夏に植える野菜

赤紫蘇の種まき〜収穫までの育て方!栽培時期や病害虫の対策など

赤紫蘇は中国南部地方を原産とする葉物野菜。日本では平安時代以前から食されていたと推察されています。

青紫蘇と栄養分はほぼ同じですが、赤紫蘇の特徴はアントシアニンという色素を含んでいること。この色素は抗酸化作用があると言われており、調理では独特のきれいな赤紫色を出すのに生かされています。

赤紫蘇の育成条件と栽培時期

赤紫蘇の育成条件と栽培時期

赤紫蘇の育成条件

  • 日当たり:半日陰
  • 生育適温:20~25℃
  • 用途:地植え・プランター
  • 土壌酸度:弱酸性6.0~6.5pH
  • 耐寒性:弱い
  • 耐暑性:やや弱い
  • 耐陰性:やや強い
  • 草丈:70~80㎝
  • 連作障害:なし

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赤紫蘇に適した栽培環境

赤紫蘇の栽培には、暖かい気候と程よい日光が必要です。

日の当たる場所に植えることが基本ですが、直射日光に当たると食用部分の葉がかたくなり、おいしい赤紫蘇が育ちません。

日光が強くあたる場所は避け、半日陰での栽培がよいでしょう。

青紫蘇との違いは?

青紫蘇との違いは?

紫蘇は青紫蘇、赤紫蘇、ちりめん、平葉に大きくわかれます。私たちがよく口にする青紫蘇は、赤紫蘇が変種してものであり、紫蘇といえば本来は赤紫蘇を指すものでした。「シソニン」というアントシアニンの一種の色素がこの赤紫の色味を出しています。

直接口にする青紫蘇と違い、赤紫蘇はショウガや梅干しの色付け、紫蘇ジュース、塩漬けなどで頻繁に使われています。

赤紫蘇の種まき

赤紫蘇の種まきは3~5月が適期、発芽温度は約22℃です。

種から育てる場合は、セルトレーに入れ、ある程度生長してから植え替えをおこないましょう。種まきの前日に一晩水につけておくと、発芽しやすくなります。

用意するもの

  • セルトレー
  • 種まき用培養土

方法は以下の通りです。

  • セルトレーに種まき用培養土を入れる
  • 一つの区画に4~5粒の種をまく
  • 発芽には日光が必要なので(光好性種子)、土を被せる時は薄くする
  • 発芽までは(約10日間)は、土が乾燥しないように水やりをする
  • 発芽してからは、土が乾燥してから水やりをする

寒い地域では、種まきの後にビニールハウスなどに入れて管理すると発芽しやすくなります。2枚ほど本葉が出てきたら、間引きを行い2本立ちにしましょう。

間引きの時に抜いた葉は「芽紫蘇」として活用することができます。捨ててしまわずに刺身などの添え物や薬味、などに活用してみましょう。

赤紫蘇の土づくりと植え付け

発芽して本葉が4~6枚でてきたら、プランターや地面に植え替えします。

プランター栽培の場合

プランターや鉢で赤紫蘇を栽培する時は、市販されている野菜用培養土を利用しましょう。

プランターでの株間は15㎝以上の確保が必要です。赤紫蘇の根は浅いので、深さのあるプランターでなくても育てることが可能です。植える株数によってプランターの大きさを合わせましょう。鉢の場合は10号程度に1株と考えます。

  • プランターまたは鉢に鉢底ネット・鉢底石をセットする
  • 野菜用培養土を容器の約7割入れる
  • セルトレーから取り出した苗よりも、一回り大きな穴を用意する
  • 穴に赤紫蘇の株をいれ、土に密着させる
  • 最後に充分な水やりをおこなう

地植えの場合

保水性と排水性の両方を好む赤紫蘇の土づくりでは、最初に苦土石灰を施し酸度調整を済ませておきましょう。よく耕して、水はけのよい土壌を作りたい時はさらに腐葉土を混ぜ込んでおきます。また、元肥として完熟たい肥と化成肥料を施しましょう。

株間はプランターと同様に最低でも15㎝以上。植え付け方法も同様です。スポンサーリンク






赤紫蘇の栽培管理

水やり

赤紫蘇は多湿を好む野菜です。

  • 種を植えて発芽前の間
  • 植え替えをして根付くまでの間

この2つの期間は、乾燥しないように水をたっぷりと与えることが重要です。

しっかり根付いた後は、栽培場所によって与え方が異なります。

  • プランターや鉢の場合は、土の乾燥が確認できたら受け皿に水が溜まるほど与える。
  • 地植えの場合は、日照りが続き乾燥した場合のみで充分。特に夏場は気温の上昇による乾燥が激しくなるので、注意して観察する。

なお、プランターや鉢での水やりは、受け皿にたまった水は必ず捨てましょう。

追肥

植え替えの時に元肥などをしっかり施しておけば、追肥の必要はありません

生育が悪く、追肥が必要だと感じたら、1~2週間に1回の割合で、薄めた液体肥料を適宜与えましょう。葉に元気がない、葉が黄色っぽくなるなどの症状がでたら、追肥を考えてよいでしょう。

摘心

赤紫蘇の収穫量を増やすために、摘心は重要な作業の一つです。赤紫蘇が15~20㎝くらいまで成長したら、株元数えて3~5節目を摘心(摘み取り)しましょう。

摘心をしてわき芽がどんどん出てくることが、収穫量の増量につながります。

赤紫蘇に発生しやすい病害虫

赤紫蘇は丈夫なので、基本的に病害虫の心配は必要ありません。まれに収穫期前後の株が弱くなってきたころに病気にかかることがあります。

さび病、ウイルス病、青枯れ病、猫部線虫、ダニ類などには注意しましょう。

肥料のやりすぎによる窒素過多によるアブラムシにも気を付けましょう。多湿を避け、追肥を与える時は適量を守ることが病害虫の予防につながります。

赤紫蘇の収穫

赤紫蘇の収穫

収穫時期は早くて6月から始まります。草丈が20~30㎝くらい、10枚以上の本葉が出ていたら収穫が可能です。

摘み取りのポイントは、下の方の葉から順に取っていくこと。初期に生長した本葉は固く、味も良くないことから、新鮮で柔らかな下にある葉を活用します。また、下の葉を摘み取ることがわき芽を増やすことにつながり、収穫量の増大につながります。元気に育ちすぎて固くなってしまった葉は摘み取り処分しましょう。

秋になると「とう立ち」して穂が出現します。穂ジソが出てきた以降は、葉は成長しませんので、その時点で全て葉を収穫してしまいましょう。なお、穂ジソも捨ててしまわずにお刺身のつま、実ジソとして活用しましょう。

収穫した赤紫蘇は、水気を含んだキッチンペーパーなどに包み、ビニール袋に入れて冷蔵庫で保存しましょう。冷蔵庫保存でも鮮度は落ちますので、早めに使い切ってください。

赤紫蘇の増やし方

赤紫蘇を増やすには、記述の通り種や苗を購入して毎年植えることが基本です。赤紫蘇に限らず紫蘇は「こぼれ種」から芽を出して生長することがありますが、こぼれ種で育った赤紫蘇は固い、味や風味が良くない、葉が平ら(縮みがない)など、その多くは食べるのに適しません。

また、青紫蘇と赤紫蘇を同じ場所で栽培した場合、交雑して2つの種類が混ざった紫蘇がでてくる場合もあります。せっかくこぼれ種で生長した赤紫蘇ですが、美味しい紫蘇を育てるなら、毎年種や苗木を購入するところからはじめた方がよいでしょう。
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赤紫蘇の種の採種

赤紫蘇の種の採種

自分で育てた赤紫蘇から種を取り出したいときは、赤紫蘇がとう立ちするまで待ちましょう。開花後1~2か月経過した頃に種を採種することができます。株が全体的に枯れてきたら根本から切断し、あらかじめ用意しておいたブルーシートなどの上に移動させましょう。

集めた赤紫蘇の束を作業しやすいように台の上に置き、軽く根元を棒などで叩き、種をシートの上に落としていきます。シートの上に落ちるものは種以外の葉なども多く混ざっていますので、ふるいにかけて種だけにしてください。

種だけの状態になったら、完全に乾燥させるために数日間天日干しにして、次の春に使うまでは涼しく、湿度の低い室内で保管しましょう。こぼれ種で増える赤紫蘇の品質はそれほど良いとされていませんが、自家採種した種は病害虫に強いと言われています。

おわりに

栽培管理も楽で病害虫の心配もそれほどない赤紫蘇は、場所を取らないのでベランダなどの小さなスペースでも沢山育てることができます。

また、葉だけでなく穂、実、種、茎全てを食べることが可能ですので、生長の時期に合わせてその時々の赤紫蘇を楽しんでくださいね。



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