スーパーに行くと「えのき」として販売されていますが真っ白で、もやしみたいなキノコですね。しかし、切り株などに自生している「えのき」はあんなに白くありません。色も形も異なります。
そもそも「えのき」を漢字で書きますと「榎」です。自生している「えのき」は榎の切り株などに生えています。
今回は、「えのきの育て方」の説明なので、菌床(オガクズ)で栽培する方法・自然界の切り株に自生している状態に似た育ちかたをします。
もう一つ、スーパーで販売している白いえのきの育て方(生産方法)も触れていきたいと思います。
Contents
菌床の準備
栽培キットは菌床が入っています。これは、オガクズ等を固めた培地に、エノキの菌が含まれた状態になっています。
菌床の上部が白くなっているので、スプーンなどで数ミリかきとります。「菌掻き」といって菌床上部をかき取ることによって刺激を与えて菌の活動を促します。
えのきの栽培開始
畑の栽培なら種や苗の定植で栽培開始といった実感がありますが、菌類の栽培開始は、手ごたえ無く静かに開始するといった感じです。栽培キットの菌床に水を注いで開始です。
袋のまま水をそそぐこと30分。水を溜めておけば、充分菌床に水が行き渡るでしょう。その後に水を捨てて下さい。
次に赤玉土に水を含ませたら、菌床の上にまんべんなく敷き詰めましょう。菌掻きの効果もあって、ほぼ同時(バラつき少なく)に芽がでてきます。
赤玉土を敷き詰めたら保湿が必要です。えのきは菌類なので程よい多湿状態で発芽させます。袋に入れた状態で完全密封にしない、半分程度開いた状態にしておきましょう。
えのきの栽培管理
直射日光は避けて、高温の場所も避けましょう。10℃~18℃の温度が3~4日続くと発芽条件が整います。夜間の温度が15℃以下になる場所で栽培します。
15℃以下は厳しいですね。秋から冬の寒い季節でないと栽培は困難です。
- 日当たり:直射日光を避ける
- 土 壌:毎日1回の霧吹きで湿らす
- 栽培場所:室内で栽培
- 発芽期間:2~3週間で発芽します。
2~3週間で芽が生えてきます。見慣れた真っ白いえのきではなく、茶色(ブラウン)です。切り株に自生しているえのきに近い色合いです。
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えのきの収穫とその後
菌床の周囲から芽がでてきます。スーパーで販売されているような笠が小さいうちに収穫してもいいのですが、せっかくの家庭栽培ですから、大きく育ったえのきを収穫したいですね。
収穫が終わりましたら赤玉土を一度取り出します。その後にスプーンなどで、再度の菌掻きを行います。再び赤玉土をブロックに戻します。最後に水を与えて次の発芽を待ちましょう。栽培袋に入れる手順は前回と同様です。
野生のエノキについて
榎に限らず切り株に自生している「えのき」とスーパーで販売されている「えのき」は品種が違う別物です。
野生のえのきは柄の部分が短く茶褐色でかさが大きいです。お店で販売されているえのきは“ひょろり”としているので見た目から違いますね。
人工栽培のえのきは?
お店で販売されているえのきは、太陽の光を当てないからひょろりとしていて細長いのかと思いますがちょっと違います。
昔のえのきは光を当てないで育てるものもありました。しかし今のえのきは光を当てて育てますがそれが白いえのきです。それは、茶色にならない品種を栽培しているからです。
さて、人工栽培のえのきの農場(工場のような感じです)では、プラスチック製の瓶に菌床を入れて1年中栽培しています。温度や湿度・水分を管理して安定供給をしています。そういえば、天候不順で葉物野菜が不足して高値となっても、キノコ類のえのきは値段が安定していますね。それは工場の栽培だからです。
ひょろひょろ育つのは、かさの成長が抑えられてしまうからです。原因はきのこ周辺の二酸化濃度と関係があるようです。瓶の口を紙で覆って筒状にして栽
培しているのですから、ひょろひょろに育ちますね。
農園(工場での栽培)での栽培はどうやっているのでしょう?
自然のえのきのように榎などの切り株で育てるのではありません。菌床(おがくず)の準備から入ります。収穫までの一連の行程には、約2ケ月の日数がかかります。
菌床(培地)をプラスチック製の瓶に詰めていきます。その際に殺菌をするので農薬は必要としません。このあたりは、スーパーでえのきを購入する際の安心感です。さらに、外国産のえのきは見かけない、やはり国産は安心感があります。
瓶に詰められた「えのき」の菌を約28日間培養します。瓶の隅々まで繁殖させます。
瓶の培地の古い菌糸を除去します。スプーンなどで、かき取りましょう。その後水を与えてえのきの発芽を促進させます。
温度を下げて芽の伸びを抑えます。これにより芽数を増やしていきます。スーパーで販売されているえのきは、たしかに芽数が整っていて密集しています。
次にえのきがまっすぐ育つように紙巻を行います。これが、ひょろひょろのえのきの栽培につながる一因でもあります。
屋内栽培のえのきと苦手食材の克服
えのきの嫌いな人は少ないと思いますが、室内の身近な所で育てる事によって苦手な食材を食べられるようになる効果はあると思います。
例えば、椎茸が苦手な子どもは多いようですね。どうして嫌いな食材が出来てしまうのか?
1 そもそも親が好きではない食材である場合。
しいたけを好きではない親がいると子どもも椎茸を好きになることは少ないでしょう。親が子どもの目の前で、不味そうに食べていたら子どもは好きになれません。また、嫌いな食材を親が積極的に調理するかと言えば、あまり考えられません。
このように、親が好んではいない食材を、子供が好きになる可能性は非常に低いと言えます。そこで、栽培きっとで育てることによって、子どもが野菜の育成に興味を持って食べるようになるかもしれません。
2 食感が苦手
食べた瞬間にニュル!とする椎茸・エノキです。その歯・舌触りで嫌いになってしまう子どもも多いのでしょう。実際に育てる事によって、弾力を実感すると興味を持ってくるようです。
子どもの嫌いな食材・野菜の問題は、子どもの成長と共に解消されていくでしょう。無理に食べさせることの方がマイナスです。成長の過程に、栽培キットや家庭菜園で野菜を育てる実体験を用いてみてはどうでしょうか?
今回ご紹介してきた「えのきの栽培」。菌床がセットになったキットが販売されていて、手軽に栽培体験を開始できます。
おすすめの菌床栽培キット
1 エノキ栽培キット「もりのえのき農園」
2 エノキタケ菌床「もりのえのきたけ農園おかわり君」」
まとめ
季節を問わずスーパーで見かける機会の多い「えのき」の育て方いかがでしたか?
「栽培するえのき」と「自生するえのき」の育て方や種類の違いを、並列で説明してきましたので少々混乱させてしまったかもしれません。
スーパーのえのきですが、最近は真っ白なえのきが多いように思います。以前は乳白色で今より白さが際立ってなかったように感じます。
消費者のニーズで「真っ白えのき」が好まれるので品種を改良したそうです。時代と共に商品も変わっていくのですね。
そういえば、最近のスーパーでは「自生えのき」に近い茶褐色のえのきも販売されていますね。
「えのきといえば真っ白」という概念を変えるには、栽培キットで茶褐色のえのき栽培は効果があると思います。「茶褐色の菌種を選んで試してみよう!」のチャレンジは大切です。
それでは、菌床えのきの栽培キットで屋内栽培にチャレンジしてみましょう。
人気の商品は品薄傾向なので売り切れもあるようです。