寒くなるにつれて食卓にのぼる機会がお多くなる野菜は数多くありますが、シュンギクもそのひとつです。
シュンギクならではの香りと歯ざわりはやはり冬の鍋物に欠かせません。鍋だけでなく和え物や天ぷらでもおいしくいただけます。
βカロテンやビタミンC、E、食物繊維も豊富なシュンギクは春まきでも秋まきでも育てることができ、長期間収穫できます。
Contents
シュンギクの育成条件と栽培時期
種まき | 収穫 | |
春まき | 3月下旬~5月上旬 | 9月中旬~11月下旬 |
秋まき | 9月上旬~10月上旬 | 11月中旬~2月上旬 |
日当り:日なた
土壌酸度:弱酸性~中性
植え付け:株間10~15cm
生育適温:15~20℃
シュンギクの種類
シュンギクにはいくつかの種類があります。まずは葉の切れ込みの大きさによって下の3種類に分類されます。
- 大葉種:葉の幅が大きく、切れ込みが浅いタイプ。文字通り葉が大型で柔らかく生食にも向きます。
- 中葉種:葉の幅が比較的広く切れ込みが多い、スタンダードなタイプです。
- 小葉種:葉の幅が狭く、切れ込みが深く細かいタイプ。現在あまり出回っていません。
一般的に多く栽培され、タネも入手しやすいのが中葉種です。この中葉種の中にも大きく分けて2つの種類があります。
- 摘み取り種(株立ち種):側枝(そくし)があまり分岐せず、茎がよく伸びる。側枝を摘み取って収穫します。
- 株張り種:側枝が次々と発生し、根元から株が張るタイプ。株ごと抜き取って収穫します。
シュンギクの土作り
シュンギクを育てるときは、基本的にタネを畑に直まきします。タネまきのひと月前くらいから土作りの準備を始めましょう。連作障害を避けるため、キク科の植物を1年以上育てていない場所を選ぶようにしてください。
タネまきをする2週間以上前には、1㎡につき100~150g程度の苦土石灰を混ぜ込んで畑となる場所をよく耕しておきます。
次に、タネまき1週間前には1㎡あたり堆肥2~3㎏と化成肥料150~200gをすき込んで再度耕します。秋まきでは収穫できる期間が長いので、元肥は多めに入れておいたほうが良いでしょう。
化成肥料の成分割合は、チッソ:リン酸:カリ=8:8:8が目安となります。なお、プランター栽培の場合は販売されている野菜用の園芸用土でOKです。
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シュンギクの種まき
シュンギクの畑は、畝の高さを10cmほどとります。タネは条(すじ)まきするのですが、40cmほどの幅をとっておけば2列育てることができます。どのくらい収穫したいかを考えて畑のサイズを決めましょう。
畝立てしたら、いよいよタネまきです。ここで頭に入れておきたいのが、シュンギクのタネは好光性(発芽に光が必要)であるということです。
畝の表面が平らになるように板などで軽く抑え、ならしおわったらタネをまく穴を開けていきます。重要なのは、ごく浅い(5mm~1cm)植え穴をつけることです。これにはコツがあり、園芸用の支柱を畝の上に置くことで楽に条まきのためのスジをつけることができます。2列植えにする場合は20cmほどの間隔をあけて支柱を置き、その跡にタネをまいていきます。
タネをまくときは穴に沿って2~3cm間隔でタネを置いていき、その上からごく薄く、フルイなどをつかって土をかけていきます。土をかけおわったら土とタネが水で流れてしまわないように、ジョウロのハス口を上向きにしてたっぷりと水をかけたらタネまきは終了です。
乾燥しないように敷きワラやベタがけシートで覆っておくと発芽しやすいので、余裕があればやってみましょう。水をあげるときは、ベタがけシートの上からあげれば大丈夫です。
※プランターで育てる場合は長さ60cm以上のものに用土を入れて、これも平らにならしてから同じ要領で1列に条まきしていきます。
シュンギクの栽培管理
間引き
発芽したあと本葉が1~2枚の頃に1回目の間引きをします。込み合っているところを抜き取って、株間が2~3cm程度になるように調整してください。
その後、本葉が3~4枚になったら2回目の間引きです。今度は株と株の間が5~6cmになるようにします。株張り種の場合はここで間引きは完了ですが、摘み取り種(株立ち種)の場合は最終的に株間が10~15cm程度になるまで間引いていきます。
水やり
特に神経質になる必要はありませんが、株がしおれない程度に水やりをしてください。
乾燥がひどいときにはたっぷりと水をあげておくようにしましょう。
追肥
シュンギクは多肥を好むタイプの植物です。最初の追肥は2回目の間引きのときに行い、その後2週間に1回ほどのペースで中耕と土寄せをしつつ追肥を施すようにします。
中耕とは、作物を育てているときに株と株の間の土をほぐしてあげることです。これによって雑草を除いたり空気を入れて水はけを良くしたりすることができます。作物の根を傷つけないよう注意しましょう。
土寄せは、土を作物の株元に寄せてあげることです。株を安定させるため、間引き後にも行っておくと良いでしょう。追肥は1㎡あたり化成肥料を30~40gほど、株元にまいていきます。
防寒
シュンギクを秋植えした場合、気をつけなければならないのが霜害です。ホウレンソウなどと違い、シュンギクは霜に当たると黒く変色してしまうので、霜が降りる時期には防寒対策をしておきましょう。
具体的な方法としては、寒冷紗ないし不織布をトンネルがけすればOKです。余力がある人はビニールトンネルで覆ってももちろん大丈夫です。
シュンギクの収穫時期と収穫方法
シュンギクは定植してからだいたい40日前後、草丈が20cm程度になったら収穫できます。
摘み取り(株立ち)種
草丈が20~25cmのころには本葉が10枚程度になっているので、下から3~4枚を残してその上はハサミで切り取ります。
その後、残った部分からわき芽が伸びてきますので順次ハサミで切り取っていきます。その際、わき芽を丸ごと切り取るのではなく根元の葉を1~2枚残しておくことで長期間収穫できます。
株張り種
草丈が20cmほどになったところで根元から引き抜いて収穫します。
摘み取り種にも言えることですが葉が細いほうが料理には適していますので、収穫が遅れないよう注意しましょう。
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シュンギクがかかりやすい病気
べと病
葉に発生する病気です。梅雨などの湿度が高い時期に発生しやすく、株が密集している状況ではより発生しやすくなります。大葉種のほうが被害にあいやすい傾向があります。
症状:葉にポツポツと黄色がかった病斑ができ、次第に葉全体に広がっていきます、病斑のできた歯の裏にはカビが盛り上がるように発生し、最終的には葉が枯れ落ちてしまう場合もあります。
原因と対策:カビの仲間である病原菌の胞子が葉にくっついて、環境が整うと発症します。感染初期状態の葉を発見したら早急に切り落としてしまい、畑の外で処分して薬剤で防除しましょう。また、予防のために株の間を空けて風通しを良くすることも大切です。
防除に用いる農薬はサンボルドーが効果、持続期間ともに優れています。この農薬は有機栽培の規格にも適合しており、体や益虫への影響を考慮したい方にもおすすめです。
シュンギクの害虫対策
ヨトウムシ
ガの仲間で、幼虫による食害が主な被害となります。若い幼虫は緑色で、羽化する前には褐色~黒色になっていることが多いです。昼間は土の中に隠れているため気づきにくいのですが、葉脈を残して葉が食べられてしまっている場合は存在を疑ってみましょう。
対策:まずは卵を産み付けられないようにしたいので、防虫ネットで囲ってしまうのが手っ取り早い対策方法です。被害が発生してしまったばあいは、日中ではなく夜に幼虫がついていないか確認し見つけ次第捕殺します。株周りの土を軽く掘り返すと出てくる場合もあります。
薬品で駆除する場合は、ゼンターリ水和剤が安全性の高いBT剤のなかでも特にヨトウムシに効果を期待できます。
おわりに
シュンギクは環境を整え、生育に適した時期に植えればすくすく育ってくれます。病虫害に強く、家庭菜園でも全然被害にあったことがないという方もいるくらいです。
しかも成長が早いうえに収穫も長く楽しめるので、家庭菜園ではぜひ育ててみてほしい野菜です。
料理も天ぷら、胡麻あえ、おひたし、サラダ(かんきつ類とも相性がよいです)、そして鍋物と活用の幅も広いですね。個人的にすき焼きにははずせません。
最近スーパーでは葉物が高いと言うこともありますし、節約もかねて自家製シュンギク栽培にチャレンジしてみてはどうでしょうか!