たくさんの小さく赤い実が収穫できるザクロは、カリウムやビタミンC、ビタミンKなど多くの栄養素が含まれている果樹です。
原産地のイランでは5000年以上前から栽培されており、日本へは平安時代に伝わってきたと言われ、現在でも東北以南のあらゆる地域で栽培が行われています。
今回は、ザクロの種まきから収穫までの育て方、剪定方法や病気の対策についてご紹介します。
Contents
ザクロの栽培時期と育成条件
日当たり:日なた
土壌酸度:弱酸性
土壌塩類濃度:中(0.8~1.5)
用途:地植え・鉢植え
耐寒性:強 耐暑性:強
受粉樹:不要
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ザクロの植えつけ
種を植える場合
種から栽培する場合は、実をつけるまで3年~5年の歳月がかかります。ザクロの種を撒くには、9月~11月が適期です。
秋に実がなり種を採取することができたら、早速種を撒きましょう。保管しておきたい時は、春まで冷蔵庫の中に入れておきます。
- 種を取り出したら、水で洗い果肉をきれいに落とし、一晩水に浸しておく
- 浅い鉢やポットに種まき専用の土、または赤玉土を入れてから種を蒔き、土をかぶせる
- 乾燥しないように観察しながら水やりをする
- 本葉が3枚くらい出てきたあたりで、育苗ポットに移し替える(12月~3月)
- 15㎝から30㎝くらいに成長したら、地面か鉢に植え替える
苗を植える場合
12月~3月が苗を植える適期です。地植えの場合は、日光が良く当たる場所を選び、約30㎝の穴を堀り、土をしっかり耕します。
穴の幅は、苗よりも1まわり大きいくらいが丁度よいでしょう。鉢に植える場合も、苗より1まわり大きなサイズを用意してください。
ザクロは成長すると深くまで根が張るので、鉢植えよりも地植えをオススメします。
ザクロの用土
水はけ、水持ちの良い弱酸性の土を好みます。鉢植えの場合は、赤玉土、腐葉土を7:3が適しています。また、草花用の培養土を使用することもできます。
地植えの場合は、堀り上げた土に堆肥か腐葉土を3割ほど混ぜてください。ザクロはそれほど土にこだわる必要のない果樹ですが、水はけだけには注意して場所を選ぶようにしましょう。
ザクロの肥料
カルシウムやリン酸を多く含む有機肥料や固形肥料を根元に置肥します。
- 地植えの場合は、3月と10月(芽が出る時期・果実を収穫し終えた時期)
- 鉢植えの場合は、3月・7月・10月(芽が出る時期・開花後・果実を収穫し終えた時期)
チッ素分の多い肥料を与えると、花つきが悪くなります。また、肥料を与えれば与えるほど、葉を茂らせ大きく成長していきます。
肥料を与えることにより、葉や枝のみが元気になる場合は、量を減らします。他の植物に見られるように、肥料を与えすぎることによる根腐れを起こすことは、ほとんどありません。
ザクロの水やり
鉢植えか地植えかによって水やりの方法が異なります。
鉢植えの場合
土の表面が乾燥し、白っぽくなってきたら充分に水を与えます。
土が常に湿っている状態では、根腐れを起こす可能性が出てくるので観察しながら行うようにしてください。
地植えの場合
苗を地面に植えた後、しっかりと根付くまでは水を充分に与えましょう。根付いた後は水やりの必要は無く、雨だけで充分です。
ただし、株がまだ若い場合は、夏場に定期的にたっぷり水やりをすると、生育が良くなります。秋から冬にかけては、少しずつ水やりの回数を減らしていくことがポイントです。
ザクロの植え替えと増やし方
ザクロの植え替え
鉢植えをした場合、通気性良くし、根詰まりを防ぐために3月下旬頃(暖かくなってから)に2年に1度の割合で植え替えをしましょう。
ひとまわり大きな鉢に移し替えることで、のびのびとした環境で育つことができます。
ザクロの増やし方
種まき、挿し木、取り木の方法で増やすことが可能です。
ザクロの挿し木
増やす方法としては一番簡単で、3月が適期です。太く成長した枝を約15㎝の長さで切断し、土(清潔な赤玉土など)に半分くらい埋め込みます。
日蔭において、乾燥をさけるように水やりを行い、根がついたら鉢や地面に植え替えを行います。
ザクロの取り木
4月下旬頃が適期です。ヤゴ(地面から出ている萌芽枝)の樹皮を数センチ幅剥ぎます。樹皮の上に湿っている水苔、または土を盛ると根が出てきます。8月位まで成長させてから、用土に植え付けを行いましょう。
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ザクロがなりやすい病気
ザクロは、適切な育成環境で育てていれば、害虫や病気にはなりにくい果樹ですが、全く病気にかからないという訳ではありません。
ザクロがなりやすい病害虫をご紹介します。
アブラムシ
歯の裏に付着します。発見したら、アブラムシのいる葉を除去するか、手で虫を除去しましょう。
殺虫剤を使用することもできますが、実を食べるなどの目的で育てている場合は、成分に気をつけてください。
ゴマダラメイガ
ザクロの実の中に入り込み、果実を食い荒らします。ザクロの他にも、栗やウメ、ブドウなどの果実にも頻繁に現れる害虫です。
ザクロの果実に袋を被せておくことで、侵入を防ぐことが可能です。袋は収穫する1週間くらい前に外しましょう。
カイガラムシ
成虫になると殻をまとう害虫です。卵の時期と、成虫になってからは殺虫剤があまり効かないので、幼虫のうちに駆除することが大事です。
ザクロの葉や枝が黒ずんできたら、すす病になっている可能性があります。この症状が出たら、カイガラムシがいる可能性があります。幼虫のうちに殺虫剤や農薬を使って除去します。
カイガラムシが成虫になってしまった場合は、歯ブラシを使ってこそぎ落とすか、発生している枝や葉を処分してしまう方法もあります。
うどんこ病
初夏から秋の終わりにかけて発生する、葉の表面に白い粉のようなものが付く病気です。菌やカビが原因とされており、この病気にかかった部分は回復することはできません。
放置しておくことで、他の葉に菌が移る可能性があるので、発見したらすぐに葉を切り取りましょう。初期段階に薬剤を使用することにより、うどんこ病の発生を予防することが可能です。
ザクロの剪定
冬になって葉が落ち、枝だけの状態になったら剪定をしましょう。12月から2月が適期です。
ザクロを剪定することにより風通しが良くなるので、害虫や病気を予防することができます。剪定は、必要最低限に留めておきましょう。
- 太く元気な枝は切らない
- 細く伸びすぎている枝、木の幹にむかって(内側)伸びている枝、元気に上へ伸びている枝を中心に切り落とす
- 花芽を切らないようにする
- 季節にかかわらず、ヤゴ(地際から出てくる枝)は抜くようにする
ザクロの摘果(摘み取り)
実が付く、付かないにかかわらずザクロは花を咲かせる習性があります。
子房が小さく弱々しいものは、実をつける可能性がないので、早めに摘み取りましょう。
摘果を行うことにより、実をつける子房に充分な栄養が行き渡るばかりでなく、翌年の花つきが良くなる効果があります。
ザクロの収穫
夏の終わりから秋にかけての9月~10月がザクロの収穫時期です。果実が赤くなり、頭頂部が裂けてきたら早速収穫してみましょう。
完熟状態になると、口が裂けて中の種や実が飛び出すので注意してください。また、品種によっては裂けないものもあるので、確認しておきましょう。
皮をむかずに密封状態で冷蔵庫に入れておけば、約2ヶ月間保存することができます。
ザクロ豆知識
花言葉
ザクロは5月の下旬から6月にかけて、綺麗なオレンジ色の花を咲かせます。
花には、「素直な美」、「自尊心」、「成熟した美しさ」
実には、「子孫の守護」、「結合」、「愚鈍」
木には、「お互いを思う」
という意味があります。
おわりに
ザクロの育て方について解説しました。
ザクロの育て方のポイントは下記のようになります。
- 日当たりと風通しが良い場所で、肥えた土を使用すること
- チッ素分の入った肥料を与えないこと
- 病害虫を避け、花芽を育てるためにも剪定はきちんと行うこと
ザクロは、ジュースや果実酒、ジャム、サラダなど色々な方法で活用することができます。
病害虫も少なく、簡単に育てることができるので、是非チャレンジしてみてください。