穫するときは手で行いましょう。ナイフなどの刃物で柄を切らないようにしましょう。ホダ木の状態が悪くなります。切り口から雑菌が入ることがあります。しいたけのひだに触れないようにしましょう。少しの指圧で、ひだが押しつぶされてしまいます。柄を持ってもぎ取るイメージです。
複数のホダ木を栽培していると、一気に収穫が進むとことがあります。そこで、乾燥しいたけを作ってみましょう。
しいたけの栄養の変化
栄養学の分野なのですが、乾燥させることで生の時よりもビタミンDが増える変わった特徴があります。乾燥させないまでも、日光を浴びせるだけでもビタミンDが増えると習いました。
三大旨味成分の1つ「グアニル酸」を多く含む干ししいたけ。生とは違った食感と増加する栄養素。自宅で作ってみましょう。
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おすすめの栽培キットを紹介
林の中で大掛かりに栽培することは難しいですね。庭先で2~3本のホダ木を管理するのもよいのですが、室内で育てる方法もあります。
それでは、インテリアにもなる「しいたけ栽培キット」シリーズを紹介していきます。
栽培キットその①「なるきのこデラックス」
ネーミングが素敵な原木セットです。内容はデラックスかもしれませんが、原木は巨大ではありませんのでご安心ください。
原木は30㎝サイズなのでお部屋に置けば一風変わったインテリアになります。作り方はマニュアル通りにトライすれば大丈夫です。
料金も手ごろで気軽に椎茸栽培デビューができます。上手に栽培すれば3回目の収穫も可能です。
栽培キットその②「しいたけ農園」
森産業株式会社さんの製造キットです。きのこ種菌の開発・栽培などをしている業者さんです。
部屋にいながら椎茸の成長がみられるので、椎茸を苦手とする子どもが食べられるようになるかもしれません。
栽培方法は先述と大差はありません。原木サイズは高さ20cm×縦16cm×横16cm程でコンパクトです。
栽培キットその③「しいたけの成る木」
先述よりも少々大きめのお45㎝の原木です。料金はお手頃の1,300円(税込・送料別 ネット価格参照)です。この低価格なら2本購入して、屋外の日陰で栽培ができます。
採れたての椎茸をバーベキューで炭焼きにしても美味しいですね。焼いていると椎茸の傘に水滴が浮かび新鮮さを実感します。
育ててみた感想(原木栽培)
林に比べると日陰の少ない庭先での栽培は、適地が見つけづらいかもしれません。水はけが良いように盛り土にしてホダ木を立てかけました。どうも、なめくじやダンゴ虫は好きになれません。ブロックを土台にしても良かったかもしれません。
庭先でも育ててみて気付いたのですが、育て方の本や写真のような肉厚のしいたけが、うじゃうじゃ収穫できることを期待していました。しかし、初年度は日当たりの管理が上手くいかなかったのか、よい物ばかりではありませんでした。2年目以降は成功となりました。
そこで、ホダ木を庭先で栽培するのも良いのですが、栽培キットを室内で育てるのもいいなと思います。室内で育てると、日々成長するしいたけを眺めていると「顔なじみ」になり親近感を持ちます。育成に慣れたら庭先にデビューするのも良いでしょう。
おわりに
しいたけの原木栽培をご紹介してきましたがいかがでしたか?
ホダ木の管理から収穫までの「しいたけの一生」です。しいたけ栽培の嬉しい所は、ホダ木の準備から植菌まで非常に手間がかかりますが、2~3年の発生期間・収穫が続きます。一度の労力が何年か報われるのは嬉しいですね。
生での調理や乾燥しいたけの持つ「うまみ成分」を活かした調理など、バリエーションが豊富なしいたけ料理。煮物にしても深みの味が出ますね。ビタミンDが増加する干ししいたけも有難い食材です。
家庭栽培でしか体験できない「肉厚のしいたけ」の美味しさを、ぜひ実感してください。