冬が旬の白菜は霜にあたると甘みが増します。水分を多く含んでいるため、煮込むと蕩けるように嵩が減り、出汁がしみやすくなります。
また煮ると栄養の吸収率もよくなるので、鍋の名脇役といったところでしょうか。
今回は、そんな白菜の種まき〜収穫までの育て方と栽培時期や追肥方法・害虫対策についてご紹介していきたいと思います。
そして、気になる収穫後の白菜の賞味期限や長持ちする保存方法にもふれていきますね。
Contents
白菜ってどんな野菜?
白菜は、野菜の中でもとくにカロリーが低く、100gあたり13~14kcalというヘルシーさで、ダイエットの強い味方です。
ビタミンCをたくさん含んでいるので、風邪対策としても食べたい野菜です。
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ハクサイの品種
晴黄60(ハレギ60)
草勢旺盛で、栽培しやすい極早生のハクサイです。砲弾型に結球し、尻張りと胴張りがよく、肥大性良好な品種です。
球内の色は鮮やかな黄色で、葉質はとてもやわらかです。
軟腐病、根こぶ病、ウィルス病などに耐性があり、特にべと病耐病性に優れています。
CRお黄にいり
【ミニハクサイ 種 『CRお黄にいり』 2ml(DF) タキイ種苗】
食べきりサイズで、直播50日後に収穫できる極早生ハクサイです。球の重さは0.6㎏~1㎏に育ちます。
べと病、根こぶ病に複合耐病性があり、外葉は立性でコンパクトなので、密植栽培ができます。
球ぞろいがよく、一斉に収穫期を迎えるので、ご家庭で栽培される場合は種をずらしまきしたほうがよいでしょう。
晩輝(バンキ)
尻と胴のはりがよい円筒形で、ずっしりしたタイプのハクサイです。濃い緑色の葉を巻きます。中間地と暖地向きの品種で、9月に種をまき、収穫は2月からが目安です。
とう立ちしにくいため、結球して成熟した球を急いで収穫する必要がありません。
プチヒリ
タケノコ型で食べきりサイズのハクサイです。中国北部原産のチヒリハクサイから品種改良されました。
適期に直播栽培すると、播種後約55日で、一玉0.8㎏~1㎏程度のミニサイズに育ち収穫できます。密植栽培でかかりやすくなるべと病や、軟腐病にも強く、栽培がかんたんです。
球の内側の葉色は鮮やかな黄色です。やや硬めの肉質で、煮崩れしません。甘みがあって、八宝菜などの炒め物に最適です。
白菜の基本の作型(種まき〜収穫時期)
ハクサイは英語で、「Chinese cabbage」(中国のキャベツ)と呼ばれ、中国原産の野菜です。日本には明治以降に導入されました。低温に比較的強く、暑さに弱い特性があります。
涼しい気候を好み、結球し始めると15℃前後が適温だといわれています。そのため秋から冬に収穫する作型が主体ですが、高冷地の群馬や長野では6月~9月にかけて栽培されています。
下記は一般的な作型となるため、種の袋に記載されている栽培暦を確認してから種を購入しましょう。
秋~年内に収穫する作型
種まき8月半ば~8月末→ 定植9月上旬~9月下旬→ 収穫10月下旬~12月末
年内から1月に収穫する作型
種まき8月末→ 定植月8月末~9月上旬→ 収穫12月上旬~1月末
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白菜の種まき・育苗
ハクサイはキャベツと違い、根の再生力が弱いため移植に弱い特徴があります。しかしながら種まき期が真夏の高温期と重なるため、苗を作ることを視野に入れ、進めてまいります。
夏野菜の収穫と重なる時期ですので、土づくりの進捗等も加味し、計画的に育てましょう。
- 育苗用培養土か、もしくはこれまでアブラナ科を育てたことがない清潔な土を準備します。ポットに種をまくことで、根こぶ病から隔離した育苗が可能です。
- ある程度の大きさまで育ってから移植すると、根こぶ病に浸食された症状が出るまえに収穫できるようになります。
- ひとつのポットに3粒程度まき、薄く覆土します。ポットの大きさはよく苗の販売に使われている3号ポットで充分です。
- 多くの植物は発芽に光を必要としませんが、ハクサイは好光性種子であるため、光が当たると発芽が促進されます。発芽に適した温度や日照がなくては、健全な苗が育ちません。
- 本葉が3枚になったら、余分な株を間引き、1ポットに1株にします。
また直射日光にさらすには、残暑が厳しい時期ですので、育苗中は風通しと害虫に注意しながら、白い寒冷紗でポットを覆います。
残す苗に伝わる刺激をなるべく減らすため、選別の際は不要な苗の株元にハサミを入れるようにしましょう。
ハクサイの苗は比較的安価なため、めずらしい品種に挑戦する場合などを除いて、買ったほうが容易です。
白菜の栽培管理
土づくりと畝
ハクサイは連作を嫌うため、少なくとも3年は、アブラナ科を栽培していない場所を選びましょう。
植え付けの2週間前に苦土石灰100g/㎡、完熟堆肥2㎏/㎡と油かす400ℊ/㎡を施し、よく耕します。土の中が酸性に傾きすぎていると、根こぶ病の発生率が高くなります。
また生理障害の芯ぐされ症はカルシウム欠乏が原因だと言われています。土壌のチッソ過剰や乾燥により症状が起きやすくなります。逆に多湿条件では軟腐病などの発生が助長されます。
ハクサイは通気性のよい土壌を好むため、畝を作る場所や畝の土質等の見極めも必要になります。
畝幅は、1条植えで約80センチ、2条植えで約130センチを確保します。株間は約45センチ確保する必要があるため、畝の長さから植えられる株数を計算しましょう。2条植えの際は、千鳥植えにするよう気をつけましょう。
直播の場合も耕運後2週間ほど土を休ませてから種をまきます。45センチ間隔で5~6粒程度種をまき、薄く覆土します。乾燥と害虫に注意して育てましょう。
定植
本葉が4~6枚になったころが定植適期です。定植が遅れるとポットの内側に根が張りすぎて、定植後の活着が遅れます。
また定植の数日前から水やりは控えめにし、畑の土の状況に苗を慣れさせておきます。定植の前にポットごと水に浸し、たっぷり吸収させましょう。
暑い時期の植え付けの場合は苗が萎れてしまわないように、夕方か曇りの日を選ぶようにしましょう。
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白菜につきやすい害虫
ハクサイダニ
クモの仲間で、成虫・幼虫共に食害します。成虫の身体の色は黒っぽく、赤くて長い手足が特徴です。
体長は約1㎜と小ぶりですが、アブラムシとはちがい、単独で行動します。葉の表裏どちらからも汁を吸い、厳寒期にあたる1月~2月にも活発に動きます。
モンシロチョウ(幼虫:アオムシ)
ハクサイの葉に産卵されると、孵化した幼虫が葉をいきおいよく食害します。
葉脈を残して、葉がレース状にされることも。白色の防虫ネットなどを使用し、産卵を未然に防ぐよう心がけましょう。
コナガ
黄緑色の幼虫が葉の裏に寄生し、葉の表の皮を残して食害します。葉に白く不規則な斑点ができ、その後破れて小さな穴が空きます。
薬剤抵抗も強く、繁殖力が非常に強い害虫です。苗の幼い時期に芯葉に寄生されると、成長を止めてしまい、枯死に至ります。
アブラムシ
成虫・幼虫共に葉の汁を吸い、ひどくなると葉が黄色くなって枯れてしまいます。卵ではなく、幼虫を生むため、短期間で爆発的に増えることがあります。
ウィルス病を媒介するので、食害を受けた葉は畑の外で処分し、周辺の葉に変化がないかよく確認しましょう。
てんとう虫が天敵ですので、見つけたら大事にしましょうね。
白菜の追肥手順
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ハクサイを上手く結球させるポイントは、低温期までに外葉をしっかりと育てることにあります。
さきに申し上げたように、チッソ分が多すぎると病気に犯されやすくなりますが、逆に切れてしまうと結球せずにとう立ちすることもありますので、注意しましょう。
- 1回目の追肥は、結球葉が立ち上がる前、本葉14枚の時期に行います。根を傷めないよう、中耕を兼ねて土寄せします。
- 2回目の追肥は、1回目の追肥の二十日後を目安にします。土への浸透を促すために雨が降る前に合わせて施肥しましょう。
どちらも有機配合肥料を一株当たりひとつまみ(10g程度)が目安です。
白菜の収穫の目安と畑で貯蔵する方法
白菜の収穫の目安と手順
ハクサイの頭頂部を掴み、葉がしっかりと詰まっていれば収穫適期です。黄芯系のハクサイは過熟すると、黄色が淡くなってしまいます。
収穫の際は包丁を用意しましょう。球を斜めに倒し、底にある茎にざっくりと切り込んで収穫します。
白菜を畑に残す場合
低温期に畑に残したい場合は、先に収穫した株の残渣である萎れた外葉を防寒対策として使用します。結球した頭頂部に拾った外葉を4~5枚被せ、飛ばないように麻ひも等で縛ります。
多少霜に当たり、葉が柔らかくなってから結んだほうが、その後の成長による葉折れを軽減することができると言うメリットがあります。しかし、デメリットもあり、それは内部にアオムシやナメクジがいた場合は、保温されてしまうため、増殖してしまう場合もある点です。
収穫後の白菜の賞味期限は?
白菜は収穫して丸ごと保存する場合、新聞紙に包んで縦置きにします。そして、収穫後の白菜の賞味期限は、冷暗所で適切に保存すれば1~2ヶ月ほど鮮度を保つことができます。
お店で購入して丸ごと保存する場合も同じで、適切に保存すれば約1ヶ月程度保つことができます。ただし夏場は同じように保存しても傷んでしまう可能性が高いので、1週間で使い切るようにしましょう。
冷凍保存の場合も2ヶ月ほど保存することができますが、やはり徐々に鮮度は落ちていきますので、早めに使い切りましょう。
また、カットした白菜の場合も、カットした断面から酸化が進むので、冷蔵庫に保存して1週間以内には使い切る必要があります。
白菜の傷み 見分け方
白菜は、腐り始めると黒ずんできたり、酸っぱいような異臭がしたりします。白菜が傷むと、だいたい中心部分から黒ずんでいきますが、黒ずんでいる部分が一部だけなら取り除けば食べることができます。
白菜の傷み具合は、このように色や臭いで見分け、傷みの兆候が見られたら早めに食べきりましょう。全体が腐り始めるとトロっと溶けヌメリが出て、茶色い汁が出てくるので、そうなった場合は食べるのをやめましょう。
ちなみに白菜の葉によく見られる黒い斑点は「ゴマ症」と言い、白菜によく起こる生理障害で、こちらの方が甘みがあったり、栄養があったりするので気にせずに食べても大丈夫です!
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白菜の長持ちする保存方法
では次に、『収穫後の白菜を長持ちさせる保存方法』を何パターンか紹介していきますね。
白菜を保存するための基本
白菜は収穫する前と同じように根元を下にして立てた状態で冷暗所に保存することが基本です。
夏場は傷みやすいですが、冬なら直射日光の当たらない涼しい場所でダンボールなどに入れて立てて保存しても大丈夫です。
使う時は外の葉から1枚ずつ使うのが基本で、根元の部分で丁寧にちぎり使っていくと傷みにくく使うことができます。
丸ごと保存する場合
丸ごと保存する時は、新聞紙で全体をくるんで基本の通りに保存します。
新聞紙がない場合はキッチンペーパーで代用しても大丈夫です。
カットしたものを冷蔵保存する場合
カットしたものは、水分をよく切ってラップで包んで冷蔵庫で保存しますが、芯の部分に切り込みを入れておくと、成長を抑えられるため、葉の栄養が取られることなく保存できます。
しかしカットしてあるものはカットした断面から傷んでいくので、上手に保存してもだいたい1週間くらいで使い切らなければなりません。
そこでおすすめなのが冷凍保存です。
冷凍保存する場合
白菜は冷凍すると長く保存でき、冷凍した後も解凍せずそのまま調理することができるので非常に便利です。
冷凍保存する場合も、よく水を切って保存袋へ小分けにして入れ、空気をしっかり抜いた状態で冷凍しましょう。だいたい1ヶ月程度保存できます。
茹でてから冷凍することもできます。茹でることで白菜のかさを減らすことができ、保存スペースもかさばりません。
味付けして保存する方法
塩もみをしてから保存するとかさを減らすだけでなく、下味をつけることができて便利です。
塩もみの作り方は
- 白菜(500g)の芯を切り落とし長さ3等分くらいの大きさに切ります。
- 次に大きめの保存袋に白菜と塩を小さじ2入れてよく揉みます。
- その後空気を抜いて口を閉じ、冷蔵庫で15分程度ねかせて、しんなりしたら完成です。
冷蔵で4~5日、冷凍で1ヶ月程度保存できます。
塩もみ白菜はスープや炒め物、グラタンなどいろんな料理にアレンジすることができるので、多めに作っても飽きることなく使い切ることができるのでおすすめです♪
白菜を干して保存する方法
白菜を1枚ずつにして、数時間~3日間程度干して保存します。干すことで甘みが増し美味しさが増します。
干したら保存袋に入れて冷蔵庫でだいたい1ヶ月程度保存でき、使う時は鍋や煮物などならそのまま、それ以外は一度水に戻してから使いましょう。
おわりに
今回はハクサイの栽培についてお話しましたが、いかがでしたか?
ハクサイは、カブやコマツナと同様、種まきした後に、低温に一定期間遭遇すると花芽分化が始まります。
よってハクサイのとう立ちを避けるためには、保温が必要となります。もしとう立ちしてしまった場合は、とう立ち菜として食べられます。
ハクサイの栽培者ならではの楽しみに、春まで一株残してみるのもよいかもしれませんね。
また、白菜の保存方法についても、合わせて紹介してきましたが、白菜は比較的長持ちすることがわかりましたね。
定番の鍋はもちろんですが、他の料理にもいろんな方法で活用するとこができるのでこの保存方法や味付けをうまく活用しながらいろんな白菜料理に挑戦してみてください♪