北アメリカやヨーロッパが原産地のラズベリーは、明治6年に北海道開拓使がアメリカから輸入したことにより日本に広まりました。
酸味と甘味が魅力とされ、今やゼリーやジャム、ジュースやスイーツのトッピングとして、人気のある果実として活躍しています。
今回は、木苺の仲間であり見た目もかわいらしいラズベリーの育て方をご紹介します。
Contents
ラズベリーの栽培時期と育成条件
日当たり:日なた
用途:地植え・鉢植え
耐寒性:強 耐暑性:強
受粉樹:不要
植えつけ:地植えの場合1~2m間隔
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ラズベリーの植え方
ラズベリーは地植えでも鉢植えでも育成が楽しめる果樹です。品種にもよりますが、植え付け時期は9月から3月、晩秋から春にかけてが適期とされています。
寒さに大変強い果樹で、-25℃から-35℃の気温に耐えることができますが、幼い苗にとって寒い環境は厳しいので、真冬の12月から2月中旬頃は避けた方が良いでしょう。
地植えの場合
地植えをする前に購入してきた苗を、水を張ったバケツなどに入れてつけておきましょう。地面に苗よりも一回り大きな穴(幅約40㎝、深さ約50㎝)を掘ります。穴を堀りあげた土に約2~3割の堆肥や腐葉土をしっかり混ぜて植え戻します。土が痩せている場合は、4割位混ぜるようにしましょう。
苗を土に入れる時は、根が土の中で広がるようにして植え付けることがポイントです。植え終えたら、支柱を立てて紐で軽く結びつけておきます。最後に地面から約40㎝の高さ(苗の3分の1程度)で切り戻しを行います。株間は1~2m取り、最後に充分な水やりをします。
ここで一つ、地植えをする時に注意しておくことがあります。ラズベリーは、根が土の中で広範囲にわたって広がる繁殖力の強い果樹です。そのため、周りにある他の植物の成長に影響を及ぼす可能性があります。地植えをする場合は、植えようとする近くにある植物のことを配慮するようにしてください。
鉢植えの場合
苗よりも一回り大きな鉢に植えます。6号鉢に1株が丁度良いでしょう。
園芸店などで購入してきた苗を抜き出す時は、根にダメージを与えないように軽くほぐしてあげてください。ほぐすことにより、新しい土に馴染みやすくなります。
用土は腐葉土、赤玉土小粒、川砂を6:3:1で混ぜたものを使用します。充分に水を与えて終了です。
ラズベリーの土作り
ラズベリーの育成に適しているのは、水もちと水はけが良い土です。
- 鉢植えの場合:腐葉土、赤玉土小粒、川砂を6:3:1
- 地植えの場合:庭の土、腐葉土、堆肥を5:3:2
鉢植えの場合、市販されているベリー用の用土を使用すると植え付けが楽になります。
ラズベリーの水やり
地植えの場合
植え付けの時にたっぷり水を与えていれば特に水やりをする必要はありません。
日照りが続いた場合は、水分を与えるようにしましょう。
鉢植えの場合
植え付けから7月までは1日1回、夏の熱い時期8月から9月は1日2回、それ以降は土の表面が乾燥してきたら水を与えるようにしましょう。
水やりの際は、鉢の底から水が流れ出てくるくらい、しっかり水を与えるようにしてください。
ラズベリーの肥料
地植えの場合
萌芽が出てくる3月から4月に元肥として速効性のある化学肥料か有機肥料を1回与えます。
追肥として、5月から6月、9月に同様の肥料を1回ずつ与えましょう。
株が大きくなるにつれて肥料の量を調節しながら増やしていきます。肥料は株の元に撒くのではなく、枝の広がっている範囲よりも外に撒くのがポイントです。
鉢植えの場合
地植えと同じ時期に、同じ肥料を葉の色や株の様子を見ながら与えます。
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ラズベリーの剪定
ラズベリーには、年に1回収穫ができる「一季なり性」と年に2回収穫することができる「二季なり性」の2種類が存在します。それぞれ剪定方法が違うので、覚えておきましょう。
一季なり性の剪定は、実を収穫し終えた6月から7月の時期に行います。収穫が終わったらなるべく早く、着果した枝を基部から切り落としましょう。12月から2月下旬にかけてもう一度剪定が必要になります。
今年新しく伸びた枝はそのままにしておき(勢いのある枝を4本から5本残しておくようにする)、前年に延びた枝は地面すれすれのところで切断します。
二季なり性の場合は、12月から2月下旬にかけてが剪定の適期です。枝を全て地面すれすれで剪定します。
ラズベリーに発生しやすい害虫と害虫病
ラズベリーはあまり虫や病にかかることが少ない果樹ですが、普段から葉や茎の状態を観察することが大切です。発生しやすい害虫は、ハマキムシやハダニ、アブラムシなどです。また、うどんこ病を発症することがあります。
これらの害虫を予防する方法としては、株の間に有機物(籾殻やバークチップ)のマルチを敷くと良いでしょう。また、市販されている薬剤を使用する方法もあります。
ラズベリーの収穫時期と収穫方法
ラズベリーの収穫は6月から7月です。二季なり性であれば10月から11月にもう一度収穫を楽しむことができます。二季なり性の2回目の収穫でとれたラズベリーは、1回目の実よりも酸味が強く、少し大きいことが特徴とされています。
ラズベリーが完熟の状態になると実が柔らかくなると同時に傷みやすくなります。
収穫の時に傷まないようにするためには、雨が降っていない日の朝か夕方に収穫を行いましょう。
収穫したラズベリーをジュースやジャムなどにする場合は完熟したものを、アイスやケーキなどに添える場合には、完熟手前の状態のものを収穫すると、美味しく食べることができます。
ラズベリーの植え替えと増やし方
鉢植えの場合は、株の中でラズベリーが窮屈そうに見えるようになったら、一回り大きな鉢に移してあげましょう。
2.3年に1回、収穫が終わった後の12月から2月が適期です。ラズベリーを増やすには、挿し木をしましょう。緑枝さしなら6月から7月、根ざしなら2月から3月に行うことができます。
緑枝さし
その年に新しく伸びた枝をそのまま土に挿して増やす方法です。
次第に根が増えて、苗が成長していきます。
根ざし
太い根を部分的に切断し、植えて増やす方法です。
ラズベリーの特性・注意点
ラズベリーは自家結実する果樹なので、オスとメスや別種を用意する必要がなく、無農薬で育てることができます。
水はけの良い土と日当たりを好みますが、長い時間の直射日光はダメージ及ぼすので、関東より西の平野部のような日差しが強い場所で育成する場合は、半日程度日蔭に移動させてあげましょう。
トゲがある品種があるので、植える前に確認するようにしましょう。突然大きな花や実をつけるようになったら、根詰まりを起こしている可能性があります。これは、植物の自己防衛の本能が働くことによるものです。
葉や枝に元気が無くとも、大きな花や実が沢山でてきた場合は、根詰まりを起こしていないか確認しましょう。
おわりに
ラズベリーの植え付けから収穫に至るまでをご紹介しました。
ラズベリーの育て方のポイントは下記のようになります。
- 地植え、鉢植えの両方で育成が可能
- 自家結実するので、1株でも収穫ができる
- 水はけの良い土を使用し、直射日光の当たりすぎに注意する
- 害虫による被害はあまり無いが、発見したらすぐに対処する
ラズベリーは、きちんとポイントを押さえれば手間をかけることなく育成ができるので、初心者でもチャレンジしやすい果樹です。
沢山のラズベリーをベランダや庭で育てて、自家製のラズベリージャムなどを作って楽しんでみてはいかがでしょうか。