ヤングコーンとは、トウモロコシを育てる過程で摘果するときに採取したものを指します。私たちが普段食べている「スイートコーン」(甘味種)はトウモロコシの一種とされ、世界三大穀物の一つといわれています。
ヤングコーンの魅力は何といってもシャキシャキした食感とその甘み。市場では缶詰に入った水煮で販売されているのを見かけますが、鮮度の高いヤングコーンは皮もヒゲも食べられますよ。
今回はヤングコーンの育て方についてご紹介したいと思います。
Contents
ヤングコーンの育成条件と栽培時期
- 日当たり:日なた
- 生育適温:20~30℃
- 発芽適温:25~30℃
- 用途:地植え・プランター
- 土壌酸度:6.0~6.5
- 耐寒性:弱い
- 耐暑性:やや強い
- 連作障害:なし
- 株間:30㎝
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ヤングコーンの栽培環境
ヤングコーンの栽培において重要なのは、温暖な気候と日当たりです。夏空の下に広がる畑にトウモロコシが沢山並んでいる風景を写真や映像などで見かけますが、プランターを使って家庭菜園で育てることも可能です。
ヤングコーン(トウモロコシ)の栽培では、連作障害は特にないとされていますが、可能であれば1年以上の期間をあけるようにしましょう。
ヤングコーンのポットでの種まき・育苗
品種や気候にもよりますが、種まきの適期は3月下旬から5月。ヤングコーン(スイートコーン)の種を入手したら、種を植えていきましょう。
地植えの場合は直接畑に直播きすることもできますが、ポットに種を植えて暖かい環境を作って育てることで、着実に発芽し苗まで育てることができます。
ポットの8分目まで土を投入したら、ポット1つにつき3粒の苗を植えましょう。種を土の上に置き、ゆっくりと指で深さ1㎝位になるまで上から押します。上から軽く被土し、たっぷり水を与えましょう。
種を植える時のポイントは、種の先が鋭くなっている方を下にすることです。方向を逆にすると発芽しにくくなるので気を付けてください。
全ての作業が終了したら、小さなビニールハウスなどに入れて、暖かい環境の中で苗まで育てていきましょう。ただし、ビニールハウスの中が高温になりすぎたり、蒸れたりする環境は良くないので、適度に換気が必要です。また、発芽しても間引きを行わずにそのままにしておきましょう。
ヤングコーンの栽培場所
土作りをする前に重要なことは、ヤングコーンにとって最適な畑の場所を選ぶことです。日光を好み日陰を嫌いますので、必ず日当たりの良い場所を選びましょう。
また、肥沃な土を好む特徴があるので、前年度に肥料を沢山与えた場所があれば活用しましょう。
他にも、ヤングコーンは風の力を利用して受粉をしますので、10株以上植えることが可能なスペースがあるとヤングコーンにとって最適な育成場所となるでしょう。
ヤングコーンの土作り
ヤングコーンは土をそれほど選びません。種を植える2週間前に苦土石灰、1週間前に化成肥料と堆肥を混ぜ込みます。
根が深い位置まで伸びるので、土はしっかりと耕しておきましょう。土作りが完了したら畝を作りましょう。
- 畝は日光が当たりやすいように南北につくる
- 受粉がしやすくなるように数条にするとよい
(少なくとも2条、この時の畝幅は90㎝が目安) - 畝が完成したらマルチをはる
ヤングコーンを畝に植える時に注意することは、同じ畝に違う品種のヤングコーンを植えないことです。複数の品種を同じ畝に植えて受粉をしてしまうと、味が悪くなったり、粒の色が変化したりしてしまいますので、混植は避けてください。
違う品種のヤングコーンを植える時は、少なくとも1m以上の距離をあけ、違う畝に植えましょう。
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ヤングコーンの種を畑に直接植える時
種を直接畑に植える場合は、株間約30㎝を確保しましょう。マルチに穴を空ける作業は種まきの直前に行い、3~4㎝の穴を用意して、種を3~4粒入れてください。
軽く被土し水を与え、発芽したら1本立ちになるように間引きしましょう。
直播き栽培で注意することは鳥害です。発芽したてのヤングコーンは特に狙われやすいので、不織布を上からかけておくとよいでしょう。不織布以外では、トンネルやキャップも役に立ちます。
ヤングコーンのポットからの定植
ポットで育苗したヤングコーンが15㎝くらいまで成長したら、定植をおこないます。目安は種まきから約1ヶ月後です。
苗まで成長したヤングコーンをポットから優しく根が崩れないように取り出し、1本ずつになるように分けましょう。
直接地植えの場合と同様に株間約30㎝の間隔で植え付け、十分な水やりをして完了です。
ヤングコーンの栽培管理
マルチをはずす
ヤングコーンの草丈が50㎝位になったら葉が繁り、地面に当たる日光の量が少なくなります。
日光が当たらない限りはマルチが役割を果たさなくなるので、剥がしてしましましょう。
追肥と土寄せ
追肥と土寄せは2回行います。
1回目はマルチを剥がした後、2回目は雄穂(ゆうずい)が出るころです。2回とも追肥は即効性のある肥料を株元に適量施し、その後に土寄せをしましょう。
土寄せをする際に株元からでているわき芽(分げつ枝)が気になることもあるかと思いますが、取り除かないようにしてください。わき芽を取ってしまうと実の育ちが悪くなります。
わき芽も一緒に成長させることで光合成をする部分が増え、沢山の栄養を作ることができます。また、根元の強化にもつながりヤングコーンの転倒防止に役立ちます。
水やり
ヤングコーンは乾燥、加湿を嫌います。土の表面が乾燥しているようであれば、たっぷりと水を与えましょう。
特に雄穂が出てくる時期からの水やりが生長に大きく影響しますので、水を切らさないように注意しましょう。
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ヤングコーンの収穫
ヤングコーンは、トウモロコシの種を植えて2~3ヵ月経過したころに行う摘果で獲れたものをいいます。1つ株から2本のトウモロコシの収穫が基本ですが、生長過程で3本以上のトウモロコシがなることがあり、収穫予定の2本に栄養を行き渡らせるために摘み取ったものがヤングコーンとして活用されます。
株の一番上にある雄穂(ゆうずい)とその下にできる雌穂(しずい)は残し、さらにその下に出てくる雌穂は全てヤングコーンとして収穫しましょう。
そのまま育ててトウモロコシも収穫
ヤングコーンを収穫した後に、雄穂と雌穂を1本ずつ残したことで受粉が行われます。その後に雌穂のヒゲが茶色く変化したらトウモロコシを収穫することができます。トウモロコシは気温の下がった夜の間に糖度を上げる性質を持っているので、収穫はできるだけ早朝に行うとよいでしょう。
収穫したトウモロコシの実がスカスカになっている場合は、受粉が成功しなかった証拠です。そのまま置いておいても実が充実することはありませんので、一緒に収穫してしましましょう。
プランター栽培での注意点
ヤングコーンは畑以外にも鉢やプランターで栽培することも可能です。基本的な栽培方法は地植えの場合と変わりませんが、根を深く伸ばして生長するのでプランターは深さ20㎝以上あるものを用意しましょう。
土は市販されている野菜用培養土を使用してかまいません。また、複数の株を育てる時は株間約20㎝を確保し、強風で倒れないために支柱を添えて誘引すると安心です。
ヤングコーンに発生しやすい病害虫
ヤングコーンの栽培で懸念材料となる病気はほとんど無いといってよいでしょう。注意するのはオオタバコガやアワノメイガ(蛾)の幼虫による食害です。見つけ次第捕殺するのが一番ですが、難しい場合は薬剤を使って防虫対策をするとよいでしょう。
アワノメイガの幼虫が雄穂の中に入ってしまった時は、雄穂を切断してください。育てている株の数が少ない時は、切断した雄穂を雌穂につけて人工授精を行っておくと、後にトウモロコシを収穫することができます。また、既に雄穂の花粉がすべて落ち受粉が終わっているようであれば、先に雄穂を切り落としておくと幼虫が寄ってこなくなります。
おわりに
収穫したヤングコーンは外側の固い部分の皮を数枚剥き、グリルなどで焼いたり、生のままサラダにして食べたりするととても美味しいですよ。
ただし、生の場合の賞味期限は2~3日と期間が短いので、沢山とれた時は塩ゆでして冷凍庫で保存しましょう。