南アフリカを原産とするゼラニウムは、品種改良によって花の色や形、香りなど様々な種類が存在しています。多年草で開花時期が長く、手入れもしやすいことから町のあちらこちらで見かけることも多いのではないでしょうか。
ゼラニウムには独特の香りがあるのでアロマや香水などに多く使われています。また、虫がこの香りを嫌うことから虫除けとしての役割を果たす植物でもあります。品種によっては葉に模様が入っているものもあり、観葉植物として楽しむこともできます。
今回は、初心者でも大変育てやすいゼラニウムの育て方についてお話したいと思います。
Contents
ゼラニウムの栽培時期と育成条件
- 日当たり:日なた
- 用途:地植え・鉢植え
- 土壌酸度:弱アルカリ性(pH7.0~)
- 耐寒性:やや弱 耐暑性:普通
- 花色:赤・ピンク・白・紫など
- 草丈・樹高:20~100cm
ゼラニウムの栽培環境
ゼラニウムは風通しと日当たりの良い環境を好みます。ただし、品種によっては日が当たりすぎると花つきが悪くなったり、葉の色が薄くなったりすることがあります。
また、湿度の多い環境にも弱い面があります。鉢植えで育てる場合は、夏の日差しの強い時は半日陰になるような涼しい場所に移動させましょう。冬や春など雪や霜が降りてくる地域は、室内で管理するようにして下さい。
関東より西の地域であれば、防寒することにより外で冬を越すことも可能です。暑すぎず寒すぎない、程良い環境が適しているということです。
ゼラニウムの土作り
ゼラニウムは弱アルカリ性の土壌が適しています。
土作りをする時は、草花用培養土に苦土石灰を混ぜてpH7.0以上になるように調節しましょう。土壌酸度の調節をしたら牛糞堆肥を1割混ぜます。
土を自分で作る場合は、赤玉土と腐葉土を7:3の割合で混ぜたものを使用します。
ゼラニウムの植え付け
ゼラニウムの植え付けは、3~5月の春と9月頃の夏の終わりから秋にかけてが適期です。
苗を選ぶ時は、葉の緑色が鮮やかで元気そうなものを選択しましょう。
- 鉢の底に軽石または鉢底石を敷く
- 土造りで用意した培養土・自作の土を入れる
- 苗を入れ、水を充分に与える
- 風通しと日当たりの良い場所に置く
苗は一年を通して販売されていますが、気温が高すぎたり寒すぎたりする時期を避けて、植え付けを行いましょう。
ゼラニウムの水やり
鉢植えの場合
表面の土が乾いたら、鉢底から水が溢れ出てくるくらいたっぷり水を与えます。
花に水がかからないように、根元に水を注ぐのがポイント。水やりは午前中に行いましょう。
地植えの場合
基本的に水やりの必要はありません。真夏に土の中が乾燥する状態が続くようであれば、水をたっぷりあたえます。
春と秋は、鉢植え・地植え共に土が乾燥していることを確認してから水やりをするようにしましょう。土の湿度が高くなると根腐れの原因になるので注意が必要です。
また、夏は水分の蒸発が早いので土が乾燥していたら2回(朝と夕方)水やりを行います。どの季節においても、ゼラニウムは乾燥気味で栽培していくことが重要です。
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ゼラニウムの肥料
花を咲かせる春から秋にかけては、1,2週間に1回液体肥料を水やりの時に与えます。
ただし、真夏の暑い時はゼラニウムが弱くなっているので肥料は与えないようにします。
液体肥料の他にも、年に1.2回石灰質(苦土石灰や有機石灰)を株元に施しましょう。
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ゼラニウムの栽培管理
切り戻し
切り戻しとは、株を剪定して形を整え不要な枝を取り除くことです。この作業によって、必要な栄養分を実や花に回して成長を促すことができます。また、風通しが良くなるので病害虫の予防にも役立ちます。
ゼラニウムの切り戻しは、株が大きくなりすぎたなと感じたら行う程度です。多くの品種はあまり大きくなりません。形のバランスが悪い、好みの大きさでない場合はわき芽がある節の上部で切り落としてください。
真夏と冬以外の時期であれば、何時行っても大丈夫です。
花がら摘み
咲き終わった花がらをこまめに摘み取る作業を「花がら摘み」と言います。
清潔な環境を整えることで病気やカビの原因を取り除くだけでなく、結実した花に栄養が回ることを避ける目的もあります。
花びらだけでなく、ガクも一緒に取り除くようにしましょう。また同時に、枯れた葉やカビの生えている葉も処分するようにしましょう。
ゼラニウムの植え替え
鉢の中で根が詰まっている、根腐れをおこしていると感じたら真夏と冬以外に植え替えを行いましょう。
どんどん成長させたい時は、2まわり大きな鉢を用意して株を移します。そのままの大きさで育てたい時は、根を良くほぐして、腐っている根や古い根を取り除き、同じ大きさの鉢に移動させましょう。
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ゼラニウムに発生しやすい害虫と害虫病
モザイク病
アブラムシなどが媒介となってウイルスを運ぶことにより、花びらや葉にモザイクの形をした斑点ができる病気です。
治療するのは困難なため、発見したらすぐに病気におかされている葉や花を取り除くようにします。また、その際に使用したハサミや手は必ず洗浄するようにしましょう。
ヨウトムシ
葉を食害する害虫です。
成虫になると殺虫剤が効きづらくなるので、幼虫のうちに薬剤を使用して予防または退治しましょう。
ゼラニウムの増やし方
ゼラニウムは挿し木で増やすことができます。切り戻しを行った時に、先端から4~5枚位葉と元気な茎が付いた枝を切って使いましょう。
土に挿すときは、葉が3枚くらいあれば良いので、土に挿す部分となる下に付いている葉を茎の根元から切断しておきます。
土に挿す切り口となる部分は、くさび形にして1日日陰で乾燥させましょう。
これは、切り口の水分による腐敗を避ける為に行います。発根促進剤を切り口に塗布しておくと、なお良いでしょう。
- 枝の準備ができたら鉢の中に土を入れ、水やりをして土に湿気を持たせておきます。
- 次に割り箸で穴を開け、切り取った枝を入れて発根を待ちます。
- 普段の水やりと同様に、やや乾燥した状態で管理してください。
半月くらいすると根が生えてくるので、1~1.5ヶ月位経過したら植え替えを行います。
ゼラニウム豆知識
ゼラニウムには、花の色によって花言葉が分かれています。
ほんの一部ですが、ご紹介したいと思います。
- 赤:君ありて幸福
- ピンク:決意・決心
- 白:私はあなたの愛を信じない
- 黄色:予期せぬ出会い
ゼラニウム全てを総称した花言葉は、「真の友情・信頼・尊敬」です。花の色によって、こんなにも意味合いが異なるのはとても興味深いですね。
風水的には、ゼラニウムは魔除けの力を持っているとされています。最近運気が良くないと感じたり、イヤなことが続いたりする時は玄関にゼラニウムを飾りましょう。嫌な運気や邪気をはね除けてくれます。
他にもゼラニウムのアロマは運気の上昇や自律神経を整える効果があるとされています。
おわりに
ゼラニウムの育て方をご紹介しました。
育成のポイントは以下の通りです。
- 高温と多湿を避け、乾燥気味に管理する
- 切り戻しをすることで病害虫を予防
- 暖かい地域は外でも越冬できるが、寒い地域では室内管理
- 年に1.2回石灰質を与える
これらのことに注意すれば、育成するにあたり難しいことはありません。初心者にとっても大変チャレンジしやすい植物です。
他の植物を虫から守るためにも、気軽に一鉢から挑戦してみてはいかがでしょうか。