冬に植える花

パンジー・ビオラの種まき〜開花までの育て方!栽培時期や病害虫の対策など

パンジー・ビオラの種まき〜開花までの育て方!栽培時期や病害虫の対策など

小学校の授業でも育てることのあるパンジーですが、大人になってからも庭で育ててみたいと思うこともありますよね。

今回は、パンジーの育て方についてご紹介していこうと思います。

パンジーとビオラの違い

パンジーとビオラの違い

パンジーとビオラはどう違うのでしょうか?

どちらも分類的にはスミレ科スミレ(Viola)属に所属する植物です。

元々、ヨーロッパ原産の野草にワイルドパンジーの別名があるViola tricolorはサンシキスミレ(サンショクスミレ(三色菫))と言う品種があり、昔、園芸種のパンジーが普及する際にサンシキスミレ(三色菫)と言う和名が用いられた事から、特に大輪で一輪の花が鮮やかに三色に分かれる様な古典的なパンジー=サンシキスミレ、単色系の小輪で多花な物をビオラと認識する人も多く、また、園芸的には便宜上、花径が5cm以上のものが「パンジー」で、それより小さな物は「ビオラ」と呼ばれるお約束でした。

もっとも、ビオラと言う呼び名自体がそもそもスミレ全体を指す名称なわけですから、早い話が「パンジーより小さい物はスミレと呼ぶ事にする」と言う様な少々乱暴な話ですけれども…。

なお、最近では、大輪の八重咲きやフリル咲きの豪華な見た目の品種にもビオラを名乗る物が数多く流通していたり、花数が多く一気に咲き誇る小輪のパンジーもあるので、更に混乱に拍車がかかっている感があります。

結局のところ、パンジーとビオラの交雑や交配の過程は同じで小型のパンジーをビオラと呼んでいるだけなので、(個別の品種間では性質上、若干の差異がありますが)栽培するに当たってはほぼ同一の物と考えて大丈夫です。

ちなみに、野生種のサンシキスミレは園芸種のパンジーに交雑や交配の形で関わってはいますが、植物の分類上は全くの別物扱いになります。
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パンジー、ビオラの栽培時期と育成条件

パンジー、ビオラの栽培時期と育成条件

 

パンジー、ビオラの育成条件
  • 日当たり:日なた
  • 土壌酸度:弱酸性
  • 開花時期:11月~5月上旬頃

パンジーの流通形態


【パンジーの種】

夏頃には30~50粒入りのタネが300~400円程度、冬場にはポット苗が100~500円程度で出回ります。

それじゃ、タネから育てた方が割安でお得と思うかも知れませんが、種蒔きの適期が7月下旬~9月上旬頃なのに発芽適温が15~20℃、生育適温が5~20℃と言う事で、とにかく暑さにはめっぽう弱い植物です。冷涼地以外に住む初心者が管理するにはちょっとハードルが高くなるでしょう。

他の園芸植物と同様に新たに開発された品種の方が、耐病性であったり、特にパンジーやビオラを栽培する上で問題となる徒長に関して優れている物が多いので、少々割高に感じても、その手の物を選択するのが正解だと思います。

具体的には、園芸店などで単に「パンジー」や「ビオラ」のみの表記では無く、例えば「絵になるスミレ」とか「パンジー・ムーランフリル」などの様に個別の品種名までが記されている物です。特に育成業者が独自の品種名札をつけている物は、気合の入った看板商品なので選んで後悔する事も少ないでしょう。

植えつけ場所の準備

植えつけ場所の準備
弱酸性で水はけの良い土壌を好みます。先ずは基本的に管理が簡単なプランターや鉢での栽培をオススメします。ノウハウを蓄積してから花壇などでの栽培にチャレンジしてみると良いでしょう。

培養土は、「パンジー・ビオラの土」などの名称で売られている専用培養土を選択するのが最良です。約半年近く咲かせ続けるわけですから、汎用の培養土と異なり、あらかじめ、肥効を考慮して緩効性化成肥料を配合してある専用培養土を使用しておけば、手間も無駄なコストも抑えられます。

苗の植えつけにあたっての留意点をひとつ。前述した通りに暑さには弱いので、地域によってはあまり早い時期に植えつけると酷ですし、その上、暖かさが残る時期には害虫の活動もまだ活発なので、オススメしません。

プランターなどの置き場所としては、日当たりが良く風当たりの弱くて、出来ればあまり雨水がかからない場所が望ましいので、家の南面の軒下などがベストです。

植えつけ

パンジーの植えつけ
前述した通りの培養土に、ポット苗と同程度の穴を掘って根土をあまり崩さずにスッポリ植える感じで大丈夫です。深さもポット苗の表面と合わせる感じです。

プランターなどの場合は、ポット苗の表面が縁から2~3cm程の高さになる程度の量の培養土をあらかじめ入れて、苗を置いてから脇に培養土を入れて行くと周囲も汚さずに済みます。2~3cm程の高さと言うのは、水やりをする際に培養土の流出を防ぐためのウォータースペースになると言うわけです。

また、植えつけの際に、培養土に浸透移行性の殺虫剤「オルトランDX粒剤」を散布しておくと、アブラムシ類の発生を抑えられます。

なお、プランターなどにネット状の上げ底のスノコがついている物や、底面全体がネット状になっている場合には、通気性・排水性が確保されますので、鉢底石や鉢底ネットを入れなくても大丈夫です。それ以外の構造のプランターや鉢などには必ず鉢底石や鉢底ネットを入れて下さい。

50cm程度のプランターなら、後々の成長を考えて3株程度、中央に一直線に揃えるのでは無く、縁に寄せてジグザグに植えます。
これは、成長に伴い葉が繁茂した状態で水やりをする際に楽だからです。

鉢底穴から水が流れ出すまで、たっぷりと灌水して植えつけの完了です。

どう植えるか?

パンジーをどう植えるか?
八重の大輪フリル咲きパンジーなどの豪華な品種は、大きく成長するので単独でちょっと大きめな25cm径程度のスタンドポットなどに植えると映えます。壁掛形のプランターなどを使ってもお洒落です。

小輪で多花のビオラなら、どーんと派手な寄せ植えにしたくなるのは人情ですが、初心者には植えつけるバランスや管理などの点で少し荷が重いので、最初は苗が「どの程度まで育っていくのか」と言う事を観察するためにプランターに並べて植えるスタイルが良いでしょう。並べて植える事で、野暮臭くならない組み合わせ方なども試せますから。

園芸店などの店頭に並べられている苗の中で、一際インパクトがあるのが赤色と黄色と青色などの色鮮やかな単色の物なのですが、浮かれて闇雲に買ってしまうと後悔します。赤色と黄色と青色と単色同士の色とりどりの花を並べると、賑やかではあるけれども統一感に欠け、単に並べて植えただけと言った印象になるわけです。

基本的には洋服の着こなしと同じで、パッと目を引く濃厚な色の物は単体やアクセントとして使うと映えますが扱いは意外と難しいです。例えば、上弁だけとか下弁だけとか部分的に強い色が入った物を選択するのが無難です。

特に強い色と白色が組み合わさった物などは、白色をキーとして考えたり、色幅の大きな花の咲く品種を挟んで並べるとカッコ良く収まります。どうしても濃厚な色の物を使いたいと言う場合には、同系色の濃淡を軸にして並べるのがオススメです。

花の形状に関しても、最近流行している尖った形の物やフリル咲きの物は、それ同士で並べるか、または、色調を合わせて並べると統一感が出てきます。

色にしても形にしても、隣と少しだけ違う印象の物を並べるのがコツです。楽しんでみて下さい。

水やり

パンジーの水やり
低温多湿時には灰色かび病が発生し易くなるので多湿は禁物ですが、一般的にかなり吸水が良い植物なので、特にプランターに多株植えした場合には、ほぼ毎朝の水やりが必要になるでしょう。花や葉がズブ濡れにするのは灰色かび病の発生リスクを上げる事になるので、水は必ず根元に与える様にして下さい

なぜ朝なのか?と言うと、夕方に水やりをすると夜間の凍結により、根を傷める恐れがあるからです。

肥料

前述した通り、専用培養土を利用した場合には施肥不要の物も多いですが、アブラムシ類の発生予防も兼ねて「カダン殺虫肥料<錠剤>」を使用すると良いでしょう。

肥料成分・殺虫成分ともに3ヶ月程度有効なので手間いらずです。

剪定

パンジーの剪定
最近の品種は徒長しない物がほとんどなので、強い剪定はほぼ必要ありません。ただし、草姿が乱れて来たら、切り戻してやると形良くまとまり、開花も旺盛になるので試してみて下さい。思い切り良く切り戻しても大丈夫です。

また、タネをつけると消耗しますし、散った花びらなどが病害虫の原因にもなります。
花後の花ガラ摘みは積極的に行って下さい

ちなみに、F1品種が多いのでタネを採取しても、性質を全く引き継がない場合も多いです。

病害虫

再三記述しましたが、特にアブラムシ類と灰色かび病への対策が栽培成功の鍵です。

殺虫殺菌剤の「ベニカXファインスプレー」は、アブラムシ類と灰色かび病の両方に効果がありますが、灰色かび病の場合には繁殖力も強く、薬剤を散布しても発生部位の回復は不可能なので、かなり大きく切除して周囲への感染を防ぐ事になります。

罹った株を丸ごと抜去して処分しなければならないケースも多いです。

おわりに

若干、難しい事も書きましたが栽培そのものは簡単です。園芸初心者にも最適なので、特に色彩のハーモニーを楽しんで下さい。

以上、パンジー、ビオラの育て方をまとめてみました。



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