からし菜の一種とされている高菜は、九州地方を中心とした西日本で栽培されている野菜です。
9月頃の秋に種を植え、冬になると収穫できるので寒い場所に住んでいる人で栽培風景を見たことがない、という人も多いのではないでしょうか。厚みのある茎や葉とピリッとした辛みが特徴で、漬け物やラーメン、チャーハンなど様々な料理で活躍しています。
今回は、高菜の育て方についてご紹介します。
Contents
高菜の栽培時期と育成条件
- 日当たり:日なた
- 生育適温:15~20℃
- 発芽適温:15~25℃
- 土壌酸度:6.0pH
- 連作障害:あり(1年以上あける)
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高菜に適した栽培環境
高菜は、風通しと日当たりの良い場所を好み、乾燥に弱い特徴を持っています。
苗が幼い時期は、暑さや寒さに比較的強いとされていますが、成長するにつれて次第に寒さに弱くなります。
育てやすい高菜の品種
初心者でも育てやすい高菜の3品種ですので参考にしてください。
こぶ高菜
寒さに強いので家庭菜園でも大変育てやすい品種です。
葉と茎の境目にコブがあるのが特徴で、間引き菜は浅漬け、収穫したものは漬け物にすると美味しく食べることができます。
赤大葉高菜
名前の通り、葉が大きく赤紫色をしています。
葉や茎が肉厚で、耐寒性がとても強く、土壌適応性も高いので場所を選ばずに育てることができます。
三池大葉ちりめん高菜
こちらも耐寒性に優れた生育旺盛な品種です。
葉がチリメン状で葉茎が肉厚なことから、漬け物や煮物に最適です。
高菜の土作り
プランター栽培をする場合は、市販されている野菜用の培養土を使用します。地植えをする場合は、最初に種をポットに植えて苗作りをしてから畑に移動させますので、あらかじめ畑の土作りが必要になります。
高菜が好む土壌酸度は6.0pH(中性よりの弱酸性)です。土の酸度が高い場合は事前に石灰入れて耕し、調整してください。石灰を入れて2週間経過したら、元肥と堆肥を入れて畝を作り、黒マルチを張りましょう。
地植え栽培をする時には、前年度にアブラナ科の野菜を植えていない場所を選びましょう。
高菜(アブラナ科の野菜)は連作障害が出る野菜なので、1回畑を使用したら1年以上期間を空けることが鉄則です。
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高菜の種蒔き
高菜の種蒔きは9~10月です。
プランター栽培の場合
用意するもの
・20㎝以上の深さがあるプランターや鉢
・培養土
・鉢底石
・種
- 用意したプランターの底に鉢底石を敷き詰め、土を入れてから底から水が溢れ出るくらいに充分な水を与えましょう。
- 土に水を含ませた後、深さ、間隔共に1㎝で種を植えます。
- 2列にする場合は、条間を10~15㎝位あけます。周囲の土を軽くかぶせたら、再び充分に水を与えます。
- 発芽し双葉が出てきたあたりから、元気な苗だけを約3㎝間隔で残すように間引きを行いましょう。
- 本葉が4.5枚出てきたら再び間引きを行い、10~15㎝間隔にします。
地植えの場合
地植えする前段階のポットに土を入れて育てることから始めます。
- ポット1つにつき、種を4~5粒撒きましょう。
- 発芽して本葉が3枚になるまでに、1本立ちに仕上げます。
- 種蒔きをしてから発芽するまでの期間は、乾燥させないように毎朝水やりを欠かさないようにしましょう。
高菜は苗の段階でも害虫がつきやすい野菜ですので、注意しましょう。また、寒い時期に種を植えるため、防寒対策が必要です。
アーチ支柱などを使用し、ネットや穴あきビニールを掛けて虫や寒さから高菜を守ってあげましょう。
高菜の春まきについて
高菜は春まきをすることも可能です。ただ、秋まきの方が寒さにあたるので、春まきよりも味が良い高菜を収穫することができます。
そのため、高菜の種蒔きは秋まきが一般的とされています。
高菜の植え付け
地植えをする場合は、ポットで育成した苗を畑に移します。
苗の本葉が4~5枚になった頃が適期です。苗の間隔は30~35㎝、条間は30㎝です。
畑への植え付けが終わったら、再び害虫や寒さから守るためにネットを設置します。
高菜の水やりと追肥
土の表面が乾燥したら、充分に水やりをおこないます。
プランター栽培の場合、2回目の間引きの後に化成肥料を2週間に1回与えるか、液体肥料を週1回水やりの時に一緒に与えましょう。
地植えの場合、畑に植え付けをしてから、3週間経過したら化成肥料を株間にあたえましょう。
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高菜に発生しやすい害虫
アブラムシ
アブラムシには多くの種類がありますが、その全てが新芽や葉、花などあらゆる野菜の柔らかい部分に群がり繁殖していきます。
アブラムシが出す甘露によって、高菜がベタベタになりカビが生えて、すす病に発展したりウイルスに感染したりする恐れが出てきます。
テントウ虫が天敵ですが、都合良くテントウ虫がいるとも限りません。防虫ネットや木酸液などを使って予防しましょう。
尻腐病
アブラナ科(キャベツや白菜、高菜)の野菜に発病しやすい病気です。地面に接した外葉の内側に黄褐色の病斑が出現し、最終的には葉が枯死します。多雨や多湿が原因で、糸状菌が病原です。
連作を避け、排水の良い土壌作りをして日光の良く当たる環境で、土壌消毒が行えるようにしましょう。
病葉を見つけたらすぐに取り除くこと、状態が悪い場合は株ごと抜き取って病原菌を残さないようにして処分してください。
根コブ病
アブラナ科特有の伝染病とされている病です。糸条菌が病原で、感染すると根にコブができることが特徴です。
酸度の強い土壌や多湿の環境で発病しやすく、このコブができることで、植物が水分や栄養の吸収ができずに、成長に支障をきたします。その結果、葉が黄色く変色したり萎えたりする症状が出ます。
農薬を使用する対策方法もありますが、無農薬の場合は発病した後の対策はありません。尻腐病と同様に、発見したらすぐに畑の外に持ち出して処分してください。また、連作は避け、高い畝を作ることで排水の良い土壌づくりを心がけましょう。
高菜の収穫
年内に収穫
秋まきをした高菜の苗の背丈が20~30㎝くらいになったら、株ごと収穫します。
冬越して収穫
年を越して収穫をする時は、外葉から茎の根元を残して1枚ずつ収穫しましょう。この収穫方法を「かきとり収穫」と言います。
かきとり収穫を行うと半年間収穫を続けることができます。株の中心にある葉を4~5枚残しておくと、周りの葉がどんどん再生しながら成長を続けます。
春先の収穫
春先にむけて高菜がとう立ち(花を付ける茎が伸びること)したら、蕾を収穫しましょう。
辛みがあり、菜花として料理で使用することができます。
高菜の保存方法
すぐに使用しないとき
新聞紙を湿らせて高菜をくるみ、ビニール袋またはラップで包んで冷蔵庫の野菜室で保存します。
長期保存したい時
1週間以上塩漬けにしたものを密封して、冷蔵庫または冷凍庫で保存しましょう。
漬け物以外で使用するときは、解凍後に塩抜きをすれば炒め物や煮物として使うことができます。
おわりに
高菜を栽培する上で注意することは、防寒、防虫対策です。
種を撒いてから収穫するまでの期間も短く、栽培管理する上で難しいことは特にありませんので、簡単に育てることができる野菜です。収穫した高菜は、様々な料理に使用できます。
冬も比較的暖かい地方なら、ぜひ一度は高菜栽培に挑戦してみてくださいね。