トウモロコシはイネ科の一年生植物で、コメやムギに並ぶ世界三大穀物のひとつです。
サラダ、スープ、和洋中のあらゆる料理に色どりを添える、汎用性の高い野菜でもあります。
今回は、トウモロコシの種まき〜収穫までの育て方、栽培時期と害虫の対策についてお話ししていきたいと思います。
Contents
トウモロコシってどんな野菜?
現在、日本で主に栽培されているのは、糖分が多く、甘みが強いスィートコーンと呼ばれる品種です。
またその主成分は糖質であり、エネルギーの補給源になるほか、胚芽にはビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンEが多く含まれています。
トウモロコシの粒を包む皮は、不溶性食物繊維で、サツマイモの約4倍の量を含んでいると言われています。
トウモロコシのおすすめ品種
味来(みらい)390
フルーティーなトウモロコシです。すがすがしい甘さと、粒のやわらかさで人気です。
粒並び、先端稔実がよく、作型も豊富ですが、発芽率がやや低め。気温が適温に達してからの種まきとし、必ず一か所に3粒まくようにします。
カクテル84EX
糖度が高い極良質のバイカラートウモロコシです。黄色と白の2色の粒が混在していることをバイカラーと呼び、カクテル84EXはコントラストが美しい品種です。
根の張りがよく夏の強風による倒伏に強い特徴があり、草丈は180㎝程度に育ちます。また粒の実入りも安定しています。
ゴールドラッシュ
皮がやわらかいトウモロコシを作るべく、10年かけて品種改良されてきました。粒の皮が薄く、新鮮であれば生のままかじることもできます。歯ごたえははプチプチしており、甘くておいしいです。
消化にもやさしいため、おやつに向きます。穂の先端までびっしり実がつきやすく、育てやすさの面でも評価されています。
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とうもろこしの基本の作型
中南米原産のトウモロコシは、真夏によく育ちますが、本来は中温性の作物です。生育適温は10℃~30℃、土壌の適正範囲も非常に広く、育てやすい作物でもあります。
全国各地で栽培可能ですが、光がよくあたる環境ですと、より品質が向上します。
栽培のポイントは、初期成育の安定にあります。害虫対策として低温期に早まきすると発芽遅れがでることも。
下記は一般的な作型です。種の袋に記載されている栽培暦を確認してから種を購入しましょう。
- 種まき4月上旬
- 間引き5月上旬
- 収穫7月中旬~7月末
- 種まき3月上旬・トンネル被覆開始
- 3月中旬換気口140センチおき
- 3月下旬換気口70センチおき
- 4月上旬換気口70センチおきに二条
- 間引き4月中旬間引き
- 本葉8枚になったらトンネルの天面を長方形に切りとり頭頂部を出せるようにする
- 4月下旬トンネル被覆終了
- 収穫6月中旬~7月上旬
トウモロコシの栽培管理
土づくりと畝
トウモロコシは連作障害が起こりにくい野菜です。畝を作る場所は、前年にナスやキュウリなど、連作障害を起こしやすい作物を植えた場所を考慮し、輪作となるように、トウモロコシを植えるとよいでしょう。
中性から弱アルカリ性の土壌を好みます。種まきの2週間以上前に苦土石灰を70ℊ/㎡をほど全面に施してから耕します。またトウモロコシは吸肥料性も強いため、元肥には堆肥を多めに。畝をつくる場所に深さ30センチほどの溝を掘り、堆肥を施します。目安としては2㎏~3㎏/㎡です。合せて、発芽まもなくの肥効を考え、化成肥料は150/㎡ほど施肥します。
畝は、溝の上になるようにつくります。風による受粉を助けるため、2条植えにします。放射線状に根を張るので、幅は75センチ~80センチ、畝の高さは強風対策としてなるべく低くします。
種まき・育苗
トウモロコシは、植え替えに弱いため必ず畑に直まきしましょう。季節になるとホームセンターで苗を入手できますが、その後の活着遅れによって、生育が著しく遅れる可能性があります。
またトウモロコシの品種を混ぜて植えると、それぞれの品種の花粉と受粉してしまい、味見が落ちることがあります。必ず単一の品種で植えるようにし、もし品種の異なるものを植える場合は、畝をなるべく離すようにしましょう。
条間は45センチ~50センチ、株間は30センチとします。ペットボトルの底などで2センチほどの穴を掘り、一つの穴に対して3〜4粒の種を、2センチほど離して配置します。1センチほど覆土し、しっかり着圧させましょう。
間引き・無除けつ
本葉が5枚になったら茎が太い1本を残し、ほかは地際部でハサミを入れ、切りとります。間引いたものを移植しようとすると、順調に育っている株の根まで傷めてしまうため、控えましょう。
生育が進むと株元から分けつ枝が伸びてきます。光合成による栄養を主枝に供給する役割があるため、分けつ枝は残します。
追肥
1回目は、雌穂の分化が始まる、本葉が5~6枚で草丈が50センチに達するころに行います。肥効遅れがあると穂が小さくなり、粒の数が減ってしまうので、化成肥料を使用し、中耕します。降雨が少ない場合はしっかり散水しましょう。
2回目は、株の頭頂部に穂が見えたころです。雌穂からヒゲが出るまえに穂を充実させるためにも、肥料切れを起こさせないよう注意しましょう。化成肥料を施肥後、株元に土を寄せることで、倒伏防止にもつながります。
トウモロコシの収穫適期が近づくと鳥による被害が多発します。鳥のなかでもとくにカラスが、その学習能力の高さから問題視されています。
CDなどの光を反射するものには耐性をつけたという地域もあり、鳥害対策はイタチゴッコになる一方、最近注目されているのが、「防鳥テグス黒糸」です。カラスの視覚で認識しにくい黒糸が羽に当たると、その場所を警戒し、避けるようになります。
トウモロコシの倒伏防止用柵を設置している場合、そこに高さ30センチずつほどずらし、2~3周程度巻いて畝のなかへの飛来を防ぎます。
また倒伏防止用の柵をしていない場合は、タマネギ用ネットを実に被せておくだけでも被害を減らすことができます。
台風対策
トウモロコシは地中の根の広がりに対し、地上部が高く成長するため強風が弱点です。
収穫期は台風の上陸が続くことも考えられますので、大風が予想される際には早めの対策をしましょう。
外側に柵を設置する
畝の四方に木杭などを打ち込み、しっかりした材質の支柱を横に渡して、トウモロコシが外側に倒れるのを防ぎます。トウモロコシの高さに合わせて横に渡すようにしましょう。
トウモロコシの株同士を結束する
麻ひもなどを使って、4株以上のトウモロコシの茎をひとつに結び、風圧で根が浮かないよう支え合わせます。その横に長めの木杭を支柱として打ち、固定するとより効果的です。
アワノメイガの幼虫による食害
トウモロコシの害虫といえばアワノメイガというほど、トウモロコシが大好物な厄介者です。
アワノメイガの成虫は春から初夏にかけて飛来し、イネ科の植物に産卵します。孵化まもなくは葉を食害しますが、発達に伴って、茎、実と食害部を広げていきます。
成虫は雄花の匂いにつられて飛来する特性があるため、トウモロコシの受粉が終わったら、雄花は切りとって畑の外で処分しましょう。
とうもろこしの収穫の目安と貯蔵方法
トウモロコシのひげがこげ茶になり、絹糸抽出後20~25日前後が目安です。皮の上から触ってみて、実のしまりを確認し、もしわからなければ、皮の先端を少しめくってみましょう。
収穫方法は、実の根元を押さえ、茎に対して外側に倒し、もぎ取ります。収穫適期は2日~3日ととても短いので、実の付き方をこまめに確認しましょう。収穫後は急速に鮮度が落ちます。
貯蔵する場合は、加熱直後にラップで密封するか、冷めてから保存袋に入れて冷凍するとよいでしょう。
おわりに
今回はトウモロコシの栽培についてお話しました。トウモロコシのひげは雌しべです。ひげの本数は、その房の粒数と同じだけあります。
通常、とうもろこしの雄花が風に吹かれて花粉を散らすことで受粉しますが、トウモロコシの株数が少ない場合は、雄花を切りとった後、絹糸に花粉をたっぷり振りかけるなど、人工授粉も有効です。
またトウモロコシのひげは乾燥させてお茶にすることもできます。むくみ解消にも効果があるので、収穫後はぜひお試しください。