春に植える野菜

コンニャク芋の植え付け〜収穫までの育て方!栽培時期や病害虫の対策など

日本が誇る健康食品、コンニャク。ではコンニャクがなにからできているかというと、コンニャク芋という芋の粉からできています。

コンニャク自体の歴史は古いのですが、コンニャク芋は栽培にしても保管にしてもかなり扱いがデリケートで、安定した栽培ができるようになったのは近代になってから。昭和30年くらいまでは栽培者の勘と運任せの要素が強く、「運玉」と呼ばれたりしていたそうです。

ですが現在では一般の家庭でも栽培できるようになっており、自家製のコンニャク作りを楽しんでいる方もいるほど。今回の記事ではコンニャク芋の育て方をご紹介します。

コンニャク芋の育成条件

コンニャク芋の育成条件

コンニャク芋は低温に弱く、育てるには13℃以上の平均気温が必要となります。そのため寒冷地では栽培が難しく、ハウス栽培をするのでなければ関東地方が北限となります

コンニャク芋の育成条件

  • 日当り:日なた
  • 土壌酸度:中性~弱酸性
  • 植え付け:地植えなら 株間60~80cm
    鉢植えなら 24cm以上の鉢に1本

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コンニャクの成長サイクル

コンニャク芋はサトイモ科の植物で、種芋から収穫できるまで2年から3年ほどかかります

コンニャク芋の赤ちゃんである生子(きご)は、収穫を迎えた株の地下茎の先端にできます。この生は収穫後に保管して翌年に植えつけます。

生子を春に植え付け、その年の秋に収穫したものが2年生。そしてコンニャクの原料に適した大きさの3年生になるためには、その2年生をさらにもう一度植えつけ、そして収穫しなければなりません。

というように、生子から3年生に成長させるためには丸3年の月日が必要なのです。農家さんによっては3年生を再度植え付け4年生にしてから出荷しているところもあります。

ちなみに大きさとしては3年玉で600g前後、4年玉では2Kg以上にもなります。

種芋の準備

とはいっても、家庭で栽培を試みる場合に必ず生子から育て始めなければいけないわけではありません。現在では2年玉の種芋が販売されており、生子を収穫するのは翌年以降の栽培に備える場合だけです。

ひとまずコンニャクを育ててみたいという方は、春の植え付け前に2年生の種芋を園芸店や通信販売などで入手してその年の秋の収穫を目指しましょう。

なお、種芋の良し悪しは収穫に直結すると言われています。もし手にとって選べる場合、以下の点を重視しましょう。

種芋選びのポイント

  • 芽の部分が鋭く尖っており、赤味がかった色をしている
  • 芋の部分は硬く、身がしまっている
  • 大きさ相応の重みがある
  • 病気の部分や傷がない

コンニャクの栽培環境

コンニャクの栽培環境

コンニャクをひと株だけ栽培するならば鉢植えでも育てることが可能です。地植えで育てる場合、コンニャクの特性を考慮して周囲の環境を整えておきましょう。

育てる場所

まず知っておいていただきたいのが、コンニャクの再生力はあまり強くないということです。再生力が弱いということは、葉にキズがついたり茎が折れ曲がってしまうとそのまま元に戻らない可能性が高いということです。

そのため、風の強い場所での栽培はおすすめできません。周囲に風を遮るものがあったほうが良いでしょう。また、過度な湿気と乾燥にも弱いため極端な日陰・日向も避けたほうが無難です。

コンニャクの土作り

鉢植えで育てる場合、市販の園芸用土で問題なく育てることができます。水はけを良くするために、鉢底に軽石などを入れておくと良いでしょう

地植えでは土作りを春先からはじめます。種芋には酸素が必要なので土を柔らかくしておくことが重要となります。植え付けの1ヶ月ほど前となる3月下旬~4月上旬には土を深めにおこして完熟堆肥と苦土石灰を混ぜ込みましょう。

堆肥の目安量は1㎡あたり2~3㎏、土壌酸度の目安はph5.5~6.5くらいとなります。phが高すぎると生育不良の原因となりますのでキチンと確認しましょう。土壌用のph測定キットや測定器があると便利です。

土壌の中和が済んだら、植え付ける2週間前には元肥を混ぜ込みます。元肥は化成肥料を1㎡あたり60gが目安です。化成肥料の成分比率はチッ素:リン酸:カリ=8:8:8のものを用いてください。

畝立て

特に高さのある畝は必要はありません。向きは日照差が生じないよう南北にし、その年に栽培する種芋の年齢によって畝の幅を変えていきます。

今回は2年玉もしくは3年玉の栽培を前提にしていますので、畝幅は60~80cm程度としてください。
植え付けの際は植え穴を30cm~50cm間隔で掘って植えつけるようにします。

※もし生子から栽培する場合は5~60cmくらいの畝幅に2列植えが基本の形となります。
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植え付けのポイント

植え付けの時期は4月下旬~5月上旬となります。

植え付けの際にはコンニャク芋ならではの注意点があります。まず畝立ての項で述べたとおり、2~3年玉については植え穴を掘って植えつけますが、穴の中に置くときは水平に植えるのではなく、横からみて45°くらい傾けた状態でおくようにします。

これは、種芋の実物をご覧になっていただければわかるのですが、種芋から出ている芽の周囲はお皿のようにくぼんでおり、そこに水がたまってしまうためです。

土の中であっても水がたまると種芋が腐敗しやすくなってしまうため、斜めにして水が流れやすい状態にして植えつけましょう。

また、土をかぶせる際にも注意です。土の表面から芽の付け根までが深さが6cmとなるくらいが理想ですので、あまり土をかけすぎないようにしましょう。

植え終わったら雑草と病害予防のために敷き藁をしいておくと良いでしょう。

コンニャクの栽培管理

水やり

コンニャクは大量の水を必要としません。ですが夏場、日光が強い時期にはさすがに水不足で元気がなくなることがありますのでそういった場合は多めに水をあげてください。

普段は土が乾いているなと思ったタイミングで水をまいてあげるくらいで大丈夫です。

中耕と追肥(おいごえ)

6月くらいにはポツポツと芋が地表に芽を出し始めますので、その頃に除草と追肥をかねて中耕を行います。芽から20cmくらい離れたところに畝と同じ方向に浅く溝を切り、元肥と同じ化成肥料を1㎡あたり30gほどまいていきます。

その後、出てきた芽の根元に向かって軽く土寄せをします。ちなみに中耕・土寄せをする際には「ホー」という農具があると便利です。

その後、8月にも同様の作業を行います。

コンニャクの収穫

コンニャクの収穫

コンニャクの地表部分は8月くらいまで成長を続け、10月を過ぎて寒くなり始める頃には自然に枯れていきます。

そして11月、茎や葉が完全に枯れてしまったらいよいよ収穫の時期です。収穫は、茎が倒れたらあまり日数が経たないうちに行いましょう。また、コンニャク芋は水濡れに弱いので雨が降った後の収穫は避けます。できるだけ晴れた日の午前中に行うようにしてください。

収穫の要領自体は他のイモ類と同じです。茎の根元から土を取り除き、傷をつけないように掘りあげてください。

堀り取ったイモは半日ほど直射日光に当て湿った土を取り除きます。その際もできるだけ重ならないように広げて、風通しのいい場所においてください。

その後は実際にコンニャク作りをするまで保管しておきます。

保管方法について

コンニャク芋は低温に弱いので、冷蔵庫での保管は避けましょう。室内の風通しのいい場所においておくのが理想です。

種芋として貯蔵する場合には室温が5~10℃程度、湿度は75%~85%が理想的とされています。またその際は芽を下に、もしくは横方向に向けておくように置いておきます。

なお生の状態であれば皮をむき、カットして冷凍も可能です。
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食べるときの注意

コンニャク芋には「シュウ酸カルシウム」という成分が含まれており、これを取り除くために十分アク抜きをしてからでなければ食べられません。

シュウ酸カルシウムは法令により毒物、および劇物に指定されている物質です。小さなお子様がいるご家庭などでは十分に注意しましょう。

コンニャクがかかりやすい病気

根腐病

症状:葉が開き始める7月中旬以降に発生する病気で、最初は葉の色が黄色がかって淡くなったかと思うとだんだんと巻きはじめ、そのうちしなびて枯れ落ちてしまいます。

同時進行的に根の部分でも腐敗が進むため葉が生気を失い始めたころには既に手遅れとなっているケースが多く、発生も集団的傾向のある怖い病害です。

原因と対策

根腐病の病原菌は土壌中に存在し、高温多湿の状態で発病しやすくなります。そのため圃場の水はけを良くすることで対策をおこないまよう。

また植え付け前に土壌殺菌剤を混ぜ込むことでも発病を緩和できます。効果があるとされているのはリドミル粒剤で、目安量は1㎡あたり10~15g程度です。

コンニャクの害虫対策

ハスモンヨトウ

ハスモンヨトウ

様々な種類の植物を食害する、いわゆる広食性の蛾の幼虫です。発生は8月~10月頃で、主に葉に被害をもたらします。

集団で発生し、成長するにつれ広い範囲で食害するので侮れません。大量に発生してしまった場合は畑一面を丸坊主にしてしまうこともあるそうです。

対策

幼虫を目視したら即捕殺するのが第一歩です。そのほかには卵塊を産み付けられないよう防虫ネットで囲うのもひとつの手。

また、合成性フェロモンを成分とする交信かく乱剤も効果があるとされています。この交信かく乱剤は他の蝶類や蛾などにも効果が期待できます。

おわりに

芋からコンニャクを作るには、皮をむいてカット⇒ゆでる⇒ミキサーなどで潰す⇒凝固剤(石灰)を入れる⇒良く混ぜて型に入れる⇒ゆでて固める⇒食べる前にもう一度アク抜き・・・という過程をふみますが、詳細な作り方は農協さんのサイトなどで紹介されているので確認して見ていただければと思います。

昨今ではスーパーでも「生芋こんにゃく」が売られていますが、食べてみるとやっぱり普通のコンニャクとは弾力や歯切れの感じが違いますね。

自家製ならばどれほどの食感が楽しめるのでしょうか?ご自身の畑と台所で試してみるだけの価値はあるかもしれません!



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