夏の代表果実の一つであるメロンは、数百円のお手頃なものから、数万円する高価なものまで、とても多くの種類があります。
みずみずしくツルッとした食感と甘い香りのメロンを、自分の手で育ててみたいと思いませんか。
今回は、メロンの種まきから収穫までの育て方をご紹介します。
Contents
メロンの栽培時期と育成条件
- 日当たり:日なた
- 育成適温:20~30℃
- 土壌酸度:中酸性~中性(pH6.0~6.5)
- 用途:地植え・鉢植え
- 耐寒性:弱 耐暑性:強
- 植えつけ:株間約80㎝
メロンの種類
メロンは大きく分けて、マクワ型メロン・マクワウリ・温室メロン・ハウスメロンの4つに分けられます。
その中でも家庭菜園に向いているのがマクワウリ型メロン。マクワウリ型メロンの中でも、代表とされているのが「プリンスメロン」です。
ノーネット系(皮に白い網目が無く、果肉が青い)はネット系(皮に白い網目があり、果肉は青と赤がある)よりも育てやすいのが特徴です。メロン栽培初心者であれば、ノーネット系をおすすめします。
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メロンの種まき・苗の管理
メロンを種から育てるときは、はじめにポットに種を撒きましょう。
- 発芽しやすいようにするため、一晩種を水につけておく
- 9~12㎝のポリポットを用意し土を入れる
- 深さ1㎝直径3㎝の穴をつくり、種を3~4粒まき、土を軽くかける
- 水を与える
3日位経過すると発芽するので、本葉が1~2枚出てきたら間引きをして2本にします。本葉が2~3枚出たら、さらに間引きをして1本立ちにします。
ここで注意することは、温度管理です。発芽したら日中は30℃以下、夜間は15~20℃位の環境で育てることにより、元気で良い苗が育ちます。
メロンの土作り
メロン栽培は、日光が良くあたりウリ科を連作していない場所を選びましょう。
メロンは酸性土壌が苦手なので、植え付け2~3週間前には石灰を土に入れてよく耕しておきます。石灰を混ぜることで、土壌が酸性からアルカリ性になります。
- 1箇所につき、深さ30㎝40㎝四方の穴を掘る。
- 複数植える場合は、株間が80㎝~1mになるようにする。
- 掘りあげた土に化成肥料を入れ、混ぜてから穴に土を入れ戻す
- 周辺にある土を集め、畝を作る(高さ10㎝・縦横60㎝ずつ)
- マルチを被せ、穴を開ける
メロンの定植適期
発芽して1ヶ月少したった頃、本葉が4~5枚になったら定植適期です。成長を促すために、晴れた日の午前中に行います。
深植えはせずに、必ず浅植えするようにして下さい。定植が済んだら、温度を保つためにホットキャップを被せましょう。
上部に穴をあけて、乾いてきたらその穴から水やりをします。メロンがホットキャップの高さまで成長したら、外しましょう。
メロンの水やり
最初の果実が結実するまでは、雨水のみで特に水やりの必要はありません。
結実を確認した後は、朝と晩の1日2回たっぷりと水分を与えてください。
メロンの肥料
肥料は土作りの時に入れた元肥の他に、実がついた後と実が大きくなりだした時の2
回施します。2回とも緩効性化成肥料を株元に適量ばらまきましょう。
あまり多くの肥料を与えると、病害虫の発生を促しメロンの糖度が低くなってしまうので、注意が必要です。
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定植後の管理
メロンの摘心
メロンの摘心は2回行います。
- 6月:親づるは本葉5~6枚で摘芯。元気な子づるは3本の残し、他は摘み取る。
- 7月:本葉を20~25枚付けている子づるの先を摘心。各子づるの7節目まである孫づるを摘心(その先にある雌花はそのままにしておく)
摘心とは、植物をコンパクトに仕上げたい時、花や実を沢山咲かせたい時に行う植物の新芽を取り除く作業です。
先端を切り離すことにより、植物などに栄養が行き渡り発達が良くなることで、沢山の実を付ける結果をもたらします。「摘心」または「摘芯」とも表記されます。
摘心を行う頃には、つるが長く伸びてマルチ部分からはみ出るようになります。はみ出した部分には、敷ワラを敷いて枝を誘導していきます。
メロンの人工授粉
メロンはミツバチなどが自然交配を行ってくれますが、受粉を確実なものにしたい時は人工授粉を行うようにします。
方法は、雄花の花弁を取り、雌花に軽くつけるだけ。雄花は親づる、雌花は側枝の第1節に咲きます。人工授粉は24時間、気温20℃の環境が必要となるので、暖かい天候条件で行いましょう。
メロンの摘果
こぶし大の大きさになった実が出始めたら、子づる1本に対し実が1~2個になるようにするため、余分な実は摘み取るようにします。
この作業で栄養が充分に行き渡り、美味しいメロンを収穫することができます。
メロンの収穫時期と収穫方法
今回おすすめしているノーネット種のメロンなら、受粉後およそ45~50日が収穫適期です。メロンの収穫はタイミングをはかるのが難しいとされています。
人工授粉した日にちを記録しておき、収穫適期あたりで1個試しに取って、味を確かめてみましょう。
完熟したメロンの見極め方法は、ヘタの周辺にリング状の亀裂があること、芳香がしてくること、実が付いている節の葉全体が黄色く変化してきていることです。
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メロンに発生しやすい害虫と害虫病
炭疽病
土に窒素分が多い時、夏に低温で雨が多い時に発生しやすく、ウリ科の作物に多く見られます。葉に黄色い斑点が出現し、次第にそのまわりが褐色に縁取られていきます。
マルチをすることで病原菌の繁殖を防ぎ、適切な肥料の管理を行いましょう。かかってしまった時は早めに薬剤を散布します。
また、伝染する可能性があるので、支柱を使用している時は他の作物等で使わないように破棄してしまいましょう。
つる枯病
この病もウリ科の作物に寄生するもので、葉、葉柄、茎、果実に発生します。最も発生しやすい場所は地際部分の茎で、最初に灰緑色、次に黄褐色に変化します。
また、湿度が高い場合は水浸状になります。16~24℃の湿度が高い場合に発生しやすく、特に実をつけだした時期以降に発病が多くみられます。
つる割病
カビが原因の病気で、5~10月によく見られます。初期段階では、日中に茎や葉がしおれても夕方になると回復します。しかし、次第に菌が蔓延していくと、夜になっても回復せずに茎にカビが発生したり、黄色いヤニのような汁が出たりします。
最後には、根全体が褐色に変化して株が枯死します。感染する病気なので、病気にかかった場所は早めに除去しましょう。また、除去した茎や葉は近くに置いたままにしてはいけません。感染した株元にあった土は必ず、太陽熱消毒によって菌を殺すようにしてください。
この病気の特効薬は無いので、病気の早期発見を心がけるようにしましょう。
菌核病
多湿になると葉、茎、果実に発生する病気です。茎の場合、水浸状から淡渇変し、次第に白い綿毛のような菌糸が増えてきます。最悪の場合、メロンが枯死します。
害虫では、アブラムシやハダニなどの被害が多く見られます。早めに対策をすることが肝心です。定植する時に、穴の中に粒状の殺虫剤を入れておくと効果的です。
おわりに
今回は、メロンの育て方についてお話ししてきましたが、いかがでしたか。
メロンには、バナナよりも多いカリウム、食物繊維やビタミンC、カロテンなどが含まれており、その栄養価は抜群です。
土壌酸度の調節や摘心をきちんと行って育ててみましょう。きっと美味しいメロンができ上がるはずです。