クリナムの名前の由来は、ギリシャ語のユリを指す「クリノン」という言葉から派生したものです。その名の通りユリに良く似た花を咲かせるクリナムは、白・ピンクなどの優しい花色が特徴。
「ハマオモト」「ハマユウ」などの別名を持ち、日本では三浦半島・伊豆半島・渥美半島などの沿岸部で自生しているのがよく見られます。
「パウエリー」「エレン・ボサンケット」「パウエリーアルバ」などが代表的な品種です。
Contents
クリナムの栽培時期と育成条件
- 日当たり: 日なた
- 土壌酸度:中性~弱アルカリ性
- 用途:地植え・鉢植え
- 耐寒性:普通
- 耐暑性:強い
- 花色: 白・ピンク・赤・クリームなど
- 草丈:60~100㎝
- 株間:40~60㎝
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クリナムに適した栽培環境
クリナムはアフリカを原産地とする宿根草です。本来は熱帯や亜熱帯地方で育つ植物なので、日光のよく当たる場所が適しています。暑さに強い特徴がありますが、耐えられる寒さは種によって異なります。
- 非耐寒性種は5℃以上
- 耐寒性種は-2℃以上
関東地方より西の場合は非耐寒性種でも越冬することが可能です。ただし、関東地方より東の寒冷地などでは、いずれの場合も冬になったら屋内に移動させて越冬させる必要があります。
地植え、鉢植えともに栽培が可能ですが、球根が大きいのでよほど大きな鉢や広い庭スペースに植えないと、少し窮屈に感じるかも知れません。
クリナムの植え付け
クリナムは基本的に「球根」を利用して植え付けを行います。気温が上昇してきた3月下旬から5月頃が植え付けの適期です。
地植え
植え付けの場所を選ぶときは、霜があたる心配のない日光の当たる場所を選びましょう。可能であれば、敷地の南側を確保するとよいでしょう。
球根を植える時は「浅植え」が鉄則。土から球根が半分または3分の1程度見えるようにして植え付けをします。根が広がっている場合は隙間に土が入るように、丁寧に作業を行ってください。
株間は40~60㎝を取りましょう。
鉢植え
鉢を選ぶ時は、球根の3倍程度の幅のあるものを選択してください。クリナムの大型品種なら8~10号鉢に1球が丁度よいでしょう。
鉢植えの場合は地植えの時以上に、球根が土から顔を出している状態で植えます。約3分の2程度は出るようしてください。
クリナムの用土
クリナムは中性または弱酸性、排水性に富み、有機質の多い土壌を好みます。
赤玉土:腐葉土を7:3の割合で混ぜた土を使用するとよいでしょう。
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クリナムの水やり
クリナムの水やりは生長期の春から秋にかけておこないましょう。水を好む植物なので、土が乾いているのを確認したら十分な水分量を与えてください。
特に鉢植えの場合は、受け皿に水が出てくるくらいの量を与えましょう。花や葉が全て枯れる冬は休眠しているので、次シーズンの春になるまでは、水やりの必要はありません。
クリナムの肥料
地植え
土作りをする時に、緩効性肥料を元肥として土とよく混ぜ合わせておきましょう。
また、追肥は元肥を施した3ヶ月後に行います。同じ肥料を土の上に置いておきましょう。
鉢植え
球根の植え付けが終わった時に元肥として緩効性化成肥料を土の上に置きましょう。
追肥のタイミングは、土の上に置いた緩効性化成肥料の形が崩れてきた時です。また、それとは別に液肥を月に2回水やりと同時に行うと、葉の色が綺麗になります。
クリナムの栽培管理
マルチ
地植えをするときは、マルチングをしておくと土中の湿度を保つことができます。また水やりでの泥はねによる葉の汚れを防止したり、雑草の生長を抑制したりすることができます。
花がら摘み
花が咲き終わったら、花茎の付け根から切り落として花がらを処分してください。この「花がら摘み」の作業を行うことで球根を大きく育てたり、クリナムにかかる負担を減らしたりすることができます。
また、枯れたままの花を放置しておくと、茎が傾き見た目にも良くありません。ただし、後に種を採種したい時は花がらを残しておきましょう。
植え替え
クリナムの植え付け後は、数年間は株をそのまま放置しておいても構いません。
年月が経つにつれて(およそ4~5年)花の数が減少してくるので、球根を掘り上げて分球して新たに植え替えを行いましょう。
冬の管理
記述の通り、クリナムは品種によって耐寒性が異なります。球根を購入するときに、どれくらいの耐寒性がある品種なのかをきちんと確認しておくようにしましょう。
寒冷地で鉢植えの場合は、冬場は室内に移動させておくとよいでしょう。また、地植えで越冬させる時は防寒対策を行っておいた方が安心です。
霜よけ対策としては、防寒トンネルや土や藁を被せるなどが有効的です。
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クリナムの花
クリナムの開花時期は6~8月にかけて。夜になるとほのかな良い香りを放ちます。
200種類近くの品種があると言われていますが、大きく「ステナスター系」「プラティアスター系」「コドノクリナム系」の3つに分類されます。
ステナスター系の特徴は花弁が細かいこと。プラティアスター系は花弁が広めで、コドノクリナム系は花弁が広いことが特徴です。
クリナムがなりやすい病害虫
クリナムは基本的に強い植物なので、病害虫に関してはあまり心配をしなくても大丈夫でしょう。
かかりやすい病害虫は以下の通りです。
ハマオモトヨトウ
ハマオモトヨトウは、イモ虫の一種であるチョウ目ヤガ科に属する害虫です。成虫になると約40mmまで大きくなり、花茎・葉・球根など株全てを食べ尽くす力を持っています。
発見したらすぐに薬剤を使用して駆除しましょう。あらかじめ、散布しておくことで株が殺虫剤を吸収して効果を発揮する「浸透移行生」の殺虫剤を使用してもよいでしょう。
赤ダニ
雨の当たらない場所での栽培と高温が続いた時に発生しやすいのが赤ダニです。葉の裏に小さな蜘のような形をした赤い虫がいたら、赤ダニと判断してよいでしょう。
体長は約0.3mm。とても小さいので一匹だけでは大きな被害にはなりませんが、強い繁殖力をもつので注意が必要です。
赤ダニの被害は、植物の栄養を吸い取ることによって株が弱ること。弱い植物の場合は、最終的に枯れてしまう可能性もあります。葉の裏を拭く・水で洗い流す・ガムテープなどで取るなどの対策を行うと、殺虫剤を使用しなくても済みます。大量発生した場合は、殺虫剤の使用をおすすめします。
ウイルス病
花や茎が変形したり、葉に斑点が出てきたりしたらウイルス病を疑いましょう。
ウイルスは害虫が運んでくるものです。害虫予防をするのはもちろんのこと、病気にかかってしまった株は、他の植物に移らないように早めに処分してください。
クリナムの増やし方
クリナムの増やし方は種と分球の2種類です。
種
花が咲き終わって枯れたものを放置しておいたら果実ができて、中に種ができます。種は保存せずに、採種したらすぐに土の中に蒔いておきましょう。
土を被せる度合いは、種が隠れる程度にしておきましょう。
分球
分球は4月頃に行います。株が混み合ってきら小株が沢山ついているはずですので、株を掘り上げて丁寧に分球し、植え付けていきましょう。
この時球根や根にダメージを与えないように注意してください。分球の作業は4~5年に1回くらいに留めておきましょう。
さいごに
クリナムは丈夫な上に良く花を咲かせる植物です。夏の花壇にもっとボリュームを出したい時などに植えると庭に活力を与えることができますよ。クリナムの栽培ポイントは以下の通りです。
- 球根は「浅く植える」が基本
- 耐寒性は種によって異なるので注意する
- 水を好む植物なので、水やりはたっぷりと与える
球根はネットなどでも気軽に入手することが可能です。クリナムを植えて、毎年綺麗な花と芳香を楽しんでみませんか。