フルーツ界の女王様として知られているマンゴスチン。マンゴー、チェリモヤと並んで「世界三大美果」の一つとされているトロピカルフルーツです。
日本では以前より冷凍物が輸入されていましたが、2003年の新蒸熱処理方法の制定により、新鮮な生の状態で輸入することができるようになりました。
とはいっても、大量供給がされていないので流通も限られており、気軽に店頭で見ることはちょっと難しいようです。そんなマンゴスチンの栽培を自宅でチャレンジしてみませんか?
今回は、マンゴスチンの種まきから収穫までの育て方をお話したいと思います。
Contents
マンゴスチンの育成条件
マンゴスチンは、もともと暖かい地域の果樹で、寒いところでの栽培は適していません。
下記のような育成条件が必要になります。
日当たり:日なた・半日陰
用途:地植え・鉢植え
耐寒温度:6℃ 耐暑温度:35℃
樹高:3~7m
土壌酸度:5.8~7pH
株間:2~3m
マンゴスチンの種まき
マンゴスチンの栽培は、種蒔きをするところから始めましょう。冷凍物のマンゴスチンの場合、発芽する可能性はとても低いので、新鮮なものを入手して種を取り出すか、インターネットで種子を購入するかのどちらかになります。
果肉には、マンゴスチンの発芽を抑制する物質が含まれていることがありますので、自分でマンゴスチンから種を取り出す時は、果肉をきれいに水で落とすようにしてください。
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マンゴスチンの栽培適地
日なたまたは半日陰になるような場所が適しています。適正温度に関しては、耐寒温度6℃、耐暑温度35℃です。
25℃以上の環境でよく成長するので、栽培をするなら暖かい地域がよいでしょう。
日本では、この気温を維持できる環境が整っている場所はそれほど多くありません。室内にも移動できるように鉢植えで栽培する方がよさそうです。
マンゴスチンの土作り
土壌酸度は5.8~7pHでやや酸性よりが適しています。自分で作る場合は、赤玉土と腐葉土を7:3の割合で混ぜましょう。
ただ、基本的には土を選ばない果樹なので、土造りに関してはそれほど神経質になる必要はないでしょう。
マンゴスチンの植え付け
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種と土が用意できたら、早速マンゴスチンの植え付けを行いましょう。ポットや小さい鉢を用意して土を入れて種を撒きます。種にかぶせる土は、1~2㎝の厚さにしましょう。
最後にしっかり水やりをしてから、25℃以上ある暖かい場所に置いて管理します。とは言っても、そこまで高い温度を用意するのは難しいので、発芽まで育苗器を使用すると楽に環境を作ってあげることができます。
順調にいけばマンゴスチンの種は、およそ3週間で発芽します。発芽するまでは、土を乾燥させないように適宜水やりを行うようにしてください。
マンゴスチンの水やりと肥料
表面の土が乾いてきたら、しっかり水やりをすることが基本です。水分を好む特徴があるので、夏場は水やりの回数を増やすなどして、乾燥には注意しましょう。
また、マンゴスチンは冬場になっても休眠することはありません。一見枯れているように見えますが、根は生きていますので水やりは欠かさないようにしてください。
冬場は肥料を必要としませんが、春から秋にかけては緩効性の肥料を2ヶ月おきに、適量与えます。
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マンゴスチンの栽培管理
日光
発芽してから最低2年以上は、遮光率約70%の環境を好みます。室内か日陰で育てるようにしましょう。
3年目からは、春から秋にかけて日光に当てることが大切です。
ただし夏場の強すぎる日差しは苦手なので、半日陰に移動させるようにします。
冬場の管理
マンゴスチンは寒さがとても苦手です。年間平均気温が18℃以下の場合は外で管理することは難しいと考えて下さい。
成長を続けるには最低でも15℃以上が必要なので、外にある鉢は室内へ移動するようにしましょう。
マンゴスチンの植え替え
木が大きくなってきたら、1~2まわり大きな鉢を用意して植え替えを行いましょう。
マンゴスチンの根は、下へ向かって伸びていく特徴があるので、なるべく深い鉢を用意します。
また、植え替えの時は根を傷つけることのないように、慎重に取り扱ってください。
マンゴスチンの剪定
気になってきたら行う程度で充分です。
暖かい時期に剪定するようにしましょう。
マンゴスチンの花
順調に成長するとマンゴスチンは年に2回、2.5~4㎝の赤い花を咲かせます。
花の特徴は、桂頭が4~8烈、雌しべ1つに対し雄しべが多数の雄花か両性花です。不定胚を形成するので、花粉が作られることがありません。
また、雄と雌の株がありますが、雌株だけで繁殖することが可能(単為生殖)です。そのため人工授粉の必要がありません。
ちなみに、マンゴスチンの種から栽培をはじめると、99%が雌株になると言われています。
マンゴスチンの収穫
発芽してから5~6年経つと直径5~7㎝のマンゴスチンの実を収穫することができます。
実のなりたての時期の表面の皮はクリーム色をしていますが、時間が経過するにつれて赤そして紫色に変化していきます。
皮の色が赤紫や紫色になったら食べ頃と判断できますので、収穫しましょう。実に弾力が出てきたり、シワが現れたりするのも判断材料となります。
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マンゴスチンの保存方法
収穫した実が手で触った時にまだ固いと感じるようであれば、数日間常温で保存しましょう。
次第に実が熟し柔らかくなるので、食べる時は冷蔵庫で冷やして食べると美味しくいただけます。
マンゴスチンの食べ方
甘さが特徴のマンゴスチンは、メロンや苺よりも甘味が強いと言われています。マンゴスチンの赤紫色の皮にナイフなどで切り込みを入れると、中から白い果肉が出てきます。この白い果肉が食べることができる部分です。
ミカンやグレープフルーツと同様に分かれ目があるので、そこを手でちぎりながら食べましょう。
果肉を冷凍庫にいれて完全に冷凍される前に取り出すと、シャーベットとして楽しむことができます。
マンゴスチンの栽培にかかる時間とその特徴や流れ
マンゴスチンは一般的な果樹よりも、種を撒いて実を収穫するまでには長い年月が必要となります。マンゴスチンにおける一般的な時間とその流れを把握しておきましょう。
まず種を土に撒いて発芽するまでに3週間かかります。発芽して最低でも2年間は半日陰やほぼ遮光状態で育てることが必要です。この2~3年の間の成長はとても遅く、いつまで経っても芽や苗が成長しているように感じられないかもしれません。
ただしその後、一度成長し始めると幼苗の時より早い速度で成長する特徴があります。実生(発芽したばかりの植物)から結実するまでは、育成条件が整ったことを前提としても5.6年~10年の歳月が必要になります。
おわりに
マンゴスチンは基本的にタイやマレー半島などの熱帯気候で育てられている果樹です。
そのため、気温の低い日本で栽培するのは難しいとされていましたが、結実の報告もちらほらされるようになってきているようです。マンゴスチンの栽培で重要なポイントは、下記の3点を最低でもクリアが必須条件です。
- 発芽までの温度管理、またはその後の気温環境の調整
- 成長段階に合わせた日光量の調節
- 乾燥させない水やり
また、なんといっても必要なのは上記の通り長い年月がかかることに対する忍耐力です。マンゴスチンに必要な条件を整えて、結実したらラッキーと考える位、余裕のある気持ちで栽培に挑むと良いかも知れませんね。
もし結実しなくても、観葉植物としても立派に楽しめることができますので、一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。