水菜は京野菜の代表でもあり、関東では京菜と呼ばれることもあります。
水菜は煮崩れしないことから、ハリハリ鍋など煮炊きに使われることが多かったのですが、生食でのシャキシャキした食感が人気になり、サラダの需要が高まっています。
今回は水菜の種まき〜収穫までの育て方、栽培時期や病気・害虫の対策についてご紹介していきたいと思います。
Contents
水菜の特徴
水菜は低栄養状態でもたくましく育つことから、水耕栽培にも適しています。マンションのキッチンやベランダでも少量栽培に挑戦することができます。
水菜のもつ栄養素は、粘膜や皮膚の健康維持に欠かせないビタミンAを筆頭に、カルシウムやカリウムを多く含んでおり骨の健康維持にも寄与します。
副菜として、調理しやすい野菜ですので、ぜひ栽培に挑戦してみてはいかがでしょうか。
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ミズナとミブナ
同じ京野菜であるミブナは、ミズナが変種したものです。
水菜の葉にはギザギザとした欠刻がありますが、ミブナは葉はへらのような丸葉です。京都の壬生寺近くで栽培していたことから、ミブナと呼ばれるようになりました。
ほんのりと辛みがあるのが特徴で、京漬物の代表である壬生菜漬けで知られています。ミズナとミブナには栄養面でも大差がないといわれています。
水菜の品種
京しぐれ
秋どりと春どりに適した子株栽培用早生品種のミズナです。低温下での株張りが旺盛で、分けつ性にも優れています。
葉軸は純白でごく細く、テリがあり、歯切れはがシャキシャキしているのでサラダ用に最適です。
白茎千筋京水菜
分けつ旺盛な、中生品種のミズナです。冬から春の収穫でき、耐寒性が強く、1株2㎏程度まで生長します。
鍋物や、浅漬けに最適です。
京みぞれ
周年栽培できる早生品種のミズナです。生育が旺盛で、葉は鮮やかな緑色をしており、葉軸は真っ白と、美しい草姿立性をしています。
アクが少ないので使える料理の幅が広く、サラダをはじめお浸し・煮物・鍋物に適します。
丸葉壬生菜
寒さに強く、栽培が容易なミブナです。特有の香気があり、漬物や煮物に向いています。
分けつ力が非常に強く、1株で4㎏程度の大株に育ちます。
水菜の栽培期間
近年品種改良によって、通年収穫できるようになってきました。
今回は代表的な作付けを紹介していますが、早くて種まきの約40日後から収穫適期を迎えます。
種によって異なるので、詳しくは種の袋の後ろにある表で確認してから購入するようにしましょう。
- 【春まき】種まき4月~5月末から順次収穫
- 【夏まき】種まき7月中旬~9月上旬→収穫期8月末~10月末
- 【秋まき】種まき9月中旬→収穫期11月下旬~翌年2月末
水菜の栽培管理
土づくり
連作障害を避けるため、水菜と同じアブラナ科に属するキャベツ、カリフラワー、ブロッコリー、ダイコンを栽培していない場所を選びましょう。
種まきの2週間前に苦土石灰100g/㎡と堆肥2㎏を全面に施し、よく耕します。前作の肥料が残っていそうな場合は、元肥料を施さずに栽培をはじめても大丈夫です。
栽培期が夏期であれば、生育を調整するために堆肥を7割程度に減らしましょう。
畝作りと種まき
畝幅80センチ、高さ15~20センチの畝を作ります。水菜は生育初期に水を好みます。しかし株が育つと多湿を嫌い、また高温期には軟腐病を発症する危険が高まるため、畝は高めにしておきましょう。
種は、畝に対して平行に、条間は20センチで4列の条まきにします。まき溝は浅く、覆土も5㎜程度とし、種まき後は土と種を密着させるために軽く手で押さえ、しっかりと水やりしましょう。
水菜を自宅で消費する場合は、種をまく日を、数日ずつずらしながらまくことで、収穫適期を調整することができます。夏季栽培で雑草の草勢に負ける場合は、繁茂を防ぐために銀マルチなどを利用しましょう。
間引き
1回目の間引きは本葉が2枚のころに行います。チェックポイントは3点あります。
- 黄緑色でひょろひょろと痩せていないか
- 葉の形がちぐはぐではないか、
- 虫食いはないか
混み合っている場所を空かせるためでもあるので、良い形の株であっても混み合っているようならばこのときに間引き、ベビーリーフとして楽しみましょう。
種まきから30日後、草丈が7〜8センチに達したら、株間40センチ間隔になるよう2回目の間引きを行います。
間引き後の株の根元がふらふらと不安定な場合は指先で土を寄せます。この時株の中心に土が被さると生長が遅れるので注意しましょう。
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水菜をサラダ用にする場合
最終の株間が5~6センチになるように間引き、密植栽培すると、軟化栽培のようになり、葉部分に比べて軸が長く伸びます。歯触りもソフトなので、サラダに適します。
追肥は2回目の間引き後に油かすを少量、株間に施肥します。葉が黄色くなっている場合は栄養が不足しているため、より吸収の早い液肥を与えましょう。
水菜の害虫
アブラムシ
葉裏などにくっついて植物の汁を吸います。繁殖力が高く、発見時には群れになっていることもあり、細菌を媒介するので、病気を発症させる危険が高まります。
とくに水菜はアブラムシが媒介するモザイク病に弱いため、アブラムシが付着している葉は、畑の外で処分します。
アブラムシを好んで食すテントウムシを見かけたら、ミズナの畝に住まわせましょう。
モンシロチョウ
アブラナ科の野菜はモンシロチョウの幼虫にとって最良の餌場であるため、成虫が飛来して産卵します。
ネットを被せ、産卵を未然に防ぐことも有効ですが、チョウが入り込むこともあるため、油断せず、葉の様子を観察しましょう。
幼虫は食害するスピードが速いため、見つけ次第捕殺します。
ヨトウムシ
ヨトウガという蛾の幼虫で、夜間に葉や実を食害することから「夜盗虫」と呼ばれています。卵は葉の裏などに密集して産み付けられるため、裏返して確認しましょう。
ヨトウムシは米ぬかが好物なので、トレーなどに米ぬかを盛り、風で飛散しない場所に設置し、おびき寄せます。集まったヨトウムシはトラップごと、畑の外で処分するようにしましょう。
水菜の収穫と保存
小さな株で収穫する場合は40日前後が収穫の目安です。草丈が25〜30センチ程度になったら順次収穫します。サラダ用のベビーリーフは、10〜12センチ程度から収穫できます。
水菜は収穫後時間が経つにつれ、葉が黄色みを帯びて、色褪せてきます。湿らせた新聞紙やキッチンペーパーで根元を包み、蒸発しないようにビニール袋に入れて、冷蔵後で保管します。
上に向かって成長しようとする性質があるため、寝かせて保存すると葉が起き上がり、曲がってしまいます。なるべく立てて保管するようにしましょう。シャキシャキした食感は損なわれますが、ゆでてから冷凍保存することもできます。
お浸しなど副菜として常備してみてはいかがでしょうか。
おわりに
今回は水菜の栽培についてご紹介してきました。11月に種をまき、2~3月に収穫する作付けもおすすめです。
アブラナ科の大敵である害虫被害も少なくてすみます。水菜の生育適温は15〜25℃ですが低温に強く、-2℃でも越冬できます。
寒さに当ててやることで、ペクチン質が細胞と細胞を密に結合させ、しなやかな軸に育ちます。また、低温環境では糖分が葉に集まり、甘みを蓄える特徴があるため、葉の色が淡くなります。
水菜は生育が旺盛なので、株を残して軸から収穫すると数回収穫を繰りかえすことができ、長く楽しむことができますよ。ぜひ栽培にチャレンジしてみてくださいね。