春に植える花

キキョウの育て方〜馴染み深いキキョウの手入れポイントを解説!

キキョウの育て方〜馴染み深いキキョウの手入れポイントを解説!

万葉集にも登場する古典的な植物で、夏から秋にかけて優美な花を咲かせる事で知られるキキョウ(桔梗)はキキョウ科キキョウ属の多年性耐寒性の宿根草です。

原産地を日本全土、朝鮮半島、中国、東シベリアなどとする山野草なのですが、近年では日本国内の自生種は各地で個体数が激減し絶滅危惧種に選定されています

一方で古くから生薬の材料として、切花用途、また、庭などで多く栽培され続けているので、園芸草花としての印象の方が強いかも知れません。

ちなみに、キキョウ根は鎮咳去痰薬などの定番であの浅田飴にも使用されています
但し、キキョウ根は多量に摂取すると有害なので、専門知識の無い素人が手を出してはダメですよ。

茶花や仏花としても使い勝手の良いキキョウは「秋の七草」の一つとしてもお馴染みですが、実際の開花期は夏真っ盛りの7〜8月頃だったりします。

どれだけキキョウが親しまれて来たかと言うと、例えば、キキョウの花を図案化した「桔梗紋」ですが、鎌倉時代から江戸時代にかけて栄えた土岐氏一族やその支流である明智光秀、また、日光東照宮、坂本龍馬なども「桔梗紋」を使用しています。

多くの武将が好んで家紋に使った理由は、武運の「吉凶」を占う花から転じて「桔梗」となったからだと言う説もあります。

更に、やや青みを帯びた紫色を指す「桔梗色」がありますが、平安時代の「宇津保物語」や「栄花物語」などにもその色名が見られます。

もっとも、最近の新品種では二重咲き、多重咲き、袋咲きなどの変わり咲きや、白系やピンク系の花色の物が増えているので、数十年もすると「桔梗紋」「桔梗色」と言われてもピンと来なくなるのかも知れませんね。

また、キキョウ科ホタルブクロ属との交配により誕生した「小川桔梗(オガワキキョウ)」「皿ケ峰桔梗(サラガミネキキョウ)」は、どちらも性質的に強くて扱いやすい草丈15cm程度の矮小種です。

下向きに釣鐘型に近い形で開花するので見た目ではホタルブクロ寄りな気もしますが、涼し気な印象がある良い花です

ちなみに、勘違いされる事も多いのが「ユーストマ(トルコギキョウ)」ですが、キキョウとは無縁なリンドウ科の植物です

オマケに北米〜メキシコ辺りに分布する植物なので、トルコとも何の関係もありません。
「カンパニュラ」の方がキキョウ科ホタルブクロ属の植物となります。

【キキョウの栽培時期と育成条件】

【キキョウの栽培時期と育成条件】
キキョウの育成条件

日当たり:日なた〜半日陰
土壌酸度:中性〜弱酸性
生育適温:5〜25℃(但し、暑さや寒さのみが原因で枯れる事はありません。)
発芽適温:15〜25℃

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流通形態

キキョウの流通形態

「大輪ききょう」「桔梗 五月雨混合」などの名で、オーソドックスな「桔梗紋」型の花で「桔梗色」(白花なども混ざりますが)の品種のタネが種苗メーカー数社から市販されています
価格は150円程度。

新しい品種は、3号程度のポット苗で500〜1,500円程度の物が多いです

植えつけ場所の準備

キキョウの植えつけ場所の準備

キキョウは、水はけの良い日なたを好みますが、強い西日や酷暑期の日差しには弱いです
下手すると葉焼けなどのダメージから衰弱する事もあります。

夏は木陰となる落葉樹の脇であったり、日除けをしてやれればベストですが、逆に半日陰程度の場所ならば特に嫌うわけでも無いので、家屋の東側などでも結構です。

地植えして根がしっかり張ったら、その後はほとんど手の掛からない植物ですが、直根性で移植を好まないので、良く考えて植えつけ場所を選定して下さい。

植えつけ場所が決まったら、植えつけの1ヶ月程度前までに多めの腐葉土と苦土石灰を入れて良く耕し、1週間程度前までに緩効性肥料の元肥を施しておきます。

鉢やプランターに植える場合は、市販の培養土で結構です
5号鉢に1株、60cmプランターなら3〜6株位を目安にすると良いでしょう。

もちろん、タネから育てる場合には、そこにポットなどを使っての育苗過程が加わりますが、特筆すべき点のない一般的な準備です。

植えつけ

タネから育てる場合には、4〜5月(温暖地なら9〜10月も可)頃、ポットなどに市販のタネまき用土を入れて播種し、5mm程度に覆土しておきます。
なお、タネの表面が硬いので、水に一晩漬けておくと好結果が期待できます。
本葉が5〜6枚になったら、株間10〜15cm程度で植えつけます。

その際、根を傷めるとアウトなので、根土は崩さない様に注意します。
ポット径程度の穴を掘り、入れる感じで良いでしょう。
ポット苗を購入した場合も、同様に根は慎重に取り扱って下さい。

充分に灌水して植えつけの完了です。

水やり

キキョウの水やり

地植えした場合、根付くまでは灌水が必要ですが、それ以降は降雨だけでもほぼ大丈夫です
但し、真夏の乾燥で弱るので、株元にワラなどでマルチングをして、頻回に水やりをして下さい

鉢やプランターの場合は、特に水切れを起こさない様に注意しましょう。
時期によっては朝夕2度の灌水が必要となってくるかも知れません。

肥料


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基本的に春先に株元に粒状肥料を施肥する(初年度は元肥)だけでも1年間乗り切れますが、花が終わった頃、株元に有機固形肥料などの置き肥をお礼肥としても良いでしょう。

誘引と剪定

高く育つ種類の場合には、頃合いを見計らって倒伏防止用の支柱を設置しましょう
特に台風のシーズンと花期が重なるので対策が必要となります。

切り花として利用する場合も多いでしょうし、そのまま楽しむ事も多いでしょうが、花が咲き終わったら、茎を半分位に切り戻しておくと、秋にまた花が咲きます。

なお、根をいじられる事に対してはデリケートですが、例えば、折れるなど地上部が痛めつけられても結構タフに生き残ったりします。
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植え替えと増やし方

キキョウの植え替えと増やし方

地植えすると、株立ちとなって数年は育ち大株になったりもしますが、古くなるとやがてネマトーダ(線虫)におかされて終には寿命を迎える流れとなります。
株分けで増やす方法もありますが、採取したタネから増やす方がずっと容易なので、古株はそのままにしておき、新しい苗を植えるのが手っ取り早くて確実です。

また、完全に放任して栽培しているならば、こぼれタネから苗が勝手に育つ事も多かったりします。

鉢植えなどの場合に、数年で根が混み合ってきます。
3年に1回程度は、植え替えた方が良いでしょう。

作業の時期は、紅葉の頃か、ソメイヨシノの花見の頃が適期となります。
古い根や土を取り除き、市販の培養土に適量の粒状肥料を混ぜたものに植え替えます

病害虫

アブラムシ

他の植物と同様に、春の気温上昇に伴いアブラムシやアオムシ、ヨトウムシなどが発生しやすくなるので、オルトラン粒剤を株元散布して防除します

特に「これは!」と言う病気はありません。

おわりに

和風の庭にはもちろんの事、洋風の庭やロックガーデンに植えても合うので、使い勝手がとても良いです。

矮小種系はマンションのベランダなど、草丈を抑えたい場所にぴったりでこちらも面白いです。
古いけれども新しいキキョウにチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

以上、キキョウの育て方をまとめてみました。



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