京都の壬生地方で多く栽培されていたことが名前の由来とのこと。名前と言えば、水菜(みずな)と形も似ていますね。水菜の自然交雑から壬生菜が生まれたので、親戚みたいな関係です。古くから栽培されている京野菜です。
茎の部分が水菜と似ていますが、葉の形状が丸いのは水菜とは異なります。香りは少しクセがあり、辛味がピリッとします。一方、間引き菜は若いので、食せる柔らかさがあります。
壬生菜と言えば千枚漬けにも添えられていて、漬物として馴染まれていると思います。では、少々上品な感じのする京野菜「壬生菜」の育て方を紹介していきます!
Contents
壬生菜の栽培時期と育成条件
- 日当たり:日なた
- 土壌酸度:中性
- 種まき :間引きをしながら大きく育てる
- 栽培期間:周年栽培が可能(夏の高温期は難しい 病害虫も多く発生する)
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壬生菜の土作り
壬生菜は肥料を好む野菜なので堆肥と化成肥料を施しておきましょう。
目安として、種まきの2週間前までに苦土石灰を、1週間前までに堆肥と化成肥料です。
- 春まきの壬生菜は、育成が短期間なので追肥は行いません。しっかりと土作りを行いたいですね。
- 秋まきの壬生菜は、育成期間が3月までと長期になります。追肥として化成肥料を施します。
畝作りとマルチ張り
土壌の準備ができたら畝を作りましょう。株間30㎝で種をまくので、二条まきなら畝幅は60㎝で高さは15㎝とします。
マルチ張りは面倒ですが、後々の事を考えるとやっておきましょう。夏場は雑草の予防になります。冬場は地温を高める効果があるので生育がよくなります。
ポリマルチに30㎝間隔で縦に切り込みを入れ、種をまけるように切り込みを拡げておきましょう。
順番として、下記のようになります。
- 土壌作り
- 畝づくり
- マルチ張り
- 種まき
種まき
壬生菜の種は直接畑にまく「直まき」で、種は小さく丸い形状です。1~2㎝間隔で条まきにします。軽く土をかけて水をやります。覆土が多すぎると発芽しません。
種も黒いので、つい種を多めにまき過ぎてしまうことがあります。間引きも手がかかるので、まき過ぎには注意したいですね。
種まきの時期
春まきと秋まきがあります。夏の高温期は病害虫も発生しやすいので、秋まきが育てやすいです。
- 春まきは4~5月に種をまきます。すると収穫は5月下旬~7月上旬になります。
- 秋まきは9~10月に種をまきます。収穫は11~3月までと長期間の収穫になります。寒冷紗ネットのトンネルで防寒しておくと、3月頃まで収穫を楽しめます。
壬生菜の間引き
壬生菜は、間引きを繰り返して大きく育てます。本葉が2~3枚になった頃を目安に1回目の間引きを行います。株間3~4㎝を目安に行ってください。
間引き菜は、生育が悪い物や曲がっている物を引き抜いていきましょう。間引きをしないと壬生菜は大きく育ちません。
本葉が5~6枚になった頃を目安に2回目の間引きを行います。株間は4~5㎝が目安になります。
間引き菜はサラダなどで食べる事ができます。クセがなく柔らかいので間引き菜も美味しく食べられます。
追肥
春まきの夏収穫の場合は、短期間の育成なので追肥の心配はありません。
一方で、秋まきの場合は、収穫期間が長くなるので追肥を行います。
2回目の間引きの後に、扱いやすい化成肥料を施しましょう。ポリマルチをまくり上げてから条と条の間にまいていきます。
壬生菜の水やり
水が大好きな壬生菜にはしっかりと水を与えましょう。特に乾燥する冬場の育成期間(秋まき)は注意が必要です。
水やりの注意ですが、発芽間もないころは細く折れやすい野菜です。水量に注意が必要です。
寒冷紗ネットをかける説明を後ほどしていきますが、ネットから水がしたたり落ちる時に壬生菜を直撃するので困ります。間引きのたびに土寄せをして、小さな壬生菜の苗を補強しています。
壬生菜の収穫
草丈が25~30㎝になったら収穫していきます。株元からハサミで切って収穫する方法と、使う分だけ外葉からハサミで切っていく方法があります。大きく成長すると1株が4~5キロ近くになります。家庭菜園ではやりません。
緑が濃いのが壬生菜の特徴なのですが、色素が薄い壬生菜が生育することがあります。肥料が不足していると考えます。
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病害虫について
壬生菜は連作障害を起こしやすい野菜です。
同じ畑で連続しての栽培は避けて、1年は空ける(別の作物を作る)ようにしましょう。
モンシロチョウ・コナガの幼虫
壬生菜は柔らかい葉っぱの野菜です。どうしてもイモ虫系の害虫に狙われてしまいます。ただし、成虫のモンシロチョウ等は防ぎやすい害虫なので、対策はあります。
種まきと同時に寒冷紗ネットをかけてしまいましょう。これでイモ虫を防ぐことができます。寒冷紗ネットの利点は、害虫以外に寒さ対策にもなりますので、種をまいたら即座にかけてしまいましょう。
他には「ヨトウムシ カブラハバチ ダコンハムシ コナガ」等の憎い害虫がいますので、寒冷紗ネットを使用しましょう。発芽してからでは遅いですよ。被害が出てからネットをかけても駆除ができません。
軟腐病
根・茎・葉に侵入して腐らせる病気です。葉物野菜全般に見られる病気で珍しくはありません。腐敗が進むと悪臭がするので気が付きやすい病気です。
高温多湿の状態で発生する病気です。雨が続くようでは注意が必要です。
株間を適度に確保する。マルチに水が溜まらないようにする等対策を行いましょう。
やはり、秋まきの壬生菜が病気対策にも適していると実感します。害虫も発生時期がずれてくるので、被害をそれほど気にしないですみます。寒冷紗ネットをやれば霜対策にもなります。
立枯れ病
幼苗期(本葉が出始める時期)に出る病気で「カビ」が原因です。地際付近の茎が水で染みたような状態になり、やがて茎が株を支えられずに倒れます。
立枯れ病は放置すると他の株に伝染する病気です。発見したら株ごと除去してしまいましょう。
壬生菜の好む気候とは?
暑さ寒さに強い野菜ですが、涼しい気候を好みます。
どちらかというと寒い冬の方が、害虫被害が軽減されるので育てやすいです。
壬生菜の栄養は?
冬場に嬉しい「ビタミンC カロテン カリウム」を豊富に含んだ野菜です。カルシウムが多いのも特徴です。
壬生菜は油との相性が良いので炒め物にも適しています。かさがあっても加熱すると少量になるので、たくさん摂取できて嬉しいですね。
水菜同様に鍋やサラダにも適しています。特に鍋はスープと一緒に食べるので、水溶性のビタミンCが流れ出しても摂取できますね。加熱によってかさが少なくなるので、意外と多い量の壬生菜を食べる事ができます。
まとめ
京野菜の壬生菜の育て方を紹介してきましたがいかがでしたか?
育て方は簡単で、初心者の方からチャレンジできる野菜ですね。
寒さ暑さに強い壬生菜は、周年育てられる便利な野菜です。特に冬場は葉物野菜の価格が上昇するので、家庭菜園では嬉しい野菜の1つです。株ごと収穫する方法と。必要な量だけ切りながら収穫する方法があるので長く楽しめるのも家庭菜園の魅力ですね。
白菜や大根等と育てておけば、鍋の具材に使えて便利です。間引き菜はサラダとしても美味しくいただけて、無駄なく楽しみながら間引き作業もはかどります。
油との相性が良いのは、調理するときに便利な野菜です。加熱によって、かさが減ってくれるので、思いのほか多くの量を摂取できます。食物繊維の大量摂取も可能となって、腸内環境の改善に役立ちます。
さて、意外と簡単な京野菜「壬生菜」を家庭菜園で育ててみませんか?
思っていたより立派な壬生菜が収穫できますよ!水菜と一緒に育ててみましょう。