激辛党の人が良く好むハラペーニョやハバネロでおなじみのトウガラシ。一般的には鷹の爪などが有名ですが、トウガラシに含まれている辛み成分「カプサイシン」には、ビタミンCやカロテンが豊富に含まれています。
体をあたため発汗を促す作用や食欲増進などに役立ち、香辛料として多くの料理に使われてきました。中南米を原産地とするため暑さに強く、とても育てやすい野菜です。
今回は、そんなトウガラシの育て方についてお話したいと思います。
Contents
トウガラシの栽培時期と育成条件
- 日当たり:日なた
- 生育温度:25~30℃
- 土壌酸度:弱酸性~中性
- 連作障害:3年以上あける
- 耐暑性:強
- 耐寒性:弱
トウガラシの種類
トウガラシはナス科のトウガラシ属に分類されます。
トウガラシというと、赤くて辛いものを想像する人も多くいると思いますが、広い意味ではパプリカやピーマンもトウガラシに属します。
下記のトウガラシの種類をまとめました。
鷹の爪群・八ツ房群など
辛みが強いものに、「鷹の爪群」や「八ツ房群」があります。香辛料として使われることが多く、ピクルスやソースの材料などでも使用されています。
シシトウ・伏見群など
辛みが少ないもの、全くないものには「シシトウ」や「伏見群」があり、これらは果が未成熟な時に野菜として利用されます。
トウガラシの栽培適地
トウガラシは、日光が良くあたり風通しの良い場所を好みます。ただし、真夏の直射日光を浴びることで果実や葉が焼けることがあるので注意しましょう。
成長したら支柱が必要になるので、ある程度高さに余裕のある場所を選んでください。
トウガラシの土作り
プランター栽培の場合
少数の株を育てたい時は、プランター栽培が適します。
用意する土は、市販されている野菜用の培養土を使用すると準備がとても楽になります。プランターは、水はけを良くするために深型を使うようにしましょう。
地植えの場合
連作障害を避けるために栽培する場所を選ぶときは、3年以上ナス科(トマト・ジャガイモ・ピーマン・ナスなど)の野菜を栽培していない土地を選びます。好む土壌は、弱酸性から中性です。
土が酸性に傾いているようであれば、石灰での調節が必要になります。
- 植え付けの2週間前に苦土石灰で酸度を調節し、良く耕す
- 1週間前には、化成肥料と堆肥を施しさらに耕す
- 高めの畝を作り、黒マルチを張る
トウガラシの苗の選択
トウガラシは種から育てることができますが、定植できるくらいの大きさに育てるまで70~80日の時間が必要になります。
また、発芽には28℃以上の地温が必要となるため温度管理をする必要があります。市販されている苗を購入するところから始めると、スムーズに収穫にたどり着くことができるでしょう。
苗を購入する時は、茎が太く葉に艶のあるもの、本葉が7~10枚くらいついているもの、一番花が咲く寸前のものが理想的です。
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トウガラシの植え付け
植え付けの適期は4月中旬頃です。畑やプランターに植え付ける時は、トウガラシの苗に付いている一番花が咲く寸前までポットで管理を行います。
また、トウガラシは寒さに弱いので充分暖かい気候になってから、植え付けをしてください。
プランターの場合
プランターに土を入れ、根鉢より一回り大きな植え穴を作りましょう。ポットから根を崩さないように株を取り出し、プランターに移します。株元を軽く抑えて、周りの土に馴染ませ、たっぷりと水を与えます。
なお、株間は25㎝以上あけるようにしてください。株間をあけることで、日光があたり、風通しが良くなるので害虫を防ぐことができます。
最後に、トウガラシの転倒を防止するために仮支柱を立てて、紐で結びつけておきましょう。
地植えの場合
植え付けを行う前に、根鉢に充分水を与えます。この時、ポットごと水につけても良いでしょう。畑の場合の株間は40~50㎝です。
マルチに穴をあけて、プランターの時と同様の手順で植え付けを行います。
植え付けが終了してから1ヶ月から1ヶ月半くらいたつと、白や紫色の小さくてかわいらしい花を咲かせます。
トウガラシの水やり
トウガラシは根を浅く張るため、とても乾燥に弱い特徴があります。水やりは、毎日2回朝と夕方にたっぷり行いましょう。
プランター栽培の場合は、乾燥を防ぐために、新聞紙・敷き藁・ピートモスを土の上に敷くとよいでしょう。
トウガラシの栽培管理
支柱
植え付けの際に立てた仮支柱は、苗が土に活着して一番花が咲き、側枝が出てきたら本支柱に交換してください。
本支柱は1m~1m20㎝位のものを用意し、土の中に垂直に30㎝くらい押し込んで、茎を傷つけないように8の字で結びます。
追肥
一番果が付いたころに1回目の追肥(化成肥料)を施します。
その後は3週間に1回を目安として、化成肥料を与えましょう。
摘心・摘葉
プランター栽培の場合
日当たりを良くするために、三本立てが基本です。
主枝、一番花の下にある枝2本のみを残します。
地植えの場合
一番花より下にあるわき芽は全て摘み取り、一番花より上にある枝はそのままで構いません。もし、葉が混み合っているようであれば、葉を取り除くようにします。
また、株全体を強くするために一番果は必ず摘果しましょう。
植え替え
トウガラシは一年草なので植え替えの必要はありません。
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トウガラシに発生しやすい害虫と害虫病
ウイルス・モザイク病の病気の原因はアブラムシと言われています。葉や茎が萎縮したり黄色く変色したりして、葉にモザイク型の斑点がつくことが特徴です。
治療法はないので、健康な他のトウガラシに病気が移らないようにするためには、感染した株は全て引き抜き、焼却処分しましょう。
また、病気にかかった株に使用したハサミや刃物は、必ず熱処理をして菌を殺してから他の植物などに使用してください。
その他、発生しやすい害虫にはハモグリバエ類、カメムシ類、テントウムシダマシがあります。枝を剪定して風通しの良い日光のきちんと当たる環境を作ること、虫は見つけ次第駆除するなど早期の対策が必要です。
トウガラシの収穫について
トウガラシは、植え付けをしてから1ヶ月半から2ヶ月、開花してから2~3週間が収穫の目安です。
トウガラシが赤くなったら果実を一つずつ、または枝ごと切り取ります。ほとんどの実が赤くなっているようであれば、株ごと収穫しても構いません。
赤くなる前の青トウガラシも利用できるので、用途に合わせて収穫時期を見極めましょう。また、若い間に葉ごと収穫すると、「葉トウガラシ」として使用できます。
トウガラシの保存方法
収穫したトウガラシは、きちんと乾燥させることで長期保存が可能になります。一つずつトウガラシを収穫した時は、ザルなどに広げて乾燥させます。
また、枝や株ごと収穫した時は丁度良い大きさに束ねて、風通しの良い日陰に逆さにして吊して乾燥させましょう。
完全にトウガラシから水分が抜けたら中から実を取りだし、ジップロックや缶、ビンに入れて保存します。
おわりに
トウガラシを育てるうえで気をつけることは以下の通りです。
- 連作障害を避けるために、3年以上ナス科の野菜を栽培していない場所を選ぶ
- 乾燥に弱いので、朝夕2回の水やりを忘れずに
- 収穫した実は、しっかり乾燥させてから保存
大量のトウガラシを必要としないのなら、ベランダの隅の小さなプランターで育てることもできますので、とても気軽に挑戦できますよね。
好みの辛さのトウガラシを見つけて、ぜひ挑戦してみましょう。