秋口になると、野山で朱色の実がなっているのを見かけたことがあるでしょうか?
カラスウリは、ウリ科に属するツル性の多年草で、ツルの性質を生かしたグリーンカーテンやお守りに使われる種などが有名で、一晩しか咲くことのない幻想的な花も魅力的な存在です。
ツチウリ、ヤマウリ、玉章(タマズサ)、キツネノマクラなどの別名もあり、日本や中国を原産とする昔から馴染み深い植物でもあります。
今回は、カラスウリの育て方についてお話したいと思います。
Contents
カラスウリの栽培時期と育成条件
- 日当たり:日なた
- 用途:地植え・プランター
- 耐寒性:強い
- 耐暑性:強い
- 花色: 白
- 開花時期:7~9月
カラスウリの好む環境
カラスウリは暑さ、寒さに強く繁殖力も旺盛な植物です。
日光の当たる場所を好みますが、それほど土や場所を選ぶことはありません。
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カラスウリの種まき
種の購入
初めてカラスウリの栽培に挑戦するなら、ネットなどで販売されている種を購入すると便利です。
雌雄異株(しゆういしゅ)なので、1つの株には雌か雄の実しかできません。実をならせたい時は、複数の種を購入して植えましょう。また、種の発芽率は低いため、植える数よりも多めに購入することをおすすめします。
種まきの適期は12~5月ですが、気温が低いと発芽しません。発芽適温は20~25℃ですので、遅霜が無くなる4~5月、寒い地方なら6月初旬に種を撒いたほうが良さそうです。植える時は、果肉を水でしっかり洗い流して種を取り出しましょう。
種まき
種を購入したら、セルトレーなどの小さな容器に種を植えていきましょう。土は種まき用の培養土を利用すると便利です。
また、自分で作る場合は小粒の赤玉土と腐葉土を7:3の割合で混ぜたものを使用しましょう。
- 容器に土を入れ、1つの容器に対して種を1粒入れる
- 土を被せて充分な水やりをおこなう
- 発芽までの間は、土が乾かないように管理
- 発芽したら、土が乾いてから水を与える
種は縁起物としても使われる
カラスウリの種の形は、「大黒様のお顔」や「打ち出の小槌」に似ていることから、金運アップのお守りとして活用されています。
果実から出てきたばかりの種の色は黒、しばらく置いておくと褐色に変化することからも、お財布の中に入れておく縁起物として人気があります。
カラスウリの用土
カラスウリは用土をそれほど選ばす、痩せた土地でも育てることが可能です。ただし、実つきを良くしたいのであれば腐葉土を含んだ有機質の多い土を作りましょう。
鉢やプランターに植える場合は、市販されている培養土を利用し、畑など地植えをする場合は、土を充分に耕して腐葉土を全体の2~3割くらい混ぜ込みます。
カラスウリの植えつけ
植えつけの適期は5~6月。良く晴れた日の暖かい時間帯に行いましょう。
ほどよく日光の当たる場所を選ぶのがポイントです。
プランター栽培の場合
カラスウリはツルを伸ばしながら生長していく植物です。そのため大きめのプランターが必要です。
プランターは、60㎝以上幅のあるものを選びましょう。プランター1つに対して、カラスウリ1株を植えます。
また、鉢を利用する場合は10号以上のものを選びましょう。
- プランターに草花用培養土を入れる
- 株より一回り大きな穴を作り、根をくずさないようにそっと浅く植え込む
- 最後に充分な水やりを行う
地植えの場合
用意する土は既述の通りです。手順は、プランター栽培の時と同様です。
複数の植えつけをする時は、株間を約70~100㎝確保しましょう。
カラスウリの水やり
ツル性のカラスウリにとって水分は生長にかかせない要素です。プランターや鉢での栽培では、表面の土が乾いたら充分に水をあたえてください。地植えの場合は、乾燥期が続いている時は水やりが必要です。
葉が黄色になってくる、葉の大きさが小さいまま生長しない場合は水不足が原因と考えられます。これらのサインを発見したら普段より多めの水をあたえましょう。
カラスウリの肥料
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カラスウリが最も生長するのは開花時期の7~9月。肥料を与える場合は、この時期に2週間に1回液体肥料を施しましょう。
また、化成肥料の場合は2ヶ月に1回の割合であたえてください。
カラスウリの栽培管理
剪定
必要以上に生長したツルは、適度に剪定しましょう。
ツルを放置したままにしておくと、ツル同士が絡まってしまいます。
フェンスなどへ誘引
カラスウリが生長するにしたがって、ツルがどんどん伸びていきます。そのため垣根やフェンス、支柱など巻き付くものが必要です。元々フェンスなどがある場合は、その近くに植えつけをしましょう。
巻き付くものがない場合は、ネットなどを設置してツルを誘引してあげましょう。カラスウリを上手に誘引すれば、グリーンカーテンとして活用することもできます。
植え替え
鉢やプランターが小さいと感じたら植え替えをしましょう。春または秋の天気の良い暖かい日を選んでください。
植え替えが終了したら、充分に水をあたえましょう。
カラスウリがなりやすい病害虫
カラスウリは特に心配するような病害虫はありません。
記述の育て方に気をつけていただければ、心配はしていただかなくても大丈夫だと思います。
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カラスウリの花
カラスウリの開花時期は7~9月。夕方または夜から翌朝にかけて咲く一日花で、純白の花と花弁から伸びるレース状の縁が幻想的な雰囲気を醸し出します。
夜に特徴的な形で花が咲くのは、カラスウリの受粉を行う夜行性の蛾をおびき寄せるためと言われています。
花言葉は「よき便り」「男ぎらい」「二面性」「誠実」です。
カラスウリの収穫
カラスウリの実の収穫時期は10~11月。実がオレンジや赤に変化しだしたら収穫しましょう。あまり熟しすぎると簡単に潰れてしまいますので、注意が必要です。
また食用にする際も、熟した実は苦みが強いので早めに摘み取ってしましましょう。カラスウリの実は、味噌汁の具やぬか漬け、塩漬けなどにすることができます。
他にも、葉と一緒に収穫してお部屋のインテリアや、ドライフラワーなどでも楽しめます。翌年のために種を利用したい場合は、日の当たらない風通しの良い場所で実をよく乾燥させましょう。
カラスウリの冬越し
カラスウリは冬になると休眠します。
多年草の植物なので、翌年も再び花や実を楽しむことができます。
この時期の水やりは控え目にしましょう。
カラスウリの増やし方
カラスウリは繁殖力が旺盛な植物ですので、種からはもちろん、塊根や挿し木で増やすことができます。塊根はサツマイモのような立派な形をしており、種のように土の中に植えると地面の中で生長して繁茂します。
自分で育てたカラスウリの土を掘って塊根を取り出したら、再び大きめのプランターで栽培するとよいでしょう。
種から育てる場合は、花が咲くまでに2~3年の月日が必要とされていますが、塊根から育てた方が早いので早く花を見たい時は塊根を利用しましょう。挿し木で増やす時は、赤玉土やバーミキュライトに指すと、すぐに生長を始めます。
おわりに
カラスウリの秋を感じさせる実以外にも、夏の夜に一日しか咲かない花に興味をそそられる方も多いのではないでしょうか。
一日花といっても、カラスウリの花は開花してから2~3時間で閉じてしまいます。こんなに短い時間しか咲かない花は珍しいですよね。
興味のある方はカラスウリの栽培にチャレンジして下さいね。