里芋は縄文時代から日本に存在する歴史ある野菜です。
主成分はタンパク質とデンプン、他にも食物繊維やカルシウム、ビタミンB群などが含まれ、芋独特の食感とヌメリは日本食には欠かせない存在です。
今回は、里芋の育て方についてお話したいと思います。
Contents
里芋の育成条件と栽培時期
- 日当たり:日なた
- 育成適温:25~30℃
- 育成最低温度:12~25℃
- 土壌酸度:中酸性~中性(pH6.0〜6.5)
- 連作障害:あり(4~5年あける)
里芋の特徴とその種類
私達が普段口にしている里芋は、茎が大きく成長した部分です。里芋の種芋が成長するにつれて、その上に親芋・子芋・孫芋が段々と増えていきます。
里芋がお祝い行事やお正月などのおめでたい席で使用されているのは、この増え方が子孫繁栄を象徴するとされているからです。
種芋は、親子兼用種・親芋専用種・子芋専用種の3つに分類され、どの部分を食べるかによって、種芋の選択が変わってきます。
一般的には、「土垂れ」、「石川早生」などの子芋用の品種が有名です。また、親子兼用種の「八つ頭」や親芋専用種の「筍芋」があります。
種芋の用意
種芋を選ぶ時は、40~60g位のある程度大きなものを選ぶようにしましょう。
小さい種芋を植えても、あまり品質の良い里芋は育ちません。綺麗な形で膨らみのある、傷の無い種芋を購入しましょう。
里芋の芽出し
購入した種芋の芽が出ていない場合は、自分で芽出しの作業を行いましょう。種芋を土に植えてから地上に芽が出てくるまでには、約1ヶ月間の時間が必要です。
土に植え付けを行う前に芽出しの作業を行うことにより、時間の短縮、芽が出ない種芋を省くことができるなどのメリットがあります。
芽出しはプランターやポットを利用して行う方法が一番簡単です。
- ポットやプランターに培養土を半分入れる
- 種芋の芽を上に向けて、土に植えて培養土を被せる
- 日中に暖かい場合は外、夕方から朝方寒い時間帯は室内で管理する
暖かい温度を保つために、ポットやプランターの上にビニールを掛けて保温すると、より発芽しやすくなります。
芽が出てきたら水やりを行い、芽が3~4㎝ほど出てきたら成功です。
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里芋の土作り
里芋は連作障害をおこす野菜なので、前回里芋を植えている土地であれば4~5年はあけるようにしましょう。
また、成長すると背丈が約80㎝で大きな葉も出てきます。できれば周辺の空間に余裕がある場所を選択するとベストです。
里芋の栽培における適正な土壌酸度はpH6.0〜6.5の中性です。粘土質の土壌を好みます。
- 芋を植え付ける2週間前までに苦土石灰を入れて耕す
- 1週間前になったら元肥を入れて再び深く耕し、畝を作る
里芋は、地中深くに根を伸ばす習性があるので、「深く」耕すことがポイントです。
畝は、畝同士の間隔50㎝、幅90㎝にすると1畝に対して2列の種芋を植えることができます。
種芋を植える
寒さが苦手な里芋の植え付け時期は、気温が15℃以上になってからにしましょう。
桜前線が来る頃に植え付けを行うと、丁度よいとされています。
- 用意した種芋を芽が上にくるようにして、畝に約40㎝間隔で植え付ける
- 種芋の上に被せる土は、5~6㎝
大量の種芋を使う時は、器具を使用する方法もあります。
楽に種芋を植えることができ、同時にマルチに穴を開けることも可能なので、植え付けがとても楽になります。
里芋の水やり
里芋にとって乾燥は大敵です。また、高温多湿を好みます。特に初夏の気温が上がり出す頃から収穫前にかけての水やりは、里芋の品質に関わってくる重要なポイントです。
一般的な野菜の株元に水を与えるような方法とは異なり、畝の内部まで水が浸るくらい畝の間にたっぷり水を与えましょう。水やりは朝か夕方の時間帯が適しています。
土壌の乾燥を避けるために、除草した時に出た雑草や藁を敷いてあげるとよいでしょう。
里芋の追肥・土寄せ
里芋が成長するにつれて土寄せと追肥が必要になります。
土寄せの回数などは以下の通りです。
- 1回目:草丈が約30㎝まで伸びた時(5㎝)
- 2回目:6月中旬頃(10㎝)
- 3回目:7月中旬頃(10㎝)
土寄せを行うと同時に追肥もします。化成肥料を株間に適量施しましょう。
土寄せをすることで、子芋が地表に出てくるのを避けて里芋の品質を向上させる働きがあります。
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里芋に発生しやすい害虫と害虫病
里芋は、害虫や病害虫に強い特性があります。
ヨトウムシ、アブラムシ、ハダニ、スジスズメの幼虫、大型のイモムシが付くことがありますが、あまり酷く被害を受けていないようであれば、里芋に関しては特に気にする必要はないでしょう。
里芋の収穫時期と収穫方法
里芋の収穫時期はおよそ10月くらいから始まります。早く成長する品種であれば、9月の中頃から収穫することができます。里芋の葉が枯れ始めたらそのタイミングと判断してよいでしょう。
この収穫時期は丁度霜がおりてくる時期と重なるので、必ず晴れた日に行うようにしてください。
スコップ、鍬などで茎を根元から切って深く彫り上げ、里芋に傷が付かないように丁寧に手で取り出しましょう。
収穫した里芋の保存方法
収穫した里芋をすぐに使いたい時は、親芋と子芋、孫芋を別々にします。ただし、保存するときは分けずに株のままにしておいてください。
というのも、里芋を分けてしまうと、その切り口から腐ってしまうことがあるからです。
里芋の保存方法は、主に3通りあります。
収穫した場所でそのまま保存
この保存方法は、年内に里芋を使いたい時に適しています。収穫時期を迎えた里芋を掘り出さずに、そのまま上に土を約30㎝被せておきましょう。
土をかけることで保温効果が発揮される訳ですが、寒冷地ではこの方法はオススメできません。
別の場所に穴を掘って保存
この方法は、春までの長期保存、寒冷地での保存、大量の里芋の保存に適しています。
まず初めに、約80㎝の深さの穴を掘りましょう。次に、収穫した里芋を塊ごと分けずに逆さまにして埋めます。埋め終わったら、雨水が入らないようにトタンやビニールシートをかぶせます。
穴を掘る労力がかかりますが、長い間保存が可能ですのでとても便利です。翌年に使う予定の種芋も、この方法で保存しましょう。
家で保存
室温が5℃以上かつ空気の通りが良い場合は室内で保存することが可能です。ただし、この方法は長期保存には適していません。
収穫を終えた後、土がついたままの里芋の塊を紙や新聞紙でくるんで置いておきましょう。調理等で使用するときは土を洗い流し、冷蔵庫で保管できますが早めに食べるように心がけてください。
里芋のプランター栽培
里芋はプランターや鉢でも里芋を育てることが可能です。育て方は既述の通りですが、用意するプランターは30㎝以上の深さのある大型のものを使用してください。
また、鉢を利用する時は15号以上の大きさのものを用意しましょう。一つの株から収穫できる里芋は20個以上にもなります。
大量の里芋を必要としない場合は、プランターや鉢で栽培をするとよいでしょう。
おわりに
里芋を育てる上で重要なポイントは、暖かい気温と乾燥させないように水やりを行うことです。比較的病害虫にも強いので、成長過程の栽培管理にはほとんど手間はかかりません。
里芋は、茎(イモガラ)の部分も食べることができるのをご存じですか?
食べる時は、茎を収穫したら皮をむいて茹でてあく抜きをしましょう。酢の物や煮物、浅漬けなど様々な料理に活用することができますよ。