オリーブの原産地は、西アジアや地中海、北アフリカなど様々な説がありますが、現在主に栽培されている地域は地中海沿岸、日本では香川県の小豆島です。
種類は500以上もあり、季節を問わずに一年中緑の葉をつける常用樹であることから、観賞用としても大変人気のある植物です。
インテリアとしての需要も高いオリーブの室内での育成方法をご紹介します。
Contents
オリーブの栽培時期と育成条件
- 日当たり:日なた
- 育成適温:15~20℃
- 用途:地植え・鉢植え
- 耐寒性:普通 耐暑性:強
- 樹高:2m~
- 受粉樹:必要
オリーブの種類
多くの品種があるオリーブですが、果実が付く時期が早い早生品種、その反対の晩生品種、この2つの中間くらいに実を付ける中性品種の3つに分けられます。
一般的に果実の大きいオリーブは含油率が低く、その反対に小さいものは含油率が高いのが特徴です。
そのため、含油率が低いものは塩蔵用、含油率が高いものはオリーブ油用に使われます。以下はオリーブの中でも、日本で栽培されている代表的な品種です。
ルッカ
オリーブの中でも珍しく自家結実しやすい品種。葉の表は濃い緑色で少々ねじれがあります。
成長も早く、お店やお家のシンボルツリー的な存在としても楽しむことができます。含油率は約25%。基本的にはオイル用に使われますが、塩漬けもおすすめです。
ミッション
含油率は15~19%。葉の裏が白いこと、天井へ向かって成長する直立型が特徴です。
観賞用として用いられることが多い品種です。
ネバディロブランコ
初心者でも比較的育てやすい品種です。
葉の数が多く、細長い形が特徴で、薄くてやわらかな印象を受ける樹形をしています。
オリーブの苗木の選び方
オリーブの苗木を選ぶ時に注意する点は、株元がしっかりしていて自然に伸びているものを選ぶことです。植え付け時期は3~5月が適期なので、その時期に合わせて購入しましょう。
既に数年経過していると思われる主枝ができ上がっている苗木でも良いのですが、自分で樹形づくりをしたい時は、小さな若い苗木を選ぶとよいでしょう。また、オリーブは観賞用、オイル、塩漬け、コンテナ、垣根など品種によってその特徴は違います。それぞれの特徴を見極めてから購入することが大切です。
オリーブは自家結実性の低い植物ですので、実を収穫したい時は、違う品種のオリーブを2種類以上購入してください。
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オリーブの室内での置き場所
オリーブは耐陰性が弱い植物なので、室内では日当たりの良い場所に置きます。また、寒さに弱いことも特徴です。
日光の当たる窓際でも夜に気温が低下する場合は、室内の暖かい場所に移動させましょう。ベランダ栽培の場合は、冬場は必ず室内に入れるようにしましょう。
オリーブの土作り
オリーブの木は、水もちと水はけの良い土を好みますが、この条件をクリアさえしていれば特に土にこだわる必要はありません。
赤玉土小粒と腐葉土を約7:3の割合が良いでしょう。もちろん、市販されているオリーブ用の培養土でも構いません。
オリーブの植え付け
3~5月が植え付けに適しています。
購入してきた苗の大きさにもよりますが、最初は8号鉢位の大きさの鉢に植え付けを行います。
- 鉢の底に鉢底ネットと鉢底石を入れる
- 苗木の根を優しくほぐし、古い根や腐っている根はカットする
- 用意した土を鉢の3割ほどの高さになるまで入れ、苗木を入れ残りの土を追加する
最初の2年間は支柱を立てましょう。麻ひもなどで結びつけてあげて下さい。
植え付けが終了したら、充分に水を与えます。
オリーブの水やりと肥料
地植えで育てているオリーブは乾燥に強いのが特徴ですが、鉢植えの場合は別です。表面の土が乾いたら、水が鉢の底から流れ出てくる位与えてください。ただし、水の与えすぎによる根腐れには注意が必要です。
日差しの強い時間帯は根を痛める場合があるので、夕方の涼しい時間帯に行いましょう。鉢植えの場合、水を切らすと花つきが悪くなり、せっかく結実しても果実にシワができてしまいます。常時水を切らさないように、よく観察しましょう。
鉢植えの肥料は、2・6・10月の3回です。速効性化成肥料か有機質肥料を施しましょう。
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オリーブの植え替えと人工授粉
オリーブが鉢の中で根が詰まってきたと感じたら、植え替えを行います。4~10月、1~2年に1回が目安です。
木の株よりも一回り大きな鉢と新しい培養土を用意して行います。木や鉢を大きくしたくない時は、土をほぐしてから根を切り詰めます。
自家結実性の低いオリーブは、室内で2種類以上の品種を同時に育ててても受粉がうまくいかないことがあります。花粉が沢山出るとされる午前中に、花粉を採取して違う木のめしべに付けてあげると、結実の可能性が高くなります。
オリーブに発生しやすい害虫と害虫病
オリーブは病害虫に強い植物とされています。
ですが、感染力を持った病気などにかかることもあるので注意しましょう。
炭疽病
6~10月頃に発生しやすい、カビの一種である炭措疽病菌が原因の病気です。湿度と気温が高い時に発生しやすく、発病するとオリーブの果実の表面に黒または灰色の斑点が出現します。
放置しておくと感染が広がり、健康的に育っている場所も病気にかかる可能性が高くなります。感染した果実やすぐに処分すること、剪定を行うことで風通しの良い環境を整えてあげることが予防策です。
梢枯病
炭疽病と同様、湿度の高い時期に発生しやすくなります。糸常菌が原因で、枝の先が茶色く変色することに始まり、次第に葉が枯れだします。
風通しと日当たりを良くし、枯れ枝などの古い枝を取り除くことで病気を予防しましょう。
オリーブアナアキゾウムシ
オリーブを育てる際に一番注意すべき害虫です。発生時期は4~11月頃。株元に茶色のおがくず状のものが落ちている、穴があいている時はこの害虫を疑って下さい。
穴の中には、オリーブアナアキゾウムシが住んでいて、木の内部から食害している可能性があります。穴の中に虫を見つけたら、取り出して捕殺しましょう。
予防策は、成虫発生期間の3~11月にスミチオン乳化剤を散布しましょう。この時、薬剤が葉や果実にかからないように注意してください。
オリーブの剪定
清潔なハサミを用意して、毎年3~4月に枝を切りそろえます。徒長枝や絡み合っている枝、枯れてしまっている枝は付け根からハサミを入れましょう。
自分の管理しやすいサイズに整枝することで、室内での管理がしやすくなります。
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オリーブの収穫
秋になり実の緑色が変化しだしたら収穫時期の到来です。
オリーブの品種や加工方法によって、どの完熟具合で収穫するかは様々です。
オリーブの増やしかた
オリーブは挿し木がおすすめです。
約10㎝の若い枝を選び切り口をななめにして、下部の埋まる部分の葉を取り除きます。発根促進剤を切り口に塗り、湿った川砂や土に指して育てましょう。
2ヶ月ほどで新しい芽が出てきたら成功の証です。
オリーブの地植えについて
オリーブの木はもちろん地植えでも育てることが可能です。
鉢植えの場合と違う点は以下の通りです。
- 苗木の時と植え付けの時以外は、水やりはほぼ不必要
- 肥料は2月と10月の2回
日当たり、風通し、水はけと水持ちのよい土を好むなど、鉢植えと条件はほぼ同じです。
おわりに
オリーブの育て方をご紹介しました。
実が付いたら渋抜きをし、酢漬け、塩漬けやオイル漬けにすることができます。また、観賞用であればインテリアにマッチした素敵な鉢を用意して楽しみましょう。
初心者にとってもさほど難易度の高いことはありませんので、ぜひチャレンジしてくださいね。