夏の盛りにスーパーでドン!とした存在感を放っているのが、ウリ。
漬物はもとより、味噌汁の具やサラダなどにも活用できる頼もしい野菜です。
メロンの仲間であるウリにはいろいろな種類があり、シロウリ、カタウリ、シマウリなどに分けられますが、ここでは比較的メジャーなシロウリの育て方をご紹介します。
Contents
ウリの育成条件と栽培時期
育苗 | 植え付け | 収穫 | |
寒冷地 | 4月中旬~5月下旬 | 5月中旬~6月下旬 | 7月中旬~9月上旬 |
一般地 | 3月下旬~5月上旬 | 4月下旬~5月下旬 | 6月上旬~8月下旬 |
暖地 | 3月上旬~4月中旬 | 4月上旬~5月中旬 | 5月下旬~8月中旬 |
- 日当り:日なた
- 土壌酸度:中酸性~中性(pH値6.0~6.5)
- 植え付け:株間70cm以上
ウリの種まき・苗の管理
種から育てる場合、発芽時期と定植前に温度の管理が必要になります。霜の心配がいらない、暖かい地域では畑に直まきして育てても良いでしょう。
発芽適温は25~30℃なので、春先から育苗するときはホットキャップや園芸用のヒーター内蔵マットがあると便利です。
- ポットに種をまく場合は、10.5~12cmのポットに培養土を入れたら湿らせておき、深さ1cmの穴をあけたら種を2~3粒、お互いがくっつかないように入れます。
- 軽く抑えてから水やりをします。発芽まで25〜30℃に保つことが必要になります。
- 発芽して、子葉が出てきたら2本立ちに間引きます。その後、本葉が出てきたら生育の良いものを1本残して間引いてください。その際根を傷つけないよう、他の苗は地際できってしまいます。
- 定植時期まで30日ほど、本葉が4~5枚になるまで育苗します。この期間にだんだんと温度を下げていき、定植前には外気温と同じくらいの温度で管理します。
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ウリの定植適期
ウリの定植適期は、本葉が3~4枚出たあたりです。あまり成長しすぎても良くありません。
定植の時期は外気温が安定して18℃以上になった頃です。上記の栽培時期表が目安となりますが、地温が低い場合はマルチシートを使って地温を上げましょう。
ウリの土作り
定植の前に土作りをしておく必要がありますが、成長するとツルが四方へ広がりますので畑は日当りと風通しがよいところにある程度の広さを確保しましょう。
まず土壌酸度の調整ですが、ウリの栽培に適した土壌pHは6.0~6.5です。定植の2~4週間前には苦土石灰をまいて土へなじませておきます。
植え付け1週間まえほどに元肥として10㎡あたり20~30kgの堆肥、および有機配合肥料800グラムを30cmほどの深さの土と良く混ぜ合わせておきましょう。
畝作りとマルチがけ
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土作りがすんだら、畝を立てていきます。
幅は1.5mくらい、高さは10cm程度の畝を作り表面は板で平らにならしておきましょう。株間は最低でも70cm以上とれるように計算してください。
ならしおわったら水をまき、定植の1週間前くらいにはマルチシートをかけて地温をあげていきます。雨の後にマルチを敷くようにしても良いでしょう。
ウリの定植のポイント
定植は5月ごろ、外気温が安定して18℃を超えるようになってから行います。暖かい日の午前中が良いでしょう。
その際、株間の目安は70cm~1m程度空けるようにし、マルチに穴を開けたらポットの大きさと同じ程度の穴を掘っておきます。この穴にも十分水をかけておきましょう。
苗はポットのままたっぷりと水をやっておき、根鉢を崩さないようそっと取り出します。穴に苗を植え付けるときは、深植えしないように畝の表面とほぼ同じ高さに植え込み、軽く抑えたら再度水を与えて完了です。
定植からしばらくの間は、トンネルがけをするかホットキャップで保温しておくと成長が早くなります。また、マルチの上に敷きわらを敷くのも保温や実の保護の観点からおすすめです。
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ウリの栽培管理
水やり
ウリの水やりは着果までと着果後であげ方を変えます。ウリは乾燥には強いほうなので神経質になる必要はありません。
着果前は葉の様子を見ながら、日中にしおれない程度の水やりをします。マルチをかけているので畝の間に潅水してください。
着果したあとは実の数と大きさにあわせて水の量を増やしていきます。
追肥
最初の実が着果したのを確認したら、追肥を行います。
化成肥料を一株につき一握り程度、畝の間にまいてから水をやります。
受粉
自然受粉で問題ありません。もし確実を期したいという場合は雄花をひとつ摘み取り、雄しべをのこして花弁を取ってしまい、それを雌花の柱頭に押し当てていきます。
天気の良い日の朝に作業すると良いでしょう。
ウリの整枝と摘芯について
ウリは伸びるに任せてしまうと葉が多くなって風通しが悪くなり、これが病気の原因となります。また、養分が分散してしまい実が大きくなりません。
そのため、本葉が5~6枚になったころから摘芯による整枝を行っていきます。ですが、やみくもに切ってしまうと今度は収穫できる数が少なくなってしまいます。ポイントを抑えて摘芯していきましょう。
親ヅルの摘芯
地面から生えている大もとのツルが親ヅルで、親ヅルから出ているのが本葉です。ひとつめの本葉が出ているところを1節目として、本葉がでるごとに2節目、3節目・・・と数えていきます。
2節目からはツルが分岐していきますが、これを子ヅルといいます。まずは子ヅルの数を制限してあげる必要がありますが、これは一株に3~4本くらいが適当です。そこで親ヅルは5節目か6節目まで伸びたら、そこで先端の芽を切り落とします。
子ヅルの摘芯
子ヅルもさらに分岐して孫ヅルが生えていきますが、こちらも勢いよく増えていきます。これも葉が出てそこからツルが出るようになっており、1節目、2節目・・・の数え方は同じです。
子ヅルについてはある程度までは伸ばしていき、14~15節目あたりで先端を切り落とします。
そして根元のほうも、3~4節目から出た孫ヅルは落としてしまいます。ウリは孫ヅルにできるのですが、6節目から10節目から出た孫ヅルに着果させるようにします。
孫ヅルの摘芯
上記のとおり、着果させるのは子ヅルからみて6~10節目の孫ヅルとなります。ではそのほかの孫ヅルはどうするかというと、放置して実がついてしまわないように雌花がでたらかきとってしまいます。
少し葉を残しておいたら、先端を摘芯してもかまいません。
またそこまで成長するころには葉も茂ってきているはずなので、余分な葉を切り落として風通しをよくするとともに、ツル同士が絡まないようにしておきましょう。
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ウリの収穫時期と収穫方法
収穫時期の判断
ウリは果実の長さが20cm~40cmほどになり、皮にツヤが出てきた頃に収穫します。
大きくなった実と若い実では食感もちがいますが、代表的な食べ方である浅漬けにする場合は若い実がおすすめです。大きくなったものは奈良漬けや粕漬けに適しています。
収穫方法
手でももぎ取ることができますが、成長した実はそれなりの大きさと重さがあります。ハサミでヘタの付け根から切り取りましょう。
その際、できるだけ実に近い部分を切り取るようにしましょう。
ウリがかかりやすい病気・害虫
うどんこ病
表面に白い粉をふいたように葉全体が白くなってしまう病気です。原因はカビです。
葉が込み合っていると伝染しやすいため、余分な葉をおとして風通しをよくします。また乾燥すると発生しやすいため、適度に水をまきましょう。
病気の葉はすぐに摘み取り、薬剤を散布します。うどんこ病対策としては「ダコニール」や「アフェット」といった薬剤が使用されます。特にダニコールは使用回数が少なく、薬剤の残留性も低いのでおすすめです。
ウリハムシ
成虫は体長1cm程でオレンジ色の羽虫。幼虫はクリーム色でウジムシのような形をしており、その名の通りウリ科の植物を狙って食害します。
苗が育ちきっていない頃は、不織布やビニールで壁状に覆うことで近づかせないようにします。これは定植後の保温も兼ねるので理にかなった対策と言えます。また、光の反射を嫌う性質もあるとされるのでシルバーマルチを使うのも良いでしょう。
対策方法としては、見つけ次第捕殺します。薬剤で対処する場合は「ベニカスプレー」などが手軽に使用でき、アブラムシなどの対策も兼ねています。
おわりに
今回はシロウリの育て方のコツをお届けしました。やはり爽快な水気と歯ごたえがウリの醍醐味ですね。
ウリは昔話の題材としてもメジャーですし、時代小説でもよくウリの浅漬けが小道具として出てきます。
そんな風に日本人には馴染み深い存在であるウリで、夏を楽しんでみてはいかがでしょうか。