観葉植物

アボカドの種まきからの育て方!栽培時期や病害虫の対策など

いつの頃からか、私達の食卓に欠かせない……とまでは行かなくともかなりポピュラーな存在になったアボカド。

甘味が少なく濃厚な口当たりがトロの刺身のよう、ということでワサビ醤油でいただく食べ方をはじめとして、サラダに和え物に、ディップに巻き寿司にと今ではいろいろな楽しみ方があります

なのでアボカドを育てる、となるとやっぱり果実を収穫したいと言う方が多いと思います。ですが、一本だけの栽培ではアボカドの果実を実らせるのは受粉の問題などで難しいということもあり、ここで紹介させていただくのは観葉植物としての栽培方法です。

観賞用と割り切って考えれば、ある程度の耐寒性もあるし葉の形も整っているしでかなり優秀な樹木ですよ!

アボカドの育成条件

アボカドの育成条件

アボカドは果樹です。室内で育てることも可能ですが、生育に適した環境下では樹高が10mを超えるほど成長するケースもありますので、長く育てる場合は庭植えを想定しておいたほうがいいでしょう。

ある程度までは寒さに強いのですが、もともと温暖な地域の植物ですので日当りがよい場所を確保しましょう。また、北風にさらされるような場所もおススメできません。気候的には山間部を除く関東地方以西が適当でしょう。

アボカドの樹形
  • 形態:高木
  • 樹高:7~20m超
  • 樹幅:品種によって異なるが、整枝により調整できる
  • 性質:常緑性(寒さにあたると落葉します)
アボカドの育成条件
  • 日当り:日なた
  • 土壌酸度:弱酸性~中性
  • 生育適温:冬季の最低気温5℃以上
  • 植え付け:品種と剪定方法によりますが、地植えなら2m×2m以上の広さが欲しいところです。プランターの場合は15号鉢(45cm径)以上の鉢がよいでしょう。

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種、苗木の入手と品種

種、苗木の入手と品種

アボカドを種から育てる場合は、市販のものを食べ終わったあとの種を使うことができます。また、ネットショップなどで苗木を販売しているのでそれを購入することもできます。購入する場合、好みの品種から選んで育てられることは魅力ですがそれなりにお値段もするようです。

次にアボカドの品種について紹介していきます。ちなみに開花パターンも各品種で異なるのですが、受粉・収穫を前提とした栽培記事ではないので割愛させていただきます。

アボカドの代表的な品種

ハス

日本に輸入・販売されているアボカドはほぼこのハス種になります。皮の表面がゴツゴツしており、熟すと紫がかった黒色に変化していきます。

食味の良さに定評がある品種で果実は卵型、重さは150~200gほどになります。緑色をした果肉の脂肪分豊かで、なめらかな口当たりは多くの人が知るところです。

若木のうちは耐寒性がないことに注意が必要です。

フェルテ

皮が薄く表面がなめらかで、鮮やかな緑色をしており西洋梨のようなくびれがあるのが特徴の品種です。世界的にも最も人気がある品種であるとか。

ハスよりも強い耐寒性を持ち、もちろん味も優れた品種です。

ベーコン

皮の表面がなめらかで、ハスよりも大きく少しとがった楕円形が特徴。色は濃い緑色です。食味はハスと似ているということ。寒さにはかなり強く、-4℃までは耐えるとされています。

ピンカートン

300~500g位になる細長い洋ナシ形の実をつけます。果皮はゴツゴツしていて緑褐色をしています。他の品種よりも油分が豊富で濃厚な味わいをしています。

アボカドの土作り


【果樹・花木の土 】

アボカドは水はけのいい、弱酸性よりの土壌を好みます。
自前でブレンドするならば赤玉土(小粒):腐葉土ないしピートモス:川砂を6:3:1の割合で混ぜたものがいいでしょう。市販されている園芸用培養土や、果樹向けの園芸用土を利用しても問題ありません。

若木のうちは屋内で越冬させられるようにプランターで栽培するといいでしょう。その場合、最初は小さな鉢で育てて最終的には12~15号鉢に植え替えるようにします。水はけをよくするために鉢底石を敷いておきましょう。

地植えの場所は日当りが良く強風にさらされない所を選び、植え付けの2週間くらい前には土を掘り起こして腐葉土や堆肥を混ぜ込んでおきます。

アボカドの種まき・植え替え

アボカドの種まき、植え替え

アボガドの種は5月~8月にまくようにします。食用にしたアボガドの種を良く洗ってすぐにまくようにすれば自然に発芽しますが、水につける方法と土に直接植え込む方法があります。

水の中で発芽させる

種を水に浸けて発芽させる場合、実が種の周りに残らないよう薄めた洗剤で油っぽさがなくなるまで洗い、その後乾燥させないようにします。

洗った種には爪楊枝を2~3本刺しておき種が発芽しやすい状態にしたら平らなほうを下にして、半分くらい水に浸かるようにして容器の中に置いておきます。種全体が水に浸からないように注意してください。

水が濁らないようにできるだけ毎日とりかえながら、15℃以上の場所に置いておくと1週間~2ヶ月ほどで種が割れて発根・発芽を始めます。最終的にはプランターへ移植しますので、芽が伸びてきたら土もあわせて準備してください。

土にまいて発芽させる

水に浸けるときと同じように種をキレイに洗ったら、上下をあわせてプランターに入れた土の中に埋めます。その時上部が土から顔を出すようにすると良いでしょう。水を取り替える手間がない分簡単ですが、乾燥が大敵です。土を常に湿った状態に保ちましょう。

なお、アボカドの種は平らな部分が根側=下で、とがっているほうが芽=上になります。発芽するまで半月から2ヶ月ほどかかります。なお、寒い季節には発芽しませんがその後暖かくなってから成長が始まります。

植え替え

もともと大きく育つ植物なので、プランターで栽培していると根詰まりを起こします。最初の植え替えのタイミングは種をまいてから半年ほどを目安にしてください。一回り大きな鉢に植え替えることで通気性や排水性を改善し、成長を促します。

新しい鉢を準備したら鉢底石を入れ、新しい土を補充します。前の鉢から抜いたアボカドは根を傷つけないよう、土を少し振るい落としてからら植え付け、根の周りを新しい土で埋めたらたっぷりと水をあげておきます。
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栽培計画の目安

栽培計画の目安

アボカドを育てる場合、温暖な地域を除いて若木のうちは屋内で越冬させるのが基本になります。また、庭に植えつけてからも放任するか剪定するかはお好み次第です。

以下に示すのは種から育てた場合の栽培計画の一例ですので、参考にしてください。

  • 1年目:種まき(5~8月頃)、越冬
  • 2年目:剪定(1~4月頃)、植え替え(5~6月)、支柱立て、越冬
  • 3年目:剪定(1~4月頃)、植え替え(5~6月)、支柱立て、越冬
  • 4年目:庭へ植え付け(5~6月)、剪定(12月~)越冬
  • 5年目:剪定・必要に応じて摘心(5~6月頃)

アボカドの水やりと肥料

水やり

土の表面が乾燥したら水を与えるようにするのが基本となります。特に5月から夏にかけての生育期は水切れを起こさないようにたっぷりと与えるようにしましょう。

越冬の時屋内については、これも乾燥させない程度に1日1回少量の水を与えます。やりすぎは根ぐされの原因となりますので注意してください。

庭植えにして根付いた後は、定期的に水やりをする必要はないですが夏場に葉の勢いがないときは水を与えてください。

肥料

春から夏にかけての暖かい時期には成長が早いので、3ヶ月おき程度に緩効性の肥料を与えるようにします。
量は肥料ごとの用法を参考に、一般的な果樹の規定量を与えてください。

アボカドの栽培管理

アボカドの栽培管理

剪定

アボカドは環境が合えば放任で樹高20mを超えることもある高木です。枝も上に向かってのびがちですが、横向き・斜め向きの枝を意識して残すことで表情のある樹形になります。まずは鉢植えの段階であまり上に伸びすぎないよう30~40cmで頂点を摘心し、横向きの枝を増やします。

ちなみに剪定は2年目からはじめて大丈夫です。時期は12月~4月にすると、木に与えるダメージが少なく済みます。

剪定の目的は形を整えることもそうですが、風通しと日当りの改善のためにも行います。風通しをよくすることは病気や害虫のリスクを減らすことにもつながりますので、葉が混み合っているようだったら躊躇せずにハサミを入れましょう。

支柱立て

アボカドの幼木は細く折れやすいので、屋内で鉢植え栽培するときでも支柱で支えるようにします。

園芸用の支柱を幹の隣に差し、ビニールテープや麻ヒモで8の字にゆわえるようにして支えてください。キッチリくっつくように縛るのではなく遊びを作るのがポイントです。

地植えにしてからも幹の太さに心配がある場合は同様に支柱で支えてあげます。

越冬

冬の寒さに当たるとアボカドは葉を落としてしまいます。茎と根が生きていれば翌年また成長を始めますが、茎にダメージを受けるとそのまま枯れてしまいますので幼木の間はできるだけ屋内で育てたほうがいいでしょう。成木になってからも北風に強くさらされる環境は良くありません。

室内の温度も5℃を下回る環境では、透明なビニールなどで覆って寒さから守ります。根の保護のために敷きワラを敷くのもいいでしょう。いずれにしても、雪が降る地域での栽培は難しいといえるでしょう。
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アボカドがかかりやすい病気や害虫

炭疽病

症状:葉、枝に暗褐色の斑点が生じます。放置すると病斑が大きくなっていき、発生した部分が枯死したり果実部分は腐ってしまう場合があります。

原因と対策:カビが原因で、日光不足や風通しが悪い環境で発生しやすいとされています。特に梅雨や秋の長雨の時期に多く発生する傾向にあるようです。

対策としては混み合った枝を落として風通しを良くすることが第一です。また、感染した枝は病気の発生源になる可能性があるので隔離して処分してください。農薬による防除は効果的ですので、他の病気の予防もかねて「トップジンM」などを散布し防除していきます。

カイガラムシ

枝や茎、葉に貝殻のようなカラをかぶって定着する虫で、植物の汁を吸って成長を阻害し、病気を媒介したりします。なにより見た目がよろしくないので、観葉植物としてアボカドを育てる場合は見つけたら即排除したい害虫です。

対策:見つけ次第歯ブラシや指先でこすり落とします。その際、葉を傷つけないよう注意しましょう。成虫は殻をかぶっているので薬剤の効きはよくないのですが、幼虫は薬剤による防除が期待できますので孵化の時期である5~7月に「オルトラン液剤」などを月に2~3回程度散布すると発生を抑えることが出来ます。

おわりに

アボガドは果実の収穫をしようとすると少なくとも2株以上を育て、かつ人工授粉などの作業も必要になってきます。しかも着果率も高くないということで今回はそのあたりはスパッと割り切り、あくまで「観葉植物」としてのアボカドの育て方をお送りしました。

実際にご自宅で育てられている方も結構いらっしゃるのですが、やはり実をつけるのは稀なんだそうです……。

ですが市販のアボカドを食べた時に残る種から育てることができるので元手がほぼタダのようなもの。これは素敵なことだと思いませんか?ひとまず何粒かまいてみて、上手くいったものを大事に育てるということもできます。

この気軽さは他の果樹にはなかなかないと思いますよ~!



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