インドを原産地とする冬瓜は、日本でも古くから栽培されていた野菜の一つです。現在の栽培量は沖縄県がトップ。愛知県や岡山県など地域でも多く栽培されています。冬瓜は春に種を植えて夏に収穫が可能な野菜ですが、条件が揃えば冬までまるごと長期保存が可能です。
カロリーが低く、カリウムが多めに含まれているので、ダイエット食や高血圧予防などにも期待ができます。今回は冬瓜の育て方についてご紹介します。
Contents
冬瓜の栽培時期と育成条件
- 日当たり:日なた
- 土壌酸度:pH6.0~6.5
- 生育適温:25~30℃
- 用途:地植え・プランター
- 耐寒性: やや弱い
- 耐暑性: やや強い
- 耐陰性:やや弱い
- 連作障害:あり
- 花色:黄色
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冬瓜に適した栽培環境
冬瓜は、春に種を撒き夏に収穫をするツル性の植物で、酸性土壌を嫌い、寒さに弱い特徴があります。
連作障害がでる野菜なので、1度冬瓜の栽培に使った土地は、3年以上あけるようにしましょう。植える時は、日当たりが良く排水性に富んだ場所が適しています。
冬瓜の種類
冬瓜は大きくわけて2~15㎏ある「とうがん」と、1~2㎏の「ミニとうがん」に分類されます。とうがんには、沖縄の「琉球種」、丸い形をした「大丸とうがん」、円筒の形をした「長とうがん」、などがあります。ミニとうがんには、「姫とうがん」や「小冬瓜」などがあり、調理の際に使いやすいことから重宝されています。
両者の違いは、とうがんが完熟した時に現れる表面の白い粉が出るのに対し、ミニとうがんでは、それがほとんど現れないことです。
冬瓜の用土
プランター
市販されている野菜用培養土を利用しましょう。プランターは深型が適しています。
また、60㎝幅なら冬瓜1~2株を植えることができます。鉢での栽培では、10号で1株が適しています。
地植え
冬瓜は酸性土壌に弱いので、地植えの土作りは酸度調整が大きなポイントです。定植の2週間前に苦土石灰を入れ、土をよく耕しておきましょう。
また、定植の1週間前になったら、堆肥と化成肥料を適量入れて、再度耕して混ぜ込むようにしてください。また、畝は幅70~90㎝、高さ約10㎝がよいでしょう。
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冬瓜の種まき
冬瓜の種を購入したら、ポットに種を撒いていきましょう。
地植えでもプランターでも、種をポットに撒いて苗まで育ててから定植するのが基本です。種の発芽適温は17~30℃。適期は4月ですが、お住まいの地域の外気温が十分適温になるまで待ってから種まきを行いましょう。冬瓜の種の皮は厚く、水を吸いづらい特徴があります。
種を植える前日に一晩水につけておくと、発芽しやすくなります。
- 9㎝幅の3号ポットと種まき用培養土を用意する
- 1つのポットに対し、種は2~3粒入れる
- 種を植える深さは約1㎝
- 軽く土を被せ、十分に水やりをする
- 発芽後、本葉が2~3枚出てきたら1つのポットに対し苗が1本になるよう間引きを行う
発芽するためには、夜にポットを寒い環境にさらさないことがポイントです。17~18℃以下にならないように、小さなビニールハウスや、むしろをかけて保温するようにしましょう。また、日中温度が30℃以上になると蒸れやすくなるので、定期的に換気を行うようにしてください。
また、日陰では発芽しにくいので、置き場所は日光の当たる場所に置きましょう。本葉が5枚くらいになったら定植します。
冬瓜の定植
ポットに植えた苗の本葉が5枚くらいになったら、畑やプランターに定植しましょう。暖かい地域なら5月上旬、暖かくなるのが遅い地域なら6月上旬が目安です。地植えの時の株間は80~90㎝を確保します。
また、どの栽培方法でも深植えはしないようにしてください。移す時は、根を崩さないようにポットの中身全体を移動させるようにしましょう。
植えつけが完了したら十分に水を与えますが、朝晩の気温が15℃以下になるようであれば、トンネルやマルチなどで保温してあげるとよいでしょう。また、プランターや鉢での栽培では、朝晩に室内に取り込んでおくと安心です。
冬瓜の水やり
冬瓜の栽培では水切れに注意しましょう。
プランターや鉢での栽培は、土が乾燥したのを確認したら、十分に水を与えてください。
地植えの場合は、基本的に降雨だけでも育ちます。乾燥した天候が続くようであれば、水を与えましょう。
冬瓜の追肥
定植して約2週間が経過すると、3㎝くらいの小さな実がつき始めますので、畝に沿って適量与えてください。
追肥の量が少ないようであれば、半月後に再度追肥しましょう。冬瓜は肥料を好む野菜ですが、量が多すぎるとツルボケを起こしやすくなるので注意しましょう。
肥料の置き場所は、1回目は株間、2回目以降は畝の肩(端)の部分に施しましょう。
冬瓜の栽培管理
整枝と摘芯
冬瓜が生長するに従って、親ヅルと子ヅルが出てきます。ツルを放置したままにしておくと、茎葉が混み合い、実の生長に影響を及ぼすので、整枝と摘芯を行います。
- 親ヅルは株元から6~7節目で摘芯
- 子ヅルは元気なものを4本残して、他は間引く
- それぞれの子ヅルに付いた株元から一番近い果実は摘み取る
- 孫ヅルは放置してもOK(ただし、実と株元の間にある孫ヅルは取る)
子ヅルに付いた第1雌花の実を取ってしまうのは、冬瓜の生長の促進、形が悪いことが理由です。
人工授粉
冬瓜は虫や風の力をして受粉をします。比較的手を加えなくても結実しやすい野菜ですが、気温が低かったり心配だったりする時は、人工授粉を行うとよいでしょう。
ポイントは朝の9時くらいまでに済ませること。雄花を手に取り、雌花におしべをつけるようにしてください。当日咲いた花を使うことが重要ですので、日頃から花の観察を怠らないようにしましょう。雄花と雌花の違いは以下の通りです。
・雄花は花の下が膨らんでいない
・雌花は花の下が膨らんでいる(小さな実がある)
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冬瓜の収穫
冬瓜の収穫時期は8~10月。黄色い花を咲かせてから約1ヶ月半が目安となるでしょう。冬瓜は当初、表面が産毛に覆われていますが、収穫時期になると白い粉が出てくるようになります。
この粉を「ブルーム」と言い、冬瓜を病気から守ったり、水分の蒸発を防いだりする働きがあります。ブルームは内部から出てくる自然な物質なので、人に影響を及ぼすものではありません。品種によってはこのブルームが出てこないものもあるので、重さや開花してからの日数で収穫適期を判断するようにしてください。
なお、若取りをしたい時は、開花から25~30日くらいが丁度よいでしょう。また、実がある程度大きくなったら収穫までの間、冬瓜と土の間にトレイなどを敷いてあげると、湿気による腐敗や害虫から冬瓜を守ることができます。
冬瓜の保存方法
冬瓜を収穫してそのまま保存したい時は、日光の当たらない涼しい場所に置くようにしましょう15~25℃くらいの環境下では約3ヶ月保存が可能です。
気温がもっと高い場合は、食べやすいようにカットしてラップや袋に包み、冷蔵庫に入れましょう。この時気を付けることは、種やワタは必ず取り除いておくこと。
冬瓜はワタから腐敗が始まるので、おぼえておきましょう。冷蔵庫では1週間間は保存が可能ですが、なるべく2~3日中に食べるように心がけましょう。また、冷凍庫の場合も冷蔵庫保存の場合と同様の方法で保存してください。
ただし、下茹でをしたからの冷凍庫保存の期間は約1ヶ月ですので、早めに使いきることをおすすめします。
冬瓜がなりやすい病害虫
基本的に冬瓜は病害虫に強い植物です。ただし、連作した時は「センチュウ」などが発生しやすくなります。また、新芽が出る時期は「アブラムシ」、高温と乾燥が続くと「うどんこ病」などが発生しやすくなります。
害虫は見つけ次第、殺虫剤を利用して駆除しましょう。また、病気を予防するには連作を避けること、株が混まないようにして風通しの良い環境を作ることが重要です。
さいごに
- 低温に弱いので、特に栽培初期はマルチやトンネルなどで温度を保つようにする
- 良い実を付けるためには、整枝・摘芯は必ず行う
- 肥料切れはしないようにするが、量は適量を守り、与えすぎにも注意する
- 特に初期段階では乾燥を嫌うので、水やりのタイミングに注意する
冷蔵庫や冷凍庫保存で取り除いた種やワタは、調理して食べることも可能です。冬瓜はスープの具材や煮物など、活用できるレシピが沢山あるので、是非チャレンジしてくださいね。