夏に植える野菜

アサツキの植え付け~収穫までの育て方!栽培時期や病害虫の対策など

アサツキの植え付け~収穫までの育て方!栽培時期や病害虫の対策など

アサツキは、ヒガンバナ科ネギ属の球根性多年草です。
ヒガンバナ科?ユリ科じゃないの?と思われる方も多いかと思いますが、旧分類である「クロンキスト体系」では「ユリ科」でしたが、新しい分類体系である「新エングラー体系」や「APG分類体系」では「ヒガンバナ科」に移っていて、更に最新の「APG Ⅲ」では「ネギ属」から「ネギ亜科」に昇格すると言う話もあります。

「薬味にはアサツキかワケギ、小ねぎなどを散らして…」なとど使われたりするため、ワケギと極めて近い種かと思われがちですが、分類上はチャイブ(エゾネギ)を基本種とした変種でラッキョウに似た地下茎を持っています。ちなみに、チャイブの別名はセイヨウアサツキだったりします。一方、ネギとタマネギの雑種がワケギになります。また、見た目や用途などが似ているワケネギは分けつが多い葉ネギの一種ですし、万能ねぎなどの小ねぎ系は葉ネギを若取りした物なので全く異なる種類になります。

関東の市場などでは、ワケネギを「ワケギ」、若取りの葉ネギを「アサツキ」、更に若い若芽を「芽ネギ」と呼んでいる事があるので、それも混乱に拍車をかける一因になっているのかも知れません。従って、いざ栽培してみたら考えていた「アサツキ」とは違うと言う可能性もあるのでご注意下さい。

なお、分類上は異なりますが、アサツキとワケギの育て方に関してはほぼ共通なので、このベージを読んでワケギを栽培しても差し支えありません。

アサツキの栽培時期と育成条件

アサツキの栽培時期と育成条件
アサツキの育成条件
  • 日当たり:日なた
  • 土壌酸度:中性~弱酸性
  • 収穫時期:3~5月頃、10~11月頃

植えつけの準備


【アサツキ 球根】

入手方法

「タネ球根」と呼ばれるラッキョウに似た球根の状態で販売されています。

土作り

比較的コンパクトなので地植えでもプランターでも栽培可能です。

地植えの場合、過湿を嫌うので水ハケの良い環境を選んで下さい。例えば「庄内砂丘あさつき」はブランド野菜としても有名ですし、他にも海岸沿いの砂地などで栽培されたり自生している事も多いです。植えつけの半月前までに1平米当たり100gの苦土石灰を入れて良く耕しておきます。幅50~60cmの畝を立てる事とし、1週間前までに1平米当たり堆肥2kgと粒状肥料200gを混ぜておきましょう。

プランターなどの場合、通常と同じ様に鉢底石を入れたら、後は赤玉土7:腐葉土2:バーミキュライト1の割合の土に苦土石灰、粒状肥料をブレンドするのですが、プランター数個程度ならば、pH調整済で肥料も配合されている市販の野菜用の培養土を使う方がお手軽でコスト的にも良いかも知れません。培養土の分量は、プランター上縁から2~3cmのウォータースペースの確保を目安にします。
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植えつけ

植えつけの時期は7~10月頃ですが地域により加減して下さい。

タネ球根の外側の薄い皮を剥き、2~3球ずつに分けておきます。10~15cm間隔にタネ球根を2~3球ずつまとめて植えるので、あらかじめ5cmくらいの窪みを作っておくと段取り良く進みます。尖った部分から芽が出るので、そちらを上に向け、頭が少し見える程度に浅植えにしましょう。

深植えにしてしまうと、萌芽が遅れて育ちが悪くなります。ただし、だからと言って極端に浅植えにし過ぎると、株元がぐらつき、まっすぐに育たないのでご注意下さい。

最後にたっぷりと潅水します。特にプランターなどの場合は底穴から流れ出るまで念入りに潅水して植えつけの完了です。翌年の3~5月頃の初収穫をお楽しみに。

水やり

アサツキの水やり

地植えの場合、球根が根づくまでは適度に水やりを行いますが、その後は極端に乾燥しない限りは放置します。

プランターなどの場合、球根が根づいた後は、土の表面が乾いたらタップリ潅水のパターンで行きましょう。

肥料


【ハイポネックス・活力液 ハイポネックス原液 450ml A】

草丈5~6cmになったら、化成肥料を畝の長さ1mあたり化成肥料を1つかみ位の見当で与えます。比較的肥料を好むので、以後2週間毎に同量程度の施肥を続けると良いでしょう。

プランターなどの場合は、週に1回程度、規定量より薄めの野菜用の液肥を潅水代わりに与えても良いでしょう。

草丈5~6cmの段階で株元へ軽く土寄せしておくと、揃ってまっすぐに育ちます。

収穫

アサツキの収穫

高さが20cm位になったら収穫します。

連続して収穫したい場合は、あまり欲張らず下の方を3~4cmは残すようにして、包丁などで切って収穫します。

収穫後は、上記と同様の液肥を与えて新葉の出てくるのを促します。環境などにもよりますが、1シーズンで3~4回は収穫が可能です。

植え替えと増やし方

春の収穫期を終えると6~7月頃に葉の部分が枯れ落ち休眠状態に入ります。そのまま放置しても施肥などの管理を怠らなければ2~3年は、それなりの収穫が可能ですが、基本的には連作障害がある物と考えておいて下さい。「放ったらかしでも毎年元気に生えて来るねぇ」などと油断していると、ある年から全くダメになってしまうと言うパターンです。

毎年安定した収穫を望むならば、科の遠い植物をローテーションで輪作栽培する事などで対処しましょう。具体的には、今年はアサツキを植えた場所に、来年はミニトマト、再来年は小松菜などと言った感じならばプランター3つでも回せますよね。

より効率的な収穫を望むならば、休眠期にタネ球根の部分を掘り出して陰干ししてから保存します。その後は、最初と同様に植えつけますが、タネ球根は増えているので簡単に株を増やす事ができるでしょう。

参考までにタネ球根の部分はラッキョウと同じ様に生のまま味噌をつけたりして食べられます。エシャレットみたいな感じですね。増え過ぎてしまったらチャレンジしてみて下さい。

なお、苦労して種子から実生苗を作ろうとする方は多くないでしょうが、先に記した通りチャイブの近縁種なので近隣に植わっていれば簡単に交雑してしまいますので、ご注意下さい。

病害虫

アブラムシ

病気や害虫には比較的強いので、心配はほとんど不要です。アブラムシがついた場合は、セロテープなどにより捕殺するか、有機JAS規格(オーガニック栽培)で使用可能な「ベニカマイルドスプレー」などで駆除します。

逆に度々問題が起こるようならば、風通しの悪さや過湿などと言った点で栽培環境を再点検すべきかも知れません。また、連作により黒斑病などに感染するリスクが飛躍的に増大します。

逆に、アサツキの根には、土壌病害を抑える効果のある拮抗菌が共生しているため、チャイブと同様にコンパニオンプランツとして利用するのも有効です。トマト、ナス、ニンジンなどと特に相性が良いようです。

おわりに

草丈もあまり高くならず、強い日差しも平気なのでベランダでの栽培も余裕です。

定番の薬味以外にも、「ぬた」などの和え物系はシンプルに単体のみはもちろん、海産物系との相性も抜群。また、中華風の炒め物や天ぷらに使っても美味しいので、ちょこっと栽培しておくと重宝しますよ。

以上、アサツキの育て方をまとめてみました。



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