フィリピン、台湾、パプアニューギニアなどの赤道に近い暖かい地域が原産地の胡蝶蘭。日本に伝えられてきたのは、明治時代と言われています。開店や開業の際に、店舗の入口にずらっと並べられた胡蝶蘭を見たことがある方も多いのではないでしょうか?
お祝いごとで胡蝶蘭が送られるのは、「幸福が飛んでくる」という花言葉や鉢植えで栽培されることから「根がつく」というポジティブなイメージを想像させる理由があるからです。
華やかで高価なイメージが浸透している胡蝶蘭ですが、お祝いやプレゼント以外にも自分で栽培や管理ができる楽しい花です。
上手に育てていけば、その寿命は50年とも言われています。今回は、胡蝶蘭の育て方についてご紹介します。
Contents
胡蝶蘭の栽培時期と育成条件
- 日当たり:日なた(直射日光は厳禁)
- 用途:鉢植え・切花
- 耐寒性:弱(10℃以上)
- 花色: 黄色系、白系、ピンク系、紫系、青系
- 大きさ:大輪・中輪・小輪
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胡蝶蘭は種から植えられる?
ガーデニング初心者の場合、種から育てることは困難ですので苗の購入をおすすめします。
というのも、市場には胡蝶蘭の種はほとんど出回っていません。
また種から育てるには、専門業者が行うとても難易度の高い技術が必要です。
苗であれば数千円で様々な種類が販売されているので、店頭やネットで苗を購入するところからスタートしましょう。
胡蝶蘭の種類
胡蝶蘭は大きさによって3種類に分けられます。
大輪
花の大きさが11~15㎝以上あります。華やかで豪華な雰囲気が特徴です。
開店祝いなどの祝いごとの贈答用として多く利用されています。
中輪(ミディ)
花の大きさが3~6㎝くらいのものを指します。
育てやすく、身内や友人へのプレゼントとして気軽に利用できる大きさです。
小輪(ミニ)
花の大きさは2~4㎝くらいです。自宅で気軽に飾って楽しむことができる大きさです。
大きさで分けると既述の通り3種類ですが、この種類にはそれぞれ黄色系、白系、ピンク系、紫系、青系の花色に分けられます。
部屋の広さや雰囲気に合わせて、胡蝶蘭の大きさや沢山ある色のなかから好きな品種を選びましょう。
胡蝶蘭の株の選び方
株を実際見ることができる場合は、以下のような点に注意して選びましょう。
- 幹となる部分が太くしっかりとしていること
- 葉の数が多いこと
- 根がしっかりと張っていること
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胡蝶蘭の置き場所
通年にわたって室内管理、レース越しに程良く日光があたる明るい部屋がベストです。
直射日光は葉焼けの原因になるので避けましょう。
日光以外にも、風通しや15℃以上の室温が必要です。また、エアコンや扇風機の直風、窓から吹き込む風にも当たらないように注意しましょう。
胡蝶蘭の水やり
水やりは胡蝶蘭の栽培において難易度が高く、重要なポイントです。頻度は、胡蝶蘭の大きさ、置き場所の環境によって異なるため一概には言うことができません。
植え込みの表面が乾燥している状態を確認してから、充分に水やりを行ってください。その際受け皿に貯まった水は必ず捨てましょう。水のあげすぎや鉢の中に水分が多く溜まっている状態は根腐れの原因になりますので、水やりの後はしっかり乾燥させることも大切です。
胡蝶蘭は多湿も嫌いますが、乾燥も嫌います。冬期の室内、暖かい気候でも湿度が低い環境にある場合は、水やり以外にも霧吹きで水分を与えましょう。
胡蝶蘭の様子や植え込みの状態、周りの環境を考えながら水やりを行うことが大切です。
胡蝶蘭の肥料
肥料を与えることにより、花持ちが長くなる・管理がしやすくなる効果があります。胡蝶蘭には液体肥料や緩効性化成肥料を使用することができます。
また、洋ラン用の肥料でも可能です。肥料のやりすぎは胡蝶蘭を弱らせる原因になるので、使用量をきちんと守って与えましょう。
胡蝶蘭がなりやすい病害虫
胡蝶蘭は水苔かバークを使用し、土を使わないため病害虫の発生はそれほどありません。
ただし、カイガラムシが発生した時は、ブラシなどを使用してこすり落とすようにしましょう。駆除した後も、発生を抑制するために薬を使うと安心です。
胡蝶蘭の花が咲き終わったら
咲き終わったら花は処分
胡蝶蘭は根元から上にむかって徐々に花が咲いていく特徴があります。
そのため、花が枯れていくのも根元からです。萎れてしまった花は取り除いて処分しましょう。
もう一度花を咲かせたい時
胡蝶蘭は花を咲かせた後の管理方法によってもう一度花を咲かせることが可能です。ただし品種によっては咲かない場合もあります。
管理方法の作業手順は以下の通りです。
- 支柱を全てはずしておく
- ハサミを用意して茎をきる
胡蝶蘭の花茎には5~6の節があります。花茎を切る場所は5~6節目です。高い位置の節を切ることで腋芽を沢山残すことができるので、花が咲く可能性が高くなります。
ただし、高い位置で花茎を切ると枝の形や花の数が少なくなる傾向があるので、再び立派な花を咲かせたい場合は、下の方(1.2節目くらい)で切るとよいでしょう。うまくいけば、数ヶ月に再び花を咲かせます。
腋芽とは
「えきが」と読みます。
茎、葉、枝の途中から出る芽を指し、花芽になる可能性があります。
胡蝶蘭の植え替え
胡蝶蘭の植え替えは、4月か初秋が適期です。根を弱らせる原因になるので、1年に何度もおこないません。
植え替えは、花が終わった・病気になった・害虫が付いた・2年間植え替えをしていない時などです。
また水苔が古くなったり、カビが生えてしまったりした時なども株を元気に育てるために植え替えをしましょう。
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植え替えの前準備
植え替えを行う前に準備が必要です。
- 花が全て咲き終わったのを確認し、支柱をはずす
- 全ての花芽を園芸用ハサミで切る
- 鉢やポットから株を引き抜き、根についている水苔やバークを取り除いて捨てる
- 弱ったり腐ったりしている根は切断し、元気な根だけを残す
花芽の切断は、すぐに花を咲かせたい場合は3節目より2㎝上、再び時間をかけながら育てたい時は根元で切断しましょう。
胡蝶蘭は水苔かバークに植え替えをします。
水苔の場合
- 素焼きの鉢を用意する
- 水苔を根の周りに多めに巻き付ける(鉢に入れた時にパンパンになるくらい)
- 素焼きの鉢の上から2㎝くらいの位置まで入れ込む
- 植え替えが終了してから1週間は水やり不要(病気を防ぐため)
バークの場合
- 少量のバークをポリポットへ入れ、固形の肥料(適量)をバークの上に置く
- 肥料の上にさらに一握り分のバークを入れて、その上に胡蝶蘭を置く
- 胡蝶蘭のまわりにバークを敷き詰め安定させる
- 水苔の時と同様に、植え替え後1週間は水やり不要
水苔で栽培していた胡蝶蘭をバークに植え替えすることは可能です。
おわりに
胡蝶蘭の人気の理由には、見た目が豪華であること以外にも、香りが少なく花粉が散りにくいのでアレルギーの心配が少ないことがあげられます。
また、約1ヶ月という花の咲く期間が長いことも人気の理由のひとつです。温度、日光、風通しの環境が整っている置き場所、水やりの頻度に栽培のポイントにおけば、それほど難しい植物ではありません。
まずは、小さくて育てやすい胡蝶蘭から挑戦してみませんか?
お部屋のなかが優雅で豪華な雰囲気になりますよ。