ドリンクにお菓子作りに、そして料理にも大活躍するフルーツと言えばレモン。
爽快な酸味と、ビタミンC含有量の多さで知られるレモンですが、実は家庭でも栽培することができます。
これからお庭に何を植えようか?とお考えの
方のためにレモンの育て方をご紹介します。
Contents
レモンの育成条件
植え付け・植え替え | 剪定 | 収穫 | |
全地域共通 | 3月下旬~5月下旬 | 3月上旬~4月中旬 | 10月~4月 |
レモンは果樹ですので、一度植えつければ毎年収穫が楽しめますが、収穫できるようになるまでは3~5年かかります。
寒さには弱く温暖で雨の少ない気候を好むので、地植えで栽培するならば中国・四国地方より南の、山間部を除く地域が適しています。それ以外の地域では鉢植えで育てると良いでしょう。
レモンの樹形
樹高:2~4m
樹幅:放任すると樹高と同程度。剪定によって整枝できます
性質:常緑性(寒さにあたると落葉します)
- 日当り:日なた
- 土壌酸度:弱酸性~中性
- 生育適温:3℃以上
- 植え付け:品種および想定している樹幅によりますが、地植えなら4~5m以上。プランターの場合は40cm径以上の鉢がよいでしょう。
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苗木の購入と品種
レモンをもし種から育てようと思ったらかなりの根気と時間が必要です。それよりも品質の安定している苗木を購入して確実に育てましょう。
果樹の苗木を購入する際は○年生という風に、台木に接ぎ木してからの年数がわかるようになっています。詳しい説明は省きますが、若い苗からじっくり育てたいという場合は1年生、ある程度育ったところから確実に栽培したいという場合は2年生以降がいいでしょう。
2、3年生以降の苗木であれば購入したままの状態で育てられるようにしてあるものもありますし、少量ならばすぐに収穫することも期待できます。
レモンの代表的な品種
リスボン
日本での栽培にも適している、最もスタンダードなレモンがリスボンです。
とは言っても比較的寒さに強く、枝の伸びが良いなど優れた点の多い品種です。トゲはあるので室内に置く場合などは注意が必要です。
ユーレカ
リスボンと比較すると耐寒性は劣るということですが、トゲが少ないという利点があります。
また果実も種が少なくジューシーという特徴があり、人気の品種です。
ビアフランカ
別名「トゲなしレモン」と言われていますが、木が小さいうちは多少トゲがあります。
育てやすく実つきがいいうえユーレカにも劣らずジューシーな実がなります。扱いは少なくやや手に入りづらいようです。
マイヤー
オレンジとレモンが交雑してできた品種とされています。
実つきもよく育てやすいのですが典型的なレモンとは少し異なり、より酸味が穏やかで香りも強く、果実の形も丸みがあります。
レモンの土作り
レモンはカリフォルニアなどの地中海性気候、つまり温暖で乾燥した環境を好むので排水性の良い土で育てる必要があります。自前でブレンドするならば赤玉土(小粒):腐葉土:川砂を6:3:1の割合で混ぜたものがいいでしょう。鹿沼土は酸性なので避けます。
今は果樹向けの園芸用土、さらには柑橘類向けの用土まで販売されていますのでそちらを利用するのもひとつの手です。
地植えにする場合は水はけが良く強風のあたりにくい場所を選び、植え付けの2~3週間前には苦土石灰と有機質を混ぜ込んでおきましょう。
プランターの場合は水はけをよくするために鉢の底に鉢底石を敷いておきます。
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レモンの植え付け
植え付けは3月~5月に行います。準備として直径、深さとも約50cmほどの穴を掘っておきます。
掘り起こした土と腐葉土などを混ぜ、穴の1/3ほどを埋め戻したらポットから抜いた苗木の根鉢を崩してから苗を立て、周りを土で埋めます。
このときに接ぎ木部分が埋まらないように注意し、苗を固定できたら水をたっぷり与えます。また、丈を高く伸ばしたい場合は支柱を立ててあげるといいでしょう。
レモンの植え替え
プランターで栽培していると2~3年ほどで根が鉢いっぱいに張ってしまうため、大きな鉢に植え替えてあげる必要があります。植え替えをすることで根詰まりを防ぎ、通気性や排水性も良くなります。
新しい鉢を用意したら鉢底石をいれてからこれも新しい土を補充します。前の鉢から抜いたレモンは根を一回り小さくなる程度にカットしてから植え付け、しっかりと根の周りを埋めるように土をいれましょう。たっぷりと水をあげれば完了です。
栽培計画の目安
レモンは観葉植物として楽しんでもいいのですが、せっかく育てるならばやはり実を収穫したいものです。
充実した実をつけるためには植えつけてから数年は収穫を見送る必要があります。以下のような栽培計画が1年生苗木の基本的な流れとなりますので、参考にしてください。
2~3年生の大苗を購入された場合、植えつけた年から収穫できる場合もありますが翌年以降を見越して実を1~2個だけ残すようににしたほうがいいでしょう。
- 1年目:植え付け・初期剪定、肥料と水やり
- 2年目:肥料と水やり、状況に応じて摘果
- 3年目:肥料と水やり、剪定(3~5月)、摘蕾(5月頃)、摘果(7月頃)
- 4年目以降:肥料と水やり、剪定、摘蕾、摘果、収穫(10月~2月)
レモンの水やりと肥料
水やり
乾燥には強いレモンですが、夏の晴天が続く時期には毎日たっぷりと水を与えましょう。
特に鉢植えの場合は水が足りなくなりがちなので注意しましょう。冬場は週に1回ほどでOKです。
肥料
レモンは肥料好きで、実を充実させるには肥料は欠かせません。地植え・鉢植えともに3月、6月、11月に緩効性の化成肥料か有機配合肥料を与え、肥料切れを起こさないようにします。
樹勢が弱い、葉の茂りが少ないと言う場合は液体肥料を半月に1回のペースで与えてみましょう。
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レモンの栽培管理
剪定
地植えの場合は幹を中心に枝が横へ展開する開心型が風通しもよくおすすめです。鉢植えの場合は屋内に入れることも見越して枝を上向きに誘引し、紡錘形に仕上がるようにすると良いでしょう。
まず植え付け直後に苗木の初期剪定を行います。上から1/3のところで切り詰めて、1年目と2年目は伸びるに任せましょう。3年目からは剪定をしますが、対象は「剪定の前の年に伸びてきた枝」です。対象の枝の先端をまず切切り詰め、そこから分岐する残したい枝を決めたら余分な枝は切り落とします。
鉢植えの場合はワイヤーなどを使って上方向に誘引することで全体の形を整えていきます。剪定の目的は全体の形を整えることと、風通し・日当りの改善にあります。完成形をイメージしながら切り落とす枝を選んでください。
摘蕾(てきらい)および摘果
摘蕾は花のつぼみを摘み取ること、摘果は実を落とすことでいずれも目的は養分の消費を避け、葉の勢いを強くすることです。
レモンは植え付け3年目くらいから花を咲かせ始めますが、樹が育ちきっていないのでその年の収穫は見送るか、ごくわずかだけ残してつぼみのうちに摘み取ってしまいます。時期は5月ころです。
収穫が出来るようになってからも、花の咲きすぎ、実のつけすぎは木の体力が落ちるので良くありません。花については、収穫したい枝以外についた花は摘み取ります。また、その枝からであっても夏以降に咲いた花からなった実は小さいうちに落としてしまいましょう。
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レモンの防寒対策
温暖な地域以外では、冬の寒さに当たるとレモンは葉を落としてしまい翌年の収量に期待できなくなってしまいます。
鉢植えであれば屋内で管理するか、ワラ囲いや寒冷紗などを用いて樹全体を保護してあげるといいでしょう。雪が降る地域では地植えでの栽培は難しいということになります。
レモンの収穫時期と収穫方法
レモンは春に咲いた花からなった実を秋以降に収穫できます。黄色く色付きはじめたら収穫し、室内で追熟して食べごろを待ちましょう。もちろん青いうちに収穫しても香りはじゅうぶん楽しめます。
トゲのある品種では軍手などを着用し、園芸バサミでヘタの上あたりから切りとりましょう。葉をつけた状態で切り取るのもいいでしょう。
収穫が遅れると酸味が薄れ、果汁も少なくなるので黄色くなり始めた頃を狙ってください。
レモンがかかりやすい病気や害虫
かいよう病
風で葉っぱと果実がこすれてできた傷から細菌に感染する病気です。虫が食害した傷から感染することもあります。
症状としては葉や果実に褐色~黒色のクレーターのような斑点ができます。発病しても中まで侵食されるわけではないので食べることは出来ますが、見た目が悪く好まれません。また、雨によって伝染しやすいという性質があり、多発すると葉が落ちてしまうこともあります。
対策としては風通しを良くすることと、強風にさらされないようにすること。また感染した葉や果実は見つけしだい取り除きます。殺菌だけでは完全に対策はできませんが、他の病気の予防もかねて「コサイド3000」などを散布し防除していきます。
ミカンハモグリガ
柑橘類の大敵で、文字通り若い葉の中にもぐってトンネルのように食害します。春から秋まで新芽を出すレモンは特に標的になりやすく、しかも食害された跡から上記のかいよう病に感染しやすくなるというオマケつき。
見つけ次第つぶしてしまうか、広範囲にわたる場合は「ダントツ水溶剤」などで防除します。
おわりに
レモンを育てるには根気も必要ですが、一度収穫できるようになればあとは毎年自家製のレモンが楽しめます。
自家製のレモネードなんて、おもてなしにも素敵ですよね。
ちなみにレモンは花もかわいらしく、咲いたときの香りも爽やかなので、観葉植物としての実力もあなどれません。お部屋に一鉢、育ててみてはどうでしょうか。