飲食店やオフィスの観葉植物と言えばヘゴ仕立てにしたポトスが定番ですね。
ポトスは、ソロモン諸島や東南アジアなどの亜熱帯と熱帯雨林を原産とするサトイモ科エピプレムヌム属(和名では「ハブカズラ属」)の半耐寒性、つる性の多年(宿根)草です。
今回は、そんなポトスの育て方についてご紹介していきたいと思います。
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ポトスの由来
明治中頃に渡来したと言われていますが、夏期の高温多湿に適し、5℃以上で越冬するなど比較的耐寒性もあり、耐陰性が非常に強く室内栽培に向くため、特に温室などの専門的な栽培設備が不要など取り扱いが容易なところも、観葉植物の代名詞になるほどに成功した要因だったのでしょう。
ポトスに関して面白いのは、1880年に分類を誤って「ポトス属」で記載された植物の名称を園芸家がそのまま用い続けて、結局、ポトスと言う園芸品種名になってしまったことです。
ちなみに、現在では、学問上の正式な分類や品種名にはポトスと言う名称が一切含まれていません。なお、和名ではオウゴンカズラ(黄金葛)と呼ばれています。
ポトスの栽培時期と育成条件
- 日当たり:半日陰
- 土壌酸度:弱酸性〜微酸性
- 植え替え:5月〜6月頃
- 挿し木 :5月〜8月頃
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ポトスの流通形態と品種
3号程度の大きさのポット苗から始まり、そのまま育てられる鉢植えの物も機能性重視のシンプルな鉢から、お洒落なインテリアとしての存在感のある鉢、また、ヘゴを支柱にしてタワーに仕立てた物では10号サイズの大鉢まで、様々な形態で流通しています。
価格は、品種を選ばないと言うことであれば、それこそ少し大きめの100均ショップにある観葉植物コーナーの100円からのスタートで、意匠を凝らした高級な大鉢に植えられた数万円のものまでとバリエーションに富んでいます。
ゴールデン・ポトス
品種的には、ポトスと言えばコレと言う感じの「ゴールデン・ポトス」。一般的に園芸店の店先などに、無銘で単に「ポトス」として並べられているものは大概がこちらになります。
古典的な品種ですが、上手く育てれば緑葉に鮮やかな斑が入った葉がかなり見栄えするので「黄金カズラ」の和名も納得できます。
マーブル・クイーン
「マーブル・クイーン」は、突然変異によって緑葉に白斑が入ったのち、白葉に緑斑が入ったちょっと複雑な模様をしています。
ただし、生育段階で緑斑が強くなり先祖返りしたように真緑になる葉が出現することもあり、また、白葉の部分では強い日光で葉焼けを起こしたりと性質が弱いです。
また、最低気温を12〜15℃以上には保つ必要があるなど耐寒性が劣るので、やや上級者向きかも知れません。
ポトス・ライム
「ポトス・ライム」は、葉色の全てが鮮やかなライトグリーンになる品種で、近年人気があります。
以上3種類が比較的多く出回る品種で、園芸店などでは3号ポット苗で250〜500円程度で販売されていることが多いようです。
運が良ければ、他の「エンジョイ」「ステータス」「バレンシア」や「テルノ」系などの新しい品種を見かけることもあるでしょう。
珍しい品種の場合は、3号ポット苗で700〜1千円程度になったり、あるいは、5号程度の鉢仕立てで数千円と言う感じで流通しています。
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ポトスの植えつけ場所の準備
極端な話、温暖な土地では地植えで繁茂することもあったり、逆に小さな容器でハイドロカルチャーに仕上げたりと、結構、どんなスタイルにでも収まってしまいます。
例えば、他の植物栽培とは全く逆に、インテリアに合うスタイリッシュな花器を選ぶところから入るのも楽しいです。そのあたりは、事前に煮詰めておいてからスタートを切る方が良いでしょう。
ポトスの鉢の仕立て方は、大きく分けて「ヘゴを支柱にしたタワー仕立て」と「吊り鉢タイプ」の2通りになります。
つる植物の特徴である登はん性を持っているため、タワー仕立てなどにして登上させると葉が成長し、逆に吊り鉢などから下層に垂らすと葉が縮小する性質を持っているので、そこら辺の特徴も上手く使うと面白いものができそうです。玄関などの壁に壁掛けタイプの鉢を使ったりするのも良いかも知れません。
【花ごころ 観葉植物の土】
培養土には、市販の「観葉植物の土」を使っておくと間違いなしです。
なお、ハイドロカルチャーなどの土を使わない栽培法にチャレンジする場合には、根を洗って…などと考えずに、一度鉢植えを作って安定させたところで、改めて挿し木用にカットしてスタートして下さい。
その方が簡単ですし、鉢を枯らさない限りは、失敗しても何度でもチャレンジできますもんね…。
ポトスの植えつけ
鉢に鉢底石を入れ、まずは「観葉植物の土」を3割見当分の高さまで入れ、ポット苗の根を丁寧にほぐして植えたら、変な隙間ができないように工夫しながら残りの培養土を入れます。
鉢の上部にウォータースペースを確保するのを忘れないで下さい。なお、ヘゴ支柱を立てる場合には、ポット苗を植える前に立てておきましょう。
植えつけ完了後は、お約束通りの「鉢底から充分に水が流れ出すまでの潅水」です。この際に、まとめて一気に一箇所だけ…なんてのは、むしろ水の変な流れ道を作ってしまい悪影響があるので、ジョウロなどを用いて鉢全体に優しくじっくり大量に水をやるようにして下さい。
ポトスの水やり
ポトスを枯らす原因はほとんどが根腐れです。日常の水やりのコツは、土の表面が適度に乾くのを待ってから大量に潅水するパターンで行きましょう。特に活動が鈍くなる冬場は、水やりの間隔をより空けることで対応して下さい。
それから、鉢植えを室内に置くのだから、当然、受け皿があると思いますが、受け皿の水は必ず捨てて下さいね。下手すると、わざわざ受け皿に水をやったりする人までいますが、あれには底面給水機能はありません。水浸しの状態が長く続けば、あっという間に根腐れが起こります。
また、余談ですが「冬場の水やりは控えめに」などと言う注意書きを見て、回数はそのままにして1回あたりの水の量を減らす人がいますが、それは大間違い!水やりの回数を減らして、1回あたりの分量は通常通りでお願いします。
ポトスの肥料
5月〜10月頃には、週1度程度のペースで「観葉植物用」の液肥を規定の希釈倍率より薄くして与えて下さい。ただし、「葉緑素を増やし、室内の光でも光合成が促進される」系統の肥料は効果が強烈なので、本当に葉緑素が増えて白斑や白葉が出なくなることもあるので御用心。
後は、状況により錠剤型の緩効性肥料を置く感じですが、市販の培養土(あらかじめ肥料などを添加してあります)を使用した植えつけ初年度には控えても構いません。なお、葉がやたらと黄色くなったりするのは、肥料が足りないからでも、水やりが足らないからでもありません。
根腐れを起こしかかっている場合が多いので、そこで肥料や水を大量にやると一気に枯死したりするので要注意です。
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ポトス剪定と植え替えと増やし方
特に「吊り鉢タイプ」で垂らして栽培している場合など、全体のバランスを整えるために剪定をした方が良くなるでしょう。その際に出たゴミになるはずの枝を、葉が2〜3枚ついた状態でコップにでも挿しておくと暖かい時期なら数週間で発根します。
前述したように、根出しに成功したらハイドロカルチャーと言う選択肢もあるので、色々と楽しんで下さい。もちろん、川砂や市販の「挿し木用の土」を使う手もあります。
そもそもポトス自体が、若い芽の部分を愛でるのが基本と言うのもあるので、機会があればどんどん挿し木にチャレンジするのも良いと思います。
ポトスの病害虫
ハダニとカイガラムシには要注意です。特にハダニに関しては、空気の乾燥している時期に発生します。基本的に天敵もおらず風通しの悪い屋内で管理することになるので、葉裏で爆発的に増殖することがあります。
予防と駆除ですが…、室内に置く観葉植物に農薬を使うのも気が引けるし、霧吹きで水をかけるのも面倒臭いので浴室に持っていってシャワーをかけてしまいます。
コツは弱めの水流で、温度は低めにするか水にして葉裏を洗うのをメインに全体のホコリも流してしまうイメージです。週に1回程度のペースでやるとスッキリしますよ。
おわりに
実はポトスも花を咲かせることがあるのだとか…と言っても、遭遇すると年間数千鉢を出荷するプロの園芸農家さんが「おぉっ!初めて見たよ!」とびっくりするレベルだそうですから、かなりレアなものです。
ちなみに形状は、同じサトイモ科のミズバショウやテンナンショウのような仏炎苞が特徴だとか…。
超初心者にとっても様々な手技のスキルアップにも繋がる無難で万人向けな観葉植物なので楽しんでみて下さい。以上、ポトスの育て方をまとめてみました。