野沢菜といえば、「野沢菜漬け」が有名ですね。「野沢菜漬け」の名は長野県の野沢菜温泉村で作られたことに由来します。現在でも長野県は野沢菜の産地として有名ですが、徳島県や長崎県でも多く栽培されています。
家庭菜園でも育てやすい野沢菜は、日本全国で栽培が可能な野菜です。コレステロールの吸収や排出作用、食物繊維、ビタミンやカリウムが豊富な野沢菜を作ってみたいと思いませんか?
今回は、野沢菜の栽培方法についてご紹介します。
Contents
野沢菜の育成条件と栽培時期
- 日当たり:日なた
- 生育適温:15~25℃
- 用途:地植え・プランター
- 土壌酸度:6.5~7.0pH
- 耐寒性:やや強い
- 耐暑性:やや弱い
- 耐陰性:やや弱い
- 草丈:100㎝
- 連作障害:1年以上あける
- 花色:黄色
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野沢菜に適した栽培環境
野沢菜の生育適温は15~25℃。風通しと日当たりの良い場所、冷涼な気候を好みます。
耐暑性にやや弱いこともあり、秋まきが栽培しやすいとされています。特に初心者の方は、秋からの栽培がおすすめです。
野沢菜は寒さに比較的強いですが、霜が降りるとダメージを受けることがあります。霜が降りそうな時期になったら、霜除け対策を行いましょう。
野沢菜の品種
野沢菜は漬け菜なので、特に品種はありません。
現在多くの場所で栽培されている野沢菜は、シベリアから入ってきた寒さに強い西洋系のものと言われています。
漬け菜とは
漬け菜とは、漬け物にする葉菜をさします。野沢菜以外にも、広島菜、高菜、カラシナなどがあります。
「野沢菜漬け」、「高菜漬け」、「広島漬」は日本の三大漬け菜と言われています。
栽培管理スケジュール
1年間(春~冬)に行う野沢菜に栽培管理スケジュールになります。
土作り 春(3~4月)
春(3~4月)
土作り&種まきシーズンになります。
【アイリスオーヤマ 花・野菜の培養土 】
野沢菜はプランター栽培、地植え栽培のどちらでも育てることができます。
プランター栽培の場合
プランター栽培の場合でしたら、土は野菜用培養土を利用するとよいでしょう。用意したプランターの底に鉢底石を敷き、その上に野菜培養土を入れます。
土を入れる時は、プランターの上まで一杯に土を入れないように注意してください。
上部から3~4cmの高さまで土をいれ、水やりの際に上部から土が流れ出てしまわないようにウォータースペースを作りましょう。
地植え栽培の場合
野沢菜は比較的連作障害に強い作物と言われていますが、連作をすることで土の品質の低下や、病気につながるとされています。1年以上は、間隔を開けると良いでしょう。
できれば前年度に、カブ、カリフラワー、キャベツなどの同じアブラナ科の食物を植えていない場所を選ぶようにしてください。
野沢菜は6.5~7.0pHのほぼ中性に近い土壌酸度が適しています。特に畑の土は作物を育てているうちにPhが酸性に傾いてきます。※よって石灰を施して調整することが重要です。
- 種をまく2週間前に苦土石灰を施し、土を耕す
- 種をまく1週間前に化成肥料と堆肥をほどこして、土をさらに耕す
- 畝(幅60~70cm1条、または幅100cm2条)を作る
- 支柱などを利用して、すじまき用の筋を作る
- 筋に2~3㎝間隔で種をまいていきます。
- 野沢菜には虫がつきやすいので防虫トンネルを作る
野沢菜はマルチを張らなくても栽培することが可能ですが、マルチを張ることで保温や保湿効果、雑草が発生しづらいなどの効果がありますので、余裕があればマルチを張りましょう。
なお、種まきは「すじまき」なので、マルチをすじ状にカットしておきましょう。
畝幅60cmに1条とは?
種まきの説明時に頻繁に使用される「条」という言葉があります。「条」を他の言葉で言い換えると「列」です。
「畝幅60㎝に1条」と記載されていたら、「60㎝幅の畝に1列「すじまき」で種をまいていく」という意味になります。
「条間」という言葉もよく使用されますが、条間は「列と列の間の幅」をさします。
種まきしよう
春(3~4月)
この時期に、種まきを行います。事前に種を水に浸けておく事で発芽を促す事ができます。
※まいた種は比較的早く発芽してきます。
種まきの適期は9月。野沢菜は春(3~4月)に植えて6月に栽培するパターンもありますが、涼しい気候を好む特徴があるので、ガーデニング初心者であれば秋まきのほうが栽培しやすいでしょう。
気温の高い時期に栽培すると、病害虫の発生や生長の遅れにつながるので良い野沢菜が育たない場合があります。
種はホームセンターやネットで購入することが可能です。種は『筋まき』します。1㎝くらいの筋を作ったら2~3㎝間隔で種をまいていきましょう。
種まきのポイントは、均一になるように撒いていくことです。種をまきおえたら、土を約1cmかぶせて軽く上から押さえます。
水やり
種まきが完了したら、充分な水やりをおこないますが、この時の水やりは、種が流れないように、じょうろの口を上にむけて優しく行ってください。
また野沢菜の初期の生長期はしっかり水やりを行いますが、特に発芽するまでの間は、朝と夕方に1回水を与えます。
それ以降の期間は土が乾いたら、朝に水を1回与えましょう。乾燥時期が続くようであれば、夕方にも水やりを行います。土の表面が乾燥していても、土中は湿っていることもありますので、根腐れに注意してください。
間引きしよう
本葉が2~3枚出た頃、密集している場所の間引きをします。生長が進み、本葉が3~4枚になったら株間を約30cm以上確保できるように調節してください。
※間引きの際に抜いた苗は漬け物にして食べることもできますので、捨てずに活用しましょう。
追肥しよう
間引きが終わり、本葉が5~6枚になったら追肥をします。株と株の間に化成肥料を与えましょう。肥料の量が多いと、肥料やけなどを起こす可能性がありますので注意しましょう。
夏場の管理 (6~8月)
夏(6~8月)の日常管理について
水やり
夏場はどうしても水分が蒸発しやすいので、土がカラカラにならないように定期的な水やりが必要になってきます。土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えてあげましょう。
害虫対策
春栽培は、秋栽培に比べると害虫が発生しやすくなります。野沢菜は葉物野菜なので、やはり葉が虫に食害されてしまうと見ためが悪くなってしまいます。
害虫は見つけ次第駆除しますが一番のおすすめは害虫がつく前に、早い段階で防虫トンネルを作るなどの対策をしておくのがかなり有効となります。
追肥
8月頃になったら野沢菜の成長を助けるために、即効性のある液体肥料などで追肥を行いましょう。
秋(9~11月)にやること
秋(10~11)月の作業
秋の種まき
秋栽培もしくは二期作を行う場合、この時期に再度種まきを行います。
【水やりと肥料】
引き続き、定期的な水やりと肥料を続けましょう。
野沢菜の収穫開始
秋(10~11)月になったら、春に植えた野沢菜を育ったものから順に収穫する事ができます。
冬(12~2月)にやること
冬(12~2月)
引き続き収穫可能です。かなり寒くなって来ますが、野沢菜は霜に当たると甘みが増して美味しくなります♡
霜対策
霜が降りる前に収穫するか、もしくは臨機応変に霜よけ対策を行いましょう。
野沢菜に発生しやすい病害虫
野沢菜に発生しやすい害虫には、アブラムシ、コナガ、アオムシ、ヨウトムシなどがあります。
野沢菜を育てる際には、病害虫の管理も非常に重要になってきます。
上記のような野沢菜の生育に影響を与える害虫には、葉や茎を食べるものがいくつか存在し、これらは植物の健康を脅かす原因となります。
これらの病害虫の発見は早ければ早いほど良いので、そのためにも定期的に栽培している野沢菜のチェックをしましょう。
例えば、葉の裏や茎の部分に異常が見られるような場合は対策が必要になってきます。
ただ野沢菜はたねまきから収穫に至るまでの時間が短いので、農薬などを使用すると残留する可能性が出てきてきます。
できるだけ農薬を使いたくない場合などは、傷んだは取り除き寒冷紗や防虫ネットを使って害虫対策をするのが一番です。*害虫にやられる前に早めの対策がベストです。
モンシロチョウなどが飛んでいたら、卵を産み付けていないか確認したりアオムシなど目についた害虫は見つけしだい取り除くなどして予防する事も大切です。
それ以外にも、オーガニックや天然成分で作られたものを使用されると安心です。例えば唐辛子スプレー、木酢液やニームオイルなど害虫駆除におすすめです。
市販もされていますが、これらは自作する事もできますので上手に活用されると良いでしょう。
他にも【HB101】などは、原料がスギ・ヒノキ・マツ・オオバコの成分を抽出し作られているので安心安全です。
植物の活力剤としてだけでなく抗菌・防虫効果もあるので農薬を使用したくない方におすすめです。
野沢菜の健康を守るためには、害虫や病気に対する早期の発見と対処が鍵を握ります。日々の観察と適切な栽培管理を心がけることで、病害虫に強い野沢菜を育てることができるでしょう。
病気についても注意が必要で、特にうどんこ病や根腐れを引き起こす菌類には注意が必要です。
うどんこ病になると、白い粉っぽいものが付着します。カビの一種ですが症状が拡大する前の、まだ被害が少ないうちに見つけしだい対策、もしくは事前に予防する事のがキモです。
しかし万が一うどんこ病を見つけた際は、まだ一部であれば葉ごと取り除き外に持ち出して捨てるようにしましょう。近くにポイっと置いておくなどしてしまうと、そこからまたカビが繁殖してしまいます。
カビの胞子を増やさないようにする事を徹底し、病気の葉をさわった手はしっかり手洗いをしてから作業に戻るようにしてください。
また、うどんこ病などが出た株元に枯れ葉やゴミなどがあると、カビ(うどんこ病などの菌類)の住処にもなりそのまま一緒に冬越ししてしまうので、できるだけ清潔を保つのもコツです。
もし、うどんこ病になってしまったら、どこのお宅にもある食酢(穀物酢)と水で作る【お酢スプレー】が、うどんこ病に効果があります。
作り方も非常に簡単で、水(300cc)に酢(15cc)を混ぜて霧吹きで噴射するだけです。
穀物酢を使用しますが、注意点として無糖の酢を御使用くださいね。1週間に1~2回程度、葉の裏側にも散布するようにしましょう。
これらの病気を予防するためには、風通しが良く排水性のある土壌で適切な水やりが求められます。過剰な水分は病原菌の増殖を助けてしまうため、土が乾いてから水を与えるようにしましょう。
防虫トンネルの作り方
上記以外には、春の種まき直後に早めに防虫トンネルを設置しておくと言う方法もあります。
下記は防虫トンネルの作り方動画を貼っておきます。そんなの作った事ないょと言う方は参考になさってくださいね。
畑用
プランター用
下記は、プランター用の防虫ネットに関する参考動画になります。
9月以外の野沢菜の種まき
野沢菜の種まきは既述の通り一般的には9月が適期とお話しましたが、南北に長く気候に差がある日本では、栽培する場所によってまき時が異なります。
冷涼地では8月に種をまき10~11月の収穫、温暖地では3月下旬から5月上旬の種まきで6月の収穫などのパターンがあります。
種を購入したら袋の裏に場所ごとの種まきの時期が記載されていることがあります。注意書きをよく読んで、お住まいの地域の気温等を考慮して植えるようにしましょう。
野沢菜の収穫の目安
種を秋にまいた野沢菜の収穫は12月頃。収穫の見極めのポイントは次の通りです。
- 種まきをしてから50~60日経過
- 草丈が60cm前後
収穫の際は、根から株ごと引き抜きましょう。
霜に2~3回あてるとアクが抜けて味が良くなるとされていますが、あまり長い間収穫せずに放置しておくと、野沢菜が固くなってしまいます。また雪が降る場所で育てている場合は、雪が積もる前に収穫するようにしてください。
地下部に株がありますが、こちらも漬け物として食べることができます。
野沢菜の保存方法
収穫した野沢菜は早めに使うことが基本です。
漬け物用として使う野沢菜が大きくて冷蔵庫に入らない時は、濡れたキッチンペーパーや新聞紙で野沢菜を包み、暖房の入っていない涼しい部屋で保管しましょう。
背丈が30~40㎝位の小さな野沢菜を調理で使う場合は、同じく濡れたキッチンペーパー等に包んで冷蔵庫で保管しましょう。
おわりに
野沢菜は漬け物以外にも、炒めものや煮物など多くの料理で活用される人気野菜です。栽培のポイントは以下の通りです。
- 基本的には「9月に種をまき、12月頃に収穫」のパターンが栽培しやすい
- 冷涼な気候を好むので、夏に栽培はしない
- 連作障害をさけるため、前年度にアブラナ科を植えた畑は避ける
- 酸性土壌は合わないので、石灰で酸度調整を必ず行う
- 防虫ネットなどで害虫対策を行う
栽培ポイントがいくつかありますが、野沢菜は初心者でも簡単に育てることができる野菜です。プランターなら少量での栽培でも可能ですので、気軽にチャレンジしてみましょう。