寒さに強い果樹で、栽培適合は日本全国(沖縄は困難)に及ぶリンゴは9月~10月に収穫の時期を迎えます。庭先に植えると3年ほどで収穫でき、高さも3m位に収まる成長なので育てやすい果樹になります。
収穫前に陽光をたくさん浴びさせると色つやが良くなるので、日当たりのよい場所に植えるとよいでしょう。剪定や受粉など手間は若干かかりますが、毎年秋口の収穫は楽しいですね。寒い季節に向かうので保存もきき、冬の間はリンゴの購入の必要なくなります。
それでは、今回はリンゴの育て方を苗や土作りから説明していきます。
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りんごの育成条件と栽培・収穫時期
- 日当たり:日なた(ただし西日本以南は西日に注意)
- 土壌酸度:弱酸性を好む
- 植え付け:近くに異品種を植えると自然受粉も可能
- 栽培期間:植え付けは気温が安定してから4月上旬まで。厳冬期は不可です
りんごの株の選定と管理
苗木は接ぎ木苗なら12月頃から出回ります。厳冬期は避けたいので、購入後は、しばらくは仮植えしておきます。気温が安定する4月上旬ごろが植え替えに適した時期です。
家庭で育てるなら品種選びが重要です。寒冷地向けの果樹のリンゴを暖地で育てる場合、収穫時期が早くなります。暖地では店先で販売されているリンゴのように鮮やかな赤玉にならずに収穫時期を迎えます。しかし、見た目とは違い美味にはかわりません。
品種として育てやすさの点では「つがる」「ぐんま名月」「紅玉」「ふじ」などがお勧めです。リンゴの花は春先に開花時期を迎えるので、庭先で咲いていると綺麗です。
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りんごの定植適期
寒さに大変強いリンゴは1月~2月のマイナス25℃くらいでも大丈夫です。北海道~東北の庭でも栽培できる強い果樹です。リンゴは休眠する果樹で、マイナス5度以下の低温に至らないと休眠から覚めません。
株は12月頃から出回りますが、定植の適齢期は4月上旬になります。気温が安定してから植え替えましょう。
日当たりが良く水はけのよい土地を好みます。リンゴの植木は根が折れやすいので、定植の際には注意しましょう。
りんご栽培の土作り
定植を行う前に土作りが必要です。2月位には元肥を終了しておいて、4月の定植を迎えるようにしましょう。
元肥は化成肥料でも問題ありませんが、堆肥などを中心に土作りを行いたいものです。化成肥料は即効性で吸収が早いのですが、定植前の元肥には適していないです。遅効性の有機肥料が土作りには向いています。定植前に施しておきましょう。ただし。過肥料状態は結実にも悪影響になります。
りんご栽培の肥料の考え方なのですが、野菜と違って土壌の入れ替えを頻繁にできないリンゴ栽培・果樹の場合、継続的に肥料が必要です。しかし、やみくもに時期を考えないで施しても効果がありません。定植前は堆肥などを中心に行います。
- 堆 肥 40ℓ
- リ ン 4ℓ
- 苦土石灰 100g
※苗の定植場所は、直径70㎝×深さ50㎝を想定します
※土の容積量は約200ℓくらいに想定します
りんごの定植のポイント
苗を植える際は、苗に付着した土は無理に落とさないで定植します。
接ぎ口を埋めないように注意しましょう。木は埋めすぎると根でない所から(木の幹)から根が出てきます。接ぎ口より上から根が出ては接ぎ木でなくなってしまいます。
苗を少し高めに植えたあと、周囲を盛り上げておきましょう。水鉢を作って水を注ぎます。
りんごの特性:収穫のための作業
定植後3年くらいから収穫できるのですが、受粉が上手にいかないと思い通りに収穫できません。また、花の付け過ぎも、良い結実にならないので取り除きます。
1つの花芽に5個以上の花が咲くので、最初の2~3個を残して他のつぼみは取り除きます。芽が小さい所は房ごと取り除いてしまいます。開花時期に低温になると結実が悪くなります。
取り除いた後の2~3個の花から、最終的に結実は1か所に1個とします。りんごは同じ種類の樹木を植えておいても結実(受粉)がすすみません。他のリンゴ「つがる×ふじ」「紅玉×ふじ つがる」など組み合わせがあります。株選びの際に注意しましょう。
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りんごの水やりについて
庭で育てるなら水やりの心配はありません。
表土が乾いたら水やりをするくらいの感覚で問題ありません。
リンゴの栽培管理:剪定
冬に果樹の形を整えるので、不要な枝を間引いていきます。長く伸びた枝は、分かれている所まで切り戻します。樹木の大きさを調整していきましょう。
果実の成長に日光を必要とする果樹です。樹幹の中まで日光が差し込むように、込み入った部分の不要な枝は間引きを行っておきましょう。
リンゴの枝は曲げやすいので形成がやりやすいです。棚を設けて水平に枝を伸ばしていくと夏は木陰にもなって涼しいです。また、花芽も付きやすいのでよいですね。庭のインパクトにもなります。
りんごの病害虫について
病害虫対策は必要です。枝葉にはハマキムシ・アブラムシ・グンバイムシなどが付着することがあります。果実の食害としては、ヒメシンクイガが実を食べます。袋かけで被害を抑えましょう。
寒冷地の果樹のリンゴを暖地で育てると、うどんこ病や赤星病が発生しやすいです。サルバトーレME等の薬剤の予防散布も考えてみましょう。
りんごの追肥手順
庭先(地植え)でリンゴを育てる場合は冬(11月~2月)と9月に緩効性肥料を施します。ゆっくりと地面に溶け出す特性があるので根からの吸収も緩やかになります。
株の周囲(根に触れないよう)に、溝を掘って肥料と土を混ぜて埋め戻します。
周囲から溶け出すので1年を通して養分が吸収されていきます。
りんごの収穫時期
9月頃になると色づき始めて収穫の時期になります。袋も取り除いて日光を十分に当てましょう。日照面にリンゴを回して均等に日を当てます。
台風の時期に重なるので落下が心配ですね。天気予報を見ながら収穫の必要があるかもしれません。落下しても収穫は可能です。
寒冷地なら、収穫の時期を多少伸ばしても問題はありません。日光の浴び方によって色づき方が異なるので、色づいたものから順次収穫していってもいいですね。
収穫したリンゴは、寒い季節に向かう時期なので保管もできます。整腸作用があるので健康食品でもあります。落下してもジャムやコンポート、アップルパイなど火を通して美味しくいただけます。
おわりに
リンゴの育て方について、株の選定や受粉の組み合わせと定植からお話を進めてきましたが、いかがでしたか?
リンゴというと寒冷地の果樹とのイメージですが、南は鹿児島県まで生育が可能です。収穫の時期が2週間ほど早まるようです。暖かい地方では鮮やかな赤玉にならない品種がありますが、味の方は変わりません。
摘花や受粉など手間のかかるリンゴ栽培ですが、秋口に赤く染まってくると庭の景色が艶やかになります。春先の淡い色彩の花も美しいですね。
株は12月ころになるとホームセンターや直売所で販売されます。極寒の期間を避けて定植をしていきましょう。購入の際には受粉の組み合わせを考えて2本以上の購入をしてください。
ぜひリンゴの果樹を庭に植えてみませんか?高さも2~3mと大きすぎずにコンパクトにまとめられて育てやすい果樹です。個人的には、ブドウ棚のような形態にしてリンゴの木を棚上に這わせて日陰にするのが好きです。春の淡い花が咲き、夏は木陰で夕涼みと楽しみが増えます。
無農薬で育てたリンゴを水洗いして丸かじり!保存状態が良ければ冬の終わりまで食べる事ができます。自分で育てたリンゴなら、無農薬で心配ありませんね。