年間を通して安定価格(低価格)での販売がうれしい「もやし」ですが、家庭栽培でも気軽に育てられる野菜です。
「もやし」とひとくくりにされていますが、穀類やマメ科の種を栽培して人工的に発芽した新芽の事を「もやし」と言います。一説では「萌やし」から来たなどとも言われています。イキイキとしたイメージですね。
安く手に入り、レシピもたくさんあるもやし。それでは「もやしの育て方」について説明していきます!
Contents
もやしの種類について
もやしの種類は大きく分けて3種類になります。これらのもやしの育て方には大差がないので慣れてきたら好みで選んでくださいね。
① 「緑豆もやし(グリーンマッペ)」
スーパーで販売されている主力商品「もやし」です。太めのシャキシャキした歯ごたえが心地よく、多くのレシピ(料理)に使われています。
② 「黒豆もやし(ブラックマッペ)」
細長いもやしで主流ではないのですが根強い人気があります。ラーメンの中に入れると具合がいいと思います。味噌ラーメン・タンメンに合いますね!
③ 「大豆もやし」
大豆を発芽させたもやしです。豆の部分も美味しくいただけて、韓国料理のナムルをイメージしてください。
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種まき・苗の管理
一年中栽培が可能で室内で育てます。発芽の際には遮光するので、日当たりなども気にしなくていいです。場所を選ばないのがもやし栽培の魅力です。
それでは、緑豆もやしの栽培を始めます。もやし栽培キットも販売されていますが、大きめの瓶(最終的に種の10倍くらいに育ちます)があればそちらで代用も可能です。
次にホームセンターなどで種を購入します。緑豆もやし(グリーンマッペ)を購入してきます。好きならば大豆を試しても面白いですね。
消毒液で瓶を洗浄・消毒した後に、瓶の大きさの1/10位の種を使用します。成長すると10倍くらいになるので種の入れ過ぎに注意しましょう。
瓶の中に種と水を入れて種を洗います。瓶を回すようにしてタネをあらうといいですよ。水を捨てて(タネをこぼさないよう)種に付着したカス(ゴミ)を洗い流します。数回行ってきれいにしましょう。
種が完全に水に隠れるように水を入れます。水量は瓶の半分くらいが目安です。そして、通気性を確保するために瓶の口にガーゼでふたをします。成長の間ガーゼは被せた状態を維持します。
種の浸水は以上になります。もやし栽培の大切なポイントは浸水のときに種に雑菌を付着させない事です。初めから不衛生だと後から取り戻すことはできません。
瓶の遮光について
種の浸水の次は光を遮る「遮光」です。アルミホイルを用意して、瓶全体を覆って光を遮りましょう。翌日に豆の状態を確認します。豆の皮にヒビが入っていれば問題ありません。
通気性のネットを被せたまま古い水を捨てます。捨てるだけでなく、すすいでいきます。数回繰り返して豆をきれいにしましょう。水を切ったらアルミホイルで遮光です。
豆に直接触るのは避けましょう。ここまで雑菌を排除してきたのに手で触れてはよろしくありません。ガーゼを被せたまま水の入れ替えをしていきます。
収穫のタイミング
上記の作業を毎日繰り返すと、4~5日で発芽してきます。7~10日ほどで芽が伸びて種の10倍ほどの大きさに成長します。もやしが好みの大きさに成長したら収穫です。ボウルなどに移して水洗いをしましょう。
せっかくなので、採りたての新鮮なもやしを食べてみましょう!鮮度が落ちるのが速いもやし。収穫のタイミングを考えて、料理に活かすことが大切です。
もやしの保存方法
もやしは保存に適さない野菜です。少しでも持たせたいなら水を張った容器で保存しましょう。保存中、容器の水は毎日交換します。
保存する際にステンレス製のボウルを使用するのはよくありません。タッパーなどプラスチック製の容器にしましょう。
保存している間も栄養素は水に溶け出ていってしまいます。だんだん黒く変色してくるので早めに食べてしまいましょう。
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保存に適さないもやしの歴史
今のように冷蔵技術が進んでいなかった時代からもやしは栽培されていたんですよ。驚きですね!説明していて何ですが、豆が発芽したらもやしなのですから驚きでもありませんか?
さて、平安時代にはすでに栽培されていたという記録があります。南北朝の争乱期には籠城時に豆を発芽させて飢えをしのいだなどという記録もあります。楠木正成さんの千早城籠城戦の話です。
江戸時代にも食べられていたという記録が見られます。注目すべきは、ひざの痛みや筋肉のひきつりに効いたとの記録があることです。江戸時代の流行病(実際は栄養面)、脚気に効果があったということなんでしょうか?脚気はビタミンB1の不足に起因するのだからもやしの喫食は効果があったと思います。しかし、今のような食事としてのもやしではなく、薬としてたまに食べる程度では効果は少なかったでしょうね。
さて、1950年代はまだ冷蔵庫などメジャーではありませんから、小さなもやし業者が都市近郊のあちらこちらで栽培していて消費者に届けていました。
流通が発展すると都市部近郊でなくても栽培が可能となります。こうして中小のもやし業者は淘汰されていきます。現在は150社程のもやし業者さんたちが頑張って育ててくれているんだそうです。
暗い場所での育成が適している「もやし」、この特性を活かして潜水艦の中で育てられたこともあるとのこと。たしかに、映画「Uボート」を観ていると、出航直後は生鮮食品が豊富ですが徐々になくなっていく内容でしたね。トイレまで食品庫に利用していたと思います。ビタミン不足を食糧から補うとしたら効果ありますね。今なら栄養サプリメントといったところでしょうか。
少々変わったもやしを育ててみよう!
緑豆もやしの育て方に慣れて来たら、次のステップもやしに挑戦してみましょう。種が発芽すれば「もやし」なのでバリエーションが豊かです!
大豆(枝豆)もやし
大豆が発芽すると豆もやしに成長します。豆の部分も食して美味しいもやしです。歯ごたえと味が良いのが特徴で、「ナムル」などに最高ですね。
小豆もやし
細く真っ直ぐ育つ小豆もやしは「豆苗」みたいなイメージをしてください。室内で育てても面白いもやしです。
ピーナッツもやし
落花生を発芽させたもやしです。ピーナッツと言えばハイカロリー食で栄養価も高いんですよ。味がピーナツなのも面白いです。
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おわりに
もやしの育て方や種類、ちょっとの歴史を紹介してきましたがいかがでしたか?
スーパーで安すぎる食材として安価で提供されているものから、割高なプレミアムもやしまで様々な種類が販売されています。割高なもやしを購入したことがありますが、歯ごたえ・風味など記憶に残る食材でした。毎回は無理ですが、料理によっては使用したいもやしです。
種と瓶はホームセンターで手に入りますので、栽培キットでなくても育成開始できます。殺菌消毒をよく行っておきましょう。初めが肝心です!気を付けたいのが雑菌の繁殖です。水を捨ててジャブジャブ洗浄すれば問題無いです。やるべき事を毎日できない人は厳しいですね。
ちょっと味噌ラーメンが食べたいな!と思っても家庭菜園ならすぐに収穫ができるのでいつでも食べることもできます。痛みやすい食材は家庭菜園で栽培すると新鮮なままの状態で喫食・提供できます。育てるのも簡単なもやしの栽培を始めてみましょう!