アメリカから渡ってきたブルーベリーが、日本で栽培され始めたのは1950年代。アントシアニンが豊富で、昨今の健康ブームにのって健康食材としての認識も高まっています。
そんなブルーベリーを自分で育てて収穫してみませんか?生でも食べられますし、スムージーやジャムなどにしても、とても美味しい果実です。
今回はブルーベリーの苗植え〜収穫までの育て方・栽培時期や剪定方法などをご紹介します。
Contents
ブルーベリーの栽培時期と育成条件
- 日当たり:日なた
- 生育適温:10~25℃
- 用途:地植え・鉢植え
- 土壌酸度:酸性(pH4.3~5.5)
- 耐寒性:強(ハイブッシュ系)・弱(ラビットアイ系)
- 耐暑性:普通(ハイブッシュ系)・強(ラビットアイ系)
- 受粉樹:必要
ブルーベリーの品種
世界に約150種類以上の種類があると言われているブルーベリー。それらは、栽培種ブルーベリーと野生種ブルーベリーの2つに分けられます。
一般的に、私達が植える栽培種のブルーベリーには、主に2つの系統があるので、植える前にその特徴を把握しておくことが、栽培成功のコツになります。
ハイブッシュ系
【ジャージー[ハイブッシュ系ブルーベリー 苗]挿し木3年生】
甘味が強く、大玉です。収穫時期は6~7月で、果実の色は紫。
「ノーザンハイブッシュ」(寒冷地向け)と「サザンハイブッシュ」(温暖地向け)に分けられ、栽培が少し難しいとされています。チャンドラーやスパルタンなどが主な品種です。
ラビットアイ系
歯ごたえがあり、完熟する前にウサギの目のように赤くなる果肉に特徴があります。収穫時期はハイブッシュ系よりも少し遅い7月上旬~9月上旬。
あまり土を選ばず、元気に育つことから、初心者でも育成しやすい系統です。ホームベルやティフブルーが主な品種です。
ブルーベリーの土作り
ブルーベリーの土作りで最も注意することは、水もち水はけのバランスがとれた酸性の土にすること。
土壌酸度pH4.3~5.5が適しています。土壌改良をするために、「ピートモス」を使用して土壌の改善をはかりましょう。また、土の酸度を計測するときは、土壌pH計があると土作りが楽になります。
ピートモスとは
アルカリ性に傾いている土を酸性にする効果がある改良用土です。他にも、土壌を柔らかくし、保肥力・保水力を向上させる働きがあります。
用意した土に対して、3割くらいのピートモスを混ぜることで、0.2~1.0位土が酸性に傾きます。この時、土と混ぜる前にピートモスを長時間水に浸して、充分な水分を与えておきましょう。
土の配合は、堀り上げた土:ピートモス:赤玉土小粒を3:5:2です。酸度を計測しながら、必要であればピートモスを増やして調節しましょう。
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ブルーベリーの植え方
苗は、枝に艶があり太いもの、なおかつポットの中で根がしっかり張っているものを選ぶようにしましょう。
植え付けはラズベリーの休眠期です。関東地方より北であれば3月頃、関東地方より西であれば10~11月の秋が適期です。極寒期の1~2月は、根が傷み土に根付きにくいので避けるようにしてください。
- 購入した苗をポットから抜き、根をしっかり崩す
- 深さ30㎝、直径80㎝の植穴を作り、根が土の表面に伸びてくるように広げて入れる
- 土を優しくかけていく
- 転倒防止の為の支柱を立て、たっぷり水を与える
- 元肥を施す(有機質固形肥料または、粒状肥料を適量)
- 土壌の乾燥を避けるため、埋め終えたら土の上にモミガラやワラ、バークチップを敷く
ブルーベリーを植える時の注意点
ブルーベリーは、林檎やナシと同じく「自家不和合性」という性質を持っています。自家不和合性は、同じ品種同士で受粉を行っても実がなりません。
そのため、ブルーベリーを植える時は、必ず同じ系統の別品種を数種類植えることが重要です。
ブルーベリーの水やりと日当たり
ブルーベリーは沢山の水分を必要とする植物です。乾燥に弱い性質を持っているので、2週間に1回を目安に水やりを行います。
夏場乾燥した日が続く場合は、水やりの頻度を多くしたりして調節してください。一度水切れをすると回復するのが難しくなるので、しっかり様子を見ながら水やりをしましょう。なお、2年目からは表土が乾いたら水やりを行うようにします。
ブルーベリーは日当たりを好みます。太陽の光がしっかりと当たる場所を選んで植え付けましょう。
ブルーベリーの肥料
植え付けの際に施す元肥の他にも、実が付く前の5~6月にかけてとお礼肥としての8~9月の2回、肥料を与えます。
根元ではなく、樹の広がりよりも外側の表土に与えることがポイントです。
ブルーベリーの剪定
剪定の適期は1~2月です。苗を植えて1~2年目の内は、樹木を大きくするために花芽を切って、木にエネルギーを蓄えさせましょう。3年目以降は、成長によって枝が混み合います。
風通しを良くし病害虫を防ぐため、根元から出ている枝(サッカー・シュート)や古い枝、内側に向かって伸びている枝などを切るようにします。
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ブルーベリーに発生しやすい害虫と病気
アブラムシ
繁殖力が強く、排泄物を目的に近づいてくる蟻を味方につけて葉に寄生します。
ウイルスの媒介者にもなり、モザイク病・すす病を運んできます。発見したら、歯ブラシ等でこすって除去しましょう。
ハダニ
葉の裏に寄生し。葉肉崩壊症や葉焼けを起こしたり枯らせたりします。
乾燥して気温が高い環境で増殖する特徴をもち、広範囲の移動も容易に行います。勢いのある水をかけるか、薬剤を使用して駆除します。
斑点病
葉に黒や褐色の斑点が現れる病気です。次第に広がり、植物の成長に影響を及ぼします。
湿っている環境や連作した土地などに発生すること多いとされています。発病した葉や落葉した葉をこまめに取り除くこと、風通しの良い環境にすることが防止策です。
鳥にも注意!
病害虫ではありませんが、ブルーベリーの天敵は鳥とも言われています。特にヒヨドリはブルーベリーの収穫期にとってやっかいものです。
一番の対策は防鳥ネットを張ること。少し面倒ですが、この方法が一番被害を免れることができます。
ブルーベリーの収穫時期と収穫方法
品種にもよりますが、ブルーベリーの収穫時期は6~9月上旬です。実が成長し完全に青紫色に変化して、4~7日経過したら完熟するので、晴れた日に一つずつ手で捻りながら収穫しましょう。
朝露が無くなってから摘み取ること、早取りしないこと、取り残しをしないことがポイントです。
ブルーベリーの保存方法
他の果樹と違い、ブルーベリーは収穫した後に糖度は上がりません。収穫後は涼しい場所に置き、劣化を防ぐためになるべく早く低温で保存することをオススメします。
通気性のある容器に保存し、ラップを掛けて冷蔵庫に入れておきましょう。0~2℃の低温が良いとされています。冷凍庫に入れておけば、半年くらい保存することが可能です。
ブルーベリーの増やし方
一般的なブルーベリーの増やし方は挿し木です。挿し木は、休眠時期の12~3月の「休眠枝ざし」と、7月上旬に行う「緑枝ざし」があります。
休眠枝ざしであれば1~2月頃に剪定した時の枝を利用することができ、なおかつ簡単です。
- 剪定した際に切った枝を、ビニール袋の中に入れて密閉し冷蔵庫保管
- 鹿沼土とピートモスを混ぜた土の中に、剪定した枝を植える
- ピートモスは前もって水に馴染ませておき、枝は1年生枝を選ぶ
- 花芽を切り、長さは10㎝くらいにする
- ナイフ等を使用して、基部を斜め切りにし、切り口に発根促進剤を塗り、約5㎝間隔で植え付ける
- 充分に水を与えて、半日陰に置く
過度な湿度と低温に注意して管理することで、7月に新しい梢が出てきます。
おわりに
ブルーベリーの育て方のポイントは下記の通りです。
- 土が酸性になるように土壌酸度に注意する
- 自家不和合性という性質を持つため、同じ系統の違う品種を一緒に植える
- 充分な日光と水分を与える
これらのポイントをしっかり抑えれば、初心者でも気軽にチャレンジすることができる果樹です。
沢山収穫して、美味しいブルーベリーで夏を堪能してください。